デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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士道
「巌窟王モンテクリスト…カッコ良すぎない?」

真那
「ですよね! 兄様!」

士道
「あぁ。特に第二再臨は特に良い…っ!」

真那
「第一のシンプルな格好も良き!
第三の覇王を思わせる姿が実に厨二心をくすぐります!」

巌窟王
「………フッ。」

士道&真那
「「!?」」





第四話:潜入

 

 

 

「…こ、ここは?」

 

琴里は目を覚ます。

目の前に広がるのは暗闇の中、自身は謎のガラスに覆われたカプセルに囚われている有様だった。

 

「…確か、テーブルに食事を置いて…

士道や真那がいない事に気づいて…

そしたら、雨宮士織や天宮翔太もいない事に気づいたら…

急に…上からガスが…」

 

「ほう。

幼いながらに覚えが良さそうだな。」

 

「…!?」

 

琴里は頭痛が襲う中、自身に何があったのか分析していると、途端に謎の人物が声掛けてきた事に驚く。

 

「失敬。

初めましてだね、〈イフリート〉。

私はマリス。マリス・エンワードだ。

以後、お見知り置きを。」

 

ニコッと不気味なオーラを纏う男の笑みに琴里は何処か背筋を凍らせる。

 

「……それはどうも。

私の『精霊』としての識別名を知っているって事はDEMインダストリーの人間って事ね。」

 

「…」

 

マリスは目を細めて顎に手をやり、さすり始めた。

 

「……あぁ、そうだとも。

とはいえ、DEMの事をかなり知っているとお見受けする。

見たところ、キミはまだ幼いだろう。

…博識なのは実に厄介だな。」

 

「あら、敵の事を把握しておくのは淑女の嗜みとして当然の事でしょ?

幼く見えるからって、レディを下に見ると痛い目に遭うわよ。」

 

「そうか…それは失礼した。

───が、キミは自分達の置かれた状況をもっと理解しておくべきだ。」

 

パチン!

 

マリスは指を鳴らすと、部屋の照明がつく。

突然の光に目を凝らすも、周りの光景に琴里は驚愕する。

 

「コレは!?」

 

自分を閉じ込めているカプセルから謎の機械へと繋がれており、如何にも不味い状況なのが分かる。

加えて───

 

『琴里! 琴里!』

 

『うぅ…ひぐ…よしのん…』

 

『な、何だしこの状況!』

 

『抵抗。夕弦達を解放してください!』

 

『だーりん! だーりん…っ!!』

 

「皆んな!」

 

琴里以外の精霊達も琴里同様にカプセルにへと閉じ込められていた。

…ただ、琴里と違って声が聞こえにくかった。

 

「あぁ、キミ以外の者達は話が全く通じなくてね。

日本語は日常レベルで話せるのだが…

想像以上に話が噛みわなくてね。

〈プリンセス〉、〈ベルセルク〉、〈ディーヴァ〉に問いかけても警戒されすぎて質問に碌に答えない。

おまけに〈ハーミット〉は何か呟き始めたら泣き喚くと…

正直、目障りでしかない。

本当にこんな低知能な餓鬼共に我々が苦戦しているとは思えないものだが…」

 

マリスは溜め息を吐きながら、嘆かわしいと頭を抑える。

この男、十香達を『低知能』と馬鹿にし、見下していた。

 

「はっ!

お生憎様、アンタみたいな女を見下ろすクズなんかに皆んなが答えるわけないでしょ?」

 

「…やれやれ、キミも私の質問に答えてくれないのか。

キミは知恵がある分、まともだと思っていたのだがな。

〈ルパン〉…いや、五河士道だったか?

あんなパッとしない小僧の悪影響を受けたせいなのかな?」

 

「…ッ!!」

 

琴里は大好きな士道(おにーちゃん)を馬鹿にされ、マリスを強く睨む。

 

「ははは…冗談だ。

だが、キミには少し話に付き合ってもらうよ。

…正直に答えてくれないのならば───」

 

再び指を鳴らし、モニターが降りる。

すると、そこに映し出された映像には檻の中に幽閉されている令音、夢界、折紙の姿があった。

…オマケに令音の膝にはよしのんの姿があった。

 

「令音! 夢界!」

 

「キミの大切な友人達だろう?

安心したまえ、彼等は檻に入れているだけで()()()は手を加えていない。」

 

「…ッ!」

 

琴里は激しく動揺する。

 

『今の所は』…この言葉から、どういう意味を含んでいるのかが分かる。

十香達を見下した口調に士道を馬鹿にする事から、この男なら平気で人を傷つける事をする最低な奴だと理解できてしまう。

 

「フフフ…」

 

マリスは悔しそうにする琴里を見て嘲笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

「システムの損傷!」

 

不可視迷彩(インビジブル)で姿を隠しているのに敵襲だなんて!!」

 

クルー達が慌てている。

 

「皆さん、落ち着いて対処をしましょう。」

 

艦内が赤く染まり、警報アラームが鳴り響いていた。

クルー達は血相を変えて、非常に危険な状態であった。

 

「し、しかし!

突然のフラクシナスに謎の襲撃ですよ!?

それも、メインルームを襲撃されてしまった際か、現在このフラクシナスの操縦が不安定!!

このままでは墜落の恐れがあります!!!」

 

中津川がフラクシナスの現状を解説し、クルー達全員の顔色が青くなる。

墜落してしまえば高確率で命を落としてしまうからだ。

 

「いえ、だからこそです。」

 

神無月が真剣な表情で手を叩き、クルー達を落ち着かせる。

 

「…少しは落ち着いた様ですね。

よろしい。

確かに、今現在我々は謎の襲撃によりこのフラクシナスのコントロールが不安定に陥り、とても危険な状態です。」

 

「で、でしたら───」

 

「ならばこそ、落ち着いて対応していきましょう。

それに、直ぐに墜落する事はありません。

───このフラクシナスはラタトスク機関が様々なシステム、機材、人材によって生み出された最新鋭の空中艦。

DEMインダストリーの技術を凌駕する性能を誇っており、様々なアクシデントに対処できる様にプログラムされています。

無論、この事態に対しても想定済です。」

 

神無月が副司令として本領を発揮する。

 

「総員、落ち着いてシステムの安定と復旧に向けて作業を行なって下さい。

慌てても現状は変わりません。」

 

[は、はい!]

 

「それから、顕現装置(リアライザ)の復旧を優先にして下さい。

それさえしてくれれば、私も本領を発揮できます。」

 

神無月がキリッとした顔でそう告げる。

彼の強さは顕現装置の技術操作。

顕現装置をフルに活用出来れば、この現状を乗り越えられるだろう。

 

「さて…

前の一件も踏まえて、どうも我々は少し弛んでいる所がありますね。

この際に気持ちを切り替えていきましょうか。

───あ、でも。

命の危機って、中々ゾクゾクしますよね〜。」

 

…所々で本来の変態(神無月)が出てくる。

それによって、クルー達は少し余裕が生まれたのか溜め息を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて…」

 

クルー達が作業をしている中、神無月は一人である場所へと向かう。

その部屋に入ると、強い風が神無月を襲う。

 

ギシッ!ギシッ!

 

金属を打ち破る様な音が鳴り響く。

 

「困りますね。

この美しい『世界樹の葉(ユグド・フォリウム)』に傷をつけるとは…

全く、実に許し難い。」

 

そう言うと、神無月はヘッドホンを付けて連射銃を手に持ち、顕現装置である端末機が宙に浮かぶ。

 

「さて、皆さんが手を動かしている間に私は私でやれる事を確実に遂行しましょう。

本来、攻めるのは好きではありませんが

───私しか、アナタ方の相手を出来る者がいませんからね。」

 

神無月は連射銃を構え、音が鳴り響く所へと銃口を向ける。

そして、次第に音や風が更に強くなり、穴が開く。

穴から怪しい赤い眼光が光り輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだな。」

 

ホテルから離れた場所にて、敵の本拠地らしき場所…

崖に囲まれた施設に来た〈士道(ルパン)〉達。

 

「…まぁ、当然だが見張りはいるよな。」

 

翔太(キッド)〉の言う通り、入り口に人影が見られる。

 

「数からして3機…

カメラの位置も把握…

いつでも行けます、兄様。」

 

「よし。

出来るだけ、音を立てずに敵を処理するよう。

…俺がカメラ細工をかける。

そしたら、3人が直ぐにあの3体を倒してくれ。」

 

「「「了解(でやがります)!!!」」」

 

士道が素早く行動する。

隠蔽工作(フェイク)』を使用し、足跡を立てずに入り口にあるカメラ付近まで近づく。

皆に分かるように鏡を用いて合図を送る。

 

『やるぞ。』

 

インカムからの士道の声に3人は頷き、臨戦態勢になった。

 

士道(ルパン)〉が手元から黒い霧…『黒の絶霧(ブラック・ミスト)』で辺り一帯を覆い尽くす。

 

3体の人影…『バンダースナッチ』を3人は素早く処理する。

 

「はぁ!」

 

「フッ!」

 

「オラ!」

 

バンダースナッチの頭部を破壊し、再起不能にする。

 

「よし。」

 

士道が3人の所にへと降り立つ。

 

「ナイスだ3人共。」

 

「これくらいやれて当然だよ。」

 

「ですね!」

 

「だな。」

 

「そうだな。

…この『黒の絶霧(ブラック・ミスト)』でジャミングしている間に侵入するぞ!」

 

「何処から入るんだ?」

 

「通気口だ。」

 

「「ええ?」」

 

士道(ルパン)〉が指を差し、〈士織(デオン)〉と〈真那(ドリス)〉は驚く。

 

「時間がない、行くぞ!」

 

「ま、待って!」

 

士道(ルパン)〉の後に3人は慌てて着いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…皆んな、気をつけろ。

ここはもう敵のテリトリーだ。」

 

通気口を通って潜入している〈士道(ルパン)〉達。

 

「ったく、お前結構無茶な事を言うよな。」

 

「わ、悪いとは思ってるよ。」

 

「…にしても、野郎のケツの後について行くってのが泣ける。

真那ちゃんの後について行きたか───ぐへぇ!」

 

翔太(キッド)〉が欲望垂れ流した発言に〈士道(ルパン)〉が後ろに蹴りを入れる。

…蹴ったり、悲鳴に音がバレる可能性高いのだが、運が良く何も無かった。

 

「…我慢してよね、私はキミの後ろにいるわけだけど。」

 

半眼で溜め息が籠った声で反応する〈士織(デオン)〉。

 

因みに今通気口内での順番は

 

士道(ルパン)〉『前』

翔太(キッド)

士織(デオン)

真那(ドリス)〉『後』

 

…という感じである。

 

「ヘイヘイ。」

 

…敵陣地だというのに緊張感のない会話をしていると───

 

「止まれ。」

 

「「「!!!」」」

 

士道(ルパン)〉の言葉に3人は真剣な顔になる。

 

士道(ルパン)〉が止まった理由、それは───

 

 

 

 

 

「お疲れ、交代だ。」

 

「あぁ。んじゃ、頼むわ。」

 

「…それにしても、精霊を6人も捕えたって本当か?」

 

「みたいだな。正直拍子抜けだよ。

人様に迷惑かける災害共が食事中に睡眠ガスで一網打尽とか笑えるって話だ。」

 

「こんな連中に苦戦しているASTの女達は何をしているんだかな。」

 

「話によれば、そのASTの女が1人紛れていたって話だぜ。」

 

「本当か?

どういう状況だよ?」

 

「さぁ…

それで、精霊に加えて一般人達も捕らえたんだが、目撃した全員では無い事が判明して、急いで探しているって聞いたな。」

 

「そうか。

どうせ、簡単な罠に引っ掛かる連中達だ、直ぐに捕まるだろう。」

 

「そうだな。

…にしても、捕らえた一般人の女の1人が中々のモンだったわ。

目に隈があって、少々アレだったが…

後でお相手してもらえないもんかねぇ。」

 

「おいおい。」

 

「ま、一先ず交代だ。

『教授』に頼まれた事があるんだ、さっさとやらないと。」

 

「そりゃ、マズイな。」

 

 

 

 

 

研究員達の会話を聞いていた。

そしてその会話が終わり、部屋から退出して行く研究員の一人。

 

「…」

 

士道は全身から静かな殺気が漏れ始めていた。

 

(…落ち着け、落ち着くんだ俺。

平常心平常心。

バレたら潜入が台無しだ。

…でも、許せない。

十香や琴里達をあんな風に言いやがって…

しかも、令音さんに対して気持ち悪い事を思いやがって…っ!!)

 

「「「…」」」

 

士道(ルパン)〉の静かな殺気のオーラは後ろの3人に伝わっており、何があったのか気になるも、状況が状況の為に問い出せなかった。

 

(……部屋にはクズ研究員が一人。

他に障害となる物は無い。

それと、この部屋に入る際、カードキーの様な物を使用していた。)

 

士道(ルパン)〉は心の中でメモを入れながら、音を立てずに通気口のダクトのネジを緩めていく。

そして、ネジを全て取り外して静かに行動していく。

降りた時も音を立てずに完全に暗殺者の様な動きをしている。

…先程の会話から途轍もない怒りを抱いているのに殺気漏らさず、ピッキングを行う技術。

ここまでやる所業、彼は規格外の才能を発揮していた。

 

「んぐ!?」

 

透かさず令音に下心を抱いていた研究員をじわじわと強めに首絞めて、口から泡を吹き出して気絶した。

 

「…よし。」

 

低い声と共に懐から素早くカードキーを取り上げて、通気口の〈翔太(キッド)〉へと声をかける。

 

「お、おう。」

 

若干引き気味の声と共に〈翔太(キッド)〉は出来るだけ音を立てずに通気口から向け出そうとしていた。

 

「…」

 

無論、その間に〈士道(ルパン)〉は壁に寄り添い、注意を向けていた。

 

「ふう。」

 

「やれやれです。

…それにしても、この研究員…随分と苦しそうにしてますね。」

 

「…ソ、ソウダネ。」

 

「弛んでるからじゃない?

まぁ、相手が士道くんだから当然だけど。」

 

「…ソダネ。」

 

事情を把握…見ていた〈翔太(キッド)〉は適当な返事をしていた。

 

「行くぞ。」

 

士道(ルパン)〉の声に3人は頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…この先か?」

 

士道(ルパン)〉は少し大きめの扉を見ながらそう呟く。

 

「その可能性は高そうだよね。

その他の部屋は大して変わらなさそうな所だったし、他に階段やエレベーターといった移動先は見当たらなかったし。」

 

「ですね。

ただ、油断せずに行きましょう。

明らかに大きすぎる扉なので、誰かがいるかもしれません。」

 

「真那ちゃ…〈真那(ドリス)〉ちゃんの言う通りだな。

コソコソ警戒しながら動いてたけど、この辺りは人が少なかったからな。

警備員みたいな奴がいるかもしれない。」

 

「…中に入ったら素早く周りの警戒をとろう。」

 

士道(ルパン)〉の言葉に3人は頷く。

 

そして、〈士道(ルパン)〉はコードキーを扉のパネルにスキャンして扉を開けた。

 

士道(ルパン)〉達が入った部屋は至る所に大きめの物資が置かれている広い場所だった。

 

「…倉庫なのか?」

 

「見渡した限りではそうだな。」

 

士道(ルパン)〉と〈翔太(キッド)〉が会話をしていると、

士織(デオン)〉はある半開け状態の物資の箱に気づき、そっと箱を開ける。

 

「こ、これって…っ!」

 

「ど、どうしやがりました?」

 

「これ…バンダースナッチだよ!」

 

「「「!?」」」

 

士織(デオン)〉の言葉に〈士道(ルパン)〉達は驚愕する。

すると突然───

 

「うわっ! 眩しっ!」

 

倉庫の照明が一斉に輝き出した。

 

「ブッハハハハハ!!

よく来たなぁ、ネズミ共ォ!」

 

声のする方に一斉に視線を向ける。

 

そこにいたのは大柄の図体のデカい男だった。

上半身の上部分を鎧の様なものを装着しており、片手には耶倶矢の槍と同等の大きさの槍を携えていた。

 

「だ、誰だ!?」

 

「ブッハハハハハ!!

俺か? 俺様こそ、『教授』よりこのフロアの警備を任されている『デンドロ・キラム』様だ!!」

 

デンドロ・キラムを名乗る巨漢は大声で叫びながらそう告げた。

 

「声がデカいな…

追手が来ないか心配だ。」

 

「増援の音は…しないな。

多分、大丈夫じゃないか?」

 

「そうか。」

 

…運が良いのか、扉から増援の様子は無さそうだった。

 

(それにしても、『教授』。

さっきの研究員共もそう言っていたな。

聞いている限り、ここのトップという所…

つまり、ソイツによって十香達や令音さん達は連れてかれたのか…っ!

そう考えればかなり厄介な相手だな…っ!)

 

士道(ルパン)〉が考え事をしているとデンドロは更に口を開く。

 

「ブッハハハハハ!!

安心しろ!

貴様らなんぞ、俺様1人で十分だ!

それに、俺様が呼んでも誰も来た事なんてないからな!」

 

「それって、単に五月蝿いせいで避けられてるんじゃ…」

 

「多分、日頃から五月蝿いんだろうな。」

 

士道(ルパン)〉と〈翔太(キッド)〉が冷静にツッコミを入れてると、

真那(ドリス)〉が何かに気がついた。

 

「デンドロ・キラム…

!? 思い出しやがりました。

コイツは『一番槍』という異名を持つ脳筋野郎ですよ。」

 

「だろうな。」

 

「そうだよね。」

 

「…でも、威勢は良いだけで、人の話を碌に聞かず、実力不足な故に総合的な実力は低く。

顕現装置を上手く扱えきれない上に周りから見下され、挙句に戦場には出されず半壊した場所での運び屋にされていた筈です。」

 

「誰が運び屋だ!

…んん?

オメェ、まさかアデプタス2か?

───ブ、ブッハハハハハ!!

噂は本当だったのだなぁ!

しかもなんだその格好は?

DEMインダストリーから離反したと聞いたが、まさかこんな女ったらしい格好してよぉ!

がーはっはっはっはー!!」

 

巨漢のデンドロは真那の姿を見て馬鹿にするように高笑いを上げる。

真那(ドリス)〉は特に何も気にせず…というか相手にすらしてなかった。

 

しかし…そんなデンドロに〈士道(ルパン)〉は───

 

「…あぁ?」

 

さっきまでの雰囲気とは打って変わり、額に血管を浮かび上がらせていた。

 

「おい、オッサン…

俺の可愛い妹を笑いものにしてんじゃねぇよ。

その五月蝿い口を黙らせてやる…っ!」

 

士道(ルパン)〉はデンドロへ向けて歩きながら赤い手袋をはめ直す。

 

「がーはっはっはっはー!

お前みたいなヒョロい奴にこのデンドロ様が負ける訳が

───ぐべらっ!!」

 

デンドロは喋ってる最中に腹をを殴られて吹き飛ばされる。

 

「ぐっ…!

き、貴様ァ…この俺様を殴り飛ばすとは良い度胸

───グホォッ!」

 

「こいつで終いだぁ!」

 

士道(ルパン)〉は『鎧腕』を展開させており、それでデンドロを殴り飛ばしていた。

そして、デンドロは再度〈士道(ルパン)〉の強烈な攻撃を受けて大きく吹き飛んだ。

 

「ふう! 良いパンチするじゃねぇか!」

 

「ああ。」

 

「兄様、真那は全く気にしてねーので大丈夫なのですが…」

 

「俺が許せなかっただけだ。」

 

「そ、そうですか。」

 

真那(ドリス)〉は頭を撫でられ、頬を赤く染める。

 

だが───

 

「こんのクソガキャァ!!」

 

デンドロはしぶとく、立ち上がった。

 

「…あの人、あんなに殴られたのにまだ立ち上がってる…

どうやら口だけじゃないみたい。」

 

「ちぃ…」

 

「ぶっ殺してやる!

こい、『雷槍(マルテッロ)』!!」

 

デンドロは顕現装置を起動させ、電流を纏っている槍を構えた。

 

「槍までデカいな。

オマケに電流まで流れてる…

気をつけて行くぞ!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

「おう!」

 

士道(ルパン)〉の言葉に〈士織(デオン)〉達も武器を構える。

 

「…っと、やはり音が響くのは困るよな。

───そうだ。力を借りる、美九。

破軍歌姫(ガブリエル)』───『(カーム)』!」

【ワッ!!!】

 

美九の『天使』…『破軍歌姫(ガブリエル)』の力によって霊力を籠った声が倉庫全体にへと響き渡り、音の壁の様なのを作り出した。

 

「これで戦える。」

 

士道(ルパン)〉の新技に〈士織(デオン)〉達は賞賛の笑みを浮かべるも、敵は止まらない。

 

「くらいやがれぇぇぇ!!」

 

咆哮と共に真っ直ぐに突進するデンドロ。

 

「フッ。」

 

それを華麗に躱す〈士道(ルパン)〉達。

 

「くらえ。」

 

「グアッ!」

 

黒の咆哮(ブラック・ロアー)』でデンドロを攻撃し、まともに受けたデンドロは怯みながらも反撃しようとする。

 

「クソがぁぁぁぁ!!」

 

「今度はコッチ! ───せや!」

 

「ガァァァッ!!」

 

士織(デオン)〉の『桃の炎』を灯したレイピアの突きでデンドロを盛大に吹き飛ばした。

 

「ふぅ…これで良しかな。」

 

「おう、お疲れさん。

いやー、俺の出番無かったなぁ。」

 

「体力は出来るだけ温存しておくべきですよ。」

 

「そりゃそうだね。」

 

「…ただ、音を立てすぎたので増援が来るかもしれねーです。

さっさと、行きましょう。」

 

「うわっ、そりゃヤバいな!

おい〈士道(ルパン)〉、早く行こうぜ!」

 

翔太(キッド)〉が呼びかけても〈士道(ルパン)〉は動かず、警戒を向けていた。

 

「どうしたんだよ。」

 

「待て、まだ終わっていない!」

 

「「「!?」」」

 

吹き飛ばされ、煙が上がっている所から大きな人影…

デンドロがボロボロになった姿で首に注射器を当てようとしていた。

 

「クソガキ共がァ!

俺様の真の力を…『教授』に授けられた選ばれし力を見せてやるっ!」

 

「おい、アレって!」

 

「何かしようとしてる!」

 

「アレは…ジェシカの時と同じ感じ…っ!」

 

真那(ドリス)〉は一度見ている。

それ故に剣を引き抜こうとするも、時は遅し。

 

デンドロは注射器を首に刺し、『黒いアンプル』を投与する!

 

「グゥ…グゴアァァァァァ!!!!!」

 

デンドロの姿がみるみる変わっていく。

 

全身が一回り大きくなって、全長約6メートル

 

四足歩行となり

 

腕や脚が変貌し、身体全体が獣の様な毛皮に包まれ

 

顎も骨格が変わり、大きな牙が生え

 

その姿形はまるで『猪』

 

デンドロは獣の異臭と悪臭を放つ、『猪の化物』へと変貌を遂げてしまった。

 

ブッオォォォォ!!!

 

「お、おい…

結構不味いんじゃねぇの…?」

 

「アレは…まさか。」

 

「はい、以前に夢界さんが語っていたやつです。

あの()()()()…恐らく例の『黒いアンプル』でしょう。

ジェシカも…アレによって人ならざる姿になっちまいました…っ!」

 

「アレが…そうなのか…っ!」

 

「人を…あんな化物に変えるなんて…っ!」

 

士道(ルパン)〉達が戦慄しているものの、デンドロ…

いや、『猪の化物』は止まらない!

 

ブッオォォォォ!!!

 

「来るぞっ!」

 

『猪と化物』は牙に電流を走らせ、〈士道(ルパン)〉達へと凄まじい突進を仕掛ける。

 

「うお!? は、早ぇ!?」

 

「ならば!」

 

士道(ルパン)〉が『猪の化物』へと再び『黒の咆哮(ブラック・ロアー)』で攻撃するも…

 

ブオォォォォォ!!!

 

黒の咆哮(ブラック・ロアー)』を電流の牙で薙ぎ払った。

 

「そう簡単にはいかないか!」

 

「先程とは段違いにパワーが上がってます…っ!」

 

「…ならここは、私が倒す!」

 

士織(デオン)〉が再び『桃の炎』を纏った一撃を『猪の化物』へと仕掛けるも───

 

ブオォォォォォ!!!

 

それをパワーで簡単に弾き、〈士織(デオン)〉を吹き飛ばしてしまった。

吹き飛ばされた所へ〈士道(ルパン)〉が駆けつける。

 

「うぐっ…!」

 

「〈士織(デオン)〉! 大丈夫か!?」

 

「……うん、大丈夫。

軽くダメージが入ったくらい。」

 

ブオォォォォォ!!!

 

「くっ…」

 

『猪の化物』は咆哮を上げながら、〈士道(ルパン)〉達にへと今度は電流を浴びた突進で突っ込んで来た。

士道(ルパン)〉は『鎧腕』に力を込めようとすると───

 

「そうはさせるかよ!」

 

翔太(キッド)〉が二人の前にへと立ち塞がり、拳に『黄の炎』を強く輝かせていた。

 

「『太陽の剛拳(サンシャイン・バスター)』!!!」

 

拳を放ち、太陽の様な波動拳が『猪の化物』へと当たる。

 

ブオォォォォォォォォ!!!???

 

『猪の化物』が先程よりも声を荒あげる。

恐らく、効いている証拠だろう。

 

「助太刀します!」

 

真那(ドリス)〉も〈翔太(キッド)〉に並び、

傘(鞘)から剣を引き抜き、『紫の炎』を纏い、足を前に踏み出し、剣を振り上げながら『炎』を燃え上げらせた。

 

「陽炎!」

 

炎を纏った大ぶりの溜斬りが『猪の化物』へと被弾する。

 

オォォォォオォォォォ!!!???

 

「き、効いてる!

うおぉぉぉぉぉ!!!」

 

「はあぁぁぁぁぁ!!!」

 

2つの『炎』が『猪の化物』を徐々に…徐々にと弱らせていく。

その様子を見ていた〈士道(ルパン)〉は行動に出る。

 

「士織…行ってくる。」

 

「え…う、うん。」

 

士道(ルパン)〉の決心した声と表情に〈士織(デオン)〉は頷く。

 

士道(ルパン)〉は『鎧腕』の状態で拳を強く握り締める。

 

(ラヴェンツァは言っていた…

一度、『死』を体験した故に力が強くなっているって…

なら、俺にだって翔に負けないパワーを引き出せる筈!)

 

拳から…『鎧腕』全体から『黒い炎』を灯す。

それにより、()()()()()を一層強く放出させる。

 

「行くぞ…っ!!」

 

「お、おい! 士道!?」

 

「に、兄様!?」

 

士道(ルパン)〉の行動に〈翔太(キッド)〉と〈真那(ドリス)〉は驚く。

だが、〈士道(ルパン)〉は『猪の化物』にへと駆け出す。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

『猪の化物』の頭上にへと迫り、拳を振り下ろす!

 

「『黒の閃光(ブラック・アッシュ)』!!!」

 

凄まじい『青黒い閃光』が空間を大きく揺らした。

 

 

 







※コードネームを“”→〈〉へと変更してみましたが…
如何でしょう?
変だったり、納得いかなかったらまた変えます。
この機に技の表記も変えてみようか…



それと、ここでちょっとした紹介。

『デンドロ・キラム』
《プレゼン》
・家庭教師ヒットマンREBORNから登場した人物。
・戦闘レベル『3』
・戦闘スタイルは電流を纏う大槍を振るい戦う。
・BOX兵器は無いため、槍を振り回し、力技でゴリ押しする脳筋。
・真那が語った通り、自分勝手で実力不足故に雑用係にされ、一人不貞腐れていた所、『教授』により見出され、『緑のアンプル』を投与されて力を得た魔術師(ウィザード)



ここで明かされる話…
ジェシカ同様に数少ないアンプル適合者であるものの、副作用で以前よりも暴れやすくなった。
元々が暴れん坊故に、研究員達から傍迷惑な存在だと煙たがれ、士道達が暴れていても…

「どうせ、自分が捜索組(士道達を探す者達)に加われずに警備に回されたから、鬱憤ばらしに暴れてるんでしょ…迷惑な奴だ。」

…っと、この様な扱いを受けていた。


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