デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

73 / 110



第四話です。
ここまでで【8章】の1/3が終わったかな?
本腰前だけど、熱い展開になりました。
では、続きをどうぞ!

そして、等々10,000文字突破ぁ!





第四話:太陽の盗賊

 

 

 

ベルベットルーム

 

イゴールとラヴァンツァは士道を通しながら、現状を見守っており、天宮翔太の『ペルソナ使い』としての覚醒に驚愕していた。

 

「主、これは!」

 

「えぇ、これは驚きました。

まさか、この様な事態が起きようとは。」

 

イゴールは瞳を大きく開けて驚いていたが、次第に冷静になり、水晶を照らす。

 

「彼を通して、新たな『ペルソナ使い』が誕生しました。

それはつまり、『デオン』と名乗った少女もまた、彼に縁のある人物にて間違いないでしょう。」

 

「…はい、そうですね。」

 

ラヴァンツァはイゴールの言葉に肯定し、士道を見る。

 

「アナタの暗闇の運命に新たな光が灯された。

どうか、この試練も乗り越えられる様に。」

 

ラヴァンツァはそっと手を重ねて祈る。

彼女の祈りが届く様、イゴールもまた士道を見守る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道の目の前には髑髏の様なマスクを付け

 

首元の赤いマフラーに黒いライダースーツを身に纏い

 

黄色い手袋をはめた翔がペルソナを顕現させていた。

 

「翔、お前。」

 

「よう、士道。

どうやらお前と同じ様な力に目覚めたみたいだ。

今なら、こんな奴らなんてどうって事ないな!」

 

翔は士道に笑いながら答える。

すると、目の前で奇妙な光景を見て、停まっていた『シャドウ・トークン』が攻撃を再開しようとし始める。

 

「この…っ!」

 

士道がナイフを取り出して迎撃しようとするも、翔が手で制止する。

 

「待ってよ、コイツらは俺がやる!」

 

翔はそう言うと、拳を強く握りしめる。

すると、黄色い手袋に『黄色い炎』を灯し出す。

 

「うらぁぁぁぁぁっ!!」

 

翔は吠えながら目の前のトークンに殴りかかる。

凄まじい速さと威力が合わさった拳はトークンにクリンヒットしたかの様に当たり、強い音が鳴り響き、トークンを殴り飛ばす。

 

オォ…オォ…

 

そして、トークンは消滅する。

それを見た士道達は一斉に驚く。

 

「何て凄まじいパンチだよ!」

 

「おう、俺もめっちゃ驚いてる。」

 

「本人が驚くのか…いや、驚くよな。」

 

「だがまぁ、敢えて言うなら、中学の時に不良になってたのが影響してるのかね?」

 

「不良!? お前が!?」

 

「へへ…ちょっとな。」

 

「…」

 

小恥ずかしそうにする翔とポカンとする士道。

だが、油断をしてはならない。

 

「士道さん!」

 

狂三の声に士道は今の現状を思い出して正気に戻る。

トークン達が再び攻撃し始め、それを回避し、シャドウに向けて反撃する。

 

「はぁぁぁっ!」

 

ナイフに黒いエネルギーを溜め纏い、放出させ、斬り放つ。

 

「黒無の剣(バイシクル・ソード)!」

 

黒い斬撃の一閃がトークンを一刀両断にする。

 

オォ…オォ…

 

トークンは瞬く間に消滅する。

それを見ていた翔は少し興奮気味な反応をする。

 

「お! 必殺技か!

良いよなぁ、確かにこの力がありゃ、あるよなぁ!

うっし! 俺もやってやるか!」

 

翔は再度拳を握りしめて『黄色い炎』を強く灯す。

 

「シンプルな技だけど、行くぞ!

───太陽の剛拳(サンシャイン・バスター)!」

 

太陽のような光を放ち、高熱の拳となり、凄まじい波動拳を放った。

 

トークンは断末魔を上げることなく消滅した。

 

「凄いな。」

 

「えぇ、あの様なパンチは如何に精霊であっても耐えきれませんわね。」

 

いつの間にか狂三が士道の隣へと来て、頬に一雫の汗を垂らしていた。

精霊であり、分析力の高い彼女がそう言うなら間違い無いだろう。

 

「それにしても、彼が正常でいられる理由が分かりましたわ。

()()()()()のその特殊な炎が美九さんの『天使』を跳ね除けているのですわ。」

 

「あぁ…ん?」

 

狂三の呟きにある疑問を抱いた。

 

(達? そうか、既に狂三は『デオン』と接触しているのか。)

 

デオン(彼女)』との接点は、正体は何者だろうと士道は疑問を抱いたが、今度はトークンがシャドウを率いて襲い掛かろうとする。

 

「今度は同時攻撃か!」

 

「んなもん、今の俺には恐るに足らんな!」

 

翔はそう言うと、構えて、その名を叫ぶ!

 

「ぶっ放せ───“セイテンタイセイ”!」

 

己が顕現させたペルソナの真名を呼び、力を解放する。

 

セイテンタイセイは強大な黄色い光を放つ棒を振り回し、トークン達を祓う。

 

翔と同等…いや、その輝きは凄まじく、目を瞑ってしまいそうになる肌のエネルギーを放出させ、シャドウを一掃し消滅させた。

 

「これが…翔のペルソナ。」

 

「セイテンタイセイ。

さしずめ、西遊記で有名な『孫悟空』と言った所でしょうか。

そして、アルセーヌ。『アルセーヌ・ルパン』といい、その力はまるで、神話・伝説の存在を具現化させたという所でしょうか。」

 

狂三が目を細めて分析し始めた。

 

「凄いな、そこまで分かるなんて。」

 

「あら、やはりそうでしたの。

興味深いですわ。」

 

狂三は士道を見て面白そうな反応をした。

士道はそれを苦笑いで返した。

 

「どうよ!

これなら、本格的にお前の力になれそうだな。」

 

翔はそう言って拳を士道に向ける。

 

「あぁ!」

 

士道もそれに応え、拳を合わせた。

 

「あらあら、お熱い友情ですこと。」

 

「お前もやるか?

ロリでないのが残念だが、士道の仲間だろ?

だったら仲間外れはなしだ。」

 

「残念ですが、ご遠慮しておきますわ。

わたくし、士道さんのお仲間ではありませんの。」

 

狂三は平然とそう告げる。

それに対して、士道は反応しずらそうにしていた。

 

「あん? それはどういう事だよ?」

 

翔がそう問い出すも、シャドウの数が士道達により減ったのか、背後から美九に洗脳されている四糸乃達が敵意を向けて、コチラへやって来る。

 

「あら、やはり機会を伺っていましたのね。」

 

「何てことだ…

俺は幼女(ロリ)の前では完全無力になっちまう。

ここまでか。」

 

「…っ、変人とはいえ、流石に諦めが早すぎませんこと?」

 

四糸乃を見て、降伏な態度を示す翔にツッコミをいれる狂三。

2人が漫才をしている最中、士道は全体を見回し『ある人物』がいるか模索していた。

 

(適度に見回していたが、令音さんは…いないな。

そうさ、令音さんならきっと、上手く隠れているはずだ。

そう信じよう。その為にも───)

 

考えごとをしていると、狂三が士道の肩を持ち、語りかける。

 

「士道さん、ここはもう引きましょう。

これ以上の戦いは後に響きますわ。」

 

「…あぁ、分かった。」

 

「んあ? 何か、この後にあるのか?」

 

当然、何も知らない翔はそう疑問を問いかける。

 

「あぁ、十香を助けに行かなくちゃいけない。」

 

「もしかして、夜刀神か?

そういえば、お前の側にいないし、あっちにもいないな。」

 

翔がそう言うと、士道は咄嗟に力強く翔の腕を持つ。

 

「翔! 悪いが、俺達に力を貸して欲しい!

頼む!」

 

「まぁ、良いぜ。

本当なら今すぐ、あの幼女(ロリ)とお友達になりたい所だが、今はそうもいかないことくらい分かるしな。

とりま、お前について行くわ。」

 

「助かる!」

 

美九との交渉で、四糸乃達の洗脳を解く事は叶わなかったが、新たな仲間が加わった。

 

「では、何とかして、目の前のを躱しながら進みましょう。

四糸乃さん達なら、先程の戦闘で理解したので、どうにかするできるでしょう。」

 

狂三が短銃を持って告げる。

士道はそれを制止し、銃を取り出し力を大きく込める。

 

「大丈夫だ、俺がやる。」

 

銃口をトークン達に定め、青と黒い炎を合わせ、オーラを放ちながら撃つ。

 

「無閃(セロ)!」

 

黒と青の凄まじい光線を放たれ、トークン達は一瞬にして消滅した。

それを見た翔と狂三は驚いていた。

そして、士道は狂三と翔の腕を掴む。

 

「2人ともしっかり捕まってくれ! 早く!」

 

咄嗟に2人は腕に必死に掴まり、士道は全身から黒と青の電流を放ち始める。

そして、地面を大きく踏み込んで駆ける。

 

「高速移動(アクセル)!」

 

刹那、士道達は爆速的な速さをもって、この場から離脱する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

「凄ぇ速さだったな…」

 

「凄かったですわね…」

 

3人がいるのは天宮市内の何処かの裏路地。

士道はあの場を離れるために、2人を抱えて高速移動を用いた。そうでもしなければ、耶倶矢と夕弦に追われしまうからだ。

そして、狂三と翔は2人を抱え、人間離れの力を体験し、息を荒くしている士道を見て引くまで行かないが、驚いていた。

 

「…天宮さん(?)でよろしかったでしょうか?

申し訳ありませんが、飲み物を買ってきて下さいませんか?」

 

「あ? 別に良いが…あぁ、士道の事でか、任せろ。」

 

と言って翔は飲み物を買いにこの場から離れた。

 

「さて、士道さん?」

 

「はぁ…、ん? どうしたんだ?」

 

狂三は座っている士道を呼びかけ、士道は立ち上がる。

その瞬間、狂三は士道に自らの体を強く押し付ける。

 

「うぇ!?」

 

「あら、お可愛い反応。」

 

いつもの通り、面白そうに狂三はペロリと舌を舐める。

 

「な、何だよ急に…し、しかも、色々と…」

 

むにゅ、むにゅと効果音が鳴っているかの様に狂三の女体(主にお胸)が当たり、巨乳好きの士道は頬を赤くしながら狂三に問いかけた。

 

「酷いではありませんの、事実とはいえ、わたくしがいるのにDEMを相手に厳しいだなんて…

わたくし、悲しくて悲しくて泣いてしまいそうですわ。」

 

「い、言っている事と、やっている事が全く合っていない様な気がするのですがあ!?」

 

最後に変な声が出てしまう。

士道は今、狂三にお胸を押しつけられながら手で士道の胸元の辺りを手でこねくり回されていた。

 

「あらあら、やはり士道の鳴き声はいい声ではありませんの。

癖になってしまいそうですわ。」

 

「ひう!」

 

左耳に囁かれて、士道は変な声を上げてしまう。

どうでも良いがここで新しい士道くんの情報、士道からして左耳や左肩、左腹、左足など様々な部位が弱いのだ。

 

「ふふ。」

 

「ひゃ…」

 

「…」

 

そんな士道と狂三のやり取りを飲み物を持った翔が憐れみな顔をして見ていた。

 

「あら、思っていたよりもお早いお帰りですわね?

…どうかしましたの?」

 

「…いや、士道が可哀想だとなぁ。

ロリでもない女の子に虐められる何てさぁ…

ただただ悲しいとしかさぁ。」

 

「…わたくしが言うのも何ですが、アナタも大概ですわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道、狂三、翔は飲み物を飲みながら3人で顔を見合って話し合っていた。

 

「…ははん、俺と士道のこの力は『ペルソナ』と呼ばれる力で、時崎や双子に夜刀神、そして、天使の四糸乃ちゃんは『精霊』と呼ばれる存在であると。」

 

「うん。」

 

「…そんで?

『空間震』が起きる原因が、時崎達『精霊』がこの世界に現れる際に起きてしまう現象だと。

そして、空間震警報が発令すると、時崎達を殺そうと秘密裏に動いているのが『AST』という組織に夜刀神を攫った敵と。」

 

「えぇ。」

 

「…んで、士道は唯一『精霊』の力を封印する術を有していて、『シャドウ』って呼ばれるあの不気味な黒い奴らがこの世界に現れないよう、主な火種である空間震を起こさないために『精霊』に接触し、今回アイドルの誘宵美九に近づいたと。」

 

「ああ。」

 

「…勝負を申し込まれてライブで勝ったものの、誘宵は負けを認めなくて暴走し、『天使』と呼ばれる力で双子や四糸乃ちゃんを洗脳してしまい、士道は夜刀神と一緒に何とかしようとしたものの、修学旅行の時にいたカメラマンの女に夜刀神は連れさられて、士道は逃げたと。」

 

「…」

 

「…誘宵に奪われた双子や四糸乃ちゃんを取り戻すために時崎と結託し、あの場に現れたと…か。」

 

「えぇ。」

 

「……はぁ。」

 

翔は深い溜め息を吐いた。

 

「事情は何となく把握した。」

 

「あら、随分ご理解が早いですわね。

少しでも信じられないとは思いませんの?」

 

「いやいや、信じられねぇって思う所は何ヶ所かあるわ。

でも、現にそれが事実だから、こうなっているんだろ?

なら、信じて受け入れるってだけだな。」

 

頭を軽く掻きながら翔は落ち込んでいる士道の肩を軽く叩く。

 

「まだ色々と聞きたいことはあるが…士道、お前は悪くねぇよ。」

 

翔が最初に思い至った事はそれだった。

 

「…そうかな。」

 

「そうだろ。

まぁ、女装していた件について云々はこの際置いといて、お前は自分の成さなきゃならない事を精一杯やっていただけだろ?

なら、お前は間違ってないって俺が保証する。」

 

「…翔。」

 

「しっかし、誘宵の過去も相当のもんだな。

芸能界の枕営業の話は噂程度で聞く事はあったが、それが実際にあるってのは素直に驚きだな。」

 

「あぁ…でも───」

 

「あぁ、誘宵のやっている事は間違っている。」

 

翔は士道の意見に賛成だった。

 

「無意識だろうが、自分がされた事を他の人にやるってのは間違いだ。」

 

「…あぁ。」

 

「けど、あの態度では説得は難しいだろうな。」

 

うーん。

と、士道と翔はどうやって美九をどうするか、そして、四糸乃達を解放するか悩んでいた。

だが、そんな2人に狂三は手を叩いて語る。

 

「美九さんの事について、反省と作戦を考えるのは宜しいですけど…

士道さん、優先順位をお忘れではありませんわよね?」

 

「あぁ、無論分かっている。

こうしている間にも十香が何をされているのか、分からない。」

 

ギュッとズボンを握り締める士道。

 

「…けど、どうすんだ?

問題の夜刀神が何処に連れ去られたのか、分かんないんじゃ、追いようがない。」

 

翔が問いかけると、狂三はクスクスと笑う。

 

「あぁ?」

 

「狂三?」

 

「それでしたら、問題ありませんわ。」

 

狂三はそう言うと、背後からもう一人の狂三が影から現れる。

 

「うお!? また時崎が増えてる!?」

 

「あぁ、それについては───」

 

「きひひ、簡単に説明させてあげますと、彼女は『過去のわたくし』。

わたくしの『天使』、刻々帝(ザフキエル)の力は時を操る事が出来ますの。」

 

「何!? そんな、誰もが憧れる力を持ってんのかよ!?」

 

翔は興奮して立ち上がる。

 

「えぇ、えぇ、この力があれば───」

 

「幼女(ロリ)達の成長を止める事が出来る。

それはつまり、夢に見ていた楽園(ロリコニア)の建国も不可能じゃねぇって事かよ!

それだけじゃなく、時を停めれば幼女のスカートの中を覗け───

あ、いや、俺はあくまでも健全的な意味で、幼女達がスカートがめくれそうになった時に停めて抑えることが出来るという意味であって───」

 

「いや、もう無理だろ。」

 

士道は半眼になってツッコミを入れる。

 

「士道さん、この方。

片付いた後で通報した方がよろしいのではなくて?」

 

「気持ちは分かるけど、抑えてくれ。

言動はともかく、一応いい奴なんだよ。」

 

狂三に何とか説得する士道。

このままで大丈夫だろうか。

 

「…それより、狂三。

分身体がこのタイミングで来たって事はつまり?」

 

士道が問うと、狂三がニヤリと笑う。

 

「えぇ、十香さんの居場所が分かりましたわ。」

 

その言葉を聞いて士道の表情が決意を抱いたモノへと変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ラタトスク』というのはご存知ですか?」

 

「…」

 

「その組織の代表者は?」

 

「…」

 

「…では、そこに所属している者達の名は?」

 

「…」

 

十香は椅子に拘束されてたまま、エレンの質問攻めをさせれていた。

十香は『ラタトスク』についてはともかく、士道や琴里の事は一切口にしない。

『ラタトスク』については十香は全く知らない。

故に何も答える事は出来ない。

だが、士道達の事は自分よりも大切なために口を開かない。

だから、エレンが質問をしても一切答えない。

 

「…」

 

そんな十香に対して、生意気な事にエレンは癇に障ったのか、随意領域(テリトリー)を展開し十香に衝撃を与えた。

 

「ぐぅっ!」

 

「辛いでしょう? 苦しいでしょう?

ならば、無視などせずに答えるのが身のためです。」

 

「くっ…誰が、貴様なぞに───んぐっ!」

 

十香は再びエレンの随意領域による脳への衝撃を与える。

 

「…はぁ。何度も質問しても答えませんか。」

 

エレンが嘆息していると、部屋に誰かが入って来る。

その者は───

 

「どうだい、エレン?

“プリンセス”から何か聞き出せたかい?」

 

その者はウェストコットだった。

 

「アイク。申し訳ありません。

プリンセスに幾つか質問をしていますが…

中々口を割らずにいまして…」

 

「そうか。まぁ、それについては構わないさ。

───彼女には『別の要件』があるからね。」

 

不気味な雰囲気と共に嫌な笑みで十香を見る。

十香はその笑みに身の危険を感じ、警戒心を向ける。

 

「…」

 

「おや、嫌われてしまったかな。」

 

ウェスコットがそう言うと、エレンは十香に再度随意領域で苦しめる。

 

「くぅっ!」

 

「フフ…まぁ、そこまでにしてくれ、エレン。

彼女に問いたい事があるんだ。」

 

「…貴様らに言うことなんて何もない!」

 

十香がそう言うも、ウェストコットは語る。

 

「キミはどうしたら()()してくれるんだい?」

 

「…な…に?」

 

ウェストコットのその言葉と嫌な笑みに十香は恐怖を抱いた。

 

「エレンの随意領域は苦しいかな?

辛いかな?

…いや、苦しくても辛くても絶望までには至らないか。

ならば、爪を剥いだり、首を絞めたりしたら、絶望するかな?」

 

ウェストコットは淡々と語ってもイマイチという感じにしか至らなかった。

だが、ふと()()()()()()が脳裏に浮かんだ。

 

「キミは大切な人がいるかい?

自分よりも大切で、傷ついたり、苦しんだりする所を見て自分よりも辛いと感じる者はいるかな?

例えば───()()()()、とかね。」

 

刹那、ウェスコットが士道の名を口にした途端、十香にこれまでにない嫌な感覚が襲う。

顔を青ざめた十香を見て、ウェストコットは心から嬉しそうに()()

 

「そうか。彼がとても大切なんだね。」

 

「やめろ…シドーに手を出すな!!」

 

「フフフ…」

 

ウェストコットは笑い、その場を後にする。

 

「おい待て! ───ぐぅっ!」

 

「大人しくしていて下さい、プリンセス。」

 

エレンは随意領域で十香に圧をかけて、ウェストコットの後について行った。

 

「シドー…」

 

十香は大切で、大好きな人を名を呼び、気絶してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこに十香がいるのか。」

 

士道はとある建物を指差す。

今、士道達がいる場所は天宮市内でビルが多く建っている地帯。

その中でも一際大きいビルに十香がいると狂三(分身体)は告げた。

 

「えぇ、そうですわ。」

 

「おいおい、確かあのビルはDEMインダストリーの日本第一社屋だぞ。

何であそこに夜刀神が───まさか。」

 

翔は瞬時に気がつく。

彼は折紙に並ぶ成績を持つ故に頭の回転が早いのだ。

 

「そのまさかですわ。

DEMインダストリーこそ、わたくし達の敵ですの。」

 

「まじかよ。」

 

DEMインダストリーは海外を拠点に様々な企業に関連づいている大企業。

天宮病院もまたその関連がある故に翔は驚きが隠せないでいた。

 

「ハハ…こりゃまた、とんでもない事になっちまいやがったなぁ…」

 

「悪い、翔。

…いや、まだ、翔には拒否権があるな。

降りるなら───」

 

「この髑髏にこのスーツ。

これなら、天宮病院の院長の息子とはバレないよな。」

 

翔は自分の体を見ながら、携帯のカメラ機能で写る自分を見てそう呟く。

 

「ここまで来て、降りるような事はしねぇよ。

ただ、時崎が言うには敵さんは空からの奇襲をしてくるって話だろ?

俺はさっきこの力に目覚めたもんだから、空中戦なんて、無理だぜ?」

 

「それに関しては『わたくし』が対処いたしますわ。

天宮さんはご自身を守りながら、適度にサポートしてくださればそれで結構ですわ。」

 

「…それでいいなら、俺としては助かるが、なんか釈然としないな。

女に頼りっぱなしとだとさ。」

 

「…あら、男尊主義なお考えですの?」

 

「馬鹿いえ、そんなことじゃねえよ。

ただ、女に危険な役目を任せる事に思う事があるんだよ。」

 

「あぁ、そう言うことですの。

別に気にする必要はありませんわ。

───だって、わたくし、やるのもやられるのもお好きでしてよ。」

 

狂三は「きひひ!」と笑いながらそう答える。

 

「(時崎の奴、イマイチ掴めない奴だな。)」

 

翔はそう思った。

 

「さて、わたくし達が敵を引きつけている間、士道さんは単独、お一人で侵入することになりますけれど、大丈夫ですの?」

 

「あぁ、大丈夫だ。」

 

「そうですの、では───」

 

狂三が何かを伝えようとすると、()()()()()に襲われる。

刹那、警報が鳴り響き始める。

 

「おいおい! 何でバレたんだ!?」

 

「迂闊でしたわ、この辺一帯がDEMインダストリーの息が掛かった建物、時刻が時刻とはいえ、()()()()()()()()()に気づくべきでしたわ…!」

 

狂三は珍しくやってしまったという顔になる。

そうしている間に、第一社屋からバンダースナッチの大軍が空中に現れ、士道達周辺からも魔術師(ウィザード)が現れる。

 

「おい! 建物が変な動きをして、変な奴らが出てきたぞ!?」

 

「DEMの魔術師達ですわ!」

 

狂三は素早く影から分身体を出現させ、バンダースナッチの方に向かわせ、一部を魔術師達にも牙を向けた。

 

「きひひひ!」

「さぁ、ショーの始まりですわ!」

 

狂三の分身体は魔術師達に奇襲し、一時制圧していくも、魔術師達は首元に手を当てると、変化が生じる。

シャドウがまだ現れていないのに、空気は重くなり、魔術師達の体格が一回り大きくなり始めた。

 

「あ"っ…あ"あ"!!」

「ゔぐ…ゔぅっ!」

 

その光景を見た士道達は驚愕する。

 

「何だ、これ…っ! 何をしたんだ…っ!?」

 

「異常だ…恐らく、変な薬を投与したな?

筋肉の動きが異常な動きをしてる!」

 

「…っ。お二人共、戦闘態勢を!

先ずはこの者達を片づけますわよ!」

 

「「あぁ/おう!」」

 

士道はナイフを取り出し、翔は拳を構えとり、それぞれに炎を灯す。

 

「「うおぉぉぉっ!!」」

 

士道と翔の攻撃は魔術師達に有効的に効き、倒れ始める。

 

「どうやら、俺らのこの『炎』が有効みたいだな!

そんな気がする!」

 

「あぁ、そうだろうな!

俺らがメインで仕掛けるぞ、“キッド”!」

 

「“キッド”?」

 

「コードネームだ!

本名がバレてはいけないからな!

…ついでに言うと、俺は“ルパン”だ!」

 

士道は魔術師達を倒しながら、少し恥ずかしそうにそう告げた。

 

「なるほど、悪くねぇ。行くぞ、ルパン!」

 

「あぁ、遅れをとるなよ? キッド!」

 

2人は息が合うように答えて、魔術師達を倒していく。

 

「あらあら、2人とも子供みたいですわね。

特に士道さんたら…」

 

狂三が士道を見て、クスクスと可愛らしく笑い生暖かく2人を見ていた。

 

だが、その笑みも次の光景を見て、消え失せる。

それは───

 

「おいおい、コイツら…シャドウみたいに消えていったぞ!?」

 

士道達が倒してった魔術師達は次々とシャドウのように消えていったからだ。

 

「何…だって…!?」

 

「おいおい、コイツら、人間…だよな…?」

 

士道と翔はその光景を見て、声を震わせていた。

 

「…先程、首元を触っていた動き、そして、天宮(キッド)さんが仰っていた通り、筋肉の異常な動き、倒されるとシャドウの様に消える。

───そう…そう言うことですの…っ!」

 

狂三は全てを暴いた。

 

「恐らく、DEMの魔術師達は()()()()()()()()()()()()()()()のですわ!」

 

「!?」

 

「何…だって…っ!?」

 

狂三の推理に翔は驚き、士道は信じられないと戦慄した。

 

「…この様な人体実験まで平気でやるとは、正気を疑いますわね。」

 

流石の狂三もこの事実に戦慄していた。

 

自分達の敵が非人道的な事を平然と行っている事に鳥肌が立った。

 

そうしている間にも、次々とDEMの魔術師達はゾロゾロと現れる。

 

「クソッ、キリがねぇな!」

 

「これは、厄介極まりないですわね…っ!」

 

「こんな…こんな所で…コイツらなんかに…っ!」

 

翔と狂三は周りの魔術師達の数に苦い顔をし、空でシャドウと融合した機械生命体を含めたバンダースナッチと苦戦している狂三の分身達も苦戦しており、悪戦苦闘していた。

そして、士道は非人道的な行為をしているDEM日本社屋を見上げて強く睨んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那、そんな危機的状況の中、空から二つの閃光が魔術師達を襲う。

 

「な、何だ!?」

 

「桃色の…炎? もしかして!」

 

翔は驚く中、士道は二つの閃光…炎の一つに覚えがあった。

それは、以前の修学旅行でシャドウの群れに苦戦している中、助けてくれた人物が発していたものだったから。

 

「…あらあら、随分と遅い到着ですわね。」

 

狂三はもう一つの閃光…紫色の炎に覚えがあり、その人物を知っているため、そう呟いた。

 

「助けに来たよ!」

 

士道を見て、マスク(仮面)越しからウィンクで挨拶する“デオン”。

 

そして───

 

「やはり、“ナイトメア”と一緒にいやがりましたか。」

 

士道達と似たマスク(仮面)を付けたゴスロリの格好をした少女は士道にそう告げた。

 

士道は先ずその声に覚えがあり、驚いた。

そう、だってその少女は行方を絡ませ、琴里達が血眼になって探していた人物で、士道も修行の合間に必死に探していた人物───

 

少女はマスク(仮面)を頭上まで上げて、微笑んだ。

 

「お久しぶりです! 兄様!」

 

崇宮真那。

士道の実妹にして、大切な血の繋がった家族だ。

 

 

 







・さぁて、さてさーて、いよいよ募ったペルソナ使いの者達。
ここからどう活躍していくのかな!?

・そして、DEMインダストリーへの戦い。
美九編(後半)の本番戦に突入!
今回、士道達にも知られた魔術師達とシャドウの融合。
もう少し、士道の感情を取り入れたかったけど、長ったるくなるから割愛。
ここから、同展開して行くのか…っ!
さぁ、幕間3で告げた反逆(デート)の始まりです!

・それにしても、最近本当に忙しい。
趣味のFGOやパズドラに熱中しているし、投稿が遅れ気味に…
それでも、まずは美九編(後半)を進めないとなぁ!


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。