デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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『反転』した十香を救うべく、精霊達とペルソナ使いが此処に集結する。





第十二話:反転の姫

 

「………っぁ。」

 

黒い光に呑まれてしまい、いつの間にか気を失っていた美九。

体の痛みと()()()()()から目を覚ます。

 

「……ぉれ…っぇ?」

 

「…良かった、目覚めた…見たいだな。」

 

「…!?」

 

前の方から声がして意識をハッキリとさせる。

よく見ると、氷の障壁が美九を守る様に展開されていた。

氷の技と言えば、四糸乃が助けに来たのかと思うが、この場に四糸乃の姿は無かった。

その事から察するに、士道がやったのだと推測できる。

 

「…間一髪…上手く…出来たようで…良かったよ。」

 

その言葉と共に鎧腕が解除され、ナイフにへと戻る。

そして、力を全て使い果たしたナイフもまた燃え尽きた様に消えた。

 

答えを言ってしまえば、まず氷で障壁を展開し、美九を守ったのは紛れもなく士道だ。

『黒無一閃・最後の剣(バイシクルソード・ハルヴァンへレヴ)』を『巨人』に向けて放ち、凄まじい爆撃の中、後ろにいる美九を思い、咄嗟に障壁の様なのを連想し守れないかと考えた。

そして、士道の思いに鏖殺公(サンダルフォン)以外に氷結傀儡(ザドキエル)が呼応し、氷の障壁が展開されたのだ。

 

「…ろぅ…らっぁの…れすぁ?」

 

「大丈夫…敵は、倒せた。」

 

士道の視線が消滅していく『巨人』にへと移される。

 

『巨人』は既に再起不能状態になっていた。

大きなやり槍は粉々に破壊され、体は真っ二つに割れ、腕や足の部分も消滅し、顔も細かくひび割れ、士道達が視線を送るといなや瞬く間に消滅していった。

 

加え、空に開いていた『穴』も『巨人』の消滅と共に消滅していく。

『巨人』に向けて放たれた斬撃は巨大な図体を貫通し、そのまま空の方にへと飛んでいき、その先にあった『穴』にへとは被弾したのだ。

 

「はぁ…はぁ…後、は…」

 

士道は上空を見る。

その目先には『反転』した十香がとても信じられない顔をして士道を見ていた。

 

「…人間が、これ程の力を持っているとはど言う事だ?

それにその剣…鏖殺公だと?

何故、貴様がその剣を持っているのだ…っ!!」

 

ただの人間である士道が自身の『魔王』の力(霊力)を取り込んだシャドウである『巨人』を葬った事に驚きつつも、次第に士道の握っている鏖殺公を見て、冷たい目から怒りをこもった目へと変わっていく。

 

「十香! 俺だ!

戦いは終わったんだ!

戻って来てくれ!」

 

「黙れ! それより何故、その剣を持っているのだ!」

 

士道の声も虚しく一掃される。

『反転』した十香はその声と共に辺り一帯にへと咆哮のような威嚇を飛ばす。

戦いはまだ終わっていない。

 

シャドウも『穴』が完全に破壊される前に最後の抵抗で『シャドウ・トークン』を数体を吐き出していた。

『反転』した十香の力に反応し、喝采を上げるかの如く吠える。

 

オオオオォォォォッッッッ!!!!

 

「くぅ…」

 

『反転』した十香の威嚇と響き渡る咆哮が重なり、士道と美九は咄嗟に耳を塞ぐ。

その隙に『反転』して十香が士道にへと勢いよく飛んでくる。

 

「消えろ、人間!」

 

凄まじいスピードと力に今の士道はついていけず、反応が遅れる。

 

「…っ!?」

 

『魔王』の剣が士道にへと振り下ろされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうは───」

 

「───させねーです!」

 

二つの人影が剣を防ぐ。

その人影は───

 

「琴里、真那!」

 

そう、士道のシスターズである2人だった。

 

「良かった、生きてたわね士道!

安心しなさい、私が来たからにはもう大丈夫よ!」

 

「それはこっちの台詞です、安心してくだせー!

兄様の一番の妹である真那が来たからにはもう安全ですよ!」

 

「誰が一番だゴラァ!」

 

元気有り余る2人は『反転』した十香を押し返す。

 

「琴里、真那…っ!

来てくれて、助かった。

…ていうか、真那、その格好は?」

 

「あ、どうですこの格好は?

今の真那は中々にイケてると思いませんか?」

 

「え? あ、あぁ…

確かにペルソナの格好も似合ってたし、その武装も強そうだし…中々格好いいな。」

 

「ふふん、そうでしょうそうでしょう。

これで一番で最強の妹が真那であるのが分かったでしょう、琴里さん。」

 

「はぁ!?

そんなので一番で最強な訳がないでしょう!?

一番で最強なのは霊力によって致命傷を避けられる私でしょうが!」

 

睨み合う琴里と真那。

この状況でも士道の一番で最強の妹のポジションの言い争いが出来る分、余力があるのはいい事だろう。

…きっと多分。

そうしてる途中、押し返された『反転』した十香が睨みながら語る。

 

「…何だ、貴様等は。

その青い女は知らんが、赤いのは精霊だな?

何故、精霊が人間の肩を持つ。」

 

「と、十香さん?

一体どうしたんですか、その格好は?

言動も前よりも荒いですし。

何より、兄様に手を挙げるとは何事ですか!?」

 

「…真那、今の十香に何を言ったって意味はないわ。

この状態は間違いない。

『反転体』…っ!」

 

今の十香の事を瞬時に察知した琴里は眉間を寄せ、真剣な顔つきになる。

 

「『反転体』?

それは一体何です?」

 

「それは…」

 

琴里が真那の問いに答える所で、次はトークンが迫り来る。

琴里と真那は直ぐに撃退体制をとるも、手を出すまでもなく、二つの旋風がトークンを薙ぎ払う。

 

「呵呵々、我ら颶風の巫女たる八舞姉妹が来た以上!」

 

「同調。もう安心です、士道。」

 

「耶倶矢、夕弦!」

 

耶倶矢と夕弦は琴里達と一緒に士道を守る様に前に立つ。

 

「あれって…十香じゃない?

なんか…雰囲気がいつもと違くない?」

 

「同意。今の十香は普段の明るい十香と違います。

霊装も黒く染まり、冷たい視線も送ってます。」

 

「ですよね。

琴里さん、『反転体』とは一体…」

 

真那が琴里に問うと、更に援軍がやって来る。

 

「士道くん!」

 

「士道さん!」

 

《士道くーん!》

 

デオンと四糸乃とよしのんもボロボロの士道の姿を見て駆けつける。

 

「おい、夢界。

どうやらここで合っているみたいだぞ。」

 

「だな。」

 

キッド…翔と夢界もやって来た。

これにより、士道の元に全員が集結する。

 

「おいおい、アレ…夜刀神だよな?

あんなキツイ視線送る様な奴だったか?」

 

「いや…十香ちゃんはそんな子じゃないさ。

どうやら、詳しい事は琴里ちゃんが知っているっぽいな。」

 

夢界が琴里に視線を送る。

全員が琴里を見て、琴里は口を開く。

 

「さっきも言ったけど、アレは『反転体』。

『反転体』は私達精霊が負の感情に呑まれた姿だと今は理解して貰えれば良いわ。」

 

「負の…感情?」

 

「詳しい事は後よ。

今は、十香を止めて霊力を再封印するのよ!」

 

「再封印…そうすれば、十香は元に戻るのか? 琴里。」

 

「何を言ってるのよ。

要は眠りについたお姫様を目覚めさせるようなものよ。

なら、王子様が弱気になってちゃ、十香(お姫様)が可哀想でしょ!」

 

琴里がコチラへと向かって来るトークンを炎を纏った斧で薙ぎ払う。

 

「…そうだな。

弱気になってたら、十香を助けられない。」

 

士道は最後の力を振り絞り、立ち向かう。

 

「皆んな、力を貸してくれ。

十香を救いたい。」

 

[おお!]

 

士道の言葉に全員の心が一つになる。

 

「士道くんの頼みなら、惜しみなく手を貸すよ!」

 

「当然でいやがりますよ!」

 

デオンはレイピアを構え、真那は仕込み剣とCRユニットの融合したレイザーエッジ(ヴォルフテイル)を構え、それぞれの『炎』を灯す。

 

「そうなると、誰がどっちの対応をするかだな。」

 

翔は『反転』した十香と『シャドウ・トークン』を見据えながら言う。

 

「なら、十香の方は士道は当然として、私と真那、四糸乃で行くわ。

私と真那の力で十香を抑えて、四糸乃の氷で確実に拘束するのよ!」

 

「は、はい!」

 

《おっけーい!》

 

「がってんです!」

 

「次に耶倶矢、夕弦!

アナタ達はデオンと天宮翔太の2人と一緒に鬱陶しいシャドウを蹴散らして頂戴!」

 

「良かろう。

我が旋風で蹴散らしてくれよう!」

 

「承諾。琴里、士道を頼みます。」

 

「…分かったよ。士道くん気をつけてね。」

 

「おぉぉぉぉ!!

名前を覚えて貰ったし、やる気が湧いてきたぜ!

士道、コッチは任せて夜刀神を救えよ!」

 

「あぁ!

それと、夢界!

美九を連れてこの場から離れて来れ!」

 

士道は怪我をしている美九の身を案じて、戦えない夢界に指示を送る。

 

「おっけい。任せろ。

それと士道、琴里ちゃん!

この建物から発していた妨害電波は既に解除してある!

だから、フラクシナスに連絡も出来るはずだ!」

 

「…! それは、本当なの!?」

 

『あぁ、どうやらその様だ。』

 

夢界と美九の姿が消える。

それと同時に琴里と士道のインカムから令音の声が聞こえた。

 

「令音さん!」

 

「令音!」

 

2人は揃って令音の名を呼ぶ。

フラクシナスも無事であった。

士道の凄まじい力に防御領域で急遽展開するも、防御が遅れる所があり、クルー達は嫌な汗をかくも、神無月が技量を持ってカバーし、艦の起動を少しずらす事によって難を逃れたのである。

 

『シン、良かった無事だったんだね。

あぁ、2人とも、状況は察している。

今は十香を取り戻すために尽力を尽くしてくれ。

フラクシナスからの援護もする。』

 

「お願いします、令音さん!」

 

そう言って士道は『反転』した十香を見つめる。

 

「…殺してやる。目障りな人間!」

 

『反転』した十香は不機嫌となって、士道を睨みつける。

その顔つきは何処か怯えてもいるように士道は見えた。

 

「そんな、暴言を吐いちゃいけないよ、十香。」

 

士道は十香に向けて優しく微笑む。

 

「───今、助けるからな。」

 

士道は『反転』した十香に向けて駆け出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オオオオォォォォッッッッ!!!!

 

駆け出して行く士道の前に阻む形で現れる『シャドウ・トークン』。

 

「邪魔よ!」

 

そのトークンに向けて炎の斧を振り下ろして指導の援護をする琴里。

 

「フンッ!」

 

次に『反転』した十香が『魔王()』で斬撃を飛ばす。

 

「させねぇです!」

 

それを真那がレイザーエッジ(ヴォルフテイル)で薙ぎ払う。

 

「止まって、下さい。十香さん!

───氷結の塊(アイス・ボール)!」

 

四糸乃が『反転』した十香の周りに氷の障壁が展開され、瞬時に凍らせる。

 

「よし、一気に十香を───!?」

 

だが、凍らせて塊に閉じ込められた『反転』した十香は膨大な霊力を放出させ、『氷結の塊』を破壊する。

 

「!?」

 

《凄い霊力ぅ…》

 

「駄目かぁ…それでも!」

 

士道は走る足を止めない。

 

「消えろ…!」

 

再度斬撃を放とうとする瞬間、士道は鏖殺公で受け身を取る。

 

「うぐ…っ!」

 

(なんて言うパワーだ…っ。

分かってはいたが…鏖殺公よりも力が上…

これが…『反転体』?と呼ばれる力…っ!)

 

眉間に寄せながら、『反転』した十香の底力に圧感すると、士道を押し飛ばし、空へと飛び、距離を取る。

加えて、『シャドウ・トークン』達が一斉に動き出す。

 

「させないっ!」

 

「行かせるかよっ!」

 

デオン達が『炎』を灯すレイピアと鉄パイプで妨害する。

 

「止まらないなら…シュヴァリエ!」

 

デオンはシュヴァリエを顕現させ、桃色の竜巻を発生させて斬りかかる。

 

「百合の花咲く剣舞一閃(フルール・ド・オラージュ)!」

 

竜巻を纏った剣の一閃は数体のトークンを斬り裂いて消滅させる。

 

「ほほう。やるではないか。

我ら颶風の巫女たる八舞以外で風を操れるとは。」

 

「感服。見事な一撃でした。

しかし、風の力では夕弦達の方が上です。

それをお見せしましょう。」

 

夕弦達は瞬時にデオンに負けない旋風を発生させると、螺旋状の球体にへと圧縮し、トークンにぶつける。

 

「「旋風の弾丸(エアー・バレット)!!」」

 

弾丸の様な勢いでトークンにへと放たれ、トークンにへと被弾すると、爆風を巻き起こし、トークンを細かく斬り刻み消し飛ばした。

 

「まだまだぁ!」

 

「追撃。えいやー!」

 

そして更に、2人同時に特攻する。

耶倶矢の槍と夕弦のペンデュラムの連携攻撃によりトークンを更に倒す。

 

「ふふん。どうだ?

我らの旋風は汝の風よりも強烈であるぞ?」

 

「宣告。夕弦達の旋風こそナンバーワンです。」

 

「やるね。でもこっちだって負けてないよ!」

 

3人は互いの実力を内心で認め合い、デオンが『炎』を纏った攻撃を繰り返し、そこに耶倶矢と夕弦がそこに高出力の旋風を合わせて凄まじい桃風を起こし、トークンを蹴散らしていく。

 

「あの3人、連携が上手くいってんなぁ。」

 

デオン達が連携して戦ってる中、翔は独断でトークンを『炎』を纏った攻撃やセイテンタイセイを用いて倒していた。

 

「俺の方も手伝ってもらいたいもんだがねぇ…

ま、しゃあねーよなっ!」

 

溜め息を吐きながら、鬱憤晴らしで叩き落としの攻撃でトークンを消滅させる。

そして、数体のトークンが翔を囲む。

 

「やれやれ、キリがねぇのも困りもんだな。

───お?」

 

トークン達が数機の装置…顕現装置(リアライザ)からレーザーを放ち、ダメージを与えていく。

 

『僭越ながら、協力させていただきます。』

 

「おう、サンキューな。さて…」

 

顕現装置から紳士的な口調で接し、翔も答えながらポキポキと手を鳴らしながら立ち向かう。

 

「加勢するよ!」

 

「いいや構わねぇ!」

 

デオンが一人になっていた翔に気づき、耶倶矢達も駆け寄ろうとするも、翔は手で静止する。

 

「いっちょ行くか…ロリ達よ!

俺の活躍を見ていてくれ!

はぁぁぁ! ロリラブパワー全開!」

 

戦う琴里、四糸乃、真那に向けて吠え上げる。

体中からキラキラと高出力の『黄の炎』を放出し、パワー全開にする。

…ロリコンパワーでは正直ネーミングが酷いため、正式名称は『太陽の気合い(サンシャイン・チャージ)』と命名する。

 

『素晴らしい技ですね。』

 

因みにフラクシナスでは椎崎や箕輪がドン引きな目線で翔を見ている中、神無月はうんうんと理解した顔で頷いていた。

 

「えぇ…」

 

「困惑。彼は一体何を言っているのでしょうか。」

 

デオンや夕弦達もドン引きしていた。

そんな彼女達を無視し、翔は拳に強大な『黄の炎』を纏い、振り上げる。

 

「くらえ!

太陽の剛拳(サンシャイン・バスター)!!」

 

強力にして強大な拳から波動拳を飛ばし、トークン達を浄化させる様に消滅させる。

 

「しゃうら!」

 

ガッツポーズをする翔。

 

「…パワーは凄いよね。言動は酷いけど。」

 

デオンの言葉に耶倶矢と夕弦が頷く。

 

「士道くん! ここは任せて、早くあの子の元へと行って!

───士道くん!?」

 

デオンが士道に向けて言うも、士道は息を荒くしていた。

 

「はぁ…はぁ…、早く…行かない…と。」

 

「おい、大丈夫かよ?

てか、今更だけど姿が戻ってないか?」

 

「…あぁ。色々あって…死にかけちゃってさ。」

 

「まじかよ。」

 

そんな士道の元に琴里が駆け寄り、霊力(炎)を士道の肩にへと当てる。

それにより、士道の呼吸が少し安定していく。

 

「おにーちゃんとの経路(パス)が安定しない今、これが限界みたい。

大丈夫? おにーちゃん?」

 

「あぁ…助かったよ。琴里。」

 

ゆっくりと立ちあがろうとする士道。

そこに翔が『黄の炎』を軽く灯し、更に士道の体に流していく。

 

「俺にも回復手段があるからな。

これで更に足しになるだろ。」

 

翔の『黄の炎』により、士道は立ち上がる。

 

「助かる。これなら、何とか行けそうだ。」

 

士道が『反転』した十香にへと視線を送ると、真那と四糸乃が応戦していたが、吹き飛ばされていく。

 

「くっ…」

 

「きゃ…」

 

《ぎゃーす!》

 

「おい! 俺の天使ちゃんに向けて何してくれたんだワレェ!」

 

「お前のじゃねーよ。」

 

士道が翔にツッコミを入れるも、『反転』した十香の異変に気づく。

 

「茶番はもう終わりだ。

この一撃にて、全てを無に返してやる!」

 

『反転』した十香の背後に玉座が顕現する。

それを見た士道は『巨人』に対して放った、最後の剣と同じだと察する。

 

「暴虐公(ナヘマー)───

【終焉の剣(ペアヴァーシュヘレヴ)】!!」

 

玉座がバラバラとなり、黒い剣にへと収束され、禍々しい大剣にへと変貌する。

 

[!!]

 

それを見た全員が驚愕の顔をする。

 

「アレはヤバいんじゃないか?」

 

「えぇ、あれは不味いわ。

恐らく、あの黒い光はアレが原因でしょうね。」

 

「あ、いや、アレは俺が鏖殺公の大技、最後の剣の力が原因で…」

 

「何ですって!?」

 

士道の言葉に皆が驚き、琴里に至っては驚愕する。

 

『琴里、驚いている所申し訳ないが、十香のアレを今直ぐに止めるんだ。

アレを放ったらこの天宮市が吹き飛ぶ。

シェルターに避難している人達も、タダでは済まない…っ!』

 

令音の言葉に士道と琴里、フラクシナスの者達が険しい顔になる。

 

「皆んな! 全力でアレを放つ前に止めるわよ!

このままだと、この天宮市が消し飛ぶわ!」

 

「マジかよ!?

けど、もう放とうとしてるぞ!?」

 

「ど、どうしましょう兄様!?」

 

「…」

 

皆が士道を見る。

士道は決心ついた顔になり、告げる。

 

「皆んな、あの攻撃を全員の技で相殺し、空にへと受け流してくれ!

その隙に俺が特攻する。」

 

[!]

 

皆が驚く中、『反転』した十香は禍々しい大剣を振り上げる。

 

「時間がない…行くぞっ!」

 

「…そうね、それしかなさそうね!」

 

琴里が『灼爛殲鬼(カマエル)』の炎を強く放出し、斧を投げ飛ばすスタイルになる。

 

「そのよーですね、兄様のご期待に応えるまでです!」

 

真那は狼の顎が開き、魔力砲(ヴォルフファング)を展開し、『紫の炎』、ランスロットの『紫毒』、そして魔力の三つの力を一つの力にへと収束させる。

 

「は、はい! 士道さんや皆さんがいれば、怖く、ないです!」

 

《行っくよーん!》

 

四糸乃の『氷結傀儡(ザドキエル)』の氷をよしのんの口元にへと氷塊を生み出す。

 

「そうだね。私も最大出力で決める!」

 

デオンは『桃の炎』、シュヴァリエの『烈風』の力を合わせ、『烈火の風』をレイピアに纏い、力を溜める。

 

「夕弦! 私達も行くよ!」

 

「応答。全力で行きます!」

 

耶倶矢と夕弦の2人は『颶風騎士(ラファエル)』の風を発生させると、互いの手で特大の風を螺旋状に圧縮させる。

 

「よし、俺も渾身の拳をぶつけるとするか!」

 

翔は『黄の炎』を全力で拳に収束し、光り輝く拳となる。

 

「令音さん───」

 

士道は令音へ…フラクシナスにお願いをする。

 

「塵一つ残らず、去ねっ!!」

 

『反転』した十香が禍々しい大剣を地上の士道へと振り下げる。

とんでもない霊力の余波、大気を空間震の様に揺らす斬撃が襲いかかる。

 

その破壊の一撃を正面から挑む!

 

「灼爛せし、我を呪え(カマエル・クンダーラ)!」

 

「狼王の咆哮(グラン・フェンリル)!」

 

「氷結の矢(アイス・アロー)!」

 

「花剣の烈風斬(フルール・ヴォンフォ)!」

 

「「旋風の大弾丸(エアー・ドーン)!」」

 

「太陽の剛拳(サンシャイン・バスター)!」

 

劫火の思わせる斧の投擲、狼が吠えて放つ光線、氷塊が矢となり放たれ、花風と烈風による斬撃、二つの旋風が一つとなった特大の螺旋撃、太陽の様に燃え輝く衝撃拳が破壊の一撃と衝突する。

 

両陣の力がぶつかり合う。

強力な力が拮抗し、更に余波が発生する。

『魔王』による一撃は琴里達の力と互角に渡り合うも、次第に人数による攻撃に一人の力が敵わず、足負け、空の方へと押し上げられる。

そして、力の逃げ場がなくなり、大規模の大爆発が発生する。

 

[うわ…っ!?]

 

琴里達は大爆発による爆風に吹き飛ばされ、受け身をとって堪える。

 

「ちっ…」

 

『反転』した十香は舌打ちをしながら、再び霊力を溜めようとする。

すると、その爆風の中を利用して近づいて来る者が現れる。

 

「十ぉぉぉぉぉ香ぁぁぁぁぁ!!!」

 

そう、士道である。

フラクシナスに連絡を入れ、転送装置を利用し、琴里達を信じて自分はタイミングを狙って宙にいる十香の元へと近づいた。

 

爆風により、石や建物の破片などが体を切り刻むも、士道は痛みを感じない。

 

「…っ! おのれ、にんげ───」

 

憎らしげな顔で士道を睨むも、その光景を見てフラッシュバックが起こる。

前にも似たような事があった。

これは()()()()()ではない。

なのに、この現状を、状況を、光景を───

 

私は知っている。

 

それでも頭を抑えて、暴虐公を振り上げようとするも、士道の持つ鏖殺公で受け止める。

 

「ぐっ…」

 

士道は精一杯で受け止めるも、精霊と普通の人間の力の差は歴然だ。

だが、士道はこの最大のチャンスを諦めない。

 

「うぉぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

叫びながら、力の全てを用いて投げ飛ばすように振り下ろし、『魔王()』と『天使()』の両方を放り投げた。

 

「貴様ぁ───っ!?」

 

『反転』した十香は士道の行動に言葉を…いや口元を奪われ、思考が停止する。

 

「(何、を…?

この男は、私に、何をして…接吻?

何故…シドー…だ。

何…だ…シドー…これは?

頭に…シドー…何故…奴の…シドー…名が。

シドー…これは…シドー…一体。

あぁ…シドー…これは…再び、意識がひっくり…)」

 

意識が、思考が、そして目をチカチカと点滅させていき、十香の雰囲気が『普段』の十香にへと変わっていく。

 

士道の体に再び光の様な温かいものが流れ込む。

それにより、霊力封印が成せたと理解した士道は安堵のあまり、段々と意識が遠のいて行くを感じながら…手放していく。

 

霊力の封印により、霊力で覆われた霊装が光の粒子となってみるみると剥がれていき、裸にへとなっていく。

 

「……し、シドー?」

 

意識がハッキリとした十香は自分の肩に顔を置く士道に語りかける。

 

「私は……シドー?

何故、私は空に…ふ、服が消え…

───シドー?」

 

士道は言葉も発せず、体も微動だにしない。

それに気づいた十香は生まれたの姿の状態で()()()()()の名を呼びかける。

 

「シドー! シドー! シドー!」

 

そんな十香と士道の元に琴里、四糸乃、耶倶矢、夕弦が駆け寄る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

「今直ぐ、シンと皆を回収するんだ!

それと、医療用顕現装置の手配を急いでくれ!」

 

[りょ、了解。]

 

令音の指示の元、クルー達が駆け出し始める。

 

「それじゃ、美九ちゃん。

キミも重症だ。

精霊用の治療室がある。

そこの女性の方々の指示に従って向かってくれるかい?」

 

夢界がボロボロの美九に語りかける。

夢界と美九は士道の指示に従い、フラクシナスに転送していた。

重症の美九を直ぐに治療しようと語るも、美九は「ぁぇ…はぇ…ぁ。」と一見何を言っているのか分からないが、士道の身を案じていると察した夢界は美九の意思を尊重することにした。

 

美九は箕輪と椎崎に連れられ、今度こそ治療室にへと連れられる。

そして、夢界は次の行動を取る。

 

「んじゃ、俺はデオンや真那(ドリス)達の所へ行って来る。」

 

そう呟くと、転送装置へと移動する。

 

「…待ちたまえ。」

 

令音が夢界を止める。

 

「…キミに聞きたい事が山程ある。

そして…彼女達についてもね。」

 

「令音ちゃん。言いたい事は分かってる。

が、優先順位がある。

まずは士道の回復が先だ。

それに…彼女達については後に全て話すさ。

俺の事も、その時に…な?」

 

「…そう言って、逃げる気は?」

 

「んな事はしないよ。

ほら、令音ちゃんは士道の方を頼んだぜ。

なーに、皆んなや令音ちゃんが看病すれば直ぐに目覚める筈さ。

何せ我らが誇る、紳士の士道だぜ?」

 

それだけ語ると夢界は地上のデオン達の元へと転移した。

 

「…」

 

目を細めて呆然としていると、神無月が真剣な顔で語りかける。

 

「村雨解析官。

士道くんが治療室へと運ばれました。

今現在、医療用顕現装置を扱えるのはアナタだけです。

直ぐに向かって頂けると───」

 

「シン!」

 

令音は直ぐに向かった。

 

「…」

 

神無月は士道の身を瞬時に案じる令音を見て、優しく微笑んだ。

 

「さて、我々は天宮市の状況調査とラタトスクへの緊急要請。

一般人の安否、ASTの様子、シャドウの探知、やる事は山ほどあります。

司令や士道くん達が身を張ったのです。

今度は大人である我々が使命を果たす出番です。

後処理、後始末、隠滅作業を直ちに行いましょう。

総員、行動開始!」

 

[了解!]

 

珍しく威厳のある副司令として指示をしていく。

 

美九の暴走、DEM戦いはこれにて幕を閉じる。

 

 

 





・ゼロの秘宝のサブ垢のスカーレットのキタカミ図鑑の150種とブルーベリー図鑑の200種の登録に疲れた。
ウガツホムラとタケルライコを手に入れるのに何でこんなに疲れるんや…
ま、手に入れる甲斐の見た目だからいいんだけどね!
…メイン垢のバイオレットのテツノカシラとテツノイワオも個人的には悪くない見た目なのに、性能が残念と言われて悲しい。
番外編もやりました。操られたゼイユの突然の踊りに爆笑してしまいました。アレはずるいよ笑
他のボタンやペパーにネモも久しぶりに出てきて面白かったです。
最後にモモワロウとオーガポンの件についてもう少し掘り出しがあっても良いんじゃないかと思いました。テラゴパスも同様。

・FGOではヤマトタケルに一体引くのに天井までいったから泣きそうになりました。
宝具3にするのに追加して合計8万円も消えました…泣
サムライレムナントの新規サーヴァントは一体何が来るんでしょうね…
(製作中に判明しましたね。
アヴェンジャーという使いやすいクラスの上、鎧武者のらいこーさん…いや、丑御前か。
引きたくなるじゃない…(血涙))

・はい、遂にここまで来れました。
これで美九編後半(騒動編)も次でラストとなるでしょう。(多分)
そして、ここでお披露目となった琴里の原作以外の技と耶倶矢と夕弦の合体技です。
琴里のは、はい、カルナさんの『ブラフマーストラ・クンダーラ』の斧バージョンです。
この技をお披露目したかったんですよ。もっと使う場面増やしたいな。
双子のは、NARUTOの『大玉螺旋丸』ですね。それを投げ飛ばすバージョンです。
いやー、これも設定考えてた時に出したいと思い、ここでお披露目となりました。

最後に…騒動編ラストのラストにはとっておきの爆弾を放つつもりです。
楽しみにしてください。(ニッコリ)
あぁ…早く登場させたいな。(ソワソワ)


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