デート・ア・ペルソナ   作:黒ソニア

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お気に入りが200を超えてました。
ありがとうございます。

そして…今回、色々と挑戦する感じでだいぶ攻めて進めました。





第三話:試練開始

 

 

 

「んぐ、ここは?」

 

気がつけばベットで寝ていた士道だった。

 

「あれ、何でパジャマで寝ていたんだ…?」

 

当然な疑問を抱く中、ドタバタと音を立てながら部屋のドアが豪快に開いた。

 

「おっはよー!!」

 

「ん…あぁ、おはよう琴里。」

 

「んん?」

 

いつもの通りに挨拶に返事を返す。

しかし、琴里の反応は微妙な感じだった。

 

「どうしたのー、士道。

何か変な物でも食べたの?」

 

「え? 特に食べてないけど…」

 

士道はある違和感に気づいた。

琴里が呼び捨てにするのは黒リボンの『司令官モード』の時だ。

けど、今着けている白リボンでは()()()()()()()()()()の筈だから、呼び方は『おにーちゃん』の筈だと。

 

「えっと…どうして呼び捨てなんだ?」

 

「んー? 何を言っているのー?

私は士道の『()』で、士道は私の『()』だよ?」

 

「…え?」

 

士道は困惑する。

 

(どういう事だ?

一体がどうなって…あ。)

 

士道は答えに辿り着く。

これは『試練』であると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道は琴里から買い出しを頼まれてスーパーに足を運び、買い物を終えていた。

 

「…これは『試練』で間違いない。

そして、ここでは俺は琴里の『弟』で琴里は『姉』。

立場が逆になってるって、何だか落ち着かないな。」

 

何より白リボンで『士道』呼びが、腑に落ちない感情で一杯だった。

 

「そうは言っても、俺がこの『試練』で何をどうすれば良いんだ?

…鞠亜に聞いておけば良かった。」

 

『呼びましたか?』

 

「っ!? 鞠亜!?」

 

突然、メガネから鞠亜の姿と声がして驚く士道。

 

「お前、今まで何処にいたんだ?」

 

『? 私は士道のメガネの中にいましたが?』

 

「そんな『何を言っているんですか?』みたいに言われてもな…」

 

『はい。その通りですが?』

 

「…どうやってメガネの中に入ってたんだ?」

 

『それは簡単な事です。

私は『AI』で、この世界は『電脳世界』です。

この世界では私は自在にシステムに干渉が出来るのです。

士道が『五河琴里の試練』を受けたと同時にいつでもサポート出来るようにアナタのメガネにインストールするようにしたのです。』

 

「…色々とツッコミを入れたい所だけど、その説明は先に言って欲しかったな。」

 

『? 可笑しいですね。

私が保有している情報では士道は勘が鋭い所があると記述されています。』

 

「俺を過大評価してくれるのは嬉しいけど、限度があるからな?

…それで、『琴里の試練』と言ったよな?

確認の為に聞きたいのだが…俺はこの『試練』では…

いや、『試練』そのものにどうすればクリア出来るんだ?」

 

『そういえば、まだその説明がまだでしたね。

では、解説致します。』

 

①『試練』は分かりやすく光る扉を開く事で開始される。

②『試練』の内容は受けた際に管理AIの鞠亜が把握して告知する。

③『試練』のクリア方法はその『試練』の攻略対象の女性の心を掴む…デレさせる事。

 

『以上が、『試練』についてです。

五河琴里の試練について告知出来なかったのはタイミングが図れなかったからと士道の精神状態を考慮したからです。』

 

「まぁ、それはそうだな。

琴里が『姉』だと言われて困惑していたからな。

なら仕方ないな。」

 

『そう言ってくれた事に感謝します。

…実の所、怒られる…いえ、嫌われるのでは無いかと心配でした。』

 

「そんなので怒らないし、嫌いになんかならないよ。

だから安心して俺の手助けをしてくれ。」

 

『…っ! はい!』

 

士道はこの時、鞠亜と少し心が通じ合った気がした。

彼女は自身を『AI』だと誇張していたのだが…

士道はその事に大きな違和感を抱いていた。

 

(…今はその事について考えるのは後だな。

今重要なのは…『試練』をクリアする事だ。)

 

士道は決意を固めた。

 

 

 

 

 

『第一試練:琴里おねーちゃんをデレさせよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「士道、ご飯まだなのー?」

 

「もうちょっとだけ待ってくれ。

今日は琴里…おねーちゃんの好きなハンバーグだよー。」

 

「おおー! 分かってるー!」

 

士道の事をこの世界では『姉』であるために呼び捨てだが、中身は白リボンと変わらない様だ。

 

(さて…どうすればデレさせられるんだ?

…ていうか、琴里()なんだが…

正直、気が引けるのが本音だ。)

 

料理をしながら考えていると…

 

『…次のニュースです。

本日××で、巨大なクレーターが見つかりました。

クレーターには所々に残火があり───』

 

「何だそれ……ん?」

 

何やら視線を感じて振り向くと───

 

「…(にぃ)」

 

如何にも怪しい人物…ていうかその姿が、某死神名探偵コナ●に出てくる犯人の姿だった。

 

(コレって実際になるものなの…っ!?)

 

驚きと衝撃を受けた顔でいる士道。

そんな中、琴里が何かを知っているかの様な行動をとり始める。

 

「チッ! こんな時に現れたわね!」

 

「え、ちょっ! 琴里…おねーちゃん!?」

 

士道は外へ飛び出した琴里を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…結構早いな。

そして、見つけた。」

 

士道は何とか追いかけて犯人の姿をした人物と琴里が何やら対峙していた。

 

「追い詰めたわよ!

今日こそやっつけやるわ!」

 

(何? 何か因縁でもあんの?)

 

士道が疑問を抱いていると、琴里はポケットからガラケーを取り出した。

 

(何故ガラケー?)

 

それについても疑問を抱くも、琴里はピポパと入力し───

 

「メイクアップ!」

 

「へ?」

 

何やらポーズをとって掛け声をかけると、琴里の姿が…変身する!

 

「魔法少女ことりん!」

 

琴里は魔法少女にへと変身した!

 

「へ? え?」

 

突然の事で困惑する士道。

 

「行くわよ!

───我が名はことりん!

最強の魔法少女にして、一人の弟を溺愛する姉!

我が最強の爆炎魔法で汝を滅してやるわ!」

 

…何処かの異世界にいる、頭のおかしい何ちゃら族の娘の名乗りを上げていた。

 

琴里…ことりんはいつの間にかガラケーがステッキに変わっていた物を突き出すと、何やら詠唱を唱え始めた。

 

「赤より赤く…真紅のステッキよ、我が野望に立ちはだかる敵に大いなる鉄槌を!

───【マジカル・イフリート】!」

 

…「エクスプ●ージョンじゃないのな。」とツッコミを入れたかった士道だが。

 

「…」

 

情報量の多さに唖然としていた。

 

そして…何より、空中に描かれた魔法陣らしきものから凄まじい熱が噴き出して───

 

ドッッッゴオオォォォォォォンッ!!!!

 

すんごい爆発を起こし、巨大なクレーターが出来ていた。

 

(えぇぇぇぇぇ!?

威力は本物と大差ないじゃんっ!?

…って、あれ? このクレーター何処かで…)

 

「あ、危なかった…」

 

「チッ…外したか。」

 

間一髪、何に対しての犯人(?)さんは免れていた。

 

「…はっ! いやいや、何してんの!?」

 

「え!? 士道!?

まさか追いかけてたの!?」

 

士道がワンテンポ(?)遅れてツッコミを入れ、琴里は士道に気づいて驚いた。

 

「そりゃ、追いかけるに決まって───ん?」

 

ふと、琴里の前に爆発によって座り込んでいた人物に目を向ける。

その人物は当然犯人さんの筈だが、いつの間にか真っ黒な姿では無かった。

正体は───

 

「し、椎崎さん!?」

 

そう、琴里の部下の椎崎だった。

 

「え、どういう事だ!?

何で琴里が椎崎さんを!?」

 

「え、アナタ、私を知って?

……いえ、待ってください、アナタから強力な───っ!?」

 

椎崎が士道を見て何やら呟いていたが、琴里の様子に異変が生じていた。

 

「フッ…フフフフフ…」

 

「こ、琴里?」

 

「アッハハハハ!!」

 

琴里から謎の黒いオーラが放出される。

そして、魔法少女の姿から何故か魔王を彷彿される様な格好にへと変化した。

その急激な変化に士道はまたついていけなくなり、唖然としていた。

 

「え、何? もうついて行けないんだけど…」

 

「バレてしまってはしょうがないわ…神無月!」

 

「ブヒー!」

 

琴里がパチンと指を鳴らすと、魔法陣らしきものから…豚の着ぐるみを着た神無月が召喚された。

…首輪にリードをつけ、鼻息を荒くしていた。

 

「もうツッコまないぞ…」

 

「士道には知らずに生活を遅らせたかったけど…

やむを得ないわ。

私の悪の組織の部下として可愛がってあげる。

フフフ…」

 

「あれ…これ、もしかしてマズイ状況?」

 

琴里は悪い笑みで新たな首輪とリードを手に持ち、豚の神無月が「来いよ、こっち来いよ!」みたいな視線を送っていた。

 

突然の絶対絶命の状況に…

 

ブンッ! ブブブブンッ!

 

胸元が開いたエロいライダースーツの女性がカッコいいバイクに乗ってカッコよく士道を守るように前に現れた。

 

「ドクター!」

 

「ドクター?」

 

「…来たわね。」

 

士道以外は知っている様子だった。

そして、ライダースーツの女性は士道の元へと駆け寄って、ヘルメットを外した。

 

「令音さん!?」

 

なんと、カッコよく現れた女性の正体は令音だった!

 

「え、令音さん…ですよね?

な、何て破廉恥な恰好なんだ…っ!」

 

士道は鼻の下を伸ばしていた。

 

「…椎崎、よく見つけてくれた。」

 

「はい!」

 

「…え、え? こ、今度はどういった展開で?」

 

「……フムフム、これは逸材だ。」

 

令音はよく観察するように士道を見ると、うんうんと頷いて何かを取り出そうとしていた。

 

「キミ、名前は?」

 

(…なんかもうよく分からない怒涛の展開だけど…

ん、待てよ…ここの令音さんは俺の事を知らないんだよな?

…もしかして、ここでなら名前で呼んで貰えるかな?)

 

「士道です。五河士道。」

 

「…そうか、シンタロウか。」

 

「いえ、士道です。」

 

「そうか…では、シン。

私がこれから言う事を聞いてくれ。」

 

「あ、駄目だこれ…」

 

ちょっとした淡い期待を抱いていたが、無駄に終わった。

 

「いいかい、シン。

キミの姉は悪の組織『ことことりん』って言うのだが…」

 

「何、その組織…」

 

「彼女は自分の容姿が中学の時に成長が止まったせいか、自分よりも発育の良い女性を見るや否や、周囲を無視して爆炎を起こしてるんだ。

ニュースで話題になっているクレーターの主犯が彼女だ。」

 

「何、そのしょうもない理由…」

 

「彼女はもし姿が見られたら…という事を考えて、魔法少女の恰好をした『魔王少女』なんだ…っ!」

 

「ナ、ナンダッテー…」

 

もしやと思っていた事が真実だったと知り、頭を痛める士道だった。

 

「さぁ、キミの姉を…会心させるんだ。

コレを使ってね。」

 

令音は士道に謎のマイクを差し出した。

 

「え、マイク?」

 

「それを天に翳して叫ぶんだ、『変身、しどりん!』と。」

 

「それ…本気ですか?」

 

「…さぁ、敵が刻一刻と迫っている。

悠長にしている場合ではないよ。」

 

琴里達がゆっくりゆっくりと迫っていた…が。

 

「変身するまで待ってあげるわ。

お約束は守るのはマナーよ。」

 

…敵ながらに空気が読めてしまうようだ。

 

『士道、話が進まないので早くやりましょう。』

 

今まで沈黙だった鞠亜がその様に語りかけてきた。

 

「…ええい、やればいいんでしょ!?

変身…しどりん!」

 

士道がそう叫ぶと、士道の姿が変わる。

その姿は…アイドルの恰好(女装)の士道で、顔はそのままだった。

 

「ただの女装じゃんか!

くそっ…思い出したくもない、悪夢が…っ!」

 

一瞬、フラッシュバックが襲う様な感覚になるが…

 

カシャカシャッ!!

 

何処から用意したのか、高そうな大型カメラで女装した士道を撮っていた。

 

「え? 令音さん?」

 

「…もうちょい。

もう少し脚をこう…女の子っぽくお淑やかに頼む。」

 

「え、あ…こう…」

 

「良い…実に良い。」

 

普段、クールな令音が鼻血を垂らしながら懸命に撮影をしていた。

 

「…ふ、ふんっ! 中々やるじゃない…っ!」

 

何故か、琴…〈魔王少女ことりん〉は士道を見るや否や、何もしていないのに傷を負ったように片膝をついていた。

…しかも、頬を赤く染めてきゅんとした顔になっていた。

 

『やりましたね、士道。

五河琴里をデレさせられてる様子です。

このままトドメを…っ!』

 

「トドメって…、何? 何をするの?」

 

『『無難に萌え萌えきゅん♡』っでいきましょう!』

 

「…マ?」

 

頭の悪い返答に士道まで頭がおかしくなりそうだった。

 

「さ、その力を見せてあげるんだ、シン…っ!」

 

「………も……萌え萌え…きゅんっ♡」

 

士道は無理して行った。

 

それを正面から受けた〈魔王少女ことりん〉は───

 

「はあぁぁん!♡」

 

メロメロになっていた。

 

「わー!」

 

空気になっていた神無月は〈魔王少女ことりん〉に続いて何故かやられていた。

 

「うぅぅ…ああぁぁぁぁっ!!!」

 

〈魔王少女ことりん〉のハート部分から赤い光が抽出され、士道の手に渡った。

 

 

 

 

 

『攻略完了!』

 

 

 

 

 

クリアの告知が上部に浮かんでいた。

 

「…これでクリアなんだ。」

 

『おめでとうございます。』

 

「素直に喜べない…」

 

士道が項垂れていると、バイクの音が鳴る。

 

「…実に良いものが撮れたよ。ありがとう。」

 

そう言って、令音は親指を立て、椎崎を後ろに乗せて去った。

 

「…ナニコレ。」

 

士道の一言でこの世界が光輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでクリアなの?」

 

士道が琴里の部屋の前に座り込んでいた。

 

『はい。その証に手元のマイクを見てください。」

 

鞠亜に言われて士道は令音に渡された変身マイクを見た。

 

「コレ…いつの間にかそのまま持っていたのか…」

 

そう言いつつも、マイクをよく見れば赤色のライトが付いていた。

 

「へぇ…光るだろう部分が全部で『6』つ。

…残りの『試練』もあんな感じは勘弁してくれよ。」

 

そう言いつつ、士道は気合を入れて鞠亜に『試練』のある場所を聞いて向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…十香の部屋か。」

 

『はい。残りは必然的に考えれば…分かるでしょう?』

 

「四糸乃、耶倶矢と夕弦か。」

 

『はい。十香は後に、他の『試練』にしますか?』

 

「…いや、十香の『試練』に挑む。」

 

『了解です。』

 

鞠奈にそう言って士道は紫に光るドアを開いた。

 

 

 

 

 

『第二試練:保険の十香せんせー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…んん?」

 

意識がハッキリとすると士道はある異変に気づく。

 

「体が…怠い。」

 

そう、それはまるで風邪を引いた感じだ。

 

「…丁度目の前に保健室がある。

身体の異常からして、明らかにこれで入れって事だな。」

 

士道は保健室の扉を開けて入る。

そこにいた人物は───

 

「おお、()()()()()ではないか!

む? どうしたのだ?」

 

そこにいたのは椅子に座る伊達眼鏡をかけた何処か大人の雰囲気を出す『十香先生』だった。

 

(おお…。十香が大人に見える…っ!

将来、十香はこんな感じになるのか。)

 

成長した(?)十香を見て何処か感心する士道だった。

 

『…早く話を進めてはどうですか、士道。』

 

何故かメガネから塩対応をする鞠亜。

 

「(鞠亜? なんで、冷たい対応なの…?)

んん…、十香…先生?

少し…身体の調子が悪くて…」

 

「何と…っ!? それは本当か!?

どれ、見せてみろ!」

 

十香は保険の先生として対応する。

 

「はい。」

 

「口を開いて見よ。」

 

「はい。」

 

「……うむ、とても赤いな。」

 

「そ、そうらのれすはぁ?」

 

「ふむふむ、次は体温チェックだな。」

 

十香は体温計を出さず、自身のデコを士道のデコに当てる。

 

「ふぅむぅ…37.5度か。」

 

「え? それで分かるの?」

 

「うむ! 当然だぞ、私は先生だからな!」

 

どうやら十香にとって先生とはそういう者の認識らしい。

 

「そ、そうですか…」

 

「では、シドーくんよ。

ベットで横になるのだ。」

 

(アレ? 意外と先生らしくまともだ。

琴里の時とはえらい違いだな。)

 

士道が意外に感じながら、ベットで横たわると───

 

「うんしょ、コレだな。」

 

十香先生は…巨大な注射器を用意していた。

 

「何それ!?」

 

「む? 何とは…どう見ても注射器だぞ?」

 

「いやいや…いやいや!

そのサイズは何!?

そいうのは漫画だけにして下さいよ!!」

 

思わず興奮気味に士道はツッコミを入れる。

お陰で益々体温は上がっているだろう。

 

「大丈夫だぞ? 痛いのは一瞬だ。

…先生も注射が嫌いなのだが…共に乗り越えるぞ!」

 

十香は目元に若干涙を溜めながらそう語る。

実際に十香は注射が嫌いである。

 

かくいう士道も───

 

「…っ!!!」

 

体を震わせながら怯えていた。

 

この男、五河士道もまた注射が嫌いなのである。

これまで沢山の怪我をしておいて、何でだと思うだろうが。

その理由は───昔、士道がイジメられていた頃(小学生の頃)。

ミシン針で突かれる拷問じみた事を受けた事があるからだ。

お陰で不器用であるのも加えて裁縫が出来ない体になった挙句、細い針である注射器も嫌い…苦手になったのである。

 

(怖い…怖い怖い怖い!!!)

 

士道は恐怖のあまり、逃げ出そうとする。

 

『士道、どうしましたか?

…っ!? どうしたのですか!?

心拍数が異常の数値を出してますが!?』

 

鞠亜が士道の身を案じる。

その瞬間───

 

「シドーくん、駄目だ!

このままでは───んむぅ!?」

 

士道が扉に手をかけた途端、十香が倒れた音がする。

 

「と、十香!? どうし…ん?」

 

「うぅ…包帯が…絡まってしまった…」

 

謎のハプニングが発生する。

十香が包帯に絡まれて何故そうなる(?)的なある意味お約束な展開になって身動き取らなくなっていた。

 

「…」

 

「むぅぅ…シドーくん、すまないが助け───

シドー…くん?」

 

士道に助けをこう中、十香は士道の様子の変化に気づく。

 

士道は熱によるせいなのか…はたまた別の理由なのか…

 

カチッ

 

士道は絡まれて実にエ●い(えってぃ)な姿の十香を見て、自分の中で何かが変わった。

 

「十香がいけないんだぞ…?

俺を…頭がぐわんぐわんする中でそんな淫らな姿になれば…流石に俺も…」

 

士道は影が掛かった顔で目元を怪しい眼光に光らせ、笑っていた。

 

「し、シドー…?」

 

「フフ…フフフッ…フッフフフフハハッ…!」

 

手をいやらしく動かす。

激しいかと思えばそう捉えられるが…それは卑猥でも下品でもなく、何より●ロい(えってぃ)な手つきだった。

 

「さぁ…始めようか。」

 

「うぅ…」

 

十香は恥ずかしそうに顔を赤らめ、涙目になっていた。

しかし…

 

「…」

 

何処か嬉しそうにしていた様にも見えた。

 

士道が十香へと手を伸ばした瞬間───

 

十香のハート部分から紫の光が抽出し、士道の手に渡った。

 

 

 

 

 

『攻略完了!』

 

 

 

 

 

とクリア告知と共に士道は速やかにこの世界から退出させられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふぅ…危ない所でした。』

 

鞠亜は安堵した顔をしていた。

 

『全く…()()()()()()()()()()()()()()()()()()

どうなっていたのやら。

そして、士道にあんな一面があったとは…データにありませんでした。

更新しなければなりませんね。』

 

…どうやら、十香が謎のハプニングになったのは鞠亜の手によるものだった。

 

『しかし…何故でしょう。

士道にめちゃくちゃにされそうになった時…とても()()()()しました。』

 

密かにそう呟く。

彼女は『AI』。

その存在故に『感情』といった『心』を持つ筈がない。

けれど、その有様はまるで───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? いつの間にか『試練』が終わってる?」

 

『…夜刀神十香を襲おうとした事により、彼女のハートを掴めた様です。』

 

「え!?」

 

士道はとても驚いた反応を見せる。

 

『何ですか? あの幼気な十香を襲おうとするなんて、とんだ破廉恥な野獣ですね。」

 

「え…あ、いや、違う!」

 

『…何が違うのですか?』

 

鞠亜がまたもや冷たい反応をしてくる。

 

「俺は別に…下心なんて───」

 

『…ジー。』

 

「……すみません、俺も男なんです。

あの様な姿をした十香に理性を失ってしまいました。」

 

圧に負けて白杖する士道。

 

『…ケダモノ。』

 

「ホント…何も言えないっす。」

 

そんな会話をしつつ、汚名返上の為に次の『試練』へと向かった。

 

 

 

 

 

『第三試練:未亡人四糸乃』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

士道は四糸乃の『試練』に挑むと、見覚えのある場所に立っていた。

 

「ここは…四糸乃の部屋だよな?」

 

なんと、扉をそのまま開けて入った状況だった。

 

「これから何が…ん?

この音…四糸乃が泣いている!?」

 

リビングから涙のすする音が聞こえて直ぐに行動に出る。

その先にいたのは四糸乃だったが、髪を纏め、恰好も何処か大人というか人妻感のある様な服装でオーラを放っていた。

 

「士道…さん。」

 

「どうした? 何があった!」

 

「ぐすん…。忘れて…しまったんですか?

あの人…主人が、亡くなったんです。」

 

「そ、そうか。主人を…って、何だと!?」

 

四糸乃の口からパワーワードが出た事により士道の様子が変わる。

なんと、四糸乃は未亡人(?)だった!

 

「だ、誰だ! ウチの癒しに手を出した野郎は!!

翔か!? それとも、あんのドMか!?」

 

とても口が悪くなった士道さんであった。

 

「…よしのん…よしのん…」

 

四糸乃は遺影…に映る『よしのん』を見て泣いていた。

 

「ああ…よしのんの事だったのか。

……いや待って。どういう事!?」

 

「士道さん、忘れてしまったのですか?

よく…わ、私を求めて…競ってたじゃないですか…」

 

「え? あ、ああ。そうだね。

……いや、そんな記憶、存在しないです。」

 

『待ってください、士道。

これは仮装訓練です。

話が逸れない様にお願いします。』

 

鞠亜からの指摘ではっ!となり、気持ちを切り替える。

 

「あぁ、えっと…よしのんとは…四糸乃を巡って競い合ったなぁー。

今では…懐かしいな。」

 

それとなく設定を立ててみた。

 

「…ふふ。士道さんってば───

『よしのんと四糸乃の深い仲が何だ!

俺の方が彼女の事を想ってる!』

って…、言ってくれましたね。」

 

「あ、ああ! そ、そうだな!

だって…それだけ、四糸乃の事をお、想ってたんだよ!」

 

言葉を繋げようとする余り、無理をするけど、士道自身は色々と限界に近かった。

 

(どうしよう…攻略の糸口が全く掴めん。

…それどころか、寒気を凄く感じる。)

 

士道が身震いしていると、鞠亜から救いの手段を授けられる。

 

『…士道。強情ですが、ここは四糸乃を抱きしめて───

『よしのんはもういないが、俺がいるぜ。』と攻めていきましょうか。』

 

(いい!?)

 

鞠亜からの提案に驚愕するも、この流れに対する案もない為…行動に移す。

 

「し、士道さん!?」

 

士道は背後から未亡人(?)四糸乃を抱きしめる。

 

「よしのんはもういないが、お前には俺がいる。」

 

「…ふぇっ!」

 

四糸乃は顔を真っ赤にする。

 

「よしのんの分まで、お前を…」

 

…そこから台詞が思いつかなかった。

言っていて「最低だ!」とか「心痛い…」とかで心が一杯だった。

 

後…全身に更に寒気と刃物を突き付けられている感覚が襲っていた。

 

「あ…あう…うぅ…」

 

四糸乃は士道の口説きによって、ハートの部分から青の光が抽出し、士道の手に渡った。

 

 

 

 

 

『攻略完了!』

 

 

 

 

 

クリア告知のアナウンスが鳴り、士道は光に包まれ、この世界から退出する。

 

「…クリアしたけど、寒気が止まらん…」

 

士道は謎の恐怖に呑まれていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四糸乃の『試練』が終わり、外を見渡すともう夜だった。

 

『お疲れ様です、士道。

…フィクションとはいえ、未亡人に手を出した感想はどうでしたか?』

 

「もう二度としたくないです。

残る『試練』はこんなのじゃないよな!?

こういうのだったら俺はもう辞退するぞ!」

 

士道はそう豪語する。

作られた物語とはいえ、今回の内容は士道にとって精神的に苦痛を感じるものだった。

 

「……そういえば、あれからずっとフラクシナスからの連絡がないけど…

鞠亜は『管理AI』なんだよな?

フラクシナスに連絡を入れる事が出来ないか?」

 

『フラクシナス…にですね。

……少々お待ちください。

時間がかかる可能性がある為、士道は自宅に戻ってシャワー浴びていて食事を済まして下さい。』

 

「ん? あ、あぁ…分かった。」

 

鞠亜がさっきまでとは違い…会った時と似たような機会チックな反応を示していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鞠亜が急に元に戻った気がするけど…

大丈夫かな、心配だな。

それにしても…ここでご飯やシャワー浴びても意味はあるのか?」

 

ここは仮装空間…意識を機械の世界にへと訪れている。

要は現実とは違う為、食事を取る事や清潔を保つ事に意味があるのだろうかと。

 

「───へぇ、現実じゃなければ不潔でもいいんだぁ、キミは。」

 

「ん?」

 

士道は声のする方へ振り向いた。

 

そこにいたのは───『黒』をベースにした()()の姿だった。

 

「鞠…亜?」

 

「…ううん、私は()()だよ。」

 

「…誰だ?」

 

「ひっどいなぁ、鞠亜じゃないって分かったら冷たいね。」

 

鞠奈を名乗る女性は何処か冷たげな対応していると士道は思い、警戒を含めた反応していた。

 

「まぁ、良いよ。

担当直入に言ってしまえば、この『プロジェクト』による……

もう一人の管理『AI』かな。」

 

「もう一人の?」

 

「そ。この『プロジェクト』…

『マイリトルシドー』におけるシステム責任者…って言っておこうかな。

まぁ、キミに分かりやすく言えば、この『プロジェクト』で……

キミが真剣に取り組んで好成績を収めれたかなー?

…って、確認する判別係だよ。」

 

「…なるほど?」

 

「あ、そうそう。

現実の者達に連絡が取れないのは私の独断で回線を切ってるからだよ。」

 

「…どういう事だ?」

 

面白可笑しくしている鞠奈という人物に怒気と警戒を強めた態度をとる士道。

 

「そう怖そうにしないでよ。

理由は……キミが所々で下心が出ているから、その反応に対して一々五月蝿いから遮断させてもらったからだよ。」

 

「…」

 

鞠亜にウザがられている様な反応をされて…事実の事なので、何も言えなくなってしまった士道であった。

 

「ま、そんな訳で…次からは節度をもって真剣に行ってよね。

───でないと、私が困るからさ。」

 

鞠奈はそう言うと、現実の夜と変わらぬ暗い闇にへと姿を消した。

 

 

 







・デアラⅤ10話…見ました?
自分は夜勤なので見れてなかったのですが…
19巻の表紙の令音の霊装の画像がXに回ってて「おお!?」って反応をしつつ、終わりが…近づいて…いるんだなぁって…
SAN値チェックの心構えをしなければならない時が…怖い。
…いかんいかん、次で『デート・ア・ペルソナ』もついに100話になるので気を引き締めないと…っ!
にしても、次で100話とは…完結まで約2.5倍以上かかる計算なんだよねぇ。
でも、ここまでこれたのもお気に入りと評価に感想をしてくださる皆さんのお陰です。
これからも頑張りたいと思います。


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