デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

97 / 110



アニメデアラⅤも着々と終わりへと向かって後半へ…
そんな中でコチラは新章開幕!

では、鞠亜編をどうぞ。





【第10章】鞠亜編『芽生える命』
第一話:マイリトルシドー2


 

 

 

DEMインダストリー本社:イギリス

 

 

「失礼する。」

 

「やぁ、マリス。」

 

DEMインダストリー社本部にてマリスはウェストコットのある部屋にへと足を運んだ。

 

「とんだ災難…いや、幸運だったかな?」

 

「ははは…茶化すのはよしてくれウェストコット。

正直、どちらもでもある訳だから複雑なのだよ…」

 

「おや、キミがそこまでの反応を示すとはね。

少し意外だったよ。」

 

「いやいや、私はしがない研究者だ。

今回はダイナがいてくれたからどうにか命があった訳だが、居なかったら…いやよそう。」

 

2人が愉快そうに話す中、その場にいたエレンが割り込む。

 

「私としては折角の機会を損ねたのは許し難いですね。」

 

「そう言わないであげたまえ、エレン。

キミも認めていたのであろう?

五河士道は『強敵』だと。」

 

「…それは無論。

ですが、私が言ってるのはそこの研究部長ではなく…

アナタですよ、生意気な小娘。」

 

エレンはマリスの横でお菓子を食っているダイナを見る。

 

「あ? んだよ、エレン。」

 

「…今までは特別に見逃していた訳ですが、今回を気にハッキリと告げておきましょう。

私はアナタよりも優秀です。

立場もそこの男より上の存在なのですよ?

…他の魔術師(ウィザード)達と比べればアナタは確かに強いという事は認めましょう。

しかし、彼等に勝った功績のある私と彼等に敗北したアナタ。

どちらが優れているのはもう理解したでしょう。」

 

エレンはダイナの前に立つ。

 

「これからは私に対して見下す事は控えなさい。

そして、最強である私の言うことを素直に───」

 

エレンが語る途中で何かが頬を掠った。

掠った頬からは血が流れて、壁に突き刺さった物…キャンディはパラパラと崩れた。

 

「おいおい、いい気になってんじゃねぇよ。

偶々運良く勝てた位で私よりも強い事を主張してんじゃねぇよ。」

 

ダイナがとてつもない殺気を放つ。

 

「それこそ私のセリフです。

負けているのですよ? アナタは。」

 

「負けた…? んな訳ねぇだろ。

あの時はお父様の身を優先したから立ち去っただけだ。

その気になれば、アイツらなんて全員殺せたさ。

それに、負けたっていうならお前だって負けてるだろ。

修学旅行ではおめおめと負けて、アリーナ会場では不意打ちを受け、ダメージを負って〈プリンセス〉を回収するのに精一杯だったじゃねぇか。

2回も負けてんじゃねぇかよ。」

 

「…何ですって?」

 

エレンも殺気立てる。

二人の放つ殺気はそこいらの社員や魔術師ならば恐怖の余り腰を抜けてしまうだろう。

 

「やれやれ、二人ともよしたまえ。」

 

ウェストコットが仲裁に入る。

どうやらこの男は平気の様だ。

 

「キミ達がここで暴れたら私達は大怪我では済まないし、この建物も吹き飛ぶだろう。」

 

「暴れる為に訓練室を空けておいた。

ダイナに執行部長。

殺し合うならそこで行ってくれたまえ。」

 

マリスもウェストコット同様に特に動揺する気配が無かった。

 

この事から二人は違う意味で普通とはかけ離れているだろう。

 

「良いぜ、この学習能力の無いエレンに本当の強さってのを教えてやるよ。」

 

「いい機会です。

大人を舐めるとどうなるのか…この小娘に思い知らせてあげましょう。」

 

二人は部屋を後にする。

 

「…やれやれ、お互いに困った相方を持ったものだな。」

 

「ははは、キミの所はまだ子供だから良いではないか。

エレンは大人だ。

やり過ぎないか、少々不安だな。」

 

「…フフ、ウェストコット。

キミもダイナの事を甘く見すぎているよ。」

 

「…と言うと?」

 

「ダイナは執行部長殿と比べ、()()()()()C()R()()()()()()()()()()()()()()()()

〈ルパン〉…五河士道達との戦いでは汎用型CRユニットを用いて〈ナイトメア〉や崇宮真那と交戦し、一丸となった彼等に対しても余裕であったのだよ。」

 

ウェストコットはその話を聞き、驚愕する。

 

「何と…その話は本当かい?

…だとすれば、彼女の力は既に『精霊』を凌駕しているのではないのかな?」

 

「本来であればね。

…あの子の力は()()()()()では全てを発揮する事が叶わない程のものだ。

その様に私が施した。」

 

「…ほほう。」

 

「施したのは良いが、専用のCRユニットを生み出すのに『常識離れした力』が必要不可欠だったのだよ。」

 

マリスはそう語るとニヤリとする。

 

「あぁ、成程…それで精霊達から霊力を奪って帰還したのだね。」

 

「あわよくば『天使』…いや、『霊結晶(セフィラ)』を抽出したかったのだが、それは叶わなかった。」

 

「それは仕方のない事さ。

出来ていれば、とっくに『彼女』から取り上げていたさ。」

 

「…それもそうだな。」

 

「ああそうだ、『彼女』と言えば。」

 

ウェストコットは手元のタブレットを操作すると、部屋が真っ暗になって壁がモニターにへと変化する。

 

そこに映し出されていたのは───

 

「キミが『ラタトスク機関』の戦艦に種を植え付けてくれたお陰で『彼女(コレ)』を試す機会が出来た、感謝するよ。」

 

「おおぉ、成功したのだな。」

 

「あぁ、コレで五河士道や精霊達の背後に立っている者の実態を知る手段が揃った。」

 

ウェストコットとマリスはモニターに映る水槽の中で眠る『女性』を見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…今日も疲れたな。」

 

その様に呟くのは丸メガネをかけた来禅高校の制服を着る青年『五河士道』

 

時刻からして恐らく授業を終えた事に安堵したものだろう。

 

しかし───

 

「シドー!」

 

彼に飛びつくようにくっついたのは夜の様な美しい黒髪を持つ美女『夜刀神十香』

 

「夜刀神十香、私の士道から離れるべき。」

 

十香に負けずとくっつくのは白い髪の美女『鳶一折紙』

 

「士道くんは僕と一緒に帰ろうねー。」

 

士道の腕に自身の胸を押し付けて更に手を絡める青髪の美女『雨宮士織』

 

「控えよ、我らの所有物に手を出すのは御法度ぞ!」

 

「同意。士道とイチャイチャしていいのは耶倶矢と夕弦です。」

 

士道にくっつく三人に向けてそう言い放つのは橙の髪の双子美女『八舞耶倶矢』と『八舞夕弦』

 

「だーりんはー、私とカップルで帰るんですよぉー。」

 

と言いつつ士道を主に十香達にもいやらしい手つきで抱きつく紫銀の髪の美女『誘宵美九』

 

「…あ、あはは。」

 

士道は丸メガネを曇らせて曖昧な返事しか出来なかった。

皆んなに必要とされている(?)と喜びと同時に…

引っ張られてたり、しがみつかれたりして少々痛がったり、胸を押し付けられて大変喜んで…

理性を抑える事に必死で顔を赤らめていた。

 

「…」

 

折紙はより積極的になっている士織に対して強く警戒心を強めた。

 

「…シドー!」

 

十香も士織の真似をして腕を絡めて胸を押し付け始めた。

 

「と、十香さん!?」

 

思わず十香に「さん」付けをする士道。

 

「…シドーが胸が好きなのは知っている。

ど、どうだ? これでいいかシドー?」

 

「だ、誰から…そんな事を聞いたんだ?」

 

「夢界だ。」

 

「…夢界。」

 

原因は相変わらず奴だった。

 

(四糸乃とは違う意味で癒しとも呼べる十香に…

何て事を教えてるんだ夢界…っ!!

ありがとう………じゃなくて…ゆ、許せんな!)

 

「…それに、シドーは特に令音からの…む、胸に抱き寄せられるのが好きではないか。」

 

「な、何でそんな風に…?」

 

「いつも鼻の下を伸ばしているではないか…」

 

「…え、そ、そんなに伸びてるの?」

 

自分で気づかないものである。

 

「士道くん、その事について詳しく聞かせてもらおうかな。」

 

「同じく。」

 

「ふ、2人とも何を…痛たたた!」

 

不機嫌となった士織と折紙が士道の頬を抓たり、眼光を鋭くしていた。

 

「と、十香まであんな事をしているではいか…

ぐぬぬぬぬぬ!」

 

「悲壮。耶倶矢には戦力が無いので可哀想です。

ぷぷ…」

 

「夕弦! ちょっと私よりも大きいくらいでぇ…っ!」

 

「訂正。ちょっとではありません。

圧倒的です。」

 

耶倶矢は十香までも胸を押し付けて士道を誘惑しているのに対し、自分が十香や士織程のサイズがない事に嫉妬し、夕弦が子供じみた反応で煽っていた。

 

「あぁん! 私はこの中で一番大きいですよ?

だーりん、どうですか?」

 

むにゅん むにゅん

 

精霊達の中で一番大きいサイズ『94』という戦闘力が思春期の士道を追い詰めていた!

 

「………あ、ありがとう…ございましゅ。」

 

「「「!!!」」」

 

十香・士織・折紙が更に士道に過剰な反応を示した。

 

「攻撃。夕弦も大きいですよ、士道。」

 

むにゅん

 

夕弦も美九に負けず劣らずの戦闘力『90』で士道を刺激していた。

 

「ゆ、夕弦!?」

 

「追撃。夕弦の場合、マスター折紙に伝授して貰ったテクもあります。」

 

夕弦は士道の左耳に艶めいた声で囁いて甘噛みをした。

 

「ひゃう!?」

 

思わず声を上げてしまう士道。

そして、それを見ていた耶倶矢がぷるぷると体を震わせていた。

 

「負けるかぁぁぁ!!!」

 

「か、耶倶矢!?」

 

耶倶矢も折紙の様に正面から抱きついた。

 

「うふふ…だーりんにくっついてると、だーりんと皆さんの抱擁を受けられて美九得ですぅ。」

 

好きな士道だけでなく女の子に囲まれている事にも喜びを感じている美九であった。

 

「ちょっ…何よアレ。」

 

「1人の男子生徒があんな多くの女の子に囲まれて…

人前で堂々と一体何をしているのかしら。」

 

士道達のやり取りをヒソヒソとしながら冷たい目で見ていた近所のおばさん達。

確かに、普通の事ではない為にその様な視線を送られるのは当然だろう。

 

「…」

 

士道はその事で無言でなるも───

 

「おい、見ろよ五河の奴。

ウチの学校の美人達からあんな風に抱きつかれてヨォ!」

 

「ざっけんなよ、爆発しろよな!」

 

「天真爛漫の夜刀神さんからあんな風にしてもらえるなんてさぁ…っ!」

 

「クールで美人の鳶一さんからもあんなにさぁ…っ!」

 

「モデルみたいな雨宮さんからもあんな風に抱きつかれてよぉ…っ!」

 

「二属性の双子の八舞さん達からもあんなに密着されてさぁ…っ!」

 

「畜生! 何であんな地味な奴がハーレムをしてんだヨォ!」

 

「しかも、あのエロい教師の村雨先生とも仲よくてさぁ…っ!」

 

「これは我が校の男子達を纏めてぶっ潰そうぜ!」

 

「殿町とのホモ仲の疑惑を流してやろうぜ!」

 

「…てか、おいアレ…美九たんじゃねぇか!?」

 

「う…嘘だろオイ!」

 

「夢であってくれよ!!!」

 

同じ学校の生徒達からも白い目で見られたり、殺意を向けられたりとしていた。

 

「…」

 

皆んなに強くでれない士道はただ…耐える事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラクシナス

 

 

「…何よあのアホにぃ…

あんなに嬉しそうに鼻の下を伸ばして満更でもない顔をして…

フンッ!」

 

モニターから精霊達の精神チェックと共に士道の様子を見て怒っていたの少女がいた。

赤いツインテールの士道の義妹にしてフラクシナス司令官『五河琴里』

 

───彼女はおにーちゃん大好きっ子なのだ!

 

「なんか今、ムカつく言葉を聞いた気がするわ…っ!

アンタね、神無月…フンッ!」

 

「あふん! 私ではありませんが…

ありがとうございます、しれぇぇい!」

 

鬱憤で琴里に蹴られて嬉しそうに倒れるのはドMのフラクシナス副司令官『神無月恭平』

 

「…やれやれ、こっちはいつも通りか。

それにしても……随分と楽しそうだね、シン。

後でみっちり反省をしてもらおう…っ!」

 

ゴゴゴゴゴ!!!と嫉妬のオーラを放出している女性がいた。

その事に実感も理解していないのは藤色の髪をしたフラクシナス解析官『村雨令音』

 

───彼女は士道にとって憧れの女性なのだ。

 

「私よりもまともなのは何故?」

 

「…琴里。」

 

令音が琴里に分かるように指でジェスチャーする。

 

───そして、その他の優秀なクルーを含め、このフラクシナスを陰で支え、士道達を導くスーパーエリートエージェン───

 

「何がスーパーエリートよ、アンタは精々パシリが良いところよ!」

 

「あべしっ! いい所で割り込まないでよー、琴里ちゃーん。」

 

琴里に蹴られて尚、軽々しく返事をするのは黒髪に白と紫のメッシュが入った特徴の男性『夢界藍』

 

そして、士道達の所やこの場にもいないが夢界と同じ士道の男子友達『天宮翔太』

 

彼は今…授業を早めに終えたことにより、天宮小学校の低学年女子が無事に帰れるようにパトロールを行っているのだ。

(※本人は犯罪じみた行為をしてる自覚なし!)

 

「ったく、にしてもアンタは何で士道と一緒にいないでここにいるのよ?」

 

「ん? いやだって…あんな状況じゃあ、流石の夢界さんも空気だしー?

擁護するのもキッツイしー、なので一目散にここに退避しますった!」

 

「ちっ、役立たず…」

 

「おーい、琴里ちゃーん?

夢界さんのお耳にも入っちゃってますよー。」

 

「あら、ごめん遊ばせ。」

 

と、くだらない話をしている中、扉が開く音がする。

 

「琴里さーん、皆さんの分の晩飯買ってきやしたよ。」

 

堂々と変わった言い方をする青髪の少女『崇宮真那』

 

「…はい、真那さんと…一緒に、頑張り…ました。」

 

《だよだよー、四糸乃を褒めてあげてよねー?》

 

モジモジと恥ずかしそうに話す水色の少女『四糸乃』

そして、相方のパペット『よしのん』

 

《んー? 今、癇に障る事を誰か言わなかったん?》

 

「どうしたんだい、よしのん?

誰も何も言っていないよー?」

 

《おんやー、そうなのー?

なら良いんだけどねー。》

 

「はいはい。

…真那もご苦労様、そこに置いといて頂戴。

今…それどころじゃ無いのよ。」

 

「はい? 何かあったんで…

まさか、兄様が誰かを口説いていやがるんですか!?

それでしたら、真那が今すぐ成敗しに───」

 

「モニター見てみー。」

 

夢界がそう言うと、真那はモニターに映るイチャイチャと士織を含めた女の子達が士道を見た。

 

「…あー、そう言うことでいやがりますかー。

んじゃまぁ、暇なので真那も混ざってきやーす!」

 

「わ、私も…」

 

「は!? そんな事はさせないわよ!」

 

真那がさりげなく混ざりに向かおうとするも、四糸乃と琴里が負けずと向かった。

 

「やれやれ、我らが士道はホント…罪作りなヤツだなぁ♪」

 

「…」

 

令音もさりげなく着いていこうとすると───

 

「ちょいちょい待ち、令音ちゃーん。」

 

「……はぁ、何かね?」

 

「あ、相変わらず夢界さんには何故か冷たいねー。

まぁいいや、言伝を頼みたいんよねー。」

 

「…言伝?」

 

令音がそう言うと、クルーの1人である中津川が口開く。

 

「例の『プログラム』が完成しました。

夢界くんも含めてテストもしてありますし、実行段階に移せます。」

 

「…そうか。『アレ』が完成したのか。」

 

「そう言う事。んじゃ、夕飯の時にしれっと伝言をお願いねー。」

 

夢界の言葉を聞き、令音はフラクシナスを後に琴里達の後を追い士道の元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

あの後、士道は嫉妬した琴里や真那達の介入もあってか更に周りの冷ややかな視線を受ける羽目になった。

大人の令音も普段のクールさを保ったまま、圧をかけた感じで士道の元までやって来て頬を抓るお仕置きをしていた。

幸せ贅沢というのか、様々な仕打ちを受けて晩御飯まで時が流れた。

そんな時だ、令音が食器洗いの手伝いと同時に───

『明日、フラクシナスへ来て欲しい。』

と告げられ、『キミにやって欲しい事がある。』との事で士道はフラクシナスへと足を運んだ。

 

「あ、おはようございます。

これ、お昼の差し入れです。」

 

「ありがとうございます、士道くん。

お忙しい中、我々の為にお昼をありがとうございます。

実は今日も楽しみにしていました。」

 

そう、士道は日頃から忙しそうにしている神無月達を見ていて何か出来ることはないかと模索し、辿り着いたのがお昼の差し入れだった。

 

「いえいえ…所で、要件は何ですか?

令音さんが必ず来て欲しいと言われたので来たのですが…」

 

「ええ、とても大事な事です。

では、着いてきて下さい。」

 

と、士道は神無月に誘導を受けて仕事をするクルー達に挨拶をしてついて行った。

導かれた場所はこれまでに訪れた事のない場所だった。

 

「うわぁ…なんか、凄い設備ですね…

何より、如何にも凄そうな椅子みたいなのがあるのですが…」

 

「ははは…確かにそれもそうですね。

夢界くん、士道くんをお連れしました。」

 

「ほいほーい。」

 

夢界が何かの作業中からコチラへやって来る。

 

「うっす、よく来たな。」

 

「あぁ…え、今回はお前の要件なのか?」

 

「ん? あぁ、いや…俺はプログラムの手伝いをしているんだ。

本命の説明は令音ちゃんがしてくれるぜ。

お、言ったそばから来たな。」

 

夢界の言った通り、令音がやって来た。

 

「…やぁ、シン。おはよう。

言われた通り、よく来てくれたね。」

 

「それは勿論です。

…所で、何故この様な場所に?」

 

「うむ。一番分かりやすい様に…コレを見てくれ。」

 

ピッ!と令音がモニターに向けてリモコンを操作する。

そこに映し出されていたのは───

 

 

 

 

 

『恋してマイリトルシドー2』

 

 

 

 

 

「………へ?」

 

明るいメロディと共に映し出されたモノを見た士道は呆れ気味な声と引き攣った顔をしていた。

それと同時に少し前…狂三の件で令音の操作ミスで表示されていた続編だった。

 

「嘘…こんな所でこんなのをわざわざやるんですかぁ?」

 

心底嫌そうな顔をする士道に令音は最初から分かっていた事から特に気にもせずに話をする。

 

「うむ。シン、キミの言いたい事は分からないこともないが…

何故コレを今やる羽目になっているか…理由は分かるかい?」

 

「いえ……全く存じ上げません。」

 

「そうか…では、コレを見てくれ。」

 

令音が再度リモコンの操作をする。

それによって映し出されたのは───

 

「うわぁ! 俺のヤバい顔シリーズ!?

しかも…殆どキモイ顔ばっかじゃん…」

 

士道は最初に恥ずかしい顔をすると、段々自分の顔に対するコンプレックスにより元気を無くす。

 

「まぁまぁ、私としてはキミの容姿は大変愛らしくカッコいいと思うのだがね。

…それはともかく、何故コレを表示されているのか…分かるかい?」

 

「……えっとぉ?」

 

「キミの女の子に対する耐性をつけるためだ。」

 

「…」

 

「今のところ、キミは我々の出した課題をこなし、6人の精霊を救ってきた。

それに関しては高く評価している。

私個人としても自分の事のように鼻が高いと思う。」

 

「え、えへへ。」

 

「……しかし、キミは女の子からの誘惑に弱いという弱点を持っている。

コレを解消しない限り…狂三を攻略する事は出来ないと我々は踏んでいる。」

 

「狂三…」

 

そう、これまで士道が出会ってきた精霊の中で1人…

お嬢様の様に気品溢れる黒髪美女『時崎狂三』

彼女の攻略に失敗している。

 

「それだけでなく、今後の精霊の性格や『天使』によっては更に困難であると判断し、我々はこの『プロジェクト』を開始する事にした。

クルーの中津川を筆頭に他のクルー達の案をだし、それを元に夢界藍がプログラムを作り、『ラタトスク』が機材を提供することで完成したのがこの

───『仮想電脳世界(バーチャル・シュミレーテッド・システム)』だ。」

 

「お、おお…っ!」

 

「すっごいネーミングだよな。

けど、それに見合う程のモンだぜ。」

 

夢界がいつの間にか別の部屋にへと移っており、操作ボードを展開して操作し始めた。

 

「こ、これって…!」

 

「そう。つまり顕現装置(リアライザ)を用いて生み出された世界をVRを通して実現し体験させるって訳だな。」

 

「…それは…凄いな。

ゲームとかあんまりやらない俺にでも凄さが分かる。

まさに最新鋭の技術…近未来感あるなぁ…っ!」

 

「だよなぁ〜。この後に来る皆んなも驚くと思うぜ!

…まぁ、分かるのは耶倶矢ちゃんとか翔くらいなモンだろうけど…細かい事は無し無し!

ささ、士道。早速訓練開始って事でそこの凄そうな椅子に座りなー。」

 

夢界が操作ボードを操作しながら指示をし、神無月がテキパキと機材を動かす。

士道は言われた通りに椅子に座り、令音が士道にVRゴーグルをつけるのを手伝う。

 

「令音ちゃんの距離の近いおっぱいに反応すんなよ(笑)」

 

「お前は黙ってろ。」

 

そんなくだらない戯れをし、いよいよ訓練が始まろうとする。

 

「さ、これでよし。」

 

「おお…」

 

「夢界くん、コチラも準備OKです。」

 

「うし。んじゃ…士道、なんかそれっぽいのを頼むわ。」

 

「は?」

 

「いやぁ、なんか決め台詞を叫んでみなってな。」

 

「それ…叫んだ後に何もせずに白けさせて辱める事が目的じゃないか…」

 

士道がそう言うと、ギロリと令音が士道に分からないように夢界を睨んだ。

 

「さ、流石にそんな真似はし、しないよ?」

 

「それ、するつもりのやつじゃ───」

 

「良いから良いから、ちゃんと合わせてスタートさせるから!」

 

「…」

 

士道は少し考えて…咄嗟に浮かんだ案を実行する。

 

「じゃ…じゃぁ…んんっ!

───『仮想電脳世界(バーチャル・シュミレーテッド・システム)』起動!」

 

「起動!」

 

士道は頬を赤らめて決め台詞を叫ぶ。

 

夢界もそれに合わせて『プロジェクト』を起動させた。

 

 

 







・アニメの澪編前半…士道が『天使』を思ってた以上に乱用していて、今までに使っていればどうなってたんだろう…って思った。
後、皆を殺されてたとはいえ、澪相手に容赦なく『天使』で攻撃したのに結構衝撃だった。


・最後の士道のセリフ…「into the vrains!」って言わせたかったのが本音(割とどうでもいい…)


・新章始まったところで突然ですが、ここでちょっとした告知です。
アニメ『デート・ア・ライブⅤ』が終え、鞠亜編が終わった頃に新しい小説をやりたいと思ってます。
それは『陰の実力になりたくて!』を舞台とした作品で、タイトルは───


『陰と影の実力者』


どういった流れになるかと言うと、何処にでもいるモブ少年(主人公)が呪術廻戦の『十種影法術』をベースとしたオリジナルの力を特典に転生した物語です。
…まぁ、あくまでも予定なので何らかの事で過去に『月姫』とクロスオーバーした作品をやろうとした様に無かった事になる可能性もあります。
ですが、それとは違って今回のはマジでやろうと考えてます。
ただし…自分がやろうとする前に似たものがあったらやらないです。
投稿もメインがこの作品『デート・ア・ペルソナ』ですので投稿も不定期かこの作品の展開に行き詰まったら息抜きでやろうと思っています。
そんな、感じです。はい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。