デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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思っていたより長引きそう。
見立てでは今回の十話で終わると思ってました。
どうも、黒ソニアです。





第十話:希望の光

 

「…っ!!」

 

エレンは咄嗟に防御領域(プロテクト・テリトリー)を展開して自分を守った。

 

「…プッ、咄嗟に守ったとはいえ、この威力。

これが『反転体』。素晴らしい力ですね。」

 

エレンは一瞬ヨロッとするも、直ぐに体制を整えてブレイドで特攻する。

 

「鬱陶しい。」

 

『反転』した十香は黒い剣で攻撃を受け止める。

 

「ほう、これを受け止めますか。」

 

「目障りだ。」

 

再び黒い剣から高出力の霊力を放出し、エレンを薙ぎ払い、吹き飛ばした。

 

「…良い。実に良いね。想像以上の力だ。」

 

ウェストコットは右腕とも呼べるエレンが吹き飛ばされて尚、心配する事なく感想をただ述べた。

 

「…」

 

『反転』した十香はそんなウェストコットを無視し、目下にある血溜まりが気になり、目視する。

 

「…フン。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ。」

 

美九は目の前の戦い、周りの光景を見て息を呑んだ。

彼女は『破軍歌姫(ガブリエル)』を顕現させ、声を通して音の障壁を用いて守った。

だが、『反転』した十香による霊力の爆発やエレンとの衝撃を全て防ぐ事は出来ず、怪我を負っていた。

 

「…もう、本当に訳が分からないですぅ。

ここに来たの失敗でした。さっさと退散して───」

 

コソッと立ち上がり、この場から逃げようとするも、美九の所まで流れていた士道の血を見て顔を青ざめる。

辿っていくととんでもない量の血溜まりが目に映った。

士道が悲鳴を上げいる中、美九は腰が抜けてただただ悲鳴を聞いていた。

力で絶対に敵わないと、直感が作用し、戦慄していたのだ。

 

「…もう、生きていませんよね。」

 

怯えながら、今度こそ逃げようとすると───

 

「おい。」

 

「ヒッ!?」

 

美九に冷徹な声が阻害する。

『反転』した十香は見つめていた血溜まりに飽きたのか、どうでも良いと判断したのか、離れた所から音がして声をかけたのだ。

 

「貴様、此処で何をしている。」

 

「な、何…って…」

 

「…まぁいい。それより、此処は何処だ?」

 

「…はい?」

 

美九は疑問を抱いた。

…が、威圧する目に恐怖を抱き、素直に答える。

 

「え…えぇと…そ、そこにいる変な人の会社…じゃ、ないですか?」

 

「この目障りなゴミのか。」

 

『反転』した十香はウェストコットに目をやるも、気に入らなかったのか、殺そうと考えたが、それよりも質問を重視して無視する。

 

「そうか。では、何故私は此処にいる?」

 

「な、何故って…と、十香さんがさっき吹き飛ばした人に連れ去れて…」

 

「…十香?」

 

『反転』した十香は()()()()()()()()()()()に疑問を抱いた。

 

「───っ! こ、これ!」

 

美九は近くに士道の掛けていた丸メガネを見つけ、拾って見せる。

 

「こ、これをかけた人がアナタを助けに来たんですよ?」

 

「…私をだと?」

 

『反転』した十香は美九の言葉に疑問を抱いたが、鼻で笑い一掃する。

 

「有り得んな。この私が、人間なんかに連れ去られるとは実にふざけた話だ。

それに、そんな物をかけた奴など知らん。」

 

「え、えぇ?」

 

「興が醒めた。お前も、コイツも、さっきのも、この世界も───全て消し去ってやる。」

 

『反転』した十香は宙へと浮かび上がる。

そして全身から、黒い剣から膨大な霊力を解放し、手に持つ黒い剣の名を呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───『暴虐公(ナヘマー)』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暴虐公(ナヘマー)。鏖殺公(サンダルフォン)ではなかった。

 

そして、それは『天使』ではない。

 

『反転』した十香が手に持つ黒い剣…暴虐公(ナヘマー)と呼ばれる剣の正体は『()()』。

 

破壊する力においては鏖殺公よりも高く。

膨大な霊力を放つ『魔王』は地上を大気大きく揺らす。

 

そして、剣を大地にへと放とうとすると、その『魔王』の力に反応するが如く、空に開いた『穴』から途方もない悪意(シャドウ)が滝の如く流れ、『反転』した十香を崇め、讃え、そして彼女を手にしようと建物を覆い始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

「れ、霊力反応を感知!

霊力の反応は…と、十香のものかと思われます!」

 

「し、しかし、問題なのは十香の精神状態が…0、−10、−20…マ、マイナスって…っ!?」

 

クルー達が顔を青ざめながら手元を動かしながらモニターに表示されている十香の精神状態を見ていた。

 

「…っ。」

 

ただ1人、解析官の村雨令音は額に汗が流していた。

 

「(…最悪な流れだ。十香が『反転』してしまうとは…っ!

───という事は、まさか!!)」

 

令音は手元の操作盤を素早く動かしながらクルー達に呼び掛ける。

 

「小型カメラに搭載されている顕現装置(リアライザ)に魔力をフル活用だ!

今直ぐ、シン達の様子を確認する!」

 

「りょ、了解!」

 

令音の指示の元、クルー達は切羽詰まった顔をして黒い爆発が起きた場所…士道達の安否を確認する。

 

「魔力フル活用! 映像出します!」

 

ノイズが走りながら、次第に映像にハッキリと映り出す。

そこに映っていたのは───

 

「なんていう…事だ…」

 

クルーよ誰かが映像を見てそう呟いた。

 

映像に映っていたのは爆発によって荒れた戦場

 

凄まじい霊力を放出している十香

 

怯えている美九

 

十香を見て微笑している黒いスーツの男

 

そして…十香の近くに大量の血溜まりができており、そこから至る所に血が飛び散っており

 

彼らから離れた所では…無惨な姿で倒れている制服姿の士道の姿だった。

 

「し、士道くん発見……だ、駄目です。生命反応が検出されません。」

 

その一言で艦内が絶望に陥る。

 

「…っ! 何という事だ…最悪の流れではないですか…っ!

───いえ、士道くんには司令の御加護が有ります。

士道くんから司令の霊力反応は!?」

 

眉間に皺を寄せ、常に平常心を保っており、ある意味令音よりも冷静な神無月が切羽詰まった顔で問いかける。

 

「……駄目だ。シンから琴里の灼爛殲鬼(カマエル)の反応が一切感じない!」

 

「…で、では、今の士道くんには司令の再生能力が機能していなく…」

 

「あんな…血を流して…」

 

「…終わりだ…士道くんは…もう…」

 

「…っ!」

 

クルー達が沈黙の士道の死を悟る中、令音は拳を叩きつけた。

 

「(最悪だ……()()()()()

私は()()、彼を失うのか…っ!!??)」

 

令音もまた苦渋している中、事態は更に急変する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、何だ…この世の終わりか?」

 

(キッド)は目の前の現象を見てそう呟く。

他の者達も騒然としていた。

 

今、彼等の見ているのは一言で表すなら、()()()

 

突如出現した『穴』。

気味の悪い夜が、更に不気味な夜にへと染まる。

そのタイミングで魔術師達を全員倒した後の(キッド)達は次から次にへと事態が進み、ただただ騒然の反応をするしかなかった。

 

「ねぇ、夕弦。一体、何が起きようとしてるのかな…」

 

「困惑。夕弦にも分かりません。

ただ…とんでもない事態が起きている事でしか…」

 

《だよねぇ…》

 

「…こ、怖いです。」

 

「お嬢さん、大丈夫さ。

俺がついているから、何も怖くないよ。」

 

怯える四糸乃に(キッド)が近寄り、元気づけ(?)しようとするも、怖がられ、夕弦達に阻止される。

その様なやり取りをしていると───

 

「皆んな、どうやら正気になってるようね。」

 

琴里がやって来る。

 

「うぉぉぉぉっ!! 新しいロリがやって来たぞ!!

お嬢さん? お名前は? 俺は天宮翔太。よろしくね?」

 

「…なんか、神無月を相手してる感じね…

いえ、今はそんな事はどうでもいいわ。

それより、私もだけど、アナタ達も霊力が完全に逆流してしまってる様ね。」

 

「そ、それ! 何で私達の霊力が戻ってるの?

士道に何か起きてるの?」

 

耶倶矢達が士道を心配する様に琴里に問いかける。

 

「…分からないわ。

分かっているのは、無事ではないって事でしょうね。

早い所、士道の元へ向かいましょう。」

 

琴里はそう答える。

彼女はフラクシナスでどうにか敵を殲滅し終えると、兄を思うばかりフラクシナスに連絡をいれずに戦っている場所(耶倶矢達のいる所:此処)へ向かったのだ。

そして、琴里達は建物へと向かうと『穴』から大量のシャドウが滝の様に流れ、建物を覆った。

 

「…! 何よ、『穴』から大量のシャドウが!?」

 

「指摘。琴里、シャドウがコチラにも来ます!」

 

建物を覆うシャドウが琴里達に気付き、一部が襲いかかって来た。

 

「こんの!」

 

琴里が灼爛殲鬼(カマエル)の炎で薙ぎ払う。

それに続いて夕弦達が颶風騎士(ラファエル)、四糸乃が氷結傀儡(ザドキエル)の風と氷でシャドウ達にへと放つ。

だが、シャドウは更に立ち塞がる様に『シャドウ・トークン』にへと変貌した。

 

「くっ…厄介なのが来たわね。」

 

複数のトークンが琴里達一人一人に複数体で襲いかかる。

 

「コイツ!」

 

「迎撃。夕弦達の邪魔をしないでください!」

 

「やぁ!」

 

《うりゃー!》

 

士道との修行で強くなっているため、怯む事なく迎撃していく。

だが、更に『シャドウ・トークン』やら『通常のシャドウ』が束になって琴里達を襲う。

それにより、苦い顔をするとシャドウ達が『濃い紫の炎』に焼かれ始める。

 

『ーーー!!!』

 

オオォォ…

 

「…紫色の炎?」

 

琴里が疑問を抱くと、後ろからゴスロリの格好をした少女がやって来る。

 

「…真、那さん?」

 

《本当だねー、しかも士道くんと似た力を感じるよー》

 

「どうも、お久しぶりでやがりますね。四糸乃さん。

どうやら正気に戻ったよーですね。」

 

そうその少女は所々が破れたゴスロリの格好をした真那…真那(ドリス)だった。

 

「ほう? お主、真那と言ったな。話に聞く士道のもう一人の妹か。」

 

「納得。士道に似た容姿と雰囲気を感じます。」

 

初めて真那を見る八舞姉妹はその様に感想を述べた。

 

「どうも、兄様の()()()にして、()()()()の崇宮真那です!」

 

「あぁん!?」

 

元気よく士道の妹を主張する真那(ドリス)に対し琴里はイラっとした顔で答える。

 

「おやおや、まだ認めてねーみたいですね。

最強は真那だという事が。」

 

「何が一番の妹で最強よ!!

どれもアンタじゃなくて私よ!!」

 

「はっ! さっきまでこんな連中に渋い顔をしていた琴里さんがナンバーワン妹の訳がねーんですよっ!」

 

真那(ドリス)はランスロットを顕現させ、己の『紫の炎』とランスロットの『紫毒』を纏った『死毒の炎』の斬撃でシャドウを大きく薙ぎ払った。

 

「す、凄。」

 

「驚愕。琴里よりも強く感じてしまいます。」

 

ムカッ!

 

夕弦の咄嗟の一言で憤怒のオーラを放出し始めた。

 

「私だって負けてないわぁぁぁ!!」

 

琴里は【砲(メギド)】にへと形状を変えて高出力の霊力の炎でシャドウ達を燃やし尽くした。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「…まぁ、少しはやるみたいじゃねーですか。」

 

『ーーー!!!』

 

2人が張り合う中、シャドウ達は琴里達に反応して更に『穴』から流れて来る。

 

「ちょっ!? まだ来るの!?」

 

「驚愕。キリがないです…」

 

「…」

 

八舞姉妹が愕然とする中、真那(ドリス)は近くからある気配を感じ取り、微動だにせずに懐から何かを取り出そうとしていた。

 

「ま、真那さん!?」

 

「大丈夫でいやがりますよ。」

 

真那(ドリス)の言葉通り、強力な竜巻の『桃の炎』が襲いかかるシャドウへと直撃し、無傷だった。

 

「遅いでいやがりますよ、デオン。」

 

「ちょっと教えてた事があって、遅れちゃった。

ごめん、真那(ドリス)。」

 

2人は手で挨拶し合う。

そして安定せず『黄の炎』を何とか足から発しながら飛んで来る(キッド)が駆け寄って来た。

 

「うぉぉ…こ、これでいいか。」

 

「うん、そんな感じ。やるね。」

 

どうやら琴里達が先に向かっている間、デオンが必死に追いかけて来る(ドキッド)に『炎』で空を飛ぶコツを簡潔にレクチャーしていた。

 

「おっとと…全然安定しないが、何とかやって来れたぜ。疲れるな…これ。」

 

(キッド)が疲れながら呟くと、片肌が露わになっている真那(ドリス)を見て元気を取り戻す。

 

「うぉぉぉっ!! 力が漲って来たぁ!!」

 

「な、何でいやがりますか…妙に暑苦しいでいやがります。」

 

「気をつけてね。あの人、ロリコンだから。」

 

「私はロリではねーですが。」

 

「身長150cm未満の子は皆んなロリさ。

因みに、ロリ巨乳とされる人種はロリじゃないから、気をつけるんだよ。」

 

「何言ってるの?」

 

暴走する(キッド)に冷徹なツッコミを入れるデオンだった。

 

オォォォォッッ!!

 

建物を覆っているシャドウと『穴』から溢れて流れて来るシャドウが合わさり、大量の『シャドウ・トークン』へと変貌し、先程もり一回り大きくなる。

 

「しつこいね。士道くんのためにも、一気に突破しないと不味いね。」

 

レイピアに『桃の炎』を灯し、シュヴァリエの『烈風』をも加える。

それにより、先程放った『烈火の風』となってレイピアに纏う。

以前、或美島で士道を助けた時はこの力を主軸に戦っていた。

 

「だな。早い所、助けに行くべきだな。」

 

背中に背負っていた鉄パイプを構え、『黄の炎』を灯し、四糸乃、琴里、真那(ドリス)のロリ達を見て更にセイテンタイセイの『光球』の力を無意識に発生させて合わさり、『太陽の光』となった。

 

「なら、ここでコイツを使う時でいやがりますね!」

 

真那(ドリス)は懐からフラクシナスで夢界から受け取った物…デバイスを起動させる。

一瞬、真那(ドリス)が光に包まれると、両手両足に蒼と黒の装甲が装着されていた。

 

「…ほほう、『ヴァナルガンド』ですか。

成程、悪くねーですね。

それに、兄様の黒と青の色を意識しているあたり、分かっていやがりますね!」

 

CRユニットを展開したと同時に詳細が脳に情報が伝達され、後にふふん!と胸を張っていた。

 

「…」

 

それを見ていた琴里はやや不機嫌となっていた。

 

「さて、私達が先行しますので、精霊の皆さんは後ろから援護するように力を合わせてくだせー!」

 

「え、ええ?」

 

「シャドウ相手では精霊や顕現装置の力よりもペルソナの力が有効だから此処は私達に合わせて!」

 

真那(ドリス)とデオンの言葉を聞いて、精霊達は顔を見合わせるも、今の自分達には士道の力は流れていない。

故に、ここは真那(ドリス)に合わせるのが吉である。

 

「…そうね。今は士道との繋がりが感じないから、今回は真那(ドリス)に合わせるべきね。」

 

「そうか。ならば仕方あるまい、承ったぞ。」

 

「了承。夕弦達が最大限フォローします。」

 

「わ、分かりました。」

 

《おっけーい!》

 

真那(ドリス)を先頭にデオン、(キッド)が続き、その3人に力を合わせる形で後ろからシャドウを蹴散らし、皆で士道達の元へと突き進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空に開いた『穴』から大量のシャドウが降り注ぎ、建物を覆い尽くす。

 

「な、何!? 何なんですかぁ、これ!?」

 

美九はもう既に情緒不安定になりつつあり。

 

「はははは!素晴らしい!

あれが…あれが、シャドウの世界、『異界(メメントス)』!!

見ているかい、マリス。

我々は精霊の『反転』にシャドウの『異界』!!

この二つの実証に成功した!!」

 

ただ1人、この地獄の中で気持ちを高ぶらしている男がいた。

 

「…何だ。さっきから不愉快極まる事ばかりだ。」

 

『反転』した十香は更に機嫌を悪くしつつあった。

 

シャドウが異界(メメントス)と呼ばれる『穴』から更に溢れ出す途中、その一部が高笑いをしているウェストコットへと向かった。

 

「アイク!」

 

ウェストコットに被弾する寸前に光の如く現れたボロボロのエレンがシャドウを槍で屠った。

 

「やぁ、エレン。助かったよ。」

 

「アイク。私がいるとはいえ、少々油断しすぎです。」

 

「ははは、すまないね。」

 

そんな軽いやり取りの中、『反転』した十香は『穴』に向けて暴虐公を構える。

 

「消えろ。暴虐公!!」

 

『反転』した十香は剣を振り上げた。

その凄まじい斬撃は鏖殺公をも上回る威力、直撃すれば間違いなく『穴』は消える…それどころか周り一帯にまで影響が及ぶだろう。

 

しかし、それを防ぐ様に溢れ出すシャドウが急速で動き出した。

やがてシャドウはその斬撃…霊力を吸収していき、更に辺りのシャドウがその一箇所に集約していく。

 

「…アイク。あれは…」

 

「さぁ、シャドウに関しては私よりもマリスの方が詳しいからね。

とはいえ、彼でもあの現象については知らないだろうさ。

分かることはとても興味をそそられるって事だよ。」

 

目を細めてそう呟くと、シャドウは大きな球体…『卵』にへとなっていた。

やがて、その『卵』がヒビ割れ、中から凄まじい異彩を放出する『巨人』が顕現する。

 

ドォォォォォォォッッ!!

 

雄叫びの様な声を放つ『巨人』。

 

全長は約10メートル

 

先端に刃がある大きな槍を持っていた。

 

「はははは! 『反転』したプリンセスの霊力を吸収し、新たな生命体にへも変貌したか!」

 

『巨人』を見たウェストコットは愉快そうに語った。

 

ドォォォォォォォォッッ!!

 

『巨人』が声のする方、ウェストコットにへと槍を振り下げる。

 

「アイク!」

 

エレンはウェストコットを抱え、距離をとって回避する。

そして、その振り下がった攻撃は床に直撃すると、建物が大きく揺れる。

 

「きゃっ!」

 

大きく揺れにより美九は倒れ込んだ。

 

「…う…うぅ。」

 

美九が立ち上がると、今度は大きな槍が美九を襲う。

 

「ヒッ…【わっ!】」

 

直ぐ様、破軍歌姫の声による音の障壁を展開する。

しかし、音の障壁は簡単に砕かれる。

 

「破軍歌姫───【輪舞曲(ロンド)】!」

 

背後にパイプオルガンを顕現させ、銀筒を出現しマイクを通して音の攻撃をもって槍の大振りを受け止める。

二つの力によるぶつかりは相打ちとなり、『巨人』はよろめき、美九は後方へ吹き飛ばさせた。

 

「…っぁ!」

 

うめき声と共に倒れ込む。

だが、『巨人』は少しよろめいた程度で直ぐ様美九に向けて再度槍の大振りを仕掛ける。

 

「…っ、ぁ…あ… っ。

破軍歌姫───【交響曲(シンフォニー)】ッ!」

 

咄嗟に銀筒をハンマーの様に声を溜めて抵抗する。

しかし、一瞬受け止めるも、力負けし、銀筒は破壊された。

 

「…っ!!」

 

美九は直撃は運良く免れるも、宙に回転し、更に大きく吹き飛んだ。

 

「…ぁ…っ。」

 

意識が朦朧とし、床を這いずるように体を動かす。

 

「(あぁ…全く歯が立たない。)」

 

心中で戦意喪失し、体中の至る所に激痛が襲い、所々から血が流れていた。

霊装もボロボロのなっており、無理に体を起こし、瞳を開けると───

 

ドォォォォォォッッ!!

 

地響きを鳴らし、美九へと近づき、大きな槍を振り上げる。

 

死が美九に迫っていた。

 

死を連想し、声を出そうとするも、()()()()()()()

美九の精神不安定、『天使』を用いての声の消費、体中の痛みが美九をドン底まで追い込んだ。

 

その様子を見ているウェストコットは嘲笑うかの様に見ていた。

 

「おや、どうやらディーヴァはここまでの様だね。

手間がはぶけた。丁度いい。死んだ後で───」

 

ウェストコットの言葉が耳に入ってこなくなった。

美九は死が迫る中、走馬灯が走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『死ねっ!』

 

身体の営業を断り、それに怒りを抱いた『男』が金と権威を利用して根の葉もない噂を流し、美九をドン底まで陥れ、ファン達は一瞬にして掌返して美九を陥れるかの様に暴言を吐く。

 

『最っ低!』

 

同じ職業のアイドル達からも辛辣な目で暴言を吐いてく。

それらだけに収まる事なく、金とネタを目的に美九の事に関しての報道が徹底的に話題に上げていった。

美九の体を目的とした『男』が記者達にへとデマを流し、面白がった『人間』によって美九を底の見えない所まで陥れた。

 

『痴女めっ!』

 

『品のない女っ!』

 

周りが美九の心を日に日に殺していく。

 

辛かった

 

死にたかった

 

…それでも、歌う事が好きで、自分の声をどうにか聞いて欲しい、届いて欲しいと願い、再度舞台に出るも、前に群がる『人間』による罵倒が美九の『声』を奪った。

 

『死ね。』

 

『死ねよ。』

 

『消えろ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死が刻々と迫る中、美九の瞳から涙が溢れる。

 

自分はもう助からない

 

そう悟った美九は涙をながし、瞳を閉じた。

 

暗い視界にへと…世界にへと…

 

空気を切る音が美九の頭上まで迫った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギシンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈍い音が直前で響き、美九を守る。

 

「………ぇ…っ。」

 

ゆっくり、ゆっくりと暗い世界から意識を取り戻す。

 

そこに広がっている光景は───

 

「大丈夫か?」

 

美九の目の前にいたのは、死んだと思っていた『(士道)』だった。

 

「…ろぅ…ひぇ…?」

 

「どうしてって…」

 

(士道)』は振り向いて、優しく微笑む。

 

「涙の零れ落ちる音がしたから。」

 

「…っ!!」

 

美九の瞳にこの暗闇の世界に『希望』を照らす一つの『光』が写る。

 

士道は振り返り、槍を弾いた剣…鏖殺公を『巨人』に向ける。

 

「もう、誰も傷つけさせないっ!」

 

この世界はまだ、『闇』に堕ちない

 

彼が、五河士道()が、希望の光()がいる限り

 

『この世界』は、最悪の結末で終わる物語(バッドエンド)にならない。

 

 

 





・空に開いた『穴』のイメージはBLEACHの黒腔(ガルガンタ)に行く時に開く解空(デスコレール)でいいですかね。
虚(ホロウ)が現れる時のやつです。はい。滝の様に流れたシャドウも大体イメージが出来るかと…
本当はFateの人類悪(アンリマユ)にしようかと思いましたが…そこまでではないかなと判断しました。

・真那のCRユニットを纏った際の格好についてはイメージがないのですが…モチーフとしてはFGOのメリュジーヌ(ランサー)の第三再臨をイメージしていただければ良いと思います。

・デオン達の力についてもこの章が終わった後、細かく詳細を公開する予定です。

・美九の天使(ガブリエル)の能力・技に関して何度も言ってますが難しい。
調べた限りで【交響曲】、【輪舞曲】と攻撃技をしようしましたが、上手く表現できているか不安です。
美九に関してもオリジナルの技を考えてるから、今後はそれを主軸したいと考えてしまっているのが本音。

…すいません、とんでもないことに気がつきました。
第8章(二話)の後書きにてとんでもないミスをしていました。
(※大事な事ですので、二度と書きました。)

『美九には関しては決して嫌いなキャラです。』

…と、とんでもないミスをしているぅぅぅ!!!???
って気がつきました。訂正しました。
念の為、此処でも言っておきます。
美九は『好きなキャラ』です。もう一度言っておきます。
『好きなキャラ』ですぅ!!!

・さて今回、士道の前に立ちはだかるシャドウのボスのイメージはFGOの『霜の巨人』ですね。
琴里の時は『鬼王朱裸』で、今回は『霜の巨人』とFGOの敵エネミーで統一しようかと思ってます。
※琴里のは【シャドウ・オーガ】のイメージです。今回で決めました。
因みに今回の巨人は【シャドウ・ジャイアント】です。(予定)

・さて、いよいよ戦いも終盤にへと進んで行きます。
…とはいえ、何も突拍子もなく復活した士道については…次回をお楽しみに!


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