デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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ヴァイスシュヴァルツのデアラのサインを集めようか真剣に悩んでいる、どうも黒ソニアです。
とまぁ、そんなどうでもいい事はさて置き、今回である人物が舞台に上がります。





第三話:友の覚醒

 

真っ暗な空間の中で、士道は美九に頭を下げていた。

だが───

 

「はぁー? そんなのお断りに決まっているじゃないですかー。」

 

美九はそれを冷たく拒否した。

 

「一般人はどうでもいいですけどー、せっかく手に入れた可愛い私の精霊さん達を、何で気持ち悪い『男』に…それも、私を欺いて力を奪おうとして来たアナタの為に解放しなくちゃいけないんですかー?」

 

美九は士道と最初に出会った時のように、冷たく士道を見下しながらそう告げた。

 

「…っ。」

 

話の最中、覚えのある違和感を感じた。

 

「…」

 

だが、今は美九との交渉が優先だ。それにこうなる事は想定していたため、狂三を信じて話を続ける。

 

「…勿論、キミを騙して近づいていた事は悪いとは思っている。それで許されるとは思っていない。

だけど、皆んなは…四糸乃達は関係ない! 全て俺が悪い事なんだ!」

 

「だから何ですかー? アナタが悪いのは当然ですし、私は被害者、だから私の可愛い四糸乃さん達をアナタから奪い取ったって良いじゃないですかー。」

 

美九は自分は全く悪くない様な言い方をする。

 

「私はなーんにも悪くないんです。だから、何をしたって許されるんですよー。」

 

「…許される訳ないだろ。」

 

「はあー?」

 

美九は静かに否定する士道に煽る様に聞き返す。

 

「だってそうだろ? 今キミがやっている事は、キミが過去にされた事を…キミを滅茶苦茶にした連中と()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「!? 何で…その事を?」

 

「俺と一緒に来てくれた狂三にはそれを知る術があったからな。申し訳ないとは思うけど、キミのことを知ったよ。」

 

士道に自分の知られたくない過去を知られ、動揺し始める。

 

「今キミがやっている事は、キミの忌み嫌う連中と何ら変わらない。

己の欲望のために周りを利用して、それで傷ついても自分は何も悪くないなんて言って切り捨てるなんて…

例え、過去に辛いことがあったとしても、それを盾にして何でも許されようとするなんて、おこがましすぎる。」

 

自分が過去に辛い事をされたからって、それを周りに当たる事は間違いだ。

 

「黙れ…黙れ黙れ黙れ!」

 

美九は涙目になり、怒りを露わにしていく。

 

「私は悪くない! 私は被害者なんですよ!!??

私は頑張ったのに!! 頑張っていたのに!!

それを…私の体を目当てに…拒否したら、根の葉もない噂を立てて、私の大切な『声』を奪ったんですよ!!」

 

「…」

 

「私は何も悪くない。何をしたって許される。だから、私を二度も滅茶苦茶にしようとするアナタが悪いんです。」

 

美九は怯えた顔をして士道にそう言う。そして、黙っていた士道は口を開く。

 

「…あぁ、そうだな。確かにキミは被害者だ。俺も、その連中も、経緯と目的は違えど同じ事をやっている。だから、俺が叩かれる分には間違いはない。」

 

「だったら───」

 

「だからって、無関係な人達を巻き込む事はキミが間違っている。」

 

「…」

 

「俺は、事の全てが終わったら、キミに自主するつもりだ。約束する。

…だから、キミに頼みがある。」

 

「…頼み? 何で、私がそんな事を───」

 

「約束があるだろう? 天央祭の一日目のライブで勝った。その約束を守ってもらう。」

 

「…っ!? わ、私の霊力を奪うつもりですね…そんなの───」

 

「十香を助けるのに、手伝って欲しい。」

 

「…はい?」

 

美九は素っ頓狂な声を上げる。

 

「キミの霊力は奪わない。その代わりに十香を助けるのに、協力して欲しい。キミも見ていただろう?

キミに斬りかかろうとした女性が、俺と共に戦ってくれた子を攫って行ったのを。」

 

士道の言葉に美九はエレン・メイザースの事を思い出す。

 

「現状、俺と狂三だけではアイツに…いや、奴らを相手にするのには厳しすぎる。

十香を助け出すためには、四糸乃達の力も、キミの力も必要なんだ。」

 

「…でも、アナタは私の霊力を封印する事が目的じゃなかったんですかー?」

 

「確かにそうだ。けど、その理由は精霊が皆んな、自分の力のせいで日々が辛いと思っていたから、空間震によって発する被害を無くしたいから、俺が助けたいって思ったからなんだ。

前にキミは日常に不満は無いと言っていたし、空間震も起こさず、周りの人達を巻き込まずに、平穏に暮らしてくれれば

───俺はキミから霊力を奪わないって約束するし、十香を助けて、皆んなの洗脳を解いてくれれば、俺を嬲るなり、殺すなり、好きにしてもらって構わない。」

 

士道は美九に今の自分の答えを告げる。その言葉に美九は沈黙するも、次第に口を開く。

 

「…ふんっ、そんなのお断りです。第一、何で私が騙していたアナタの頼みを聞かなくちゃいけないんですかぁー?」

 

「…頼む。」

 

「あーあー! 聞きたくないです!

アナタの言葉なんて、『男』の言葉なんて信用出来ませんっ!」

 

「美九…」

 

士道はどうにかして、再度説得をしようとするも、タイムリミットが来たことを告げるかの様に、真っ暗な空間に声が響く。

 

『士道さん。申し訳ございませんが、お時間です。シャドウが大量に出現してしまいましたわ。』

 

狂三の少し余裕のない声が響き渡る。士道の交渉は失敗に終わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道が美九と会話(交渉)をしている間、狂三は分身達と共に出現したシャドウと交戦していた。

 

「きひひっ!」「消えなさいっ!」

 

狂三の分身達は銃を武器にシャドウ相手にしていた。

シャドウ相手に霊装を纏っているとはいえ、素手による攻撃は出来ない。それは、これまで彼女が独断でシャドウと戦って得た知識である。

最初の頃は、分身体を使い、関節技がシャドウに通用するのか試したことがあった。

結果は全く通用せず、それどころか分身達がシャドウに取り込まれそうになった。だから、シャドウ相手に狂三が取れる戦闘手段は銃による攻撃のみだった。分身体分の銃を顕現させる分、霊力を消費するが仕方のない事である。

 

「…っ、数が全く減りませんわね。」

 

狂三は一人愚痴りながら、シャドウを迎撃していた。

 

「そもそも、シャドウの発生する様になった原因はなんですの?」

 

ここに来るまでの道中に士道に聞いたが、士道もまたその原因を探っている様だった。

分かっている事は『ペルソナ』と呼ばれる士道達の力による手段が最も有効で、それ以外の精霊の力や顕現装置(リアライザ)も効果自体は薄いが倒す事自体は出来る。

シャドウの正体が空間震を主な原因の一つに人間の負の感情、心の歪みが形となって現れるモノであり、本来なら現実に現れない筈が、何者かによって出現している様であると。

 

「それに、わたくしには他の皆さんの様な破壊力を持つ天使ではない分、不利ですわね。」

 

狂三の『天使』刻々帝(ザフキエル)の能力は強力だが、破壊力を持たない天使である。

その為、異様な力を持つシャドウには相性が悪い。

 

「雑魚の個体はわたくしでも容易に倒せますけど…」

 

狂三が振り向くと、シャドウが一体の大きな塊へと変貌していき、孵化する様に姿を変える。

 

オオオオォォォォッッッッ!!!

 

シャドウは『シャドウ・トークン』へと進化した。

 

「きひひ! また相見えましたわねっ!」

 

ダンッ! ダンッ! ダンッ! ダンッ!

 

狂三の分身達と共に銃弾の雨をお見舞いした。

 

オオオオォォォォッッッッ!!!

 

だが、トークンはダメージを受けるも、咆哮を上げて狂三に攻撃しようとする。

 

「まぁ、流石にこれでは倒せませんわよね。」

 

狂三はその攻撃を華麗に躱す。

 

「きひひ! ですがあの時とは違い、アナタへの対策は立ててありましてよ!

───さぁ、わたくしなりのアナタ方への答えを見せて差し上げましょう!」

 

そう告げると、狂三は刻々帝を顕現させる。

 

「開幕ですわ───【七の弾(ザイン)】!」

 

七の弾(ザイン)、対象の時間を一時的に停止させる弾。時間の消費の強い弾であるが、その分最も強い効果を発揮する。

 

故に、トークンの動きが完全停止する。そして更に狂三は次の弾を自身に放つ。

 

「【一の弾(アレフ)】!」

 

一の弾(アレフ)、対象を一定時間加速させる弾。それにより、狂三は超高速移動を用いて分身達と共にトークンに華麗に音楽を奏でてる様に猛攻撃を行う。

 

「『踊り狂え、時間の演劇(クロノス・ワルツ)』!」

 

ダンッ! ザシュッ! ダンッ! ザシュッ!

 

銃声と斬り刻む音が交互に鳴り響き、トークンにダメージを与えていく。そして、最後に狂三本人がトークンに向けて一定の分身達を銃弾(霊力)にへと変換させる。

 

「幕引きですわ。」

 

静かにそう告げて、引き金を弾き、トークンにトドメをさす。

 

ダァンッッ!!!

 

重い銃声が鳴り、トークンの体に穴が空く。

 

オォ…オォ…

 

狂三の大技を受けて、トークンは弱々しい声を上げて、霧散する。

 

「はぁ…はぁ…」

 

狂三は一体のトークンを仕留めて、膝を付きながら息を整える。

 

「きひひ…士道さんの影響かしら…少し昔を思い出してやってみましたけど…悪くないですわね。」

 

少し、頬を赤らめながらそう呟く。そして、以前の屋上で苦戦していた時を思い出す。

 

「…あの時とは違い、わたくし一人でも何とかなりますけど…」

 

狂三が周りを見渡すと、人に取り憑いて正気を奪い乗っとろうとしていたシャドウ達が人間から離れ、他の個体達と融合し、複数の『シャドウ・トークン』が顕現する。

 

「…あらあら。」

 

狂三と分身達はその光景を見て、嫌な汗をかき始める。

 

「これはもう、わたくしだけでは対処出来ませんわね…」

 

狂三がそう呟くと、それぞれのトークンに風と氷の攻撃が襲う。

 

「漸く動ける様になったら、とんでもない状況になってるんですけど!?」

 

「吐息。とはいえ、夕弦がやらなければ更に被害が出てしまうかと。」

 

「…お姉様の、敵は、全て倒します。」

 

《やっちゃうぞー!》

 

四糸乃達が士道の拘束を解き、シャドウに攻撃し始めた。それと同時に狂三の分身達にも攻撃をする。

 

「あらあら、()()()作戦は失敗の様ですわね、士道さん?」

 

狂三が建てたプランでは、正面衝突をし、四糸乃達を拘束している間に士道が何とかして美九を説得するという流れであった。

その過程で、一般人は【時喰みの城】で時間を少しいただく事で弱らせ、シャドウが湧き上がったとしても速やかに対処する流れだった。

だが、そのプランは正直上手くいくとは狂三は思っていなかった。

 

「まぁ、分かっていましたので、問題ありませんわ。」

 

美九の場合、いかに彼女の過去を知ったとはいえ、そう簡単には心を開かないと理解していた。

 

「さて、士道さんをお呼びするとしま───」

 

狂三が影にいる士道を呼ぼうとすると、近くから何やら妙な叫び声が聞こえて来る。

 

「うおぉぉぉっ! 来んじゃねぇぇぇっ!」

 

狂三か声のする方は振り向くと、狂三は目を丸くする。何故なら、来禅高校の制服を着た生徒が一人、シャドウに追いかけられていたのだ。

 

「クソッ! まじで何なんだよ、これはっ!?

───っ! おい! そこにいるの時崎だよな!?

何だかよく分かんないけど、お前は正気だよな!? その格好といい、謎の力といい、助けてくれっ!!」

 

「!? まさか、この状況で正気でいる方がいましたの?」

 

狂三は驚いていた。狂三は咄嗟に銃で生徒の背後に迫っていたシャドウを撃ち抜き、助けた。

 

「はぁ…はぁ…。悪い助かった。」

 

「アナタは一体誰ですの? それに、美九さんの洗脳を受けていないのですの?」

 

狂三が分身を通して把握している限り、この一帯で正気でいる人間はいなかったために驚きが隠さないでいた。

 

「俺は、お前らのクラスの隣の天宮翔太だ。

…洗脳だ? まぁ、少なくても見ての通り俺は正気だよ。」

 

「…美九さんの声を聞いていませんでしたの?」

 

「あぁ? あー…もしかしてライブのことか?

それなら、ロリボイスを聴きながら作業してたから全く聞いてないぜ。」

 

「は、はぁ? しかし、その後に彼女がスピーカーを通じて一帯に声を発していましたけど…」

 

「あー、そいやー、なんか()()()()()()()()()()()()()。けど、俺は別に平気だったぞ?」

 

「…っ! これは一体どいうことですの?」

 

ただの人間が精霊の『天使』に敵う訳がない。だから、狂三は驚きが隠せないでいた。

 

「ていうか、これは一体どうなってんだよ!?

お前、何か知っているよな? 士道のことも何か知っているよな!?」

 

「…っ! 士道さんをご存知ですの?」

 

「あぁ、友達だぜ。」

 

「…」

 

自分が知らないうちに士道が何かをしていただろうか?と考えるも、次々と出現していくシャドウに、狂三は一刻も早く士道に伝えなければと判断する。

 

「アナタについてお聞きたい事がありますけど、それよりも先に士道さんをお呼びする必要がありますわ。」

 

狂三は影に向けて告げる。

 

「士道さん。申し訳ございませんが、お時間です。シャドウが大量に出現してしまいましたわ。」

 

狂三はそう告げると影を展開させて、士道と美九を解放し、士道の側に駆け寄る。

 

「ご無事ですか? 士道さん?」

 

「…悪い、狂三が時間かけてチャンスを作ってくれたのに…」

 

「今はそれよりも、状況が悪くなってしまいましたの。」

 

狂三がそう言うと、士道は周りの豹変に目と耳を傾ける。美九の洗脳を受けながらも、シャドウに怯えて逃げ出す者や、シャドウに取り込まれてしまった者などと、地獄の光景を目にする。

 

「…っ。」

 

士道は拳を握りしめる。

 

「クソッ! 俺がもっと説得出来れば…っ!」

 

「…」

 

士道が悔しそうにし始め、狂三が慰めの言葉を掛けようとすると、士道の肩に触れる者が現れる。

そう、翔である。

 

「よく分からんが、お前のせいじゃないだろ。あまり自分を責めるなよ。」

 

「あぁ…悪い───って、翔!?」

 

思わず驚きながら振り向く士道。すると、翔は苦笑いしながら話しだす。

 

「いやー、何処から話せば良いのやら…ともかく、俺は周りの連中と違って正気だ。安心しろよ。」

 

「ホントか? そうか、良かった。」

 

士道がそうホッとするも、四糸乃達が美九の元へと駆け寄りながら、士道に告げる。

 

「士道、姉様に一体何したし!」

 

「注告。いくら士道であっても許しません。」

 

「許…さない、です。」

 

「…っ。皆んな…」

 

四糸乃達に否定的な目で見られて、士道は精神的に堪える。すると、翔が士道の肩を持ち告げる。

 

「おいおい、双子! お前ら、士道と仲良いんだろ?

だったら、そんな悪口言ってやるなよ。可哀想だろうが。」

 

耶倶矢と夕弦にそう言うと、次に四糸乃に向けて語りかける。

 

「そこのお嬢さん。お名前は何て言うのかな?

良い子だから、悪い事を言うのは辞めようね?

そこのアイドル達よりも、お兄さんと一緒にいた方が楽しいよ? ね?」

 

「あの…怖いです。」

 

「怖くなーい、怖くなーいよー。むっふふふふ。」

 

日頃から士道に見知らぬ人に話しかけられ続けれたら逃げなさいと教えてるせいか、耶倶矢達の背後へと下がる四糸乃。そして、耶倶矢達は翔に向けて威嚇する様に告げる。

 

「おい、貴様! 四糸乃に向けて気持ち悪い事言うなし!」

 

「警告。お巡りさんに通報します。」

 

「おいおい、同年代とか正直終わってるから。可愛い子の前に立つなよ。お前らは士道に謝って、その子から離れろって。」

 

…翔は四糸乃(ロリ)以外は女性としてはもう賞味期限切れ(終わってる)と認識しているため、辛辣な態度をとっていた。その光景を士道は慣れたのか半眼で呆れ気味となった顔をし、狂三は何なんだコイツと言った顔をしていた。

しかし、そんなくだらない雰囲気が一瞬にして変わる。

 

ゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!!

 

大地が揺れるかの様に周囲に変化が起きる。シャドウ達が更に溢れ、融合し、大量の『シャドウ・トークン』へと変貌を遂げ、襲いかかる。

 

わあああああああぁぁぁぁぁっっっ!!!!!

 

美九に洗脳されている人間達が恐怖に呑まれ、命令よりも先に自分の身を案じて逃げ出して行く。

 

「何ですか…何が起ころうとしてるんですか?」

 

美九もまた怯えながらそう呟く。だが、士道達も不可解な事態に震え出す。

 

「…多すぎる。しかも、一般人のいる中、派手な技も使えないのに…っ!」

 

悲鳴を上げていく数が増えていく。それに士道は耐えきれずに向かおうとする。

 

「狂三! 翔を頼む!」

 

「士道さん!?」

 

士道は再び怪盗服に身を包み、ルパンとなってトークンの群れに突撃する。

 

「うぉぉぉぉっ!」

 

黒の咆哮(ブラック・ロアー)で複数のトークンにぶつけ怯ませる、次に黒の籠爪(ブラック・アームズ)で怯んだトークンに容赦なく振り上げ、蹴散らす。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

それを繰り返して行く。

 

オオオオォォォォッッッッ!!!

 

トークン達もみすみすやられる訳がなく、士道に目掛けて攻撃をしていく。士道は華麗に回避していきながら攻撃し、様々な技で倒して行く。

 

だが、それも一般人へと襲いかかっていたシャドウが次々と士道に向けて攻撃して行く。

 

「ぐぅ!」

 

回避がしづらくなり、次第にダメージを受けて行く。

 

「ぐぁっ!」

 

士道は攻撃を受け、地に倒れ伏す。

 

「士道さん!」

 

狂三は銃を用いて、士道を助けようと攻撃するも、シャドウがそれを妨害しようと立ち塞がる。

 

「ちっ…」

 

舌打ちを溢す狂三。何とかして士道を助けようと、分身達と共に攻撃するも、複数のトークンを前に苦戦する。

 

「…」

 

背後にいる四糸乃達を横目で見るも、彼女達は助けようとはしなかった。助けようか迷っている様子だったが、美九の洗脳による影響で美九の敵である士道を助けに行けなかった。

 

「…っ!?」

 

士道を囲う複数のトークンが士道に目掛けて巨大な一撃を振り下ろそうとする。

 

[!]

 

誰もが、士道の危機に息を呑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その最中、士道を助けようと単身で突撃する者がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今、自分の目の前で起きようとしているのは、()()()だ。

 

それを直感的に理解する。先程から、あり得ない現象が起きてばかりで、本当に現実なのかと今でも疑う。

 

しかも、その現象を起こしている一人は、前から何処か波長が合っていた友人、五河士道だった。

 

さっきから見せる不思議な力で、どうにかするだろうと、何処か客観的に見てしまっていた自分がいた。

 

…けど、今、そいつが死にそうになっている。

 

士道同様に謎の力を使っている時崎は余裕のない顔で士道を助けようと懸命に銃撃を行い、可愛い四糸乃(ロリ)達は何故か、士道を敵としているアイドルの味方をしており、助けようとせず、後方へと去ってしまった。

 

助けないと士道が危ない。

 

それを理解していても、恐怖で足元が、手先が震えてる。

 

そうだ、自分には何もない。

 

何故か、正気でいられるのが精一杯で何も出来ない。

 

…昔は、そうではなかった筈だ。

 

小学生の頃は、家柄のせいか周りからチヤホヤされ育った。それ故に、自分は特別だと思い込んでしまった。

 

だが、中学に進級して状況が変わった。

 

アイツは病院の院長の息子だからと冷ややかな目で見られる様になった。それから自分自身が特別なのではなく、『院長の息子』という肩書きという恵まれた存在でしか見られていなかったのだと理解した。

 

それに気付かされ、ヤケになった翔はグレた。ヤンキー達とつるむようになり、ヤンチャな事を沢山し始めた。

 

喧嘩を主体にムカつく連中を容赦なく殴り、迷惑をかけた。

……それから色々とあって更生し、普通の学生と戻り、退屈な人生を送っていた。

 

そんなある日、自分と対して変わらない、今まで目立たなかった『ある生徒』が学内で悪い意味で評判となった。

 

突如として転校してきた美女・美少女達にチヤホヤされ、学内で主に男子にとって目の敵とされていた。

 

特に気にもならないと思っていたのに、その生徒…士道を見た時、何故か見てられないと感じた。

 

周りに振り回されているのに、それを目の敵にされているのに、めげずに頑張っているアイツを見て、助けてやりたいって思った。

 

ならば───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けるってのが、友達だよなっ!!」

 

翔は勇気を振り絞り、瞬発的に駆け出して、士道を助けようと体を盾にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───翔?」

 

士道は瞼を大きく見開きながら、自分を身を挺して守る友達の名を呼ぶ。

 

「ぐっ…ぁ…よぅ…大丈夫、かよ?」

 

怪物の思い攻撃を腕を×字にして防いでいた。人の身で怪物の攻撃をギリギリの所でカードしているも、腕からメキメキと鈍い音が鳴り響いていた。

 

「やめろ、翔! 俺なら…大丈夫、だからっ!」

 

翔を見て、体を無理にでも動かそうとする士道。だが、翔は笑いながら答える。

 

「全然、大丈夫じゃ、ないだろう…がっ!」

 

「そんなのお前だって…っ! しかも、お前はただの───」

 

そう、翔は何の特別な力のない人間。精霊の力を封印でき、『ペルソナ』と呼ばれる特別な力を有していない。

なのに、『シャドウ・トークン』の攻撃を気合いで受け耐えていた。

 

「あぁ…俺自身は、何もない奴さ。それを…理解してなかったせいで、昔は荒れちまったさ。」

 

「…?」

 

「でも…こんな俺にもさぁ…人の為に、頑張ってる奴の為に身を張れるって所見せないとさぁ、カッコ悪いだろ!

…へへ、お前を見ていて、そう思ったよ! だから、こんな怪物になんてっ!」

 

気合いを示すかの様に徐々に劣勢の体勢から立ち上がる。

 

「負けるかよっ!」

 

翔が力一杯吠える。

 

すると───頭に声が響き渡る。

 

 

 

 

 

<根性見せるじゃねぇか!>

 

 

な、何だ? 変な声が聞こえ来やがる!

 

 

<お前の勇姿、しかと見届けた! お前が求めるならこの逆行を乗り越える力をやるよ!>

 

 

その声は初めて聞くのに、妙に安心感が湧く。

 

 

力? 何が何だか分かんねぇけど…不思議と悪くねぇ!

何だってやってやるよ!

 

 

<よし、契約は成立した! 我は汝、汝は我!>

 

 

その声と共に、力が漲り、『所々にキラキラと光る黄色い炎』が翔の全身から吹き出し、怪物の攻撃を吹き飛ばす!

 

 

<お前の秘めたる本能を解放しろ!>

 

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

全身が黄色い炎に包まれる。そして、光り輝く黄色い炎から解放されると、翔の姿が変わり、翔から声の主が姿を表す。

 

中華を思わせる軽鎧を纏い

 

釘付きバットの様な棒を肩にかけ

 

黒い暗雲を乗るサングラスを掛けた猿を顕現させた。

 

翔の全身から放出された『黄色い炎』は翔の腕を治し、倒れていた士道の怪我を癒やした。

 

「これは…っ!」

 

士道は立ち上がり、痛みが無くなっていく事に驚き、そして、翔を見る。

 

「こいつは良いや。これなら、コイツらをぶん殴れそうだ…っ!」

 

髑髏の様なマスクを付けた翔は腕をコキコキと鳴らしながら、ニヤリと笑う。

 

 

 





・狂三にも必殺技を与えたぜ。四糸乃や耶倶矢と夕弦達のイナイレを参考したものとは違い、FGOのエミヤアサシンの宝具を真似ました。
狂三の戦闘スタイルって、エミヤアサシンに似てるよね?自分の思い過ごしですかね?

・そして、はい。士道の友達の天宮翔太こと翔が遂にペルソナ使いとして覚醒!さぁ、ここからどうなるのか、次回をお楽しみに!


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