デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

92 / 110



士織編のイメージ曲は遊戯王:『Speaking』になりました。
なんか…楽しいなコレ(笑)





第七話:怒涛の展開

 

 

 

士道(ルパン)〉達は走る。

夢界が言うにはこの先には大広間があるそうだが…

 

「目の前に大扉が見えたな!」

 

「だが、かなり頑丈そうになってるな。

───〈翔太(キッド)〉、力を貸せ!

あの扉を吹き飛ばす!」

 

「おっし! 派手に蹴り飛ばすか!」

 

士道(ルパン)〉と〈翔太(キッド)〉が同時に扉を蹴り開いた。

 

「ここが大広間か、かなり広いな。」

 

「だな。周りには飛行船が数台止まってるぜ。」

 

「おお、此処で間違いない。

下された時にコレくらいの風があった。」

 

夢界はそう告げる。

どうやら夢界達はここで降ろされて、夢界達と琴里達とで別々で連れてかれた様だ。

 

「なら、琴里達は…あの扉の向こうか。」

 

士道(ルパン)〉は不気味な雰囲気を放つ扉を見てそう答えた。

 

「みたいだね。」

 

「よし、ここからは別れて行動するぞ。

令音ちゃん、確かフラクシナスのクルー達は様々な状況に応じる為に色んな経験や免許とか取得してるんだよな?

飛行船の操縦は出来そう?」

 

「…一応、免許は持っている。問題はない。」

 

「凄いですね。流石は令音さん!」

 

「…フッ、また機会があれば今度シンにも乗せてあげよう。」

 

士道に褒められて誇らしげにそう答える令音だった。

そして、令音は早速操縦席の方へと足を運ぶ。

 

「士道、免許こそは持ってないけど、操縦のやり方は頭に入っている。

私と空のハネムーンをするべき。」

 

「え、鳶一一曹?

何で操縦のやり方まで知ってやがるんです?」

 

「乙女の嗜み。」

 

「それは流石に───!?

危ない令音さん!!」

 

令音が乗ろうとする飛行船に何かが飛び込んでくるのを瞬時に察知し、〈士道(ルパン)〉は即座に令音を庇う様飛び出した。

 

すると、飛行船は一瞬で破壊されて爆発した。

 

「っく!」

 

士道(ルパン)〉は令音に怪我をさせない様に自分の背を壁にして令音を抱きしめる。

 

「んぐっ!」

 

「シン!?」

 

破壊された一部が背中に当たり、痛がる声に反応して令音にしては珍しい声を上げた。

 

「…大丈夫ですか、令音さん?」

 

「ああ。けど、それよりキミが…っ!?」

 

「…大丈夫です。」

 

士道(ルパン)〉はゆらゆらと令音を抱えながら立ち上がる。

 

「一体何者!!」

 

士織(デオン)〉がレイピアを素早く抜き、攻撃を放った方へと刃を向ける。

それに続き〈真那(ドリス)〉と〈翔太(キッド)〉も構える。

すると、敵はゆっくりと姿を現した。

その人物を見て〈真那(ドリス)〉が反応する。

 

「アナタは…ホテルの従業員!」

 

そう、その人物は昼間や晩御飯の時に現れた赤髪のショートカットの女性だった。

 

「フフッ…この時を待っていましたワ!」

 

その女性は狂気の笑みをして答える。

 

「…その言い方、容姿…ジェシカに…」

 

真那(ドリス)〉が声を震わせていると、女性は答える。

 

「えぇ。私ハ『ジュリー・ベイリー』。

アナタが殺したジェシカは私の姉ヨ。」

 

ジュリーの言葉に〈真那(ドリス)〉は驚愕する。

 

「…殺した、ですか。」

 

「真那!」

 

真那(ドリス)〉を心配し、〈士道(ルパン)〉が声を上げる。

 

「…心配はご無用です。兄様。

真那は平気です。

しかし…殺したと問われれば否定は出来ませんが、そうさせたのはあのクソ社長の仕業です。

ジェシカを惨たらしい姿に変え、道具同然に利用し、最後には───」

 

話の途中でジュリーは〈真那(ドリス)〉に向けて発砲し、頬を掠めた。

 

「アデプタス2…アナタ、我々を裏切っておいテ…

我らヲ…アナタを救ったウェストコット様を裏切っておいテ!

汚名まで着せるなんテ、何処まで恥知らずなのヨ!」

 

「先に裏切っていたのはそっちです。

真那はそれを知って縁を切っただけです。」

 

「そんな訳…そんな訳ないでしょウ?

…元々、気に入らないとは思っていたけド、ここまでとはネ…ッ!

まずハ、アナタからデリートしてあげますワ!」

 

ジュリーはそう言いながらブレードで襲いかかった。

 

「ふんっ!」

 

負けずと素早く鞘(傘)から剣を引き抜いて、攻撃を防ぐ〈真那(ドリス)〉。

 

「皆さん、この人の相手は真那がします!

なので、申し訳ねぇのですが兄様と〈士織(デオン)〉は先に行ってください!

夢界さん達は早くここから何とか脱出を!

翔太(キッド)〉さん、頼みます!」

 

そう言って〈真那(ドリス)〉はジュリーを吹き飛ばす。

 

「任せてくれ! さぁ、行くぞ3人共!」

 

「…士道。」

 

翔太(キッド)〉が叫び、折紙はダメージを受けた士道を案じる。

そして、士道は令音を優しく離して告げる。

 

「…さぁ、令音さん。

早くここから脱出を…」

 

「だが、キミが───」

 

令音が言いかける途中、士道は令音の頭を撫でる。

 

「大丈夫です。

早く琴里達を奪還して帰ります。

…けど正直、これまで怪我なく帰還出来た事がないので…

信じられないとは思います。」

 

士道に撫でられる中、令音は困惑するも士道の言葉を聞き続ける。

 

「けど…これだけは絶対に守る。

()()()()()()()()()()()

必ず、帰ります。」

 

「───」

 

士道の言葉に…令音は目を日開くも直ぐに瞳を閉じた。

 

 

 

 

 

本当ならば、彼のその申し出を受ける必要はない。

 

彼は確かに力を身につけている。

 

だが、この様な状況になってしまう程でまだまだ未熟だ。

 

それ故に彼を無理にでも説得し遠ざけ、『彼女』に任せて琴里達を『隣界』にへと飛ばし、安全を確保したら直ぐに空間震を発生させて敵の施設を消滅させればいい。

 

最後にその余波で琴里達は現実へと帰還。

 

経緯は琴里達の霊力の不安定が原因で空間震が発生したと。

 

精霊については謎が多い…その様に伝えれば丸く収まる。

 

ただ、それだけの話だ。

 

『計画』の為にも彼の言葉を聞き入れる必要はない。

 

……なのに、なのに。

 

私は───

 

 

 

 

 

「…分かった。」

 

令音は士道の言葉を信じて頷いた。

 

だから───

 

「必ず、琴里を…皆んなを助けて帰ってきて欲しい。」

 

「はい、分かりました。」

 

士道はまだ心配で仕方のないと言わんばかりの令音の瞳を見て、優しく微笑んで返した。

それにより、令音は立ち上がって〈翔太(キッド)〉達の元へと走る。

 

「頼むぞ、〈翔太(キッド)〉!」

 

「おうよ!」

 

「…よし、コッチだ!」

 

夢界がスマホを確認した上で向かい先を指示して走る。

 

「よし、行くぞ。〈士織(デオン)〉!」

 

「…うん!」

 

「いきがってるナ!」

 

「そうはさせねーです!」

 

「うグッ!」

 

士道(ルパン)〉と〈士織(デオン)〉が先へ進もうとする中、ジュリーがブレードで阻止しようとするも、〈真那(ドリス)〉が『紫の炎』で複製した剣を周りに囲い、逃がさない意思表示を示す。

 

「…いいワ、アンタを直ぐにジェシカ(アイツ)の元へと送ってあげますワ!」

 

「やれやれ、感情が不安定な所はそっくりです。」

 

真那(ドリス)〉とジュリーの剣とブレードがぶつかる。

 

士道(ルパン)〉と〈士織(デオン)〉は琴里達を奪還する為に不気味な扉を破壊して進み。

 

翔太(キッド)〉と夢界達はこの施設から脱出する為へとそれぞれ動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ!」

 

「ハァア!」

 

真那(ドリス)〉とジュリーの剣とブレードの剣舞が繰り広げられていた。

地について高速でぶつかったり、宙でも争い始めた。

そんな中で優勢は…〈真那(ドリス)〉の方であった。

 

「(…これがアデプタス2の実力…ッ!

顕現装置(リアライザ)も使用している形跡もないのニ…ッ!

数多の改造(代償)を支払ったというのニ…ッ!

この改造人間()を相手に全く引けを劣らなイ!?)」

 

ジュリーは心の底から崇宮真那に恐怖を抱いた。

姉のジェシカはこんな怪物を相手に嫉妬していたのかと…

 

「(けド…負けられないのヨッ!

私には『教授』によって授かった『(恩恵)』がありますのヨ!

あの方に報いる為にモ…この女ヲ…ッ!)」

 

決意を強めたジュリーの勢いが増し、今度は〈真那(ドリス)〉が劣勢になる。

 

「(チッ…更に力が上がっていやがりますね。

私の実力は『ペルソナの力(兄様のお陰)』で顕現装置を用いてなくても戦えている。

…いえ、CRユニットを纏っている時よりも強い。

この力はあの〈ナイトメア〉を相手に戦える程だ。

そんな私を相手にこうも戦えている…

恐らく『アンプル』と呼ばれるドーピングによるものですね。)」

 

真那(ドリス)〉は抵抗しながら分析する。

 

「(けど、彼女の動きは大分慣れてきました。

『黒いアンプル』とやらで人間を辞めて、分が悪くなる前に方をつける!)」

 

真那(ドリス)〉は剣に『紫の炎』を灯し始めた。

 

「フッ!」

 

「くゥ…ッ!?」

 

『炎』を灯した事により本気になった〈真那(ドリス)〉のパワーに押されていくジュリー。

 

「(これガ…話に聞いていた力…ッ!?

聞いていた以上に強イ…ッ!?)」

 

「この程度の様ですね。

ここでさっさと負けてこんなの所から足を洗って一般生活を過ごす事をお勧めしますよっ!」

 

真那(ドリス)〉は両手で剣を持ち、『炎』の出力を高める。

 

「『陽炎』!」

 

『紫の炎』による溜斬りを放った。

 

「がアァァァァァッッ!!!」

 

ジュリーは『防御領域(プロテクト・テリトリー)』を使用して拮抗するも、徐々に力負けして地に叩きつけられた。

 

「ガハッ!?」

 

「勝負はつきました。

『アンプル』とやらを使われる前に気絶して身動き取れねぇ様にしてやりますよ。」

 

真那(ドリス)〉は地に足をつけ、歩みながらそう言い放った。

彼女は士織との生活にて徐々に普通の女の子としての価値観へと変化していき、更に後押しで最愛の兄との日常で人を思いやる方針へと無意識的に変わっていったのだ。

 

「フッフハハハ…」

 

真那(ドリス)〉の情け…否、ジュリーには見下された言葉に何かが切れた。

 

「舐めるのもいい加減にしなさいヨッ!」

 

激痛が走る体を起こして『黒いアンプル』を取り出した。

 

特別(アンタ達)には分からないでしょうネ!

何にも持たない無価値(私達)の苦労ガァ!!」

 

それを首元に打ち込もうとする。

 

「させねーです!」

 

真那(ドリス)〉はそれに逸早く動いて弾き飛ばした───が。

 

それを斬撃を飛ばして真っ二つに割れ、中身が地にへと散らばる。

 

「…ぅヴッ!」

 

ジュリーは瞬時に飛び出して地を這いつくばり、落ちた黒い液体を舐めた。

 

「しまっ───」

 

時は遅し…舐めた事により、ジュリーの体に異変が生じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真那(ドリス)〉とジュリーが戦っている間、〈翔太(キッド)〉達は大広間の端の大きなシェルターの前まで来た。

 

「このシェルターを壊せばいいんだな?」

 

「おう。頼むわ!」

 

「うっし!」

 

翔太(キッド)〉は拳に『黄の炎』を灯してそれを解き放つ。

 

「『太陽の剛拳(サンシャイン・バスター)』!!」

 

黄色い輝きの波動拳がシェルターを襲い、大きな風穴を開けた。

 

「これでいいだろ。

…にしてもこのシェルター思ってたよりも硬ぇな。

腕が痺れてきやがった…っ!」

 

「このシェルターはDEMの技術によって作られた物。

ならば、精霊対策をしているのは当然。

…それでも、このシェルターに風穴を開けるアナタは異常。」

 

「褒めてんのか、貶してるのかよく分からんが…

どうだっていいや、さっさと出ようぜ。」

 

翔太(キッド)〉は腕をバタバタとさせながらそう言う。

 

「それだけ『ペルソナ』の力は凄い…

ってのもあるが、思うにお前と『ペルソナ』の力の相性は良いのかもしれないな。」

 

夢界はそう言う。

 

「それに、ここまでに力を使ってるだろうし。

そろそろ活動限界が近いだろうな。」

 

「マジか…ってかまさか。

お前、それを踏まえて俺を脱出側にさせたのか?」

 

「そのまさか。

…ってのは半分冗談で、疲れは全員にも及んでいるけど、〈士織(デオン)〉と〈真那(ドリス)〉は『ペルソナ』の力に慣れているからまだ行動が出来ると判断し。

士道(ルパン)〉はお前らの中でも特別なのは確実。

皆んなの霊力を含めれば一番に力を持っているからな。

後、少し休んだ後でお前には回復させる力が必要だろうからな。

休める内に休んだ方がいいと判断した。」

 

夢界はシェルターから出ると、〈翔太(キッド)〉に指示を出して少し離れた海岸へと夢界達を抱えて移動させた。

 

「はぁ…はぁ…

結構…疲れてるな…んで、どうするんだ?」

 

息を切らしながら問うと、夢界が空の方へ指を差す。

 

「…アレはフラクシナスか。」

 

「そう。どうやら向こうも向こうで妨害を受けたみたいだから、心配であったけど…

そこは神無月さんを信じて良かったよ。」

 

夢界はスマホを3人に向けた。

 

『…お待たせして申し訳ありません。

コチラも襲撃を受けたものでお迎えに時間がかかりました。』

 

「…神無月か。キミの姿を見るに、今回はかなり体を張ったと見る。」

 

『ハハ、これはある意味快感の証といいますか…

所でそちらに鳶一折紙がいるようですが、どういう訳で?』

 

「話は後にしたい所だが…

この島にいるのは我らが士道への重い愛情の所為という、意味不明な訳なんだが…」

 

「私の士道への愛はエベレスト級。」

 

「思ってた以上に重いなー。」

 

『成程…』

 

「そんで、俺達は晩飯の時に襲撃を受けたって訳さ。

あ、折紙ちゃんには取引でコチラの事を一切を話さない聞かない見ない事を条約にホテルにある士道の下着を報酬にしているから、後で皆んなの着替えも兼ねて回収して欲しいんだよねー。」

 

「士道の下着…早く欲しい。」

 

目目を輝かせる折紙。

それに冷たい目線を送る令音だった。

 

『そうですか…私も司令の下着を…』

 

「おい、神無月さん。

それは完全にアウ───」

 

『求めるところで渾身の蹴りを味わいです〜!』

 

っと、画面越しからでも嬉しそうにクネクネとし始めた。

 

「あの、すみません。

椎崎ちゃん達、早く俺らを回収してくれない?」

 

「俺も…琴里ちゃんからのお仕置きなら受けたいなぁ。」

 

「お前は話を戻すなや。」

 

『天宮くんもそう思いますか?

いやー、語り合える同士というのは実に素晴らしい。』

 

「…はぁ。事が進まないから神無月を引き離してくれ。」

 

「私も士道にお仕置きされたい。」

 

「…」

 

変態達の戯れで事が全く進捗しない。

 

『と、所で司令は?

他の皆さんはどちらに?』

 

「それも説明するから、早く俺らを回収してくれ!」

 

『はっ! 失礼しました!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道(ルパン)〉と〈士織(デオン)〉は奥へと進み続けていた。

彼等が侵入した先は真っ暗なエリアであり、人の気配も感じず不気味だった。

 

「如何にも悪の組織の研究施設って感じだな。」

 

「…そうだね。」

 

「…どうかしたのか?」

 

士道(ルパン)〉は〈士織(デオン)〉が元気がない事に気づく。

 

「ううん…何でもないよ。

…ただ、さっきの村雨先生とのやり取りを見て…

羨ましいって思ったの。」

 

「…え?」

 

「…ううん。今の忘れて。

それよりも早く進もう。

皆んながどうなってるか分からないからね。」

 

「…あぁ。」

 

士道(ルパン)〉の表情が曇る。

皆が無事なのか分からない。

緊急のアラームが鳴った事、自分達が潜入と人質だろう令音達を救出した事から敵の行動が怪しくなっているだろう。

もし、それで皆んなの身に何かあるものなら───

 

《そういえば士道くーん、さっき令音ちゃんとピンク色の雰囲気だったけどー、四糸乃の事を忘れてないよねー?》

 

「…」

 

よしのんがいつの間にか〈士道(ルパン)〉の手に装着され、圧を掛けて来る。

…〈士織(デオン)〉もまたよしのんに負けない…いや、それ以上の圧を掛けていた。

 

「え、えぇ? なんか、変わった雰囲気だったのか?」

 

《んもー! この朴念仁さんってばー!》

 

「いい加減にして欲しいよねー。」

 

プンプンと2人は怒っていた。

 

「何を怒ってるいるんだ2人とも───」

 

途中で2人の足が止まる。

目の前にはまたもや大きな扉。

しかも、何やら特殊な金属で出来てあろう代物だった。

 

「…く、どうやらこのカードキーでは流石に開かないか。」

 

「この材質からして…無理に突破しようとしても厳しいかも。」

 

「…どうする。」

 

急がないといけない中、2人は思考する。

すると、聞き覚えがあるが、この場においてあり得ない声が聞こえる。

 

「では、士道さんお得意の泥棒技術を披露してはいかがですの?」

 

「そうだな。よし───って、え?」

 

「え、泥棒技術って?」

 

士道(ルパン)〉と〈士織(デオン)〉が振り向くとそこには───

 

「ご機嫌よう、士道さん。

それと〈士織(デオン)〉さん…いえ、雨宮士織さん。」

 

スカートの裾を軽く持ち上げて挨拶する、時崎狂三だった。

 

「狂三!? どうしてここに!?

それと無事だったんだな、良かった。

…後、泥棒技術じゃないから。」

 

「あら、違いましたの?

それは失礼しましたわ。

以前の事ならご心配ありませんわよ。

わたくし、そこまでか弱くはありませんもの。

ふふ…士道さんは素敵で可愛らしい怪盗さんですもの、てっきりそういう才能があるから怪盗服を着てなさってるものかと。」

 

「いや、違う。『ペルソナ使い』に目覚めたからピッキング技術の才能に目覚めたのでして…」

 

ここで明らかにどうでもいい真実。

隠蔽工作(フェイク)】は士道が『ペルソナ使い』として目覚めた事により開花した才能(スキル)である。

この際により、士道は機械などに強くなったのである。

 

士道がこの様な才能を開花されているだという事は他の『ペルソナ使い』の士織達にも影響はあるのである。

 

「あらあら、そうでしたの。

それはそれで興味深いですわね。

そして…失礼を働いたお詫びとしては何ですが、ちょっとしたサービスさせていただきますわ。」

 

そう言うと、狂三は素早く士道に体を密着させて大胆に豊満な胸や太ももを絡み合わせた。

 

「如何でして?」

 

「あのぉ…く、狂三、さん?

そのぉ…そこまでしなくても…」

 

士道は顔を天井に上げて、苦しそうにアピールする。

…そうアピール。

この男、割とこの状況で狂三の体を本能で堪能しており、鼻を伸び始めており、むっつりをかましているのだ!

 

「離れて…」

 

その2人を士織が冷たい声と共に切り裂く。

狂三には突き放すように離し、士道にはお仕置きを兼ねて硬い扉にぶつける。

 

「痛っ!?」

 

「士道くん、反省して。」

 

「は、はい…」

 

「うっふふふ。いやですわ、怖いですわ!」

 

っと、声から分かる通りに狂三は楽しそうに悲劇を演じる。

 

「アナタ何? 僕の士道くんに何するんです?」

 

「あらあら、その可愛らしいお顔が台無しですわよ。

ちょっとしたスキンシップですのに。

きっひひひひ!!」

 

「結構です! それは僕がやるので!」

 

「あらあら、さりげなく自分がやるだなんて言うではありませんの。

───先の戦闘では大層自信を無くされ、暗くされていましたのに。」

 

「!?」

 

士織は驚愕の顔を浮かべる。

 

「…見てたの?」

 

「ええ。わたくし、士道さんやアナタのファンですもの。」

 

「…そんなふざけた事は聞きたくないです。」

 

「あらあら、釣れないですわね。

士道さん、少々士織さんをお借りして?

なぁに、そんなに時間は掛かりませんわ。」

 

「え…あ、あぁ、うん。」

 

士道は突然の事に反応に困るも、扉を何とかしないと進まない為にどうにか出来ないかと色々弄ったり、ナイフや『炎』で攻撃し始めた。

 

「さて…改めまして、初めましてですわ。

雨宮士織さん。

アナタの事を知った時は凄く驚きましたわ。」

 

「…それはどうも。

別にアナタの前で正体を晒した覚えはないですけど…

真那ちゃんから聞いた通り、厄介な人ですね。

いえ、人ではなく精霊でしたね。」

 

士織は警戒する。

 

「そう警戒しなくてもいいですわ。

…それよりも、大丈夫ですの?

随分と自信を無くされている様子ですけど。」

 

「…アナタに心配される筋合いはないですけど。」

 

「無理はしないほうがよろしいですわよ。

何しろ、今アナタ方が相手にしているこの施設の責任者『教授』と呼ばれる人物。

わたくしが知っている限り、最も不気味な男ですもの。」

 

「不気味?」

 

「えぇ。何しろ、ここで特殊なバンダースナッチを生産し、

例の『シャドウ』を用いて作られた『アンプル』も製造し、

その為に人体改造なんてものまでやっおられますもの。」

 

「人体改造…」

 

その言葉に士織は恐怖を抱いた。

その様子を見た狂三は告げる。

 

「そんな事を平然とやる相手を前に今のアナタでは士道さんの足手纏いになるのは明白。

精霊(わたくし達)に関わる以上…その儚い命がいつ終わるか分からないもの。

引き返すなら今のうちですわよ。」

 

「っ!?」

 

狂三の言葉に士織は───

 

「…引き返す?

引き返すわけないじゃない!

何があっても、もう絶対に離れない。

僕を舐めないでっ!」

 

士織は目にも止まらぬ速さでレイピアを抜いて狂三の首元まで向けた。

 

「……あらあら、へぇ。」

 

狂三は面白そうに笑う。

その様子を見ていた士道とよしのんが恐る恐る話しかける。

 

「お、おい、士織。

何があったかは分からないがそこまでにしてあげてほしい。」

 

士道が士織に問う。

 

《そ、そうだよー。

怖ーいオーラも控えよう?

折角の美人顔が台無しだよー?》

 

よしのんも士織にビクビクと震えながらそう告げた。

 

「大丈夫ですわよ、士道さん。

ただの女子トークですわよ。」

 

「…怖い女子トークだな。」

 

「えぇ、えぇ。そういうものですわよ?

…それにしても、そちらの…確かよしのん(?)さん、でよろしいですわよね?

その、申しにくいとは思いますけれど…四糸乃さんでなくても活動出来ますの?」

 

《えぇー? もー、変な事を聞くねー狂三ちゃーん。

よしのんは別に四糸乃がいなくても活動出来るんだよー?》

 

「…あらあら、そうでしたの。

失礼致しましたわ。

それより、士道さん? そちらの方は?」

 

「駄目だ。普通に攻撃しても顕現装置の…障壁みたいなのが思ってたよりも頑丈でな。

本気を出せば壊せなくもないけど…」

 

「えぇ、言いたい事は理解できますわ。

ここで無闇に力を使いたくないと。

懸命な判断だと思いますわよ。」

 

「じゃあ、どうしよう。」

 

「あら、それでしたらもう一つの扉を使いましょう?」

 

狂三がそう言い、〈士道(ルパン)〉と〈士織(デオン)〉は首を傾げる。

このエリアを見渡す限り、他に扉らしきモノはない。

 

「隠し扉か?」

 

「ええ、ある意味そうですわね。

ただ、どちらかで言えば近道ですわね。」

 

狂三は笑顔で答えると、銃を取り出して下へ向ける。

 

「この建物の形や地形を考えれば、行き先は下の方。

ならば、床を破壊すればよろしいのですわ♪」

 

「「え、ええ!?」」

 

狂三は霊力の籠った銃撃を放ち、床は崩れて〈士道(ルパン)〉達は下へと落ちて行く。

 

「け、結構広いな!」

 

士道(ルパン)〉は素早く〈士織(デオン)〉と狂三は抱えて足に『黒い炎』を点火させて宙を緩やかに下落して行く。

 

「あら、お優しいこと。」

 

「それは構わないさ───うお!?」

 

下落して行く途中、下から攻撃が飛んで来た。

それを上手く躱しながら地に降りた。

 

「待ってたぜ、鼠共。」

 

士道(ルパン)〉達の前に現れたのは闇色の髪をした少女だった。

 

「誰だ?」

 

「あん? まぁ、一応答えてやるよ。

『ダイナ・エンワード』だ。」

 

ダイナと名乗る少女…身長からして琴里達に近い年齢だろう。

加えて、かなり口調が悪い事が分かった。

 

「〈ルパン〉に〈ナイトメア〉に知らんオマケか。

ふーん、私としては崇宮真那もいて欲しかったな。」

 

「…オマケとは言ってくれるわね。

アナタ1人で…私達3人に勝つつもり?」

 

「はっ! 雑魚らしい反応するなぁ!

エレンに勝てないレベルの雑魚共がさ。」

 

「エレン…エレン・メイザースの事か。」

 

「そう、そのエレン。

…あれ、()()()()()()()()()

『M』が抜けてるが…まぁどうでもいいや。」

 

意味ありげな事を言ってると、素早く武器のブレードを構えた。

 

「んじゃ、さっさと遊んでやるからさ。

かかって来いよ!!」

 

目の色が変わり、凄まじいプレッシャーを解き放つ。

 

「何て、子だ…っ!?

エレンに匹敵…いや、威圧感だけならエレン・メイザースよりも強い!!」

 

「今までに、感じたことの無い…っ!!」

 

「…これは予想を超える相手ですわね。」

 

狂三が〈士道(ルパン)〉と〈士織(デオン)〉の前に立ち、両手に銃を構え、足元から沢山の『狂三(分身体)』が出現する。

 

「きひひひ!!」「あらあら!!」

 

「…士道さん、ここは特別にわたくしが彼女のお相手をしますわ。」

 

「狂三!?」

 

「…敵で厄介なのはエレン・メイザースとアイザック・ウェストコットに『教授』と名乗る男だけだと思いましたが…

こんな敵がいらっしゃるなんて、少々笑えませんわね。

…ただ、わたくしはわたくしの為にやっていますの。

ですので、邪魔になる前に先にお行きになられて。

お早く琴里さん達を奪還して帰った方がよろしいですわよ。」

 

狂三はさっきまでの余裕のある雰囲気から覚悟を決めた様に言う。

 

士道はその狂三の意図を読んだ。

 

「分かった。ありがとう。

でも、これだけ言わせてくれ。

気をつけてくれよ。

お前とはまだ『デート』を申しつける予定があるんだ。」

 

士道はニヒルの笑みで返した。

 

「あらあら、それはそれは。

では、わたくしの為にも()()()『死なないで』くださいまし。」

 

狂三は忠告する様にそう告げる。

どうやら、彼女も士道が一度『死』を迎えている事を知っている様だ。

 

「あぁ、分かっているよ。

皆んなに迷惑かけたくないしな。

勿論、そこにお前も入ってる。」

 

「…そうですの。」

 

2人はその言葉を持って力を灯す。

 

そして、〈士道(ルパン)〉は〈士織(デオン)〉を抱え、体中から青黒い電流を放ちだし、狂三も体中から霊力を解き放つ。

 

「士道くん!」

 

「しっかり掴まれよ。」

 

足に力を入れて最後に狂三を見た。

 

「武運を祈る。」

 

その言葉を後に〈士道(ルパン)〉の姿が消え、ダイナの背後にある先へと走った。

 

それを捉えたダイナは瞬時に妨害しようとするも───

 

「そちらも。」

 

狂三がダイナを止める。

 

 

 







前回でいよいよ大詰め…って告げたんですけど…
士織編思ってたよりもう少しかかりそうです…
話数は…残り三話くらいですかねぇ。
んー長い。ここまで長くするつもりは無かった…けど、頑張ります。


そして、ここでキャラ紹介

『ジュリー・ベイリー』
《プレゼン》
・この作品オリジナルキャラクター。
・戦闘レベル『3.5』
・『ジェシカ・ベイリー』の実の妹。
・戦闘スタイルはブレードと随意領域を活用して戦う。
・口調は姉妹似てるが若干お嬢様口調。
・姉妹での仲は互いに良くない。
・ジェシカとは違い、実力や才能は芳しくなかった為に馬鹿にされ、悔しい思いをしていた。
・不貞腐れてる中、『教授』マリス・エンワードにより肉体改造(緑のアンプルの投与を含め)を受けて力を身につけた。
・最も…彼女の寿命はかなり削られ、もって2・3年しか生きられない肉体へと至っていたが、精霊を相手に戦えるレベルへと至っていた。
・真那に関してはジェシカまではいかなくても印象は悪い。
(エレン・メイザースもまた印象は悪い)


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。