デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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いつの間にか番外編も10回目まで来たのか、何か色々と考え深いなぁ。
この投稿に向けてこれまでの話も少しずつ修正しているのですが…士道くんの性格かなり変わってる。
徐々に昔のクールな要素を出していこうかな?





番外編10:方針2

 

 

 

フラクシナス

 

「すげぇ…今更ながら、ゲームの世界にでも迷った気分だな。」

 

翔がフラクシナスへ来てそう告げる。

その気持ちは十分理解できるものだ。

 

「…それじゃ、今度こそ話し合いをしましょうか。」

 

顔、腕、脚に絆創膏を貼る琴里がそう告げる。

 

「…ですね。」

 

それに同じく絆創膏を貼る真那も同意する。

 

「…何で、俺もボロボロになってるんだっけ?」

 

琴里と真那よりもボロボロで絆創膏の量が多い士道が口開く。

 

「士道の事はいいわ。

それより、夢界。

アンタには色々と喋ってもらうことが多いから、覚悟する事ね。」

 

「はいはい、分かっておりますよ。司令官殿。」

 

夢界がパソコンで何かしながら対応する。

 

「雨宮士織に関しては…納得いかない事が多いけど、話が進まないから一旦置いておくわ。

それより、何でアンタは真那の事を知ってた訳?

…いいえ、それより一体、何者なの?

唯のハッカーじゃない事はもう明白なのよ。」

 

「そうねぇ、先ず…俺についてはハッカーである事以外でいうならば、『中間役』だな。」

 

「…中間役?」

 

「まず俺と士織ちゃん、真那ちゃんは『五河士道』を助ける名目で組織されたチームさ。」

 

「士道を?」

 

「そう。士道に課せられた…【()()()()()】からな。」

 

「!?」

 

「は、破滅の運命?」

 

「そ。士道はその事について軽くは知ってる筈だろ?

()()()()()()()()の者達からさ。」

 

「お前…ラヴェンツァとイゴールの事を知っているのか?」

 

[???]

 

十香達やフラクシナスクルー達は首を傾げる。

 

「(ベルベットルーム?

何者かは知らないけど、状況からして例の士道の協力者のことね。)」

 

「(ようやくシンの協力者について知れたか。

…しかし、【破滅の運命】?

一体何の事だ? まさか───)」

 

「…【破滅の運命】と具体的な事までは知らなかった。

けど、お前は知っているのか?

どう言った末路を迎えるのか。」

 

「いや、知らない。恐らく()()()()()()()()()()()()()だろう。」

 

「え?」

 

士道と共に皆が疑問を抱く。

 

「俺が『あの人』から聞いた話では間違いなく士道の終わりを示しているのは間違い無いだろうと言っていた。

…そうか、ベルベットルームの者達は具体的な事までは把握していなかったのか。」

 

夢界が何処か納得した顔をすると琴里が口を開く。

 

「…ねぇ、士道。ベルベットルームって何?」

 

「えっと…夢と現実の…何だっけか。」

 

「夢と現実、精神と物資の狭間。

要は士道の夢で奴さんらと士道は現実の様に会っているんだとさ。」

 

「…何で士道よりも博識なのよ。」

 

「『あの人』から聞いたから事だからな。」

 

夢界は先程から『あの人』と告げていた。

士道が疑問を抱き、その事に気づいた士織が口開く。

 

「『あの人』とは花の魔術師を名乗る白いローブの人の事だよ。」

 

士織がその様に告げる。

 

「花の…魔術師…あ!」

 

士道は今となってその存在を認知する。

 

(あの時…夢で出会った、謎の男か。

…そう言えばあの時に妙な事を言っていたな。)

 

 

 

 

 

『【今は私の事を忘れていても構わない】。』

 

 

 

 

 

(あの言葉に違和感があった。

アレは…もしかして、魔術的な何かか?

魔術師とか名乗っていた訳だしな。)

 

士道が考えていくも、話は続いていく。

 

「『あの人』は俺らの司令塔に当たる人物。

正直に言えばそれ以外は何も分からず、詳細は不明だが…敵意はない人物なのは確かだ。

現に俺達をこうして集めたのがその理由だ。」

 

「…よくもまぁ、そんな人物の言うことを聞くわね。」

 

「けど、言っていた事は事実で私達の味方であるのは違いねーのは確かです。」

 

真那がそう語る。

 

「夢の中でペルソナの力についても教えてもらいましたし、実際に兄様と同じ力を引き出す『メガネ』まで用意してくれましたしね。」

 

真那は『メガネ』を取り出し、掛けて士道の隣に立ってシャキーンっとメガネを光らせてポーズを取る。

 

「…」

 

士道も真那に合わせてシャキーンとメガネを光らせポーズを取る。

それを目の当たりにした琴里が不機嫌なオーラを放出し、士道はそれを感じ取って背筋をピシッとする。

 

「あのさ…」

 

今度は翔が口開く。

 

「俺は…何だ?

その花の魔術師とやらにあった覚えがないが…」

 

「あー。お前に関しては『あの人』も想定外のポジションでな。

何でも、偶然に士道の影響を受けて『ペルソナ使い』に目覚めたらしい。」

 

「俺の…影響?」

 

「そうだ。士織ちゃん、真那ちゃんもお前を通して『ペルソナ使い』に目覚めたんだ。」

 

「…いつ?」

 

全く覚えのない士道は疑問を抱く。

 

「僕の場合はね?

5年前、士道くんと別れる前に手を握ってくれたでしょ?

あの時に不思議な感覚があって、その時に力に宿したみたい。」

 

士織がそう答える。

 

「真那は偽物のナイトメアをぶっ殺した後の事ですね。

兄様が必死に訴えてくれた時に真那の手を握ってくれたじゃねーですか。

真那もその時に力に宿したそうです!」

 

真那も士織と似たような感じの様だ。

 

「それって、もしかして…あの時のか?」

 

「翔?」

 

「お前が女装した時に声かけて握手したろ?

確かあの時に妙な感覚があったなぁ。」

 

そう、翔も同じ条件で目覚めたのである。

 

「…俺にそんな力があるのか?」

 

「そ、それってさ!」

 

耶倶矢が目を輝かせる。

 

「私達もその力に目覚めるって事!?」

 

「名案。夕弦達も士道と同じ力が欲しいです。」

 

夕弦も乗っかかり、十香達も嬉々として近寄る。

 

「あー…それに関しては残念なお知らせだ。

目覚める資格があるのは『選ばれた人間』のみらしくてな。

耶倶矢ちゃん達が士道の影響で『ペルソナ使い』には目覚められないんだ。」

 

夢界の言葉を聞いて、精霊組はしょんぼりする。

中でも耶倶矢は特にしょんぼりする。

 

「とはいえだ。

耶倶矢ちゃん達にもペルソナの影響はある。」

 

「え?」

 

それがどう言う事なのか、疑問を抱くと、令音がある事に気がつく。

 

「…それは、シンの力で限定霊装から完全霊装にへと変化する事かい?」

 

「さっすが、令音ちゃん。

その通りさ。」

 

夢界はキーボードを操作してモニターに表示する。

 

「画面に改めて分かりやすくしといた。

見て分かる通り、ステータスが限定霊装の時よりも格段に上がって封印される前の状態に近い状態になれる。」

 

そう、それは美九の『天使』…破軍歌姫(ガブリエル)の洗脳によって四糸乃達が士道に牙を向けた時、運良くその影響から逃れた十香に士道が力を注ぐ様にしたのが例だ。

 

「うむ! あの時は何でも出来ると思ったぞ!」

 

「くぅ…なんか、窮地を救うヒーローみたいでズルいし!」

 

「む、む? 私は何か悪い事をしたのか?」

 

「え、あ、いや、何も悪い事は───」

 

「擁護。十香は何も悪くありません。

今のは耶倶矢の見苦しい嫉妬です。」

 

「ちょっ!? な、何もそこまで言わなくても…」

 

「嘲笑。やはり、耶倶矢を弄るのは楽しいです。

フフフ…」

 

「私で遊ぶなし!

と言うか夕弦! 折紙の悪影響を受けすぎだし!」

 

「困惑。一体何を言っているのでしょう。

夕弦はただマスター折紙からご教授を受けた事を活かしているにすぎません。

ニヤニヤ。」

 

「それ分かっててやってる事でしょうがぁぁぁ!!!」

 

いつの間にか双子によるコントが開催されていた。

 

「ハイハイ。2人の漫才は後で好きなだけやって頂戴。

今は大事な話の途中。」

 

琴里が手をパンパンと叩きながら静まらせる。

 

「それで…士道の『ペルソナ使い』にする力はまだ健在なのかしら?」

 

「ちょい待ってね…

うーん…いや、他に該当する者はもういないだろうってさ。」

 

「連絡取れてるの?

なら、直接話がしたいのだけど。」

 

「それが、基本的には向こうからしか連絡を受けられないのさ。

会話を返しても、最低限しか返事は返ってこない。」

 

夢界が証明する様にスマホを見せながら語る。

 

「…なんか、鬱散くさい話ね。」

 

「ま、要点を纏めるとだ。

一、士道には【破滅の運命】が待っていて、それを回避するためにも今後も俺や士織ちゃん達が助けるって事。

無論その過程には間違いなく、まだ見ぬ精霊に『ファントム』が絡んでいるのは間違いと俺らは踏んでいる。

二、士道の影響で『ペルソナ使い』を増やす事は現状ではない。

…そんな感じだな。

因みに、俺には『ペルソナ使い』の資質はないそうです!」

 

「あ、そう。」

 

「…もうちょっと、構って欲しいなぁ。」

 

トホホとワザとらしくするも、夢界は再びキーボードを操作する。

すると、モニターに士道達の写真とデータが映し出される。

 

「次は、士道達の『ペルソナ使い』としての力についてだな。」

 

夢界の言葉に琴里が疑問を問いかける。

 

「士道達の力は心の力を具現化させるモノなんでしょ?」

 

「それについては何も間違っちゃーいない。

ただ、もう一点。

摩訶不思議なそれぞれの色の『炎』についてだ。」

 

「それって、士道の『黒い炎』の事?

それとも『青い炎』の事?」

 

「…一応、両方だな。」

 

琴里の疑問に夢界はそう答える。

 

「まず、改めて俺の知っている事、理解している範囲を話す。

一つ、士道達『ペルソナ使い』にはアルセーヌといった『もう一つの自分』を歴史・神話における存在を己が化身として顕現させる事が出来る。

これは精霊における『天使』として捉えてもらって良い。」

 

士道は『アルセーヌ』…荒ぶる『蒼炎』を操る。

 

士織は『シュヴァリエ』…疾風の如き『烈風』を操る。

 

真那は『ランスロット』…蓄積する『紫毒』を操る。

 

翔は『セイテンタイセイ』…輝く『光球』を操る。

 

モニターにそう表示される。

 

「…それぞれバラバラなのね。

士道のアルセーヌやシュヴァリエはフランス出で、アルセーヌはフィクションの存在でシュヴァリエは実在したとされる人物。

ランスロットはアーサー王伝説、セイテンタイセイは西遊記で語られるフィクションの存在。」

 

「そうだ。ま、これらに関してはそれくらいだな。

そして二つ、『炎』について。」

 

士道は『黒』『青』

 

士織は『桃』

 

真那は『紫』

 

翔は『黄』

 

と追加で表示される。

 

「まず、率直に言うと『炎』は幻滅にはペルソナの本質の力ではないんだ。」

 

「え?」

 

士道はそう溢す。

 

「あぁ、じゃあお前達の『炎』とは何なのか。

それは…どうやら、士道。

お前の()()()()()()()()()()()()()()()()()()らしい。」

 

「は、反逆?」

 

「そうだ。恐らく、さっき言った【破滅の運命】に抗う力として生まれたのが偶然かそれとも必然としてなのか、それは正直に言えば分からない。

『あの人』が言うにはお前の『炎』の様に消えぬ強い意思が『炎』として現れたのではないかと言われてる。

他の3人はお前の影響で力を宿した。

だから、お前と並んで『ペルソナ』を含めそれぞれの色の『炎』を宿した。

と言う感じだな。」

 

「…必然とは?」

 

令音が問いかける。

 

「それは当然…琴里ちゃんの影響だろうな。」

 

皆が琴里にへと視線を向ける。

 

「わ、私?」

 

「士道が『ペルソナ使い』としてこの世界に初めて目覚めたのは3年前の出来事。

それ以前に士道には琴里ちゃんの霊力が封印されていた。

それはつまり───」

 

「私のお陰って訳ね。」

 

琴里がドヤ顔になる。

士道はそれを微笑ましい様な顔になり、それを見た琴里は次第にニヤニヤと自慢げに真那にへと視線を送る。

 

「良かったわねー。

私の! 影響で士道は力に目覚めて。

私の! 力があってアナタにも影響があって!」

 

琴里は二度も『私の!』を強調する。

 

「はあ? いやいや、それは偶々の偶然でやがりますよ。

どう考えたって、兄様と真那の遠くに離れていても消えることのない繋がりが『炎』として現れたんですよ!

兄様と! 強い! 繋がりが!

琴里さんはそれのまぁ…精々盛って軽く追い上げた程度ですよ。

やっぱり、真那と兄様の! 強い! 繋がりが!

『炎』になったんですよ!

いやー、夢界さんも琴里さんも分かっちゃいねーですねー!」

 

真那がやれやれとした顔で語る。

 

「へぇ…真那アナタ、良い妥協してるじゃない。

───後で目に物を見せてやるわ。

今のうちに首を洗っていなさい。」

 

「言ってくれやがるじゃねーですか。

その言葉、そっくりそのままにして返してやりますよ。」

 

ビリビリビリビリビリビリッッッッッッ!!!!!!

 

二人が目で火花を散らし合う。

この後が大変だ。

 

(お願いだから。

二人とも仲良くしてくれー。)

 

「あぁ…まぁ…2人の影響だねー。」

 

(夢界ナイス。)

 

士道と夢界は無言で頷き合い。

士道がグッと親指を立て、夢界もグッと親指立てて答える。

 

「いやいや、真那ですよ。」

 

「いえ、私よ。」

 

真那と琴里が圧をかける様に告げる。

 

「……話が脱線したな。話を戻そう。」

 

夢界と士道は逃げる選択をする。

しかし、逃た所で士道は逃れられないだろう。

 

「『炎』の特徴について。

『炎』には色ごとにそれぞれの特徴を持っている。

これまで俺が士道に士織ちゃんに真那ちゃんの3人のデータを取っていたのを考慮し、翔の取れた情報なども分析したのがコレだ。」

 

士道の『青』は()()()()()であり、その炎を浴びると、それが人や機械などには身体能力や機能を低下させる能力…『鎮静』。

 

士織の『桃』は()()()()()であり、その炎には催眠の様な性質があり、その炎の影響を受けると幻覚に縛られる能力…『幻惑』。

 

真那の『紫』は()()()()()であり、その炎には広範囲に影響を及ぼし、物質を増やす能力…『増殖』。

 

翔の『黄』は()()()()()であり、その炎は武器や物に爆発的な強化や回復させる能力…『活性』。

 

と細かく詳細が載っていた。

 

「…へぇ、成程ね。」

 

「良いなぁ…私も、こう言った能力欲しい…っ!」

 

「精霊の『天使』もかなりのものなんだけどね。」

 

精霊組がそんな会話をしていると、翔が夢界に問いかける。

 

「なぁ、士道の『黒い炎』は何なんだ?」

 

今度は士道にへと視線が行く。

 

「あー…それについてなんだが…

士道の『黒』については()()()()()()。」

 

「…どう言う事だ?」

 

「ある程度分かる所もあるが…根本的なのが分からん。

士道としてはどうなんだ?」

 

「そうだな…強いて言うなら、能力としては『侵食』…とか?」

 

士道は恥ずかしそうに頬を若干赤らめる。

 

「ほほう…その心は?」

 

「精霊の力に掛け合わせられるのは『黒い炎』だからな。

『青い炎』は上手く掛け合わせにくいし…その…『黒』は()()()()()で、シャドウを徹底的に燃えている所がそんな感じに思えてな。」

 

「ははん…ま、的は外れてないから良いんじゃないか?」

 

夢界が面白愉快な顔をすると、今度は真那が口開く。

 

「アルセーヌとは違う『炎』何ですか?」

 

「あぁ、それとは違うっぽいな。」

 

「じゃあ、兄様にはアルセーヌとは()()()()()()()()()()()()()()?」

 

[!]

 

「どうだろう…分からない。

アルセーヌ以外にペルソナを出さないしなぁ…」

 

「そうですか…まぁでも、流石は真那の兄様ですね!」

 

「…あ"?」

 

真那が自慢げに語ると、琴里が般若の様な顔をする。

琴里と真那が睨み合い、ギャーギャーとする中、士道の『黒』に関する答えは見出されなかった。

 

「ま、分からないこと考えても仕方ないし、とりま置いといて良いんじゃね?」

 

「そうだね。

士道くんは特別って事で良いと思う。」

 

「…そうだね。」

 

翔、士織、令音がそう答える。

 

「…だな。

んじゃ…そろそろ本題のDEMについてだ。」

 

夢界の言葉に皆が真剣な表情になる。

 

「先ずは一つ目はコイツ…これまでは機械生命体だとそのまま呼んでいた奴だが…

奴らの正式名称は『バンダースナッチ・デーモン』。」

 

「デーモン…悪魔か。」

 

「悪鬼とも呼ぶケースがあるがな。

まぁ、それについてはどうでもいいさ。

そんで…二つ目にそれについて見て欲しいのがある。

───こいつだ。」

 

モニターに映されたのは殆どがノイズで詳細のほとんどが塗りつぶされていた資料だった。

 

「何よ、殆ど見えないじゃない。」

 

「…そいつに関しては面目ないと思っている。

だが、見える範囲でだ…

『TYPE-Ⅰ』、『TYPE-Ⅱ』、『TYPE-Ⅲ』

デーモンのデータに連なり、強固なプログラムで内密にされていたものでな。

かなり物騒なもんらしくてな。

もっと…詳細を知りたかったが、ちょうどその頃には建物が大きく揺れていてな。」

 

「…俺のせいだな。」

 

夢界が言う中、士道が申し訳なさそうにする。

 

「…仕方のない事さ、シン。」

 

「その通りね。」

 

令音がそう語り、琴里もそれに頷く。

 

「…んで、唯一解析出来たのが『TYPE-Ⅰ』と呼ばれるモノの詳細だ。」

 

そこに表示されるのは『白い人型のロボット』だった。

他に特徴としては片腕にはサーベルの付いたアーム、盾の付いたアームが特徴だった。

 

「こ、これは…」

 

士道はそのロボットを見て体を震わせる。

 

「士道?」

 

琴里が士道に問う中、真那も体を震わせていた。

 

「兄様…分かりますか?」

 

「真那もか?」

 

「はい…これは───」

 

「「カッコいい機体だ(でやがります)。」」

 

若干恍惚した表情で兄弟揃ってそう告げていた。

 

「そんなん、どうでも良いでしょうが!!」

 

スパンッ!

 

何処から取り出したのか、琴里はハリセンで士道と真那の頭を叩いた。

 

「いや、士道や真那ちゃんの気持ちは分かる。

巨大ロボットは男のロマンだよな。」

 

「あぁ…分かる分かる。」

 

翔と夢界も語りながら頷き、他の男性クルー達も頷いていた。

 

「えぇ…」

 

「はぁ…」

 

令音を除いた琴里を含めた女性陣は溜め息を漏らす。

その中1人、士織が反応を示す。

 

「これ…私が遭遇したロボットだ。」

 

[!]

 

「5体のロボットが急に合体して、こうなったの。

今思えば、その5体は他の機械生命体…『デーモン』と違って異なる大きさと形をしていた。」

 

そう、士織の前に立ち塞がった『デーモン』が一体の『白い人型巨大ロボット』こそ、その資料に記されている『TYPE-Ⅰ』の正体である。

 

「士織、大丈夫だったか?」

 

「うん。私のペルソナ…『シュヴァリエ』で何とか倒したよ。

でも、かなり厄介な相手だよ。

一撃一撃が地形を容易に変える力を持っていて、ビームを直撃したらまず助からない。

…今思い返せば、一人で倒せたのが奇跡だったと思う。」

 

「そうだな…ここに記されている『TYPE』のシリーズ達は対精霊用の捕獲・討伐する『兵器』でな。

その力は折紙ちゃんが使用した『ホワイト・リコリス』。

後で話す『スカーレット・リコリス』。

この二つを凌駕する代物でな。

その戦闘力は精霊と互角以上らしくてな。

…コイツを生み出すのに多くの魔術師(ウィザード)…いや、人間の犠牲となっている。」

 

夢界の言葉に全員が驚愕する。

 

「…アレよりも厄介とはね。

考えたくもなかった事実ね。」

 

「…僕、よく倒せたって思うよ。」

 

《あ、そうじゃん!

士織ちゃんが倒せてなら、他のも倒せられるんじゃない?》

 

よしのんがそう語る。

 

「…恐らく、士織ちゃんが対面した『TYPE-Ⅰ』は試作品程度の代物だろう。

もし、完成された代物なら士織ちゃん一人でも倒せないのは明白。

…最悪、ここにいなかっただろうな。」

 

「…」

 

士織は改めて身震いする。

その士織に士道が優しく肩を叩く。

 

「大丈夫だ。今度は俺が、皆んながいる。」

 

「…うん!」

 

士織の震えが収まる。

 

「んじゃ、三つ目…『アンプル』。」

 

モニターに『緑色のアンプル』『黒いアンプル』が映る。

 

「士道達は既に会っているだろう?

シャドウを取り込んだ人間達を。

その原因となるのが、この『アンプル』。」

 

士道達は険しい顔つきになる。

 

「あ、あの気味の悪い生命体が『シャドウ』って言うんですよね?

アレを取り込んだ…って。」

 

「言葉通りさ。」

 

美九の疑問に夢界は答える。

 

「『アンプル』はシャドウを液状にした物だ。

それを人間…強化人間とも呼べる魔術師にシャドウと融合させる事で『黒魔術師(シャドウ・ウィザード)』となる。

『緑のアンプル』がそれに該当する。」

 

『黒魔術師』の戦闘力はこれまでの魔術師とは比べ物にならないだろう。

 

「そして、『黒いアンプル』は更に悪化とも呼べる『進化』となる物…

真那ちゃんが遭遇したジェシカ・ベイリーが『化け物』にへと成り果ててしまった姿がそれに該当する。」

 

真那が表情を曇らせる。

 

「真那…大丈夫か?」

 

「大丈夫です、兄様。」

 

士道に声かけられ空元気で笑顔になる真那。

 

「アレに関するデータはない。

…だが、真那ちゃんから知り得た情報では桁外れの戦闘力へと上がる。

油断ならないって話だ。

俺の読みではそれに耐えれる人材はそうはいない。

ジェシカ・ベイリーも魔術師の中では優れてる方だが…今回は『スカーレット・リコリス』と呼ばれる『ホワイト・リコリス』に匹敵する兵器と融合する形で無理矢理に行わせたんだろう。

だから、『黒いアンプル』で立ち塞がる敵は少ないと考えてもいい。

…しかし、人体実験を平気で行う連中だ。

意地でも使用して来るケースも考えられる。」

 

士道達に緊張感が走る。

 

「…以上だな。

とはいえ、他にも気になる点はある。

士道が戦ったエレン・メイザースが使用した『ロンゴミニアド』。

謎の妨害電波とかな。」

 

「『ロンゴミニアド』ってよ、ゲームとかである。

あの『ロンゴミニアド』か?」

 

翔がそう呟く。

 

「えっと…確か、アーサー王伝説に出て来る槍?」

 

耶倶矢がそう答える。

士道達の中で一番と呼べるゲーム好きの耶倶矢であるから、そう言った多少の知識があるのだろう。

 

「あぁ、その通りだ。」

 

「よく知ってるわね、耶倶矢?」

 

「ふふん、我が闇世の叡智を持ってすれば、容易い事だ。」

 

「指摘。耶倶矢はゲームなどで知ったのを語ってるだけです。」

 

「ちょっと夕弦!」

 

「だよなぁ、俺もそれで名前くらい知ってるレベルだし。」

 

そんなやり取りを見て、軽く微笑みながら夢界は語る。

 

「あぁ、『ロンゴミ二アド』。

アーサー王が使用したとされる伝説とされる『宝具』。

『宝具』とは『ペルソナ』と同様、伝説や伝承に語られる代物だ。」

 

「まさか、そんな物が実在するとはな。」

 

「実際に精霊や顕現装置(リアライザ)と呼ばれる『魔法』に近い技術があるんだ。

お前らの『ペルソナ』だってそれに等しいモンだ。

…問題は何故その代物を敵は有しているかだ。」

 

「…アーサー王の末裔とか?」

 

「或いは黒魔族とかかな?」

 

「てか、何でもありだな。」

 

「きっと、悪趣味なあのクソ社長の事です。

碌でもねー手段で作り上げた代物でやがりますよ。」

 

ペルソナ使い組みはそう語り合う。

艦内の者達も腕を組み考える。

 

「むー、さっきから色んなのが出てきてややこしいぞ…」

 

《だよねー、情報量が多すぎるよー。》

 

「……む、難しい…です。」

 

「フッ…我が闇世の叡智があれば造作もないぞ。」

 

「苦悩。何とか話について行くので大変です。

後、耶倶矢は見栄を張っているだけです。」

 

「ああん、勉強の類は苦手ですぅー。」

 

ここまでの話を完全に理解するのには時間を有するだろう。

 

「そうだな。」

 

「そうね。話は一旦、ここまでにした方が良いわね。」

 

琴里が手を叩いて切り替えをさせる。

 

「お腹も空いてきたわね。

士道、直ぐに夕飯を作りに行きなさい。」

 

「ん、ああ。」

 

士道も情報を何とか整理しつつも、夕飯の事で一旦切り替えようとする。

 

「おおー! 沢山の事を聞いたからな、一杯食べるぞー!」

 

「ですねー!

真那も兄様の手料理が楽しみでやがりますよ!」

 

「ああ。任せとけ。」

 

士道は転送装置にへと足を運ぼうとする。

 

「令音。アナタも来ておきなさい。

難しい事は一旦後にしておきましょう?」

 

「…あぁ、そうだね。

シン、よろしく頼むよ。」

 

「はい!」

 

「じゃあ、私も手伝うよ!」

 

士織も士道に着いていく。

 

「おお! それは名案ですね!

士織さんの料理も美味ーんですよ!」

 

「そうなのか!

それは楽しみだな!」

 

真那の言葉に十香は大はしゃぎをする。

 

「じゃあ、一緒に頼む。」

 

「うん! 任せて!

これからは()()の僕が手伝うからね♡」

 

ウィンクしながら爆弾発言を落とす。

 

「え?」

 

士道なポカンとした反応をする。

 

「ちょっと待ったあぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

琴里がキレる。

よく見れば、言葉の意味を理解していない十香と四糸乃を除き、耶倶矢と夕弦は驚愕し、美九は「あらぁー?」と反応する。

令音はと言うと、握っていた端末を握力で壊しかけんと強く握り締めていた。

 

「それ、どう言う事よ!!

聞いた事ないわよ!!」

 

「あれ? 聞いてない?

私のお母さんと士道くん達のお母さんは同級生で、私が海外に引っ越す前にそう言う話をしたって言ってたよ?」

 

「「ええ!?」」

 

士道と琴里が驚愕する。

 

「あれ? 琴里さんは知っていなかったんですか?

そんなのを知っていないとは、妹序列は私よりも下ですねー。」

 

「ざっけんじゃないわよ!!

てか、それどころじゃないわ!!

士道!! ど・う・い・う・こ・と・よ!!!」

 

「いや…俺も、知らない…」

 

士道がそう言うも、琴里に怖い表情にビクッとなる。

 

「…シドー、それは一体どう言う意味だ?

よく分からんが…凄く、凄くムカムカするぞ…っ!」

 

「士道…さん。」

 

《こりゃ…尋問かなぁー?》

 

「士道よ、どう言う事であろうな?」

 

「推奨。全て白状して下さい。

しなければ夕弦は容赦しません。」

 

「うふふ…だーりんと許嫁なんてずるいですぅ。

これはだーりんと士織さんの体を隅々と聞くしかないですぅ。」

 

若干1名を除いた精霊組が怖い顔をして迫る。

 

「いや…俺は…」

 

「……シン。詳しい事を聞かせてもらおう。」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッ!!!!!

 

と、猛烈な嫉妬のオーラを放出する令音であった。

 

「あのぉ…皆んな?

令音さんも、そんな…怖い顔をしないでぇ…」

 

そんな士道に───士織は火に油を注ぐが如く腕に胸を当て、体を強く密着させる。

 

「これからよろしくね♪ 士道くん♪」

 

その一言共に新たな幕を開ける。

 

 

 





・あー、予想よりも長くなった。
これでも大分会話を短縮させました。
…シナリオを作成する人って凄い。

・一先ずある程度は纏めてみた感じです。
更に詳しい詳細はこの後の【キャラ紹介編】をお楽しみにー。

・次回が【キャラ紹介】となりますので、ここで次章の予告となります。
それでは…どうぞ。




















「何処までも、一緒に行くよ。」

羽伸ばしに訪れる再度の南国。

安息の地と油断した矢先に敵の姿が現れる。

悪意に満ちるその男の全貌は如何に。

第九章 士織編
繋がる花:レディ

───大丈夫、俺がついている。


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