ようやくここまできた。
ただ一回読み返しても士道くんの覚醒、こんな簡単な感じでいいのかな…
ただ自分の力じゃこれが限界。
フラクシナス
「士道くん! 心拍・脈拍無反応です!」
クルーの一人、箕輪が解析する。
しかし司令の琴里は余裕な顔でチュッパチャプスを舐める。
「士道ってば相変わらずね。
普段は大人しめにしているくせに、いざ誰かが危ないめにあったら、我知らずになんだってするんだから。
まぁ紳士としては上出来ね。」
彼女の言葉と態度を見てクルーの皆の空いた口が塞がらない。
今モニターにて士道が彼よりも強力な精霊を庇って死んでしまったのだ。
それも無関心で何も感じないように。
「司令。お言葉ですが、士道くんはもうーー」
神無月がクルーの意見を代表して言う。
「あなた達落ち着きなさい。作業を止めないで。
士道は一度死んでくらいじゃ問題ないわ。
やり直しができるもの。
士道をスキャンして。」
琴里は指示を出してモニターに士道の姿が現れる。
「司令。これは…!?」
神奈月が問う。
「来たわね。」
彼の姿を見て皆驚く。
彼の怪我した所から炎が出ていた。
それにより傷が塞がっていく所を全員が目撃する。
「ほら、ぼさっとしないで士道を回収してーー」
「…待ってくれ。異常事態だ。」
令音が琴里の言葉を止める。
「何よ令音。あなたには説明してたでしょ?
士道について。」
「…ああ、もちろん。
だがコレを見てくれ。」
令音が珍しく緊張感のある顔つきになる。
常に冷静で眠たそうにしている彼女だ。
余程の想定外な事態になっているだろう。
そうして彼女はモニターに十香が居たあたりの映像を映す。
そこに映っていたのは、悍ましい雰囲気を出し、これまで見たことのない生物の用な物が映し出される。
シャドウである。
この光景は想定外の事態なため琴里も驚愕な顔を浮かべる。
「何よ…これ?」
クルー達があり得ないものを視認する中一人、令音だけが落ち着いて士道をモニターにて確認する。
そして士道にも変化が起きていた。
「…シン?」
映像に映ってる風景が変わる。
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【起きて…】
青い蝶が気絶している士道を通り過ぎ消える。
「…うあ。あっつ…」
痛みと暑さで意識が戻る。痛い所を見ればその部分が炎で燃えていた。
しかし次第に痛みが消え、炎も消えた。
「今の炎はなんだ…?
今までに見た事のない炎だぞ…」
疑問を持つが周囲の違和感に気づき、空気が重く感じるようになる。
そして気配のする方に意識がいく。
シャドウがいた。
十香と一緒に通った時にはシャドウの気配は感じなかった…
なのに今目の前にいは数体のシャドウがいた。
「なぜ…」
なぜシャドウがいるのか考えていたら
ダンッッ!!
離れた所から十香が飛んでいくのを見かけた。
それも鎧に見た事のない大剣を手に持って。
「っは! 十香!」
声を上げ体を起こす。
しかし今目の前に広がるシャドウを片付けない限り、ここから動けそうにない…
今、あの力を使わないと後悔する。
だが、俺に出来るか?
俺に彼女を救うことが?
…
いや、後悔したくない!
迷っている場合ではない。
<決意は固まったな。>
頭の声でアイツの声が響く。
十香を救いたい!
力を貸せ!
<よかろう。>
メガネが燃える。メラメラと地獄の業火の如く
<己が信じた正義の為に、あまねく冒涜を省みぬ者よ! >
全身が青黒い炎に包まれる
<その怒り、我が名と共に解き放て! >
「アルセーヌッッ!!!!!」
俺の化身、己の意思を具現化させる!
赤いタキシード
大きな黒き翼
シルクハットと一体化し炎を燃やす黒く赤い仮面の者を顕現させる。
その名は“怪盗 アルセーヌ”
炎に包まれた士道も姿を表す。
その姿は怪盗服。
タキシード風の黒いロングコート
白黒のドミノマスク
赤い手袋をはめ、“黒い”炎を灯す
士道は不適な笑みを浮かべシャドウに立ち向かう。
「--“アルセーヌ”!」
名を呼び、黒の化身アルセーヌがシャドウに突っ込む。
アルセーヌは高笑いを手を鎌のような爪で切り裂く。
刹那、シャドウ達が一瞬にして塵となり消滅する。
2体のシャドウが士道に襲いかかる。
士道は鮮やかに高くジャンプし舞う。
回転しながら黒い炎を固め砲弾のようにして放つ。
「黒の咆哮(ブラック・ロアー)。」
2体のシャドウに当て塵となり消滅する。
「ショータイムだ。
奪え--アルセーヌ!」
瞬間、アルセーヌの手が“青い”炎を強く纏いそして放つ。
その場にいたシャドウが全て消え去る。
士道は周囲を確認した後、十香の所へ向かう。
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琴里達はモニターを通して士道の変化に驚いていた。
フラクシナスの全員が口を開けてポカンとしていた。
「お兄ちゃんのあの力は何?
初めて見るわよ…」
琴里は驚きすぎて本来のお兄ちゃん呼びになる。
それもそのはず士道が五河家へ来てからずっと琴里と住んでいるが、あのような力はみたこともない。
「…琴里が知らない以上本人に問うしかないね。」
令音が冷静にこの場をまとめる。
彼女自身も士道に聞きたいことが多いが、状況が状況。
今は十香の暴走を止めなければならない。
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『…シン、聞こえるかい?』
インカムから令音さんの声が聞こえる。
「ああ。」
士道の性格の変貌にも驚くが令音は問わず士道に伝える。
『…キミの変貌について詳しく聞きたい所だが、状況が状況だ。
シン、彼女の所へ行けそうかな?』
令音が士道に聞く。
士道の跳躍をモニターにて確認しているため、行けそうかどうか確かめる。
「すまない無理だ。」
『…なら、こちらが彼女の元へ飛べるようにしよう。』
「俺はどうすればいい?」
『…キミは精霊の力を封印する事ができる力がある。』
令音の言葉に士道は驚く。
『…それについてキミは知らなかったみたいだね。』
『とにかく時間がないわ。
士道!腹をくくりなさい。
ーーお姫様のところまで私たちが送るわ。』
琴里に言われてフラクシナスに転移するような感覚になる。
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「あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
雄叫びをあげながら十香が折紙に剣を振り続ける。
「お前がシドーを!
シドーをぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
折紙は逃げられなかった…
自分の手で彼を殺してしまった…
折紙は随意領域(テリトリー)によって護られているが…
「がは…っ!」
防御を破壊されて衝撃が折紙を襲う。
折紙は吐血し倒れる。
意識が薄れるなか、精霊が剣を持って見下す。
「(お父さん。お母さん。)」
「シドー。今仇をーー」
士道の仇をとろうと剣を最後の一撃を振ろうとする。
瞬間、上の方から声が聞こえる。
「十香ぁぁぁぁぁ!!!」
声のする方を見る。
先程とは違う姿をしているが。
その瞳、その声は、紛れもなく彼女を救おうとしてくれた人間の声だった。
十香と折紙は驚く。
折紙は自分が殺してしまったと思ってた彼が再び現れたせいか理解できずに気絶する。
そして十香は--
「シドー!!」
嬉しさに直ぐ彼の所へ向かう。
落ちて行く彼を受け止め抱きしめる。
「シドー! シドー!!」
彼の胸の中で泣き続ける。
士道は十香の頭を撫でる。
「すまない。君を悲しませてしまった。」
「…シドー。
その姿はなんなのだ?」
「あぁ。これはだな。」
どうやって上手く説明しようか…
「よかった…シドー…生きてた。」
説明を聞く前に、彼女は更に泣き続ける。
しかし、彼女の持っていた剣が徐々に危険なオーラを放出していく。
「す、すまないシドー。
最後の剣(ハルヴァンヘルヴ)の制御を誤った。
このままだと…」
彼女は困惑していた。
士道もどうしたら良いか困惑する。
2人が困惑する中、インカムから琴里の声が聞こえる。
『士道、聞こえる? 状況は把握したわ。
今こそ士道の出番よ。』
「どうすれば良い?」
『キスよ。』
………はい?
『聞こえないの? お姫様にキスよ。』
聞き間違いではなかったようだ。
琴里に経緯を聞こうとするもーー
『…シン。すまないが時間がない。』
令音さんの言葉を聞いて下を向く。
彼女の言う通り、十香の剣が限界を迎えようとしている。
俺はマスクを頭に上げ、覚悟して十香に言う。
「十香。俺を信じろ。」
「え?」
「目を閉じるんだ。」
「う、うむ。」
十香は士道の言葉を信じて瞳を閉じる。
そして俺は彼女の唇を奪う。
初めてのキス。
彼女唇はすごくーー
瞬間、彼女の体が光に包まれる。
光が粒子のように分解される。
「シ、シドー…」
彼女が裸になっていく。
俺は咄嗟に着ているコートを十香に被せる。
「す、すまない。まさかこのようになるとは…」
この事態は完全に想定外だ。
想定外すぎる。
「シドー…」
十香の弱々しい声が聞こえる。
「な、なんだ?」
彼女の顔を見る。
その顔は何よりも可憐で、子犬のような可愛さだった。
「また…デェトに連れてってくれるか?」
彼女の問いに俺は。
「ああ。いつだって。何回だって行こう。」
彼女を優しく抱きしめる。
落下して行くなか二人は光に包まれる。
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「何とかなったわね。」
ぐぅーっと背伸びをする琴里。
「…彼女の霊装が消えゆく中、瞬時にコートを着させるとは良い判断だね。」
令音は士道を評価する。
彼女の言葉に女のクルー2人が頷く。
「それにしても士道くんのあの姿と力。
一体なんなのでしょうか。」
神無月が語る。
「プリンセスの力を封印できたのは大変めでたく。
祝杯したいところですが、気になる事が多いですね。」
冷静に分析する。伊達に副司令ではないのだろう。
「そうね。問題はそこよね…
けど士道は絶対に自分からは話そうとはしないわ。」
彼女も伊達に妹をやっていることはある。
士道の事はあの力以外知っているのだ。
だから知らなかった事、隠してた事に苛立ちを露わになっていく。
「あのアホにぃ…」
琴里が悔しそうにしている中、神無月が琴里の姿をうんうんと眺めるのを見て、思いっきり蹴る。
蹴られた事により神無月は喜ぶ。
そんな微笑ましいのかフラクシナス内での平和を見つめるクルー達の中、令音は常に士道の事を考える。
「(…確かにあの子の霊力封印を成功させるシンは流石だ。
この功績が大きいのは確かだ。
…けれど肝心のあの現象はなんだ?
しかもシンはそれを知っている顔だった。
…フム。)」
疑問点が彼女を曇らせる。
「(…そして封印手段がアレしかないとはいえ…
あまり良いようには思えないな。
胸がチクチクする。
…フム。今のこの私はかなり、シンを意識しているようだ。
…にしても顔を赤くしている彼の顔は中々良いな。)」
密かに彼の写真を撮っていた令音であった。
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あの後、俺と十香は別々の部屋にて看病されていた。
まぁ十香はあの格好だ一緒にいては良くないから当然だろう。
そういえば彼女とキスした時唇の感覚と共に体に流れたあの感覚は一体…
それに急にシャドウが現れた事。
ラヴェンツァの忠告はこの事を言っていたんだな…
今度会った時は礼と謝罪をしないとな。
それも心配までかけてしまったものだ。
俺は検査を受けた後、家に戻された。
令音さん含め、多くのクルー達が俺の力について知りたいだろうけど俺の疲労を考えて後日に回してくれるそうだ。
ラヴェンツァがフラクシナスの皆んなの事を信じ切るなとも言っていたからどこまで語って良いのやら。
そもそも上手く説明できるのだろうか…
俺はベットで横たわりながらメガネを外し見る。
あの時、俺は迷っていた。
琴里たちを巻き込みたくないからこの力を言わずに接してきた。
だからあのデートでシャドウが出現した時はどうしたものかと焦っていた。
内に存在するアルセーヌは迷わず力を解放した、それが正しかったと思う。
それにしてもなぜあの場に急にシャドウは出現したんだ?
わからないわからなすぎる。
俺には調べる手段もないというのに…
考えていたら意識が遠のくなってきた。
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夢を見る。
それも今まで見たことのない夢だ。
痛い。
妙に現実感のある感じだった。
立ち上がり目の前の光景を見る。
その光景に俺は驚く。
あの時、十香と出会った時を思い出す。
あの時と似た光景が広がっていた。
巨大なクレーターに真ん中に…誰かがいた。
アレは?
人らしき存在が中心にいるのはわかるが、認識できない。
そしてなんだこの光景を見て胸が騒つく感じは…
そこにいる人は一体誰なんだ?
一体…
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チャンチュン
朝
俺は今までに見たことのない夢に悩まされる。
十香の時と同じような光景。
しかし経験のない事。
十香の時以外あんな経験はないはず…
なのに…なのにこの感覚は…
考えてもわからないものはわからない。
士道はいつも通りの朝を過ごす。
ーーーーー
数日後
いつも通り学校へ向かう、高校へ。
数日が経っているとはいえ…
何故、壊されていた学校が何もなかったように
ーー完全に直っているんだ?
現代の技術がこうも優れているとも思えないのだが…
ふと思いついた事がある。
フラクシナスだ。
琴里が学校へ来た時に関与しているとか言っていた。
それが原因か?
にしても異常だろこれは。
そんな事を考えていたら、鳶一が登校してきた。
それも包帯まみれだった。
彼女の姿を見て周りが騒つくなか彼女がコッチに気づいてやってくる。
「鳶一、おはよう。怪我は大丈ーー」
瞬間、彼女は士道に深く頭を下げていた。
周りが更にザワザワする中俺は
「お、おい鳶一!」
「ごめんなさい。謝ってすむ問題ではないけれど。」
「だ、大丈夫だ。いいからとりあえず顔を上げてくれ。」
士道は周りからの視線が痛いからか顔を上げるように言う。
折紙は姿勢を戻し士道に近づく。
「浮気はダメ。」
「はい?」
鳶一の言葉に思考が停止しかける。
周りが更にザワつきはじめるがチャイムが鳴り俺達は急いで教室へ向かう。
教室へついてからも鳶一は俺の方を見る。
更に先ほどの事で周りも俺をジロジロ見る。
きっつ…
メガネを曇らせる。
担任のタマちゃんが入ってくるクラスの俺に向ける不穏な空気を感じてか、いつも通りの元気な声で注目させる。
「お、おはようございまーす!
何か雰囲気がいつもと違いますが。
なんと今日からサプライズの転校生でーす!」
タマちゃんの言葉で先程の雰囲気がガラッと変わる。
助かった。
タマちゃんが扉を開け転校生を招く。
入ってくる女の子に俺と鳶一は驚く。
何と、入ってきた転校生は十香だった。
彼女は笑顔でクラスのみんなに挨拶する。
「今日から世話になる。
『夜刀神十香』だ。
よろしく頼む!」
彼女の存在にクラスの活気が良くなる。
「おおー! シドー!
これからも頼む!」
彼女が満面な笑みでこちらに手を振る。
瞬間、先程よりも周りの…
というか全員の視線が俺に当たる。
ギスギスと、苦しい。
再度メガネを曇らせながらも十香を見る。
彼女を見て苦しさが紛れる…
気がする…
士道の新たな学校生活が始まる。
後は士道君のペルソナ会得エピソードとかその他も追加しないと…
にしても時系列しっかりと考えてなかったせいでなんか変だな…
修正した方がいいかな?