今回は霞パートです!また前後編になっちゃいましたが申し訳無い…本編時間軸よりも過去編書くのが楽しくて楽しくてつい沢山書いちゃうんですよ…
まぁ今回は霞編の前編です。後編はもう少ししたら出せると思います!がんばります!
私には信頼している人がいた。
けどもうその人はいない。
彼女はこう言ってくれた。
「霞はいい子だよ」
「だからもっと正直になった方が幸せになると思うよ!」
もう何年も前になる。
彼女が言ってくれたこと。それが頭の中で生き続けてる。いないはずなのにまだ私の中を漂ってる。
もしあの時助けれていたならいい未来があったのかもしれないとつい考える。わかってる、過去は変えられないのよ霞。でも忘れたくても忘れさせようとしてくれない。
彼女は提督だった。女性の提督とは珍しいと最初は思ったけど次第に慣れていった。前線から少し離れた場所にあるのがわたし達の鎮守府。この国のシーレーン防衛には欠かせない場所でもあった。そこに私と彼女は配属された。
「君、艦娘だよね!これから女の子同士よろしくね!」
それが彼女と最初に交わした言葉だった。彼女は提督としてはまだ比較的若い部類に入っていると聞いた。叩き上げで提督まで成り上がった彼女。成績も優秀、人柄もいいときた。そんな彼女の部下に着けた私は幸運だったかもしれない。
わたし達の鎮守府は日本のシーレーンの防御。殆どは輸送船団の護衛が主で深海棲艦との戦闘は少なかった。それに深海棲艦は劣勢に立たされ、敵の占領地も開放され始めた。世界中でこの戦争に終止符が打たれると思っていた。勿論私も終わるものだと思っていた。
あの時までは。
全てが変わったのは着任してから一年後。私が遠征から帰還した時に聞いたことだった。
「霞ちゃん聞いた?」
「艦娘が沿岸地にある街を攻撃したらしいって...」
それを聞いた時は腰が抜けるかと思ったほどよ。彼女は何かの間違えであると考えてみたい。彼女の予想は今になっては本当のことだったけど。
みんな彼女と同じ訳じゃなかった。その後私達艦娘は拘束された。人間達は一体どこの奴らがやったのかで話の話題で持ち切りになった。結果的には私達は無実だったけど人間は許してくれなかった。政府の陰謀だとか反乱だとか言われて情報は錯綜した。次第に人間は私達を恨むようになった。
テレビやネットから流れる情報は艦娘への恨み辛みを乗せるようなものばかり。私達の気持ちなんて考えてもいない。そんな状況でも提督は私達を擁護してくれた。艦娘との関わりの深い人達も私達に肯定的な意見を持っていてくれた。それでも世論は艦娘の排斥の支持が圧倒的で擁護派は減っていった。
それに続く様に戦況も悪化していった。戦線は元の状況に押し戻され、攻勢は守勢へと追いやられた。そして世界中に混乱が広がった。勿論私達の周りにも広がっていった。
その中で私達艦娘は日本のシーレーンを守る為に日々努力した。それでも世間は許してはくれなかった。どれだけ頑張ろうとも、どれだけ私達の血が流れようとも許してはくれなかった。そんな日々が続いたけど好転する事なんてなかった。提督も迫りくる敵に頭を悩ませていた。
「霞ちゃん」
「今日はこの任務をお願い」
なんの変哲もない出撃任務。
「ごめんね...」
「最近ずーっと出撃ばかりで...」
「いいのよ」
「それよりも今回の敵は?」
「それがね...」
敵は想像よりも強大だった。南部の島々が敵に攻略され要塞化されていく。以前の深海棲艦とは思えない程に凶暴で凶悪になった。前までは前線でなかった場所がまた新たな前線に変わっていく、私達も同じ様に。
提督も私も、そして周りのみんなも疲弊していった。人に罵詈雑言を浴びせられ、深海棲艦と戦い続けた。時には鎮守府に押し掛ける暴徒の鎮圧もした。
「この裏切り者が!」
「艦娘なんて必要ない!」
「悪魔め!」
「海に帰れ!」
何度も言われ続けた。何度も何度も耳がその音に慣れるまで私は聞き続けた。
「霞ちゃん...」
「今日はここに行ってもらえないかしら」
「――わかったわ」
そしてまた新しい一日が始まる。日に日に攻撃される回数も増えた。敵の空襲で家を失い路頭に迷った人々を提督は快く鎮守府に住まわせた。何処までもお人好しの人だった。私達にも余裕はないのに彼女は身を削って人々の為に尽くしていた。誰よりも人の為に世のために。多分彼女にとってそれが本懐だったんだと思う。
「飯はまだなのか?」
「もっといい寝床を提供しろよ!腰が痛いんだよ」
「クソ不味い飯だな!食えたもんじゃない」
「お前らだけ良い思いしやがって...人間を何だとおもってるんだ!」
鎮守府に帰投すれば愚痴を零され鎮守府を出れば深海棲艦に傷を付けられる。私は提督に提言した。
「これ以上人を受け入れるのはやめたらどう?」
「今でも低一杯なのに次から次へとここに押し寄せてくる」
「これじゃあ艦隊に支障を来しかねないわよ!」
「霞ちゃん...」
「気持ちはわかるよ」
「でもあと少しだけ耐えて」
「最近いい情報が入ったの」
「本土から難民を輸送する船が来るらしくてここにいる人達を乗せている事になったの」
「ここよりもいい環境に移せるから不満はないと思うわ」
よかった、これで地獄から解放される。そう思っていた。けどここからが本当の地獄だった。
それを聞かされ数日が経った。輸送船団が来るまであと一日。苦痛から解放されると考え続けることでこの数日耐えることが出来た。そんな時に一報が入った。
「敵艦隊が接近中!」
それだけじゃ何時もと変わらない。けどこの時は違っていた。
「敵艦約三十隻以上!」
敵は本格的にここを落としに来た。誰もがそう言う考えになると思う。これではこの鎮守府もお終い。
「戦うよ」
「ここを必ず守ってみせる」
この状況でも未だ希望の火が灯っていたのは彼女だけだったと思う。その灯火を彼女は全員に灯そうとしている。
「まだ負けると決まった訳じゃない!!」
「今だからこそ死中に活を見出すんだよ!」
「――だからね」
「みんな私に協力して欲しい」
そうして灯火が広がっていった。そこにいた全員が提督の為に提督はみんなの為に動いた瞬間だった。
人を守る為に私達は生まれた。彼女がそう示してくれた。本当に頼りになる提督でした。
やがて鎮守府に迫る敵と私達は応戦することになった。鎮守府にいる全ての艦娘、軍人を総動力して立ち向かった。私は輸送船団を護衛する部隊に編入された。主力艦は全員深海棲艦との戦闘に回された。残ったこの数艦で輸送船団を守らなければいけない。
提督は私を信頼してくれてここに配属してくれた。ならその為に私は信頼に応えなくてはいけない。
「砲弾...魚雷よし!」
「覚悟は完了してる。後は、行くだけ!やるわ!」
そうして私は抜錨した。
抜錨して数時間後、数キロ先の船団を発見した。提督が言っていた通りにこんだけの数があれば鎮守府にいる人達を運ぶことが出来る。
輸送船団と合流して私達は再度鎮守府を目指した。太陽は沈み昇るのは満月。海に反射して綺麗に見える。月が昇っていくと星空も現れる。戦争を忘れさせてくれる様に自然は尊く、美しかった。その時は本当に平和な時を楽しめたと私は思っている。もし戦争が終わっていたら何度でも楽しめたのかもしれない。名残惜しいくとも私は艦娘としての責任を果たす。
鎮守府まで残り数十キロに入った。遠くから時差で聞こえる砲撃音。どちらの砲撃かは分からない。どちらかで言えば味方の砲撃であって欲しかった。不安な気持ちと大丈夫だと言う気持ちが混ざり合った。敵艦は三十隻、けどこっちも精鋭が揃っている。勝てるはずであると私は考えた。そうして進み続けた。提督...彼女の為に。
次第に砲撃音が減っていった。どうやら勝敗が決まったらしい。まだどっちが勝ったかは分からない。勝っていて欲しい。そんな淡い願いをした。しかしその願いは尽く消えていった。
鎮守府まで後二キロまで入った。この距離になると鎮守府が段々と見えてくる。そうして見えてきたのは......燃えている鎮守府だった。
何かの勘違いであって欲しかった。けどそれを打ち崩すかのように流れて来た。流れてきたのは肉片。正確には深海棲艦と誰のか分からない腕や胴体。海流の流れに乗って様々なものが流れてくる。そんな光景を目の辺りにして私は嘔吐した。今まで溜めた感情と共に吐いた。周りにいた仲間が擦ってくれてお陰でようやくその光景に向き合える事が出来た。
悲惨な光景に私は何も出来なかった。打ち崩されたんだ、何もかも。希望は絶望に変わり果てた。いや...もしかしたら提督は生きてるかもしれない。そんな薄い希望を持ち始めた。それに縋るしかなかった。
そうしてまた歩みを始めた。鎮守府まで到着して乾ドックに入ろうとした。幸いにも敵は撤退しているようで鎮守府周辺にはいなかった。輸送船団を波止場に止め、私達は乾ドックに向かった。しかし乾ドックからの応答はなかった。私は仕方なく艤装を外して乾ドックにある梯子から上に登った。乾ドックを上がると瓦礫が散乱し天井に大きな穴が空いていた。どうやら敵の砲撃受けたらしい。乾ドックの指揮所は完全に潰されていた。そうして歩みを始める。瓦礫と血溜まりが混在した乾ドックを抜け廊下に入った。
廊下に出る。一部は崩落して崩れている。ガラスは割れて廊下に散乱している。しかし人影は一切見当たらない。死体もなかった。薄い希望は若干の希望になった。もし生きているなら医務室にいるのではと考えて向かった。医務室まで直通の道は崩落して進めなかった。仕方なく私は迂回して向かうことにした。
中庭から抜けて行けば医務室まで抜けれる。中庭を抜け、そうしてようやく人を見つけた。私はその人に近づいた。担架に乗せられた人の状態を確認する。だめだったようだ。蝿がたかり始めていた。辺りを見回す。そこには無数の人だったものが転がっていた。また吐き気を催した。
どうにか生きている人はいないか、そこに彼女はいないか探した。しかし生きている者すらいなかった。食堂を後にしていましたに医務室に向かう。医務室は食堂の隣にあるのでそこまでは歩く必要はなかった。
そうして医務室に行くと人がいた。今度こそ生きている人だった。タバコを吸って意気消沈してした。私はその人に尋ねた。
「霞です」
「ただいま帰投しました」
「提督は無事で?」
「あー輸送船団に行ってたヤツらか...」
「ここにいる」
そう言う彼の背には提督らしき人がいた。
「運が良かったな」
「こっちは死屍累々だよ...ツッ」
「鎮守府はほぼ全滅、艦娘はもうお前らしかいねぇよ」
「...」
「提督だろ?」
彼が退き彼女を目の当たりにする。包帯で体中を覆われている。所々に染み出した血が包帯に着いている。
「提督は運が良いほうだよ」
「戦闘中に敵の砲弾が司令室に直撃したんだ」
「中にいたやつは提督を残して全員戦死」
「なんとか救出したがこの通り重度の火傷だ」
「そんな...」
「まだ息はある」
「話したいのなら話とけ」
そう言ってその人は部屋を後にした。私は提督の元に近づく。
「提督!」
「かすみ...ちゃん」
「帰ってたん...だね」
掠れた声で彼女は言ってくる。以前の面影は何処にもない。
「言われた通り輸送船団を連れてきたわよ」
「ありがツッ...うね」
「無理しないでよ...」
「いつもそうやって無理して!」
「自分の身を一番大切にしなさいよ!バカ!」
多分泣いていたんだと思う。あの時の事なんて忘れたい。
「ご...めんね」
「つらい...思いさせちゃって」
「うるさい!」
「...」
「かすみちゃん」
「一つおねがいをして...いい?」
「なんなのよッ!」
「手をにぎってってくれない...かな?」
「なんでよ...」
「いいから!」
「――わかったわよ」
私は包帯でぐるぐる巻にされた彼女の手を取る。
「ありがと...」
「そんなので触って意味あるの?」
「――あるよ」
「かんかくは死んでてもあたたかさは伝わるんだよ...」
「なによそれ...」
「できたら...顔も見たかったなぁ...」
「それじゃ無理よ...」
彼女の顔の殆どは包帯で見えない。幸いに見えるのは多少の唇だけ。
「わがままだけど...もう一つおねがい」
「――これが最後よ」
「よかった...」
「おねがい...まだこの地下に民間人がいるの」
「その人達を...連れて行って」
「嫌だって言ったら?」
「命令って言おうかな?」
「――クズね」
「あはは、はぁ...面白いよかすみちゃんは」
「わかったわよ、そのお願い」
「よかったぁ...」
「そして貴方も連れて行く」
「えぇ...」
「えぇ...じゃない!行くの!」
「ふふっ」
「全く...」
「じゃあ...ここで待ってるよ」
「ずっーと...帰ってくるまでね!」
「はいはい」
「それじゃ行くわ――」
そう言おうとした、しかし言わせてくれなかった。
「ほうとうに...クズなんだからツッ」
最後の願いくらいやってやるわよ。
探した彼女の最後の願いを。
そしてその場所を見つけた。そして開ける。
開けるとそこには大勢の人がいた。
「おぉ!!助けが来たぞ!」
その声を中心に視線がこっちに集まってくる。
「お前ら何やってたんだよ!お前らのせいで家財を失ったんだぞ!」
「お前らのせいで子供が怪我したんだけど!?どうしてくれの?」
「お前らが何もやってないからこんな事になったんだよ!」
「早くここから出せ!海軍の犬!!」
『そうだ!そうだ!』
開けた事を後悔した。このまま飢え死にさせた方がマシだった。
そうだった。こいつ等は元からこう言う奴等だったんだ。何を勘違いしてたんだろ、私。
私は気づいた。人間なんて叩けるものがあれば何でもいい。自分のはけ口になるならどんなものでいいんだ。
私達はこんな奴等の為に死んだのか。なんで?なんで?提督はなんの為に...
ああ、そう言う事か。人間なんて自己も満足させるだけの存在に過ぎない。
本当の
いやぁ~いい話だぁ
純愛ですね!正直言って鬱要素が多いのか最近心配になってます…鬱要素とか胸糞って言ってるのに鬱、胸糞が少ない気がするんです。どうおもいますか?
もう少しコアな表現入れても大丈夫ですか?
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大丈夫だ、問題ない
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いやです!これ以上艦娘をいじめないで!