ゆったりと書いていきますので、今後ともよろしくお願いします。
天皇賞・春が終わり、4月もこれで終わる今日この頃。
いやー、ほんとにスペちゃん勝ったなぁ。
セイちゃんが思ったより伸びなくてスペちゃんが抜き、ブライトが仕掛けるも届かずといった展開で予想通りだったけど。
まぁおかげさまで律儀に「勝ちましたー!」と元気いっぱいに報告に来てくれたスペちゃんにはスイーツ一品無料券をプレゼントしておいた。
多分すぐに使われると思う。
「うーん…確かにそう言われると悩むな…」
がらんとした客のいないカウンターの一席に座って、とあるウマ娘の少女から投げかけられた質問に頭を悩ませる昼下がり。
お題は、抹茶ラテは『和』としてアリかナシかと。
抹茶ラテという名のラテの部分は確かにイタリア語ではあるものの和訳すればミルクの事であり、抹茶ラテとは単純に抹茶にミルクを入れたものである。
牛乳入り抹茶といえば確かに『和』である気もしなくもない。
うん、そうだな、俺は『和』としてアリだと思う。
ーカランッ!
「ごきげんよう、マスターさん。
まだ、気まぐれスイーツセットは残っていまして?」
「いらっしゃい。
大丈夫まだあるよ」
結論つけるとほぼ同時にドアが開かれ、まるでどこかのお嬢様かのような話し方をする紫がかった芦毛のウマ娘が顔を出した。
まぁ実際名門のお嬢様なんだけどね、この子。
彼女はメジロマックイーン。
菊花賞に始まり過去の天皇賞・春を2連覇したほどの活躍をした生粋のステイヤーで、年相応にスイーツが大好きなウマ娘である。
今のところ気まぐれスイーツを提供する日には毎回来ている気がする。
不定期開催だし情報とか一切出してないんだけどな…?
ちなみに今日ももれなく気まぐれスイーツセット開催日である。
「注文は気まぐれスイーツセットでいいのかな?」
「えぇ、気まぐれスイーツセットをお願いしますわ」
「かしこまりました、と。
飲み物の方はどうしようか」
「紅茶をお願いしますわ」
お通しの水と手拭きを置きつつ尋ねたら、やはりというべきか『気まぐれスイーツセット』を注文してきた。
気まぐれスイーツセットというのは、メニュー表に載ってるドリンクにスイーツが一品つくというものなのだが、このスイーツは時々俺が手作りするものになっている。
そのため学食に出てくるようなあんな豪華なパフェとかではなく、趣味で作るようなケーキだったり焼き菓子だったりだ。
ちなみに今日のスイーツは、ブルーベリーのチーズケーキである。
お菓子作りと聞くと難しそうなイメージを持たれるのだが、レシピを見ながら分量をしっかりと守ればだいたい上手くいくと思う。
ーーー
ブルーベリーのチーズケーキの作り方だがまず材料として。
ブルーベリーピュレを作るために冷凍のブルーベリーを130gと砂糖30g 。
レアチーズを作るためにビスケットまたはクッキー100g、溶かしたバター30g、クリームチーズ200g、無糖ヨーグルトが50g、砂糖30g、牛乳30g、粉ゼラチン5g、生クリーム200g、砂糖10g、ブルーベリーピュレ30g、レモン汁5g。
ブルーベリーゼリーを作るために、ブルーベリーピュレ100g、水20g、粉ゼラチン1.5g。
まず鍋の中に市販で売ってる冷凍のブルーベリーと砂糖をまぶして入れて火をかけ、ブルーベリーが溶けてきたらブレンダーでピュレ状にし、後ほど使うので冷ましておく。
チーズケーキの土台としてビスケットまたはクッキーを細かく砕き、バターを加えて混ぜ合わせ、皿に乗せたムースフィルムに敷き詰めて気持ち強めにおして固める。
メインのチーズケーキは市販のクリームチーズに無糖ヨーグルトを柔らかく練り合わせ、十分に練り合わさったら砂糖も加えて混ぜ合わせる。
その後少量の牛乳にゼラチンを入れてふやかし、湯煎で温めてからクリームチーズに加えて混ぜ合わせる。
次に生クリームに砂糖を加えて泡立て機をつかい、角が少し立つぐらいまで混ぜ合わせ、すでに混ぜ合わせているものにゴムベラ等で少しずつ分け入れつつ加えてさらに混ぜ合わせる。
ここにレモン汁と冷ましたブルーベリーピュレを30gを加えて混ぜ合わせたら型に入れて冷やしておく。
この型に入れる時は生クリームの絞り袋を使うと飛び散らないし、均等にいれられて良いと思う。
ブルーベリーのチーズケーキだけならこれで終わってもいいのだが、今回はここの上に追加でブルーベリーのゼリーを乗せていく。
水20gに粉ゼラチン1.5gを振りかけてふやかし、湯煎で温めながら溶かす。
そしてブルーベリーピュレにこの溶かしたゼラチンを加えてよく混ぜて、固まったレアチーズケーキの上に流し入れて冷蔵庫の中でだいたい3時間ほど冷やし固める。
トッピングとしていちごとブルーベリーを乗せれば完成である。
ブルーベリーのチーズケーキはすでに冷蔵庫で冷やしてあるのを出すだけなので、紅茶の方の準備を。
ポットとティーカップとあらかじめ湯通しして温めておき、茶葉はティースプーンで山盛りに掬ったのをサラサラと振り落とすとだいたい2グラムほどになるのでそれをポットにいれる。
これで一杯分なので、ウチは二杯なのでもう一度茶葉を入れておく。
そして湯煎で保温しているお湯を一旦鍋に移し、あらためて火にかけて沸騰させたばかりのお湯をポットに入れて蓋をする。
そうすることで茶葉の香りが良くなるだ。
その後は茶葉の大きさ次第ではあるが2分30秒から3分ほど蒸らして、ポットの中を軽く優しくスプーンでひとかきする。
この時かき混ぜすぎると茶葉から渋みが出てしまうので注意。
そして別のポットに茶漉しで濾しながらカップに注いでいく。
この時も『ゴールデン・ドロップ』と呼ばれる最後の一滴まで注ぐこと。
ーーー
「お待たせしました、気まぐれスイーツセットのブルーベリーのチーズケーキと紅茶になります」
「まぁ、綺麗な紫色ですわね!
こほんっ、いただきますわ」
ブルーベリーのチーズケーキに目の色を変えるメジロマックイーンが微笑ましく、ティーカップに紅茶を8分目まで注いだ上で置いておく。
その間にメジロマックイーンはフィルムを剥がして、スプーンで救ってパクりと一口。
「んん〜っ!上の層はぷるんとしたゼリー状の濃厚なブルーベリーに、中層の滑らかで上品な甘さのチーズケーキにも含まれるブルーベリーの風味と小さな果肉の粒々感がたまりませんわ!」
「そう言ってもらえて何よりだよ。
手作りで作るケーキの中でもそれは自信持って作れるものだからね」
他にも季節に合わせたケーキなどを作ることはあるが、やはり年一回だったりする関係で手作り感が否めないものしか作れないのだ。
一方でこのレアチーズケーキは冷凍のブルーベリーを使うため季節を選ぶことなく作れるため、そこそこな頻度で作っておりそれなりに自信があったりする。
というか、たづなさんをはじめとした学園関係者の人に差し入れで持っていくことが多かったり。
理事長のやよいちゃんとか、見た目通りに喜んでくれるからね。
作り手としてもあの反応は嬉しいし。
「今までいただいたものもどれも美味しかったですわ。
バレンタインの時にいただいたチョコレートのタルト、まるで咲いたバラのような形のアップルパイ、色鮮やかな紫陽花ゼリー。
思い出すだけでまた食べたいと思うぐらいに」
「そうかい?なら今年も気まぐれで作るかもしれないね。
来月は母の日もあるし花の代わりに薔薇のアップルパイとカーネーションクッキー、その後は梅雨が来そうだし紫陽花ゼリーでも作ろうか」
「まぁ、楽しみですわ。
その時はまた足を運ばせてもらいますわ」
「ありがたいけど、この気まぐれスイーツセット不定期開催なんだよね。
毎回来てるけど何処かで見てたりするの?」
「いえ、本当にたまたまですわよ。
他の子達がスイーツセットが今日なんじゃないかと噂していたり、悪戯を仕掛けてきたゴールドシップを追いかけて近くを通ったら匂いがしたりでわかったりしまして」
「相変わらずゴールドシップと仲がいいね。
まぁなんだ、メジロ家の使用人にわざわざ確認させているとかだったら、いつやりますよって伝えるために連絡先聞こうかと思ったんだけど杞憂でよかったわ」
流石にそのような事はいたしませんわ、と言われたが毎回来てたら流石に疑わざるをえなかったからね。
店の近くで不審者がとか言われたら困るし杞憂でよかった。
時々メジロ家の使用人も来店するし、なんならついこないだ来たばかりである。
「この前の春天が終わった後ぐらいかな、メジロ家迎えの運転手も務めてるじいやさんが来たんだよ。
多分ブライトちゃんを迎えに行く前だったと思うんだけど」
「あぁ、ありえそうですわね。
ブライトも春天の疲れを抜くためにメジロ家に戻ってると思いますし」
「そういえばブライトちゃんは惜しかったね。
もう少し早く仕掛けてればどっちが勝ったかわからなかったと思うけど」
「結果は結果ですわ。
メジロ家としてはブライトを、同じチームとしてはスペシャルウィークさんを応援しましたし、どちらも最善を尽くして走り切ったと思いますわ」
「そりゃそうか。
というか、スペちゃんと同じチームだったのか」
聞けば他には、ゴールドシップ、ライスシャワー、ウイニングチケット、ナリタブライアン、サイレンススズカがいるらしい。
全員G1勝利してるエリートチームじゃん。
さぞ凄腕のトレーナーなんだろうなぁと思ったけど、ゴルシちゃんに顔面ドロップキックされても平然としてるヤベー人だったわ。
あとライスシャワーに兄妹ってわけじゃないのにお兄様って呼ばれてるし。
まぁ、普段はあんまり目立たない真面目なトレーナーなんだけども。
というか、まだ新人上がりの若手トレーナーじゃなかったっけな…?
「あら、この紅茶…」
「ん?流石に茶葉はメジロ家とかで飲んでるような上等な物じゃないけど。
なんか変だったかい?」
「いえ、前に比べて香りがしっかりとしていて渋みも少ないので。
じいやが淹れてくれるものには及びませんが、それでも充分なお手前かと思いますわ」
「お眼鏡にかなったようでなにより。
紅茶の淹れ方も色々あるんだなぁって調べたからやってみたけど、これからはこれでやっていこうかね」
今までは普通に湯煎して保温していただけのお湯で茶葉の分量も目分量の適当、蒸し時間も1〜2分と短かくかき混ぜすぎていた感がある。
いやぁ、これで今まで出していたのが申し訳ないね。
趣味でやってる個人経営の小さな店だからみんなそんなもんかって思ってくれてたのかなぁ。
まぁ、これからはこの方法でやっていこう。
「あの…マスターさん?」
「ん?なんだいマックイーンちゃん」
「食べ物系は2倍になるのは知ってますが、スイーツ系は2倍にはなりませんの?」
「それはやってないねぇ。
基本的に食べ物系はウマ娘の子がたくさん食べるからってやってるけど…。
ま、あれよ、マックイーンちゃんみたいに後から体重がー!っていう子が増えても困るでしょ」
「なっ!?ひ、否定できませんわね…」
「ははっ、冗談だよ。
本当は色々と理由があるんだよ」
単にスイーツで出してるケーキとかは、他のお店から仕入れているものを出してるものが多いからという。
うちでやれるとしたらせいぜいソフトクリームを使ったものと自家製コーヒーゼリーぐらいだろうか。
単純に仕入れを2倍にしてもいいんだけど、冷蔵庫に入れるスペースがない。
気まぐれスイーツセットに出してる俺の手作りのものは流石に2倍作るのは時間が足りないし、気まぐれセットといいつつ飲み物のお代しかもらってないから我慢して欲しい。
体重に関してはライバルのトウカイテイオーからよく煽られてるとか聞くし。
まぁそのトウカイテイオーはウチに来た時に、はちみードリンクが無いことに嘆いていたけど。
作れないこともないけど材料とか洒落にならないものだったから、今後もウチに置かれることはないだろう。
テイオーちゃんは屋台で買うように。
「ご馳走様でした。
今回の気まぐれスイーツも美味でしたわ」
「そりゃどうも。
また気まぐれセットやるときに待ってるよ」
カタンっと空になったティーカップを置いて、席を立って会計を済ましたマックイーンちゃんを見送る。
にしても来た時、優雅に振る舞ってたけどドアのベルの音が大きかったし尻尾も揺れてたし楽しみにしてくれてたんだな。
まだ残ってますか?と聞いていたけど、マックイーンちゃんが本日の来店1番目だったし。
「さてと、今日はどれぐらい来るかなぁ……ん」
「あのー…気まぐれスイーツセットって…」
「大丈夫まだあるよ。
1人かい?良かったらカウンターにどうぞ」
本日の営業はまだまだ続く。