デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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士織編に入ってから評価とお気に入りをしてくれるのが多くなって嬉しかったです。
そんな士織編も今回でラスト、それではどうぞ。





第十話:繋がる花

 

 

 

「「はあぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

施設の爆発と戦いの余波により建物が崩れていく中、

士道(ルパン)〉と〈士織(デオン)〉は暴走する『TYPE-Ⅱ』にへと立ち向かう。

 

ビビィィィィィビビビオオオオオッッッ!!!!!!

 

『シャドウ』のオーラを纏い始めた大翼から超音波の様な攻撃が放たれる。

 

「士織! そのまま突っ切れ!」

 

「分かったよ!」

 

士道(ルパン)〉が先陣する。

黒の籠爪(ブラック・アームズ)』を纏い、『TYPE-Ⅱ』の両翼にへと向ける。

 

「『黒の轟砲(ブラック・パニッシュ)』!!」

 

特大の『黒の炎』を放つ。

超音波を霧散させ、そのまま両翼に着弾する。

 

「今だ!」

 

「任せて!」

 

士道と共に戦ってる事に絶対の信頼と安心を感じてる

士織(デオン)〉は凄まじいスピードで駆けて跳躍し、ビームサーベルと化したレイピアを頭部に目掛けて突き放つ。

 

「『花剣の一閃(フルール・ショット)』!」

 

士織(デオン)〉の閃光の如く放たれた技が炸裂し、『TYPE-Ⅱ』はよろめ怯む。

 

「畳み掛ける!」

 

「おっけーだよ!」

 

士道(ルパン)〉が〈士織(デオン)〉の横にへと並ぶ。

そのまま2人は並んでナイフとレイピアにそれぞれの『炎』を回転させる。

 

「「『黒無(桃無)の剣(バイシクル・ソード)』!!」」

 

2人の同じ技が『TYPE-Ⅱ』にへと被弾し、地に叩けつけられる。

 

ビビィィィィィビビビオオオオオッッッ!!!???

 

「…まさか、俺の技を一目見て完璧に見事にモノにしたとはな。」

 

「ふふ…誰よりもキミを見ているのは僕だからだよ。」

 

「…お前の様な綺麗な女性にそう言わせる俺は罪深いな。」

 

「誇っていいんだよ?」

 

「勿論だ。」

 

「…んもう。女誑しに磨きがかかってるんじゃない?」

 

「…そうか?」

 

そんなカップルの様なやり取りをしているが、直ぐに現実に戻る。

 

ビビィィィィィビビビオオオオオッッッ!!!!!!

 

倒れてた『TYPE-Ⅱ』が立ち上がる。

 

「しぶといな。」

 

「ね。全く…空気を読んでよ、ね!」

 

士織(デオン)〉が再び『桃無の剣(バイシクル・ソード)』で狙い放とうするも───

 

体の至るパーツからレーザーが放出された。

 

「「!!」」

 

2人は即座に反応して回避する…が、レーザーは追尾能力が付与されていた。

 

「…ちっ、面倒な!」

 

「このままだと、埒が明かないね。

レーザーは僕が対処するから、士道くんは本体を止めて!」

 

「任せろ!」

 

2人はハイタッチをして互いに背中を預ける。

 

「来い、『アルセーヌ』!」

 

「来て、『シュヴァリエ』!」

 

それぞれの『ペルソナ』を顕現させて仕掛ける!

 

「はあぁぁぁ! 『蒼炎の波動(インフェルノ)』!!」

 

特大の『蒼炎』を叩きつける様に放つ。

『TYPE-Ⅱ』はそれを受けてレーザーが止まる。

 

「はあ!!」

 

『シュヴァリエ』の剣の先端から『烈風』が放たれる。

それにより、追尾レーザーの多くが消し飛んだ。

 

だが───

 

「くぅぅ!?」

 

後方に残っていたレーザーが『シュヴァリエ』の剣を避けて、〈士織(デオン)〉にへと被弾してしまう。

大怪我は免れたが、激痛が襲う。

 

「士織!」

 

「これくらい大丈夫!」

 

士織(デオン)〉が心配かけまいと意地を張る。

 

「無茶するな。」

 

「心配性だなぁ〜」

 

「…士織。」

 

士道は士織を抱えて『TYPE-Ⅱ』から距離を取る。

 

「何をしてるの士道くん。

僕は後にして先に倒さないと───」

 

「士織。」

 

士道は仮面(マスク)を頭上にへと上げて、士織の顔へと近づく。

 

「ふぇ!? ど、どうしたの?」

 

「士織、さっきも言ったが、俺のために一生懸命に動いてくれるのは嬉しい。

お陰で俺はレーザーを受けなかった。

…でも、俺のせいでお前が傷つくのは俺にとってとても辛いんだ。

俺が怪我する事よりもな。」

 

「…」

 

「それに…『一緒』に戦って欲しいと告げた筈だぞ。」

 

「───」

 

士織は思い出す。

 

「『灼爛殲鬼(カマエル)』の回復はあくまで応急処置程度だ。

今の攻撃でダメージと疲労が一気に襲ってるだろ?

これ以上、攻撃を受けるのは駄目だ。

良いな?」

 

「…うん。」

 

…士織は何をしているんだと思い込む。

それが顔に出たのか、士道は微笑む。

 

「…正直、俺が女心を全然理解していないって事は自覚してる。

そんな俺が言うのも何だが…

狂三や他の皆んなだけでなく、お前の事もしっかり見てるんだよ。」

 

「───士道くん。」

 

士織は嬉しそうに頬を赤く染める。

 

「…最後の処置だ。次で決めるぞ。」

 

士道は士織に再度『灼爛殲鬼(カマエル)』を用いて回復させた。

 

ビビィィィィィビビビオオオオオッッッ!!!!!!

 

『TYPE-Ⅱ』が『蒼炎』を張り切って青いフォルムが真っ黒にへと変色し、高く飛び上がってエネルギーを放出する。

恐らく敵も限界が近いだろう。

 

「…奴もケリをつけ様としてくるな。

建物も崩れていくスピードも早くなってるし、爆発音も近くなってる。

時間が無いな。」

 

「(ゴクリ)」

 

時間が無いとの言葉に息を呑む士織。

そんな士織に士道は勇気を与えようと手を強く握る。

 

「───大丈夫、俺がついている。」

 

「うん…っ!」

 

士織は勇気を与えられて不安を払拭させた。

 

「行くぞっ!!」

 

『TYPE-Ⅱ』が爪を立てて向かって来る。

それを2人は見切り、二手に分かれる。

 

「はぁっ!」

 

士道(ルパン)〉が青黒い電流を纏う。

同時に拳銃を握り締め、黒い炎を放つ。

 

「『黒の咆哮弾(ブラック・ショット)』!」

 

高速移動(アクセル)』を使用しながら、『黒の咆哮(ブラック・ロアー)』の銃弾を連続で放つ。

『TYPE-Ⅱ』はそれによって身動き取れなくなり、攻撃が止まる。

 

「はあぁぁぁ!!」

 

士織(デオン)〉は彼を信じて素早く真っ直ぐに駆け走る。

『炎』を刀身全体に強く伝え、より輝きを放つビームサーベルと化したレイピアを連続で突く!

 

「『花剣の連撃一閃(フルール・デラッシュ)』!!」

 

花剣の一閃(フルール・ショット)』を連続で放つ技。

シンプルな技だが、効果は抜群。

被弾する部分は悉く砕かれ、破壊されていき、風穴が出来る。

 

連携攻撃によって、それはもう2人の『独壇場(舞台)』。

『TYPE-Ⅱ』の反撃は全く出来ずにただただ攻撃を受け続ける。

 

「フッ!」

 

「やあっ!」

 

2人の攻撃によって、『TYPE-Ⅱ』の様子が変わっていく。

 

ビビィィィィィビビビビビビビッッッ!!!!!!

 

サイレンの様な声音が鳴る。

機械のあらゆる部分から凄まじい熱気が発生する。

さながら…爆発寸前の合図なのだろう。

 

「不味いよ士道くん!

コレ、まさかの自爆しようとしてるよ!」

 

「…ならば、次で終わらせるぞ士織。

その為に…『時雨の波紋(ブルー・ノヴァ)』!」

 

『青の炎』による結晶を瞬時に再生し、それを放つ。

それを受けた『TYPE-Ⅱ』が水の様な『炎』を受けて全身を覆い尽くし呑み込んだ。

熱気は『青の炎』の性質である『鎮静』によって抑制される。

 

「士織!」

 

「士道くん!」

 

2人の目と目が重なり───

 

「「ショータイム!!」」

 

心が通じ合う。

これにより、士道と士織の連携技が炸裂する!

 

 

 

 

 

「行くよ!」

 

士織(デオン)〉がお姫様の様な姿勢で飛び上がる。

 

「ああ。」

 

そんな〈士織(デオン)〉を〈士道(ルパン)〉が『黒の鞭(ブラック・ウィップ)』で周囲の地形を利用して器用に宙で軽く抱き締める。

 

「喰らえ!」

 

士道(ルパン)〉が宙の中を舞う様に拳銃で『黒の咆哮弾(ブラック・ショット)』を放ちながら途中で〈士織(デオン)〉を高く投げ上げる。

 

「はあぁぁぁ!!」

 

華麗に〈士織(デオン)〉も舞う様な剣劇を行う。

 

「おぉぉぉ!!」

 

勢いよく〈士道(ルパン)〉はナイフで力強く一直線の縦斬りをし、地に着く。

 

「「はあぁぁぁぁぁ!!!」」

 

最後に〈士織(デオン)〉のレイピアを突き立て、〈士道(ルパン)〉がそれを支える様に力を重ねる。

『黒』と『桃』の二つの『炎』が混じった閃光を放つビームサーベルと化した一閃突きを正面から放った!

 

「「『仮面剣舞・繋がりし花(マスカレード・フラクティネス)』!!」」

 

光の速さで放った2人はいつの間にか『TYPE-Ⅱ』の背後にへと立っていた。

 

「フッ…おわ!?」

 

「ふふふ…♪」

 

最後にポーズを取る。

士織がイナバウアーを、士道はそれを支えた。

 

 

 

 

 

ビ…ビィィィビビ…ビビビ…

 

『TYPE-Ⅱ』は〈士道(ルパン)〉と〈士織(デオン)〉によって完全に大破し…最後は『シャドウ』の様に霧散し消滅した。

 

「よし!」

 

「やったね!」

 

パンッ!

 

強めのハイタッチをし、勝利を祝う2人。

 

だが───

 

「…っ!!」

 

「きゃっ!!」

 

建物が大きく揺れて士織はよろめいて、士道の胸を借りる。

 

「不味いな…思っていたよりも崩壊のスピードが早まってるな!」

 

士道は周りを見渡す。

周囲はもう既に瓦礫の山が出来つつあった。

加えて…

 

「…ぅぅっ!」

 

士織は戦いが終わった事により安堵してしまったのか、気が緩んでしまったのか…もう既に立つのすら危うい状態だった。

それを瞬時に理解した士道は士織をお姫様抱っこをする。

 

「…あ、ありがとう、士道くん。」

 

「それは構わない。

…けど、周囲も天井も既に崩壊しつつある。

逃げ場が無いな。」

 

「えぇ!? ど、どうしよう!!」

 

「…なら、手段は一つしか無いな。」

 

「そ、それって!?」

 

士道は力を振り絞って、『アルセーヌ』を顕現させる。

 

「道を…作る事だ!」

 

士道の思いに応えて、『アルセーヌ』が目の前の壁に向けて最大出力の『蒼炎の波動(インフェルノ)』を放った。

それにより、暗闇の穴道が出来る。

 

「行くぞ、しっかり捕まってろよ!」

 

「う、うん!」

 

士道達はその暗闇の向こうへと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を少し遡り、フラクシナス

 

「敵、本拠地の爆発を確認!」

 

「司令や士道くん達の連絡もありません!」

 

クルー達が近況報告しつつ動揺していた。

 

「皆さん…落ち着いて対処しましょう。」

 

その様に指示する神無月。

…しかし、そう言う彼も心中は焦っているのか、額に汗をかいていた。

 

「…っ! 敵本拠地から何かが飛び出しました!

映像に出します!」

 

映像に映し出された黒い影…その正体は全く見覚えのない2人。

大人の男性と琴里くらいの少女だった。

 

「誰…でしょうか。」

 

「考えるまでもないでしょう。

全く見覚えの無い人物にボロボロですがCRユニットを纏っている。

───敵です。」

 

[!?]

 

神無月の副司令としてのまともな言葉に全員が動揺する。

しかし、映像に映る少女は不可視迷彩(インビジブル)で姿を隠しているフラクシナスに気付き、直様レーザーの攻撃を仕掛けてきた。

 

「!! 防御領域(プロテクト・テリトリー)、展開!」

 

神無月がいち早く指示をするもクルー達は反応に遅れてしまう。

 

「させるかよ!」

 

だが、神無月同様に気づいた夢界によって防御領域が展開されて辛うじて防いだ。

 

「た…助かった…」

 

「申し訳ありません、夢界くん。

負傷しているであろうキミに頼ってしまいますとは。」

 

「それはお互い様でしょうよ。

───それより次も来る!」

 

安堵に浸っている場合では無い、敵こそ負傷しているというのに攻撃を続けて来る。

 

「…んぐっ、あの少女何者だ?

見るからにかなり負傷しているのに何でこうもバンバン攻撃しまくれんだよ!」

 

攻撃により、艦が揺れる中で疑問が生まれる。

 

「…あぁ、クソッタレい!

冷静に考えれる余裕もねぇな!

おい、翔!

皆んなの手当をし終えた所悪いが、迎撃に出てくれ!」

 

「断る!」

 

「そうか良し……は?」

 

翔太が断った事により夢界が間抜けな声を出す。

他の皆んなも翔太が断った事により振り向く。

 

「何でだよ!」

 

「あの娘…身長147センチ、貧乳。

つまり『ロリ』、愛でる対象という訳だ。

なら…ロリコン(紳士)の俺が手を出せる訳がないだろう!」

 

「そんな悠長な事言ってられるか!?」

 

「なら仕方の無い事ですね。」

 

「アンタもかよ!」

 

「俺達は───」

 

あのロリ(彼女)にイジメられるのなら───」

 

「「本望だ。寧ろ、ご褒美だろう(でしょう)!!」」

 

…この絶対絶命とも言える中、翔太と神無月(ロリコン共)は全く使えない。

 

「チクショウ!」

 

夢界もクルー達もロリコン(変態達)に苦悩する。

 

「…なら、彼女に助力を要するしかないか。」

 

その様に発言するのは令音だった。

彼女は目元を隠している(出来る限りの隠蔽)折紙を連れてそう告げた。

 

「…確かにこの状況じゃ、折紙ちゃんに頼むしかないか。」

 

「し、しかし。」

 

「彼女を信じていいのですか?」

 

「士道くんのクラスメイトとはいえ、彼女は『AST』の者だろう?」

 

そう。鳶一折紙(彼女)は『AST(アンチ・スピリット・チーム)』の人間。

精霊を保護し守る『フラクシナス』とは相容れない関係だ。

なので敵本拠地から令音達と共に脱出して来た彼女を目隠しして隔離した訳なのだが…

 

「大丈夫だ。既に賄賂を渡してある。」

 

士道の下着(トレジャー)をくれた親切な人達を守る為に、私は戦う!」

 

…っと、目隠しの状態で回収した士道の下着の匂いを堪能している変態(折紙)が主人公みたいな言葉を発した。

 

[…]

 

クルー達はそれを見て何にも言えない表情を出した。

 

「という訳だ、簡単なCRユニット装備を渡してあげてくれ。

…んで、令音ちゃん?

その…とても恐ーいお顔をするのを辞めていただけますかね?」

 

「…」

 

夢界に対し、彼女とは思えない怖いオーラを出していた。

 

「準備完了。

スゥゥゥン…ハァァァ…

士道の香り、私の細胞を活性化させてくれる。」

 

「…」

 

「いや、ホント…怖いので勘弁して下さい。

必要経費…そう、代償なんだ…」

 

令音の様子が更に悪化する。

オーラは更に不気味さを増し、瞳孔まで徐々に開きかけており、普段クールな彼女とは思えなかった。

 

[(ササッ!)]

 

クルー達はとても悍ましいモノを一瞬だが見てしまい、直様見なかった事にして折紙のフォローに回った。

 

「助けて!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…準備は…出来てるかい?』

 

「いつでも。」

 

『なら…お願い…します。』

 

声の主である夢界が何やら怯えている声で折紙に指示を送った。

折紙は艦の上で攻撃してくるレーザーを渡された武器を用いて攻撃し、軌道を晒した。

 

「…的確な狙撃。彼女は一体、何者?」

 

折紙も疑問を抱きながら攻撃を打ち払う。

途中攻撃がコチラではなく、別の獲物を狙うかの様に変わった。

 

「アレは…」

 

折紙は見覚えがあった。

それは氷を操る兎…〈四糸乃(ハーミット)〉が操る『天使』だった。

 

『アレは…よしのん(?)なのか?

! 他にも霊力反応がある、琴里ちゃん達だ!』

 

夢界の言葉に艦内のクルー達が大きく反応した。

やがて兎(よしのん)は勢いよく艦までやって来た。

 

《着いたよん!》

 

『よしのん…で良いんだな?

どうやってその形態に…士道か?』

 

《そうだよー、士道くんのお陰でここまで来れたけど…

そろそろ限界が近いみたい…》

 

よしのんがそう言うと力尽きた様に元のパペットに戻ってしまい、運良く四糸乃の上に乗っかった。

 

『直ちに司令達の回収を!』

 

神無月の指示で琴里達を回収しようとしていた。

 

「…敵の攻撃が止んだ?」

 

よしのんが到着したタイミングから攻撃が来ない事に気づき、正面を向くと、敵が何かと戦っていた事に気付いた。

目を凝らして見ると、その人物は───

 

「時崎、狂三!」

 

そう、〈時崎狂三(ナイトメア)〉が敵の少女と交戦していた。

 

「何故、彼女がここに?」

 

『理由は分からない。たが、これは好奇だ。

運良く現れた狂三ちゃんが敵を追い詰めて、そのままこの領域が離れてくれてる!』

 

確かにこの状況で敵が離れて行くのは好奇だ。

…しかし、何故彼女がいるのだろうか?

疑問に思う折紙だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の道を『アルセーヌ』で作りながら進む。

爆発の規模は大きくなり、士道達が戦っていた建物も破壊されているだろう。

そのせいで壁の向こうであった岩場の中であろうここも、被害を受けて頭上から砂が適度に落ちていた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「士道くん…大丈夫?

辛そうなら僕、自分で───」

 

「無理を言わなくてもいい。

今のお前は疲労でいつ意識を失うかも分からない状態だろ?」

 

「…アハハ…バレてた。」

 

テヘッと無理に可愛くアピールする士織。

 

士道達が夏休みの期間、力を身につけるために特訓をしている中、当然士織も真那と共に力を身につけていた。

…しかし、士道はそれ以前から力をつけており、加えて霊力も含まれているだろう事から連戦にその後の脱出の今も活動している。

 

だが───

 

「っぐ!」

 

それも限界が来ていたせいなのか躓いて転ぶ。

士織を傷つけない様に自分の背を咄嗟に壁にして倒れる。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「士道くんだって…もう無理が来てるじゃない…」

 

「…男だからな、頑張らないと。」

 

「…カッコつけすぎ。」

 

士道は激痛を耐えて立ちあがろうとする。

 

「…! 『アルセーヌ』が消えようとしてる…」

 

士織が目の前にいる『アルセーヌ』が薄くなっているのに気づいた。

気がつけば、士道の格好も元の浴衣姿に戻りかけており、自分に至ってはもう完全に姿が浴衣に戻っていた。

 

「はは…不味いな。」

 

かなり走ってきたが、外に繋がらない。

一体どこまで走らないと行けないのか、脱出出来るまでにこの穴道が保つのか…恐怖が彼等の心を蝕んでいた。

 

「…僕達、このまま押し潰れるのかな…?」

 

「…」

 

「ハハ…でも、士道くんと一緒なら…それも良いかな…」

 

諦めた様に士織は呟いた。

しかし───

 

「諦めるな。」

 

「え?」

 

「諦めたら、それでお終いだろ?

…それに、こんな所で終われるもんか…っ!

まだ、皆んなとやりたい事がある…っ!

十香と美味しい物を食べるんだ

四糸乃とアニメを見るんだ

琴里と買い物を行くんだ

耶倶矢とゲームをやるんだ

夕弦とお茶をするんだ

真那と運動をするんだ

令音さんと…約束したんだ。

必ず、生きて帰ると。」

 

勿論、それぞれに挙げた事を皆んなと共有する。

そこには当然───

 

「士織も含まれてるんだ。」

 

「───」

 

「それに…旅行前に聞こえてたんだ。

俺と沢山遊ぶって。」

 

「っ!? そ、それ、声に出ちゃってたんだ…」

 

士織は思わず顔を赤くする。

 

「嬉しかったんだ。

こんな俺と遊びたいって言ってくれてさ。

それに…皆んなと同じ様に…

士織とも『デート』をしたいしな。」

 

優しく微笑む士道。

 

「〜〜〜!!!」

 

士織は顔からボンッ!と爆発したかの様な顔をする。

 

「…」

 

…因みに我らが鈍感主人公様は沢山の精霊達との交流により、『デート』という概念がガバガバになっている事に気づいていない。

 

「ああ、そうさ。

だから…明日へ続く道を、この手で…切り開く!」

 

士道は残る力を振り絞る。

消えかけてる『アルセーヌ』と『怪盗服』の全ての力を拳に一点に集約する。

 

「『黒の閃光(ブラック・アッシュ)』!!!」

 

黒い閃光を放つ拳が暗闇の穴道に…

まるで『夜に輝く星』の様な光を照らした。

 

ドンッ!!!

 

拳が炸裂して更に道が出来る。

そして…ヒビ割れていく壁から光が見えて───

 

「士道くん!」

 

「あぁ、最後まで諦めなければ…『希望』は見えてくるんだ。」

 

「うん…っ!」

 

士織は『希望』を見つめる。

それは出口から見える夜が明ける朝日よりも眩しい

───『希望()』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆発音が激しくなる。

 

士道達が侵入した施設は既に火の海に包まれていた。

 

…生存者は恐らくいないだろう。

 

突然発火した爆発は至る所から発生していたからだ。

 

それはまるで『悪行を隠すように(都合の悪い事を無かった事)』にする様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…助かったな。」

 

「うん。」

 

士道と士織は取り残された海岸にて海から昇る朝日を見ていた。

 

「ねぇ…士道くん。」

 

「ん?」

 

「…僕ね、ずっと…ずっと、我慢してた事があるんだ。」

 

士織は士道に顔を日の陰で隠しながら語る。

 

「何だ?」

 

「キミに手を差し伸べてくれた時から…

僕はずっと、ずっっと、キミに伝えたかったんだ。

その為に…僕は自分を磨き続けた。」

 

士織は過去を思い出す。

転校した初日からイジメに遭い、絶望に打ちのめされていた日々を。

 

苦しかった。

 

そんな絶望の底に暗く沈んでいく自分に光を差し伸ばしてくれた『士道(キミ)』。

それからは毎日が楽しかった。

 

でも、長くは続かなかった。

 

離れ離れとなり、『士道(キミ)』と一緒でいられなくなってしまった。

 

辛かった。

 

…けど、誓った。

自分を磨いていつの日か必ず会うって。

 

「僕、頑張ったよ?

太陽の様に眩しいキミ

青空の様に綺麗なキミ

星空の様に煌びやかなキミに並ぶ為に女を磨いたんだ。

…そしたら、キミは【破滅の運命】なんて背負わされていて、更には精霊の為に一人戦っていたなんてさ…

ホント…人生って分からないものだね。」

 

「…そうだな。」

 

「…」

 

「…」

 

沈黙が生まれる。

士道本人は疲労や何処か暗い感じの士織にどう反応していいのか分からず、淡々と返事しか出来なかった。

 

そして士織は…覚悟を決めた顔。

頬を赤く染めた顔で士道に近づいた。

 

「し、士織?」

 

士織の方を振り向けば、彼女の顔が目の前だった。

 

そして───

 

士織の唇と士道の唇が重なった。

 

「へ…?」

 

「…フフ♪」

 

士道は咄嗟の事で思考が止まる。

そして、徐々にその行動の意味を理解していくと、顔を真っ赤にしていた。

 

「え、え…えっと、こ、これって───し、士織?」

 

士道がこのキスの意味を問おうとするも、士織は満足した様に士道の肩に顔を乗せて寄り添い、疲れ果てて眠ってしまった。

そして…一人、完全に取り残された士道はというと───

 

(こ、これってキス…キスだよな!?

しかも偶然じゃない。

士織の方から…

で、でも士織は精霊じゃないからキスする必要なんて…

え…え? ま、まさかお、俺の事…

いや、まさかそれは…

か、考えすぎの…筈…だよ…な?)

 

士道はキスによって心の中で感情が激しく揺れていた。

士織にその意味を問い掛けようとしても、眠ってしまったせいで分からない。

 

ただそれよりもだ。

 

「…!?(ゾクッ!!)

も、もの凄い悪寒がする…

まだ肌寒い季節な訳でもないのに…

これは…一体何故…?」

 

それはブルブルと冬の寒さに凍える様な…

いや、巨大な殺意、怒りによる恐怖が士道の身に迫ろうとする予兆であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

モニターに映るのは爆発による建物の炎上。

それにより、クルー達は残る士道と士織の身を案じて急いで解析を行っていた。

 

「解析の方はどうですか!?」

 

「未だ結果は見られない。

…恐らくシンの事だ、彼女と共に既に脱出をしている筈だ。

そう、その筈…その、筈…」

 

神無月の意見に令音が冷静に判断…いや、心配しすぎて手足が震えていた。

 

「…おにー、ちゃん。

お願い…無事でいて…!」

 

司令席の椅子に必死で縋るように琴里は士道の身を案じていた。

 

「司令、お気持ちは大変理解出来ますが…

他の皆さんと同じ様に治療の方を…」

 

神無月が弱まっている琴里にそう告げる。

今、士道の力によって『天使』として顕現したよしのんによって運ばれた精霊達は霊力を奪われ、大幅に弱まっており、治療用の顕現装置によって治療されていた。

 

「…無理よ…おにーちゃんの事が心配で、落ち落ちと寝てられないわよ…」

 

「し、しかし…」

 

「…士道達の居場所が分かったぞ!」

 

[!?]

 

夢界の言葉に全員が反応する。

 

「無事なのですね? 夢界くん。」

 

「ああ…場所は小さな崖だな?

映像に出すぞ。」

 

夢界がそう言うと、令音がタブレット端末を操作してモニターに士道達の様子を直ぐに表示する。

すると、映し出された場面は───

 

士織が士道にキスする瞬間だった。

 

[あ…]

 

突然の衝撃の映像に皆はそう言葉を漏らすも、次第に───

 

「こ、ここここれってキス、キスですよね!?」

 

「お、落ち着きなさいよ。

え、でもこれってそう言う事よね?

いや…まぁ、分かってたけど…

大胆よね…若いって凄い。」

 

頬を赤らめて「はわわわ!」とする椎崎、「あんらー!」と嬉々とした反応をする箕輪。

 

「おお…」

 

「これはまた…」

 

男性陣も凄いもん見たわーっていう反応を示した。

 

「ほへー。」

 

「遂に行ったって感じだな♪」

 

翔太は「意外なもん見たわー」って感じから、「まぁ、普段からなぁー」という感じだった。

一方で夢界はというと、士織の士道への好意は当然理解していたのでその内やるでしょーみたいな考えだったからか、面白そうに捉えてた。

 

士織(彼女)から士道()へのするキスは精霊達との霊力封印によるモノとは違うもの。

そうこれは…一つの愛の告は───

 

ダンッ!!!

 

金属を叩く音が鳴り響く。

 

「あんの…女狐…よくも私のおにーちゃんにキスをぉ…っ!!!」

 

よく見れば琴里がとんでもない嫉妬のオーラを放出していた。

叩いた部分は完全に凹んでおり、霊力を奪われて一時的に弱体化しているとは到底思えない感じだった。

 

そして…令音とはいうと───

 

ミシミシミシッッッ!!!

 

操作していたタブレット端末を静かに握りしめていた。

 

「やってくれる……っっ!!」

 

端末は既に大きくひび割れており、彼女の表情は暗くなって見えなくなっており、その代わり…琴里に次ぐとんでもない嫉妬のオーラを放出していた。

 

更に───

 

『…フフ♪』

 

士織が嬉しそうにしていた。

 

グシャッ!!

 

ギシィッ!!

 

令音が端末を完全に破壊し、琴里がデスクの一部を破損させており、更に凄まじい嫉妬と殺気を放出したオーラを出し始めた。

 

「…俺らは何も見てない…いいな?」

 

夢界の小さな呟きに令音と琴里以外が首を縦に振っていた。

 

…因みにこの場にいない十香達や再び目元を隠して監禁している折紙だが、それぞれが嫌な予感を感じていたそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後…

 

「ほら、早く支度しなさい士道…おにーちゃん!」

 

「あぁ、分かってる!」

 

玄関前で士道を待っている琴里が何やら準備している士道を呼びかける。

 

「士道くーん♪ 早く学校行こー♪」

 

「(ブチっ!)」

 

そこに士織がやって来る。

以前の事があって琴里は静かに嫉妬と怒りのオーラを士織に当てるも、本人は───

 

「フフフ♪」

 

…っと勝ち誇った顔をしていた。

あの後士道がどうなったかは…知らない方が良いだろう…

 

「悪い悪い…あ、士織。おはよう。」

 

「うん! おはよう!」

 

いつも通りの挨拶をする。

 

「ふんっ!」

 

「あだっ!?」

 

「行くわよ!」

 

琴里が嫉妬の足踏みをして士道に愛の制裁を施した。

琴里と士織はドアを開けて外へと出た。

 

「あたたた……ん?」

 

ふと士道は玄関にある鏡に映る自分を見た。

そこに映っていたのはとても今に充実し、笑っている自分の顔だった。

 

「…コレが、俺?」

 

士道はその笑っていた自分を見て凝視する。

 

 

 

 

 

「…誰だ()()()は。

この笑っているオマエが本当に『五河士道()』なのか?」

 

 

 

 

 

「おにーちゃん!!」

 

「あ…あぁ、今行く!」

 

琴里に呼ばれて直ぐに外に出た士道だった。

 

 

 







・士織と士道の連携技はペルソナ5Rでジョーカーとヴァイオレットとの「ショータイム!」を所々変えた感じでイメージして下さい。
…ただ、この連携技はどう考えても短縮出来なかったので、次に披露する事があるのか?って感じなのが心残り。


・『黒無の剣(バイシクル・ソード)』よりも『黒の閃光(ブラック・アッシュ)』の方がフェイバリットになってんな。
やっぱり、剣よりも拳か。


・さて、次回は毎度ながら番外編。
次回予告も兼ねてますので、乞うご期待。
…内容も頑張って面白く出来るように常に心がけます。
それと、ここで言ってしまいますが次章で2期分が終了です。
3期分に向けて内容を纏めるのですが…
3期分での各章を予めある程度予告した方がいいですかね?
自分はネタバレ上等寧ろ内容気になるから教えてください派なんですが、皆さんは如何ですかね?
ネタバレが嫌だというのが多いと思うので出来るだけ語らない様には心掛けてはいますが…コメント待ってます。


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