デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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久しぶりの番外編です。
本編よりかはシリアス薄めですが、コッチも進展していかないとね。





番外編8:日常4

 

①【天央祭二日目・デート】

 

『士道、油断しちゃ駄目よ。』

 

インカムから可愛い妹、琴里の司令官としての指示が来る。

 

『戦いが終わった所で、休ませたい所ではあるけど…

そうも言ってられないわ。

皆んなの心のケアをしないといけないわ。

特に…十香はね。』

 

「分かってるよ。」

 

士道がそう答えると、十香がコチラヘやって来る。

 

「シドー!

デェトをしてくれるとは本当か!?」

 

「あ、あぁ。勿論。」

 

普段通りの返事を返す士道。

 

「そうかそうか!

では行くぞ! デェトデェト!」

 

「あ、あはは…」

 

苦笑いをしながら士道は十香に連れられてデートを開始する。

…周りからの冷たい視線に耐えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シドー! これは何だ?」

 

「それは…お好み焼き串、みたいだな。」

 

「おお! それは美味そうだ!」

 

士道と十香のデェト…もとい、十香のグルメ巡りの途中、珍しい物に目が行く。

 

「…十香、まだ食べられるか?」

 

「うむ! まだまだ空腹だ!」

 

「…そ、そうか。

あ、相変わらず凄い食欲だな。」

 

ここまでに十香はチュロス、たこ焼き、クレープ、唐揚げ、りんご飴、チョコバナナとこれだけでもお腹いっぱいになる筈なのに、まだ空腹だと言うのだ。

(※因みに士道くんはスイーツものしか食べてません。)

 

『まぁ…元気な証拠じゃない。』

 

モニタリングしていた琴里が若干引き気味に語る。

クルー達も似た反応をしていた。

 

「むぐむぐ…美味い。」

 

「あはは…」

 

「んぐっ…ぷは。

ご馳走様なのだ。

さ、シドー! 次の食べ物は何だ?」

 

十香は普段通り、食欲満点だった。

 

「…ふふ。」

 

思わず士道は微笑む。

 

「む?

どうしたのだ? シドー?」

 

「いや、いつもの十香で安心したよ。」

 

「む? 私は私だぞ?」

 

「そうだな。」

 

士道は十香の頭を撫でる。

 

「…うむ。」

 

十香は嬉しそうにする。

 

「じゃ、次行くか!」

 

「うむ!」

 

士道達は次の店へと足を運ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…アレは?」

 

帽子を被った男が、女の子と一緒にいる士道を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ…そこそこ膨れてきたのだ。」

 

「…十香?

夕方には一緒にトレーニングしような?」

 

「ん? おお、構わないぞ!」

 

十香の食べた量を思い返し、士道はこれでは不味いと判断した。

士道は毎日、皆んなの朝ご飯と晩ご飯を…休みの日には昼ご飯も兼任している。

そして、皆の健康やカロリー計算もしている。

体重は人にとって…いや、特に女の子は特に大事な事であろう。

食べたらその分動く。

最低限これを重視に行動しているのだ。

加えて、特訓も毎日しており、休む間がないとはこの事。

 

「む?」

 

十香のスマホに通知が入る。

 

「琴里か?

…む、健康調査だと?

私はもう平気なのだが…」

 

琴里からフラクシナスに来る様にとの連絡だった。

 

「あぁ…そう言う事なら仕方ないな。

念の為、しっかり見てもらうんだぞ。十香。」

 

「むぅ…」

 

「えっと…デートはまた、いつでも行こうな?」

 

「おお! 絶対だぞ!

絶対の絶対の絶対だぞ!!」

 

「あ…あぁ。勿論。」

 

「そう言うことならば仕方あるまいな!

うむ! では、行くか!」

 

十香を連れてフラクシナスに移動し、士道はその後、再度地上に戻る。

戻った時に待っていたのは───

 

「し、士道さん。」

 

「四糸乃?」

 

《んもー、士道くんったら。

こんなイベントに四糸乃を誘わないだなんて、駄目じゃなーい。》

 

よしのんに合わせて、インカムから琴里の声が発する。

 

『分かってはいるけど、全員とのデートなの忘れないでよね?

おにーちゃん?』

 

「…分かってるよ。

お前とのデートも楽しみにしてるよ。」

 

『…!?』

 

フラクシナスにいる琴里は顔を赤くしていた。

無論、その事に気づかない士道くんである。

 

《士道くーん?

四糸乃の前で別の女の子と同じだなんて───》

 

「分かってる。

行こう、四糸乃。

美味しい物、紹介するよ。」

 

「は、はい!」

 

《さっすがー!

士道くん、分かってるぅ!!》

 

士道は少しずつ女慣れしつつあるのであった。

 

この後も士道は耶倶矢、夕弦、琴里とデートして天央祭二日目を終えるのであった。

 

…因みに、その度に周りからの視線と来禅高校の生徒から殺意を向けられるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②【美九の面談】

 

これは天央祭二日目が終わった頃、美九はフラクシナスで事情聴取を受けていた。

 

「だーりん♡」

 

「…あの、美九…さん?」

 

「はーい♡」

 

「…えっと…れすね…」

 

むにゅむにゅ

 

美九は士道の腕に抱きつき、更には令音に劣らなぬその豊満な胸を士道に当てていた。

 

「えっと…いろ…いろひろと、当たっれおりまひゅ…」

 

案の定、我らが巨乳好き士道くんはその豊満な美九のペイペイ!に完全敗北していた。

 

「ふふ、当ててるんですぅ。」

 

士道が巨乳に弱い事はとうにしれている。

狂三に密着された際、満更らでもない顔をしていたのをしっかりチェックしているため、大好きな士道のために強力な愛情表現をしていたのであった。

 

「…」

 

そのイチャイチャを正面で見ているのは琴里である。

 

「…ねぇ、いい加減にしてもらえるかしら。」

 

そして無論、黒いオーラを放出しご機嫌斜めであった。

 

「あらぁ?

どうかしましたかぁ?」

 

「どうかしましたかじゃ…ないわよ!」

 

バンッ!

と強めに机を叩く。

 

「あぁ〜、大丈夫ですよぉー。

琴里さんにも後でだーりんと同じ事をしますからぁー。」

 

「そうじゃなくて!」

 

「大丈夫です。

───私、元から女の子が好きなので。」

 

無駄にキリッとした顔をして言う美九である。

 

「アンタの性癖なんてどうだっていいのよ。

私を巻き込まないでくれる?

…って、そうじゃなくて…っ!

事情聴取よ! 事情聴取!!」

 

「あぁ、そうでしたねぇー。」

 

「アナタが士道と一緒じゃないとヤダとか我儘を言うから、要望通りに連れて来させたのに、士道が来た途端にイチャつくとか…

───良い度胸してんじゃないのよ。」

 

ゴゴゴゴゴッッッッッ!!!!!

 

凄まじいプレッシャーを放ち、漸く事情聴取が始まる。

とはいえ、今だに士道に密着は解かないので、そのまま無視して始める。

 

「…破軍歌姫(ガブリエル)については報告を受けた通りの能力でいいのね?」

 

「はーい、そうですよー。」

 

むにゅ、むにゅ

 

「…」

 

「…それじゃ、ここが私が聞きたかった事ね。

アナタは元、()()()()()

で、間違いないわね?」

 

「…はい。」

 

士道に引っ付く腕がやや強くなる。

それを察した士道が優しく語る。

 

「…美九。大丈夫か?」

 

「はい…大丈夫です。

今の私にはだーりんがいます。

だから…全てお話します。」

 

そうして、美九は自分に起きた事を話し始める。

 

枕営業を蹴り、それにより『男』に人生を奪われた。

 

名誉挽回にステージに立つも、周りからの批判に声を奪われて、人間不信にへと陥った。

 

自殺を考えた時に、『ファントム』に遭遇した。

 

そして、霊結晶を受け取った彼女の反逆が行われ、今に至る訳である。

 

「…そう。

そこなんだけど、美九。

アナタは霊結晶を受け取った際、周囲に何か起こさなかった?

または破壊衝動とか体に異変とか起こらなかったかしら?」

 

「…破壊衝動…ですか?

いえ、特に何も…しいていうなら、霊力を扱える様になったという不思議な感覚を得たくらいですかねぇ。

周りには…何も起きていませんでしたよ?」

 

「…そう。

『ファントム』は何か言ってなかった?」

 

「あぁ…確か…『良かった。キミは適合者だったみたいだね。』

とか、言っていたくらいですかね。

…礼を言いたかったけど、いつの間にかいなくなってたんですよね。

私も、意識を失って…数日後に意識を取り戻したんですぅ。」

 

「…なるほど、その時の現界が一度だけ検出された空間震だった訳ね。

それにしても…そう、アナタは破壊衝動は無かったのね。」

 

「琴里…」

 

「大丈夫。

きっと、何か意味があるんでしょうね。」

 

琴里と士道は同時に過去を振り返る。

あの時、『何か』…恐らくファントムだろう。

彼女は告げた。

 

 

 

 

 

『大丈夫。キミたちに危害は加えないよ。

寧ろ、最高の結果を残してくれた。

感謝しきれないよ。』

 

 

 

 

 

「…最高の結果、ねぇ。」

 

「ファントムは…彼女は恐らく、琴里にしか灼爛殲鬼(カマエル)を扱えないと判断したのかな?」

 

「…一理あるわね。

灼爛殲鬼(カマエル)には士道の死を一度回避できる力がある。

その力に適合できるのに一番の妹にして優秀な私に目をつけたって訳ね。」

 

真那とのいざこざがあってから士道の一番により固執する様になった琴里であった。

 

「ぷくー。」

 

美九が可愛らしく頬を膨らませていた。

 

「私を置いてけぼりにしないでくださーい。」

 

むにゅ、むにゅ、むにゅ

 

更にお胸を士道に押し付け刺激する。

 

「〜〜〜!!!」

 

士道は丸メガネを真っ白に曇らせ、頬を真っ赤にし、鼻を伸ばし、鼻息を荒くし始める。

 

「さて、最低限聞きたい事は聞いたし。

───殺すわね、士道。」

 

「へ?」

 

素っ頓狂な声を上げる士道の前に琴里が机の上に立ち、回転し始める。

それにより、パンツがチラチラと見え始める。

 

「お、おい、琴里!」

 

「キャアアアアア!!

琴里さんの───」

 

美九が最後まで言う前に、それは放たれる。

 

「五河家流───炎の回転蹴り(ファイヤートルネード)!」

 

「あ"あ"あ"ぁぁぁーーー!!!!!!」

 

「キャァァァァァァ!!!!!」

 

士道と美九の断末魔がフラクシナス艦内に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③【天央祭三日目・ライバル】

 

延期となった天央祭最後の日。

士道は…一人でただただ周囲を見回していた。

 

十香と耶倶矢と夕弦はクラスのメイドをして、夢界と翔は実行委員の仕事をしていた。

士道としても実行委員ではあるが、実は今の士道は頭や首元などに包帯を巻いている状態だったため、実行委員の仕事はやらなくていいと夢界に告げられてやっていないのである。

 

怪我に関しては顕現装置(リアライザ)を用いた治療を受けたのだが、完治はしていなかった。

琴里の灼爛殲鬼(カマエル)も機能しているが、完全回復には至らなかった。

シャドウの力、そしてエレン・メイザースを使用した『あの槍』は精霊の力をも凌駕するものだと判明し、ラタトスクとしても驚きの事だった。

とはいえ、日常生活に支障はないため、士道は普通にしているのである。

 

(琴里や四糸乃が来るまでに時間があるな。

何か、時間を潰すような事はないかな?)

 

士道が考えながら歩いていると、コチラに向けて走り出して来る気配を感じとる。

その相手は───

 

「兄様ー!」

 

「真那!?」

 

聞き覚えのある元気な声。

それは、士道の実の妹の崇宮真那であった。

 

「どうして、ここに?」

 

「どうしてもと言われましても、せっかくのイベントなのですよね?

なら、楽しむと良いと…夢界さんから誘われまして。」

 

「…そいやー、夢界とは繋がりがあったんだっけか。」

 

「はい。

まぁ、日常では全く会ってはいませんが。」

 

「そうか。」

 

「そうなのですよ。

それはともかく、兄様!

真那とグルメ巡りをしやがりましょう!」

 

真那からのお誘いだった。

 

(そういえば、真那とは一度家に招待した後は狂三とのいざごさで全く会えなかったからな。

どこに行ってたのか、何をしているのか、今はどこにいるのか聞く意味でも一緒に回るか。

それに…可愛い妹の誘いを断る兄貴はいない。)

 

「あぁ。オススメを紹介していくよ。」

 

「おお! それはありがてーです!

それじゃー、参りましょう!」

 

「おう。」

 

こうして士道と真那は2人で行動をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「意外とかなり食べるんだな。」

 

「ふぁい、おなはぁふいへいまひたし、へっほうふまいへふね。」

 

「食べながら喋るじゃないぞ。

お行儀が悪い。」

 

あれから真那に色々と紹介していくと否や、その食べ物を食べる真那だった。

十香程ではないのだろうが、かなりの健啖家の様だ。

 

「いやー、兄様と食べながら巡るの楽しいからついつい食べちまいますよ。

それに全部奢ってくれますしね。」

 

「それは構わないさ。

いっぱい食べて、大きくなるんだぞ?」

 

「はい! 精進します!」

 

とまぁ、何処にでもある仲のいい兄妹の会話をしていく。

 

「にしても、兄様とお出かけは悪くねーですね。

昔の記憶がねーから、真那にとっては新鮮です。

楽しいので、これからも出かけましょう!」

 

「あぁ、勿論。」

 

「良いですね! 良いですね!」

 

そんな会話をしている中、士道は真那に問いかける。

 

「…ところで真那?」

 

「はい!」

 

「真那は今、何処で生活してるんだ?」

 

「え、えぇと…」

 

「ちゃんとご飯は食べているか?

ちゃんと寝ているのか?

まさかだけど…狂三を追いかけてばかりしてないか?」

 

「…」

 

真那はとても反応に困った顔をする。

 

「…えっとですね。

衣食住はキチンとしていやがります。

ナイトメアに関しては…ノーコメントで。」

 

「おい。」

 

士道は半眼で真那を睨む。

 

「それと…住んでいる場所については…」

 

どう説明しようか考えていると、2人に歩み寄る者が現れる。

髪を纏めて帽子を被り、大きめのサングラスを掛け、マスクといった姿を隠しているザ・怪しさ満点の人だった。

 

「キミは…変装を手伝ってくれた───」

 

そう、士道の変装…女装を再現させたのはこの無口な人物だった。

サングラスとマスクで素顔どころか表情も分からないかった人物は、マスクを外しニコリと笑って見せた。

 

「…」

 

「女の人?

キミは一体?」

 

「この声で、誰か分かるかな?」

 

その声の人物を知っている。

その人物は───

 

「キミは───デオン?」

 

「うん、そうだよ。

よく…私がデオンだって気がついたね。」

 

「それはそうだろう。」

 

「…っ! じゃ、じゃあ!

僕が誰なのか分かる!?」

 

「え…?

いや、ごめん。分かりません。」

 

パリンッ

 

ガラスが割れる音が何故か聞こえた。

 

デオンと思わしき人物は一瞬固まり、反応を悪くするが、次第に苦笑いをしながら語りかける。

 

「…そ、そっかぁ…それもそうだよね…」

 

「ご、ごめん。

何処かで会ったことのありそうな感じはするんだけど…

そ、それより、どうしてキミがここに?」

 

「えっと…それは、真那ちゃんが困っていたのを見かけたからだよ。

それに、せっかくのイベントでしょ?

なら、私も楽しんでいこうかなーって…」

 

「そうか。」

 

士道はそんな反応をする。

彼女が何かを期待しているのか、そわそわとしているのを感じていたが。

トイレなのか、それとも違う別の理由なのか、外したらどうしようと困惑し、反応に困っていた士道。

さんな2人に真那が反応する。

 

「兄様。

真那は今日ここまでで良いので、彼女と一緒に楽しんで下さい。」

 

「ん?

でも、まだ真那はどうするんだ?

どうせだったら、3人で───」

 

「甘ーですよ、兄様。

こういうのはスッと勘づいてやるのが紳士ってもんです。」

 

「…?」

 

「それと、真那とはまた今度日を改めてお願いします。───では!」

 

タッタッタ!と真那は走り去ってしまった。

 

「「…」」

 

真那の突然の行動に2人は反応を遅れてしまったが、女性を一人を困らせるのも紳士ではないと勘づいた士道はデオンに語りかける。

 

「デオンは何か食べたい物はあるか?

甘い物か、それともガッツリ食べたいのか。」

 

「へ!?

あ、あぁ、えっと…」

 

素っ頓狂な声を上げて、頬を赤くするデオン。

そして、次第にそのまま微笑みながら答える。

 

「キミと一緒なら、何だって良いよ。

それじゃ、オススメを紹介してくれる?」

 

「仰せの通りに。」

 

士道は少しカッコつけながら彼女に答えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はありがとう。

キミとの『デート』は楽しかったよ。」

 

デオンは頑なに『デート』の部分を強調していた。

 

「そ、そうか?

それだったら、良かった。」

 

「ふふ♪」

 

反応には困ってしまうが、彼女の嬉しそうな声と表情に、自然と士道も嬉しくなった。

 

「あ、もうこんな時間。

本当なら、もっと君といたかったのになぁ。」

 

「ん? 何かあるのか?」

 

「うん、近いうちに…キミに会えるから、その為の準備だよ。」

 

「へぇ…そうか。

…ん? どう言う事だそれは?」

 

「ふふ…ここまで来たら、その時までな・い・しょ♡

それじゃ、またね! 士道くん!」

 

手を振りながら、デオンは走り去って行った。

 

「…」

 

あまり表情を確認できなかったが、彼女の良い香りと、頬から流れていた汗が十香に匹敵する体つきにへと流れる所を目撃したり、妙に距離が近かった彼女を思い出し、次第に頬を赤く染めて、反応に困惑させていた士道であった。

 

「…疾風の様だったな。」

 

またもや、ちょっとカッコつけた口調をした士道だった。

 

「───へぇ、キミ。

見かけによらず、女の子を誑かすタイプだったんだね。」

 

「え?」

 

士道に声かける人物へと視線を移す。

そこにいたのはまたもや、顔を隠す様に帽子を被っていた男だった。

だが、その声から誰なのかに直ぐに気がつく。

 

「…明智?」

 

「やぁ。」

 

この様な場所で遭遇する二人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、他に注文あったら呼んでねー。」

 

「あぁ、悪いな。山吹」

 

「んじゃねー。」

 

今現在、士道はあそこで立ちっぱなしというのも何なので、明智を連れて自分クラスのメイド喫茶へと連れてきた。

 

「へぇ、キミのクラスは話題だったメイド喫茶だったのか。」

 

「ああ、まあな。」

 

明智はコーヒーを飲んでいく。

 

「それより…さっき言っていた誑かすってど言う意味だよ…」

 

「どう言う意味も、言葉通りさ。

実は昨日も来ていてね。

その時に、キミがさっきの子とは違う子と一緒にデートをしていたのを目撃していてね。

そう…あの子だったね。」

 

明智の視線がある人物にへと向けられる。

そう、十香であった。

 

「あ、いや、十香とはそういう関係ではないんだ。」

 

「へぇ…そうかのかい?」

 

「あぁ。」

 

「でも、側から見れば、かなり距離が近い様に見えるよ?」

 

「…まぁ、『家族』だからな。」

 

ピクッ

 

明智は士道の『家族』というワードに何かを感じ取った。

 

「それは、どういった意味でだい?」

 

「…そこ気になるのか?」

 

「キミが『家族』と言った時に何か含みのやつなモノを感じ取ったからね。」

 

「…流石、探偵殿って事か?」

 

「お褒めに預かり光栄ってことにしておこうか。」

 

「…」

 

士道は一拍置いて話し始める。

 

「そうだな。

お前には…言っても…大丈夫かな。

俺は、『捨て子』だ。」

 

「───」

 

「今から、9年前。

俺はある海浜で発見されたんだ。

当時以降の記憶も持たず、自身の事さえ何も覚えていなかった。

名前も、親の顔も、何処にいて、何があったのかも。」

 

「…」

 

「分かっていたのは…誰かに見放された感覚だった。

きっと、親なのだろうが…俺にはその人が親として認識できていないんだ。

理由は分からないけど。」

 

「…」

 

明智は静かに聞いていた。

 

「ずっと…ずっと抱いていたのは罪悪感だった。

ごめん…ごめんなさいってな。

その理由も、自分には分からない。」

 

そうだ、それは自分でさえ、分からない不思議な感覚だった。

 

「それ故かな、『家族』というのが俺にとって…自分よりも大切なんだ。

『居場所』がなかった俺に、父さんや母さんに妹が『居場所』をくれたんだ。

だから…十香の様に『居場所』がない子を見ていると、ほっとけないんだ。

例え、何に狙われようとも、俺は守る。」

 

「…そうか。」

 

明智は内容もあって真剣に聞いていた。

そして、彼も語り出す。

 

「僕も同じだ。」

 

「え?」

 

「僕も、『捨て子』でね。

…母の愛人だった父に捨てられたんだ。

望まれぬ子ってやつだね。

母ともども捨てられ、その母も早くに亡くなって、施設で育てられたんだ。」

 

「…」

 

「だからかな。

キミに親近感を感じていたのは。

僕達、似た者同士だったんだね。」

 

「…そうだな。」

 

互いに苦笑する。

それから、互いに話し合っていると、顔見知りの人が現れる。

 

「あら、メイドさん?

中々雰囲気もあって良いじゃない!」

 

「あ…い、いらっしゃいませ。

えっと…席は…」

 

「あら、満席なのね。

なら時間経ってから改めて───あらぁ!?」

 

その人物は士道と明智を見るや、駆け寄って来る。

 

「まぁ! 士道ちゃんじゃない!

それに…アナタも一緒だったのね?」

 

「えぇ。」

 

ぺぺさんは帽子で素顔を隠す明智を察して名を控えた。

 

「いらっしゃい、ぺぺさん。」

 

「あ、五河くんの知り合い?

なら一緒の席でいい? じゃあ!」

 

「あ、あぁ。」

 

相変わらず返事も聞かずに去っていく山吹だった。

 

「随分とまぁ…大変ね。」

 

「はは…いつもの事だから。

でも、小中の頃よりかはマシだから、平気だよ。」

 

「…なら、良いのだけどね。」

 

ぺぺさんが席に座ると、士道の姿を見て驚く。

 

「あら、士道ちゃん!

よく見たら、怪我してるじゃない!?

どうしたの!?」

 

「あぁ…この前の空間震が原因で、怪我しちゃって…」

 

「大怪我じゃない。

…全く、アナタの毎度不幸体質、どうにかならないものかしらね。」

 

ぺぺさんの言葉に気になってか明智が問いだす。

 

「…彼、よく怪我をするんですか?」

 

「ええ、そうよ。

何せ───」

 

ぺぺさんが口を開こうとすると、猛スピードでコチラに駆け寄る者が現れる。

そう、十香である。

 

「シドー!

いるのなら、何故早く言わぬのだ!」

 

「あ、ああ、すまんな。」

 

「…む? 客人か?」

 

「えぇ、まぁ。」

 

明智は予想外の対応に少し反応に困り。

 

「あんらぁ、中々可愛い子じゃない?

士道ちゃんの恋人?」

 

「え、あ、いや、そういうのじゃ…」

 

「シドー、コイビトとは何だ?」

 

「…ええと、だな。」

 

士道は懸命に対応するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございましたー。」

 

「ええ、ご馳走様。

十香ちゃん、また今度士道ちゃんと一緒にウチに来なさい。

その時はより美味しい物を振る舞っちゃうわ!」

 

「おおー! それは誠か!?」

 

「ええ、勿論よー!」

 

ぺぺさんと十香が明るいトークをしていた。

ぺぺさんのコミニュケーション能力…もとい、女子力も何故か高かったためか、話があっていた。

 

「元気な子なんだね。」

 

「あぁ。」

 

士道と明智が会話をしていると───

 

「キャッ!」

 

近くで女性の鞄を奪い、逃げようとする男が視界に入る。

 

「「───!!」」

 

それに士道と明智がすぐさま反応する。

2人は強盗犯を追いかけて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く…何処に行ったんだろう。

おにーちゃんったら。」

 

《だよねー。

でも、士道くんにしては珍しいよねー。》

 

「はい…士道さん、何かあったの…でしょうか?」

 

士道がいない事に会話を始める琴里(白リボンモード)とよしのんと四糸乃。

 

「全くだ…颶風の巫女たる我を放っておくとは…何かあったのかな?」

 

「心配。また何かに巻き込まれているのではないでしょうか?」

 

琴里達を見つけて語る八舞姉妹の耶倶矢と夕弦。

 

「…そうだね。

シンなら大丈夫だとは思うが…心配だ。」

 

令音も何処か浮かない顔をしていた。

 

予定としては先に琴里と四糸乃と合流し、その後に耶倶矢と夕弦と、最後に十香と令音と合流し、美九の元へと向かう予定だった。

だが、士道と連絡がつかずにいる事に令音が琴里達と共に探しているのであった。

 

「ん? 何かあったのかな?」

 

琴里がそう呟くと、彼女達や他の客の間を走っていく男が女性の鞄らしき物を抱えて逃て行く。

 

「え、何?」

 

「指摘。見た目にそぐわない格好と鞄に、逃ていくとなれば。」

 

「強盗って事?

ならば、我の出番という訳だな。」

 

「ちょっと…落ち着きなさい、アナタ達。」

 

白いリボンだが、思わず黒リボンの性格が出てしまう。

霊力を封印されているとはいえ、精霊の彼女達なら難なく捉えられるだろう。

しかし、それでは目立ってしまう…あるいはASTやDEMに目をつけられてしまう可能性がある。

 

「…そうだね。ここは警察に───」

 

令音がそう呟くと、逃ていく強盗者を追いかけていく見覚えのある青年がいた。

 

「シン?」

 

そう士道だった。

 

「え?」

 

士道に加え、帽子を被った男も士道に並んで追いかけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道と明智は強盗者に追いつき、強盗者を囲う。

 

「く、クソ、何なんだ、お前ら!!」

 

「一応、実行委員だもんでね。」

 

「神妙にお縄になると良い。」

 

「…そうは行くかよ!」

 

強盗犯は包帯を巻いている士道に目掛けて特攻する。

その理由は当然、怪我している分切り抜ける可能性が高いからだ。

しかし───

 

「ガハッ!?」

 

士道は難なく大人の特攻を受け流し、関節技で取り押さえた。

 

「…っ、大人しくするんだな。」

 

「やるね。キミ。」

 

明智は士道と共に強盗犯を抑えながら、スマホを取り出し連絡する。

 

「もしもし、僕です。明智です。

強盗犯を捕らえたので、至急来てください。

場所は───」

 

2人の青年により、時間は速やかに解決した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男は駆けつけた警察により、連行されていく。

 

「ご苦労様です。明智くん。」

 

警官にそう呼ばれ、明智は帽子を外した。

 

「見て見て! 明智くんよ!!」

 

「カッコいい〜!」

 

明智は声援に手を振り、明智のファンは更に黄色い声援を送っていた。

 

「…」

 

因みに士道は無言で日陰に身を置いていた。

そして、明智は警官に事情を説明した後、士道の元へと歩む。

 

「ありがとう。キミのお陰で事件は解決したよ。

お手柄だね。」

 

「いや…俺は大した事をしてない。」

 

そんなやり取りをしていると、1人の男性が2人に近寄る。

 

「あー、良くやったな。明智。」

 

「いえ、僕は大した事をしていませんよ。

今回は彼の手柄です。堂島さん。」

 

堂島と呼ばれた男は士道に視線を送る。

 

「あー、お前さんが取り押さえたんだっけか?

ありがとな。

お前さん達のお陰で被害を最小限に抑える事が出来た。

感謝する。」

 

「いえ。」

 

「それで…お前さんは…」

 

「えっと、自分は来禅高校の生徒です。」

 

「あー、そうか。そうだよな。

ある意味災難だったな。

…それと、その怪我は今回でついたもの…じゃないよな?」

 

「あ、いえ、違います。」

 

「そうか。なら良い。

んじゃ、事情を学校側にも伝えたいから、誰かに連絡を───」

 

堂島が語りかけると、士道に目掛けて人が駆け寄る。

 

「シン!」

 

令音だった。

 

「あ、令音さん。」

 

「怪我はないかい?」

 

「はい、大丈夫です。」

 

「そうか…なら良かった。」

 

無事だと知ると令音は安堵の顔を浮かべ、士道を胸に抱き寄せる、

 

「んぐっ!?」

 

「よしよし、良かった。」

 

「んぐー! んぐんぐんぐー!

(人前! 人前です、令音さん!)」

 

「…」

 

そんな光景を明智はポカンとした顔をしていた。

 

「あー、アンタはー。

彼の親…ですかね?

それとも、姉ですかね?」

 

「…いえ、私は彼の副担任の村雨です。」

 

「あー、そうでしたか。

それなら丁度良かったです。

学校側に連絡をしておきたかった所です。」

 

「…分かりました。

学校には私が伝えておきますので。」

 

「よろしくお願いします。

所で…その生徒さんが息苦しそうですが…」

 

「…ん、あぁ、大丈夫かね? シン。」

 

「…んあ、はい。

すいません、つい眠気が。」

 

令音に抱き寄せられ、一瞬寝落ちしてしまった士道だった。

 

「…まぁ、長居するのも良くないので我々はここで。

協力感謝します。

行くぞ、明智。」

 

「は、はい。」

 

明智は堂島と共にこの場を離れた。

警察などが立ち去り、ギャラリーも減り、令音は士道に語る。

 

「…シン。

キミは何かと巻き込まれる様だね。」

 

「アハハ…」

 

士道が苦笑いをすると、そんな2人に───ぺぺさんが駆け寄る。

 

「大活躍だったわね。士道ちゃん。」

 

「ぺぺさん…あ、そうだ。

令音さんです。凄く優しい人なんですよ。」

 

「…どうも。」

 

「あら、そうなの?

ふーん…」

 

ぺぺさんは士道と令音を交互に見てニヤニヤとし始める。

 

「士道ちゃんも隅に置かないわねー。

十香ちゃん達もいるのに、他の子もいるだなんて。」

 

「あ、いや、令音さんは───」

 

ぺぺさんが突如、士道に耳打ちをする。

 

「(頑張んなさい。)」

 

「え?」

 

「フフ…

さて、面白い事たーくさん知ったし、そろそろ帰ろうかしら。

令音ちゃんも、士道ちゃんと一緒にウチのお店に来て頂戴ねー。

サービスしちゃうから。」

 

「…あ、ああ。どうも。」

 

「それと…士道ちゃんをよく見ていてあげてね。

この子、頑張りすぎちゃうから。」

 

「…ええ、任せて下さい。」

 

令音がそう返すと、ぺぺさんは手を振って帰宅して行った。

 

「…シンは色々と知り合いが多いみたいだね。」

 

「そ、そうですか?」

 

「…あぁ。

さて、皆んなが待っている。

我々も向かうとしよう。」

 

「あ…っ! そうだった…っ!

…琴里、凄く怒ってるだろうな…」

 

「まぁ、私もフォローするから安心したまえ。」

 

「本当ですか!?

なら…何かしないと…」

 

士道は時計を確認し、まだ閉店していない店を見つけ、令音に手を差し出す。

 

「じゃあ、俺なりのお礼です。

アソコのクレープ美味しいので、みんなの所に向かいながら食べていきましょう。」

 

「おや…それは嬉しいが…バレたら更に機嫌悪くしそうだね。」

 

「そ、そうですかね…」

 

「とはいえ、キミからの贈り物を無碍にはできない。

だがら、2人で食べて行こうか。」

 

令音は優しく微笑み、士道は微笑み返す。

 

「はい!」

 

そうして、令音は士道の手を取るのであった。

 

 

 





・①ちょっとした日常。こんな話があっても良いよね。

・②諸事情でここにて描かれることになりました。
美九というヒロインが加わったことにより、士道のドギマギが増えていくでしょう。
大きいペイペイ!に弱い士道くんはいつまで理性を保てるでしょうか。
そして、琴里よ苦労が増えるだろう。頑張れ。

・③前編は真那とのデート、デオンとのやり取りとデートを行いました。
内容はほぼ同じことの繰り返しになっちゃいますので割愛しました。
書いてて早く、次のお話が書きたいと思いました。
後半はお久しぶり、明智くん回です。
ここで少し明らかになりました。
士道くんが『家族』というのにどんな意味があるのか軽く説明しました。
『居場所』も意味ありげにしてあるので、それに関しても今後にご期待してください。

・③自分ペルソナ4を軽くしか見てないのでうろ覚えなのですが、堂島さんってこんな感じのキャラで良いかな?
正直不安です。違ってたらすみません。


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