生きとし生けるものへ   作:ハクスナ

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こんばんは~HAKUSUNAです…
先週は明日出すって言ってたんですけどリアルでトラブルがあって出すのが遅れました!すいません。
今回は霞編の後編です!少しえぐい表現入れたので期待して下さい。


第二十二話 狂犬〜霞〜後編

 

 その時に全てが分った。

 

 提督の死後、私は言われた通りに輸送船団に乗せて本土に帰還した。これは彼女の願いであってこいつ等の為じゃない。言われてなければ飢え死にさせていた所よ。

 

 本土帰還後あの鎮守府から生き残った数少ない艦娘として戦場を巡った。けど帰投すると殆どが懲罰房の中だった。そこら中の鎮守府をたらい回しされて最後に行き着いたのが横須賀鎮守府だった。

 

 もちろん提督は屑そのものだった。無謀な作戦、資材の浪費。数え上げれないほどある。彼女だったらこんな事にはならない。本当に程度が知れる奴だと私は思った。それから何回かの出撃があった。しかし私は戦果を上げれずにいた。

 

 するとある日、屑提督に呼ばれた。今までは顔も見たことがない人提督。これが始めてのご対面って訳ね。

 

 私は扉を叩く。

 

「入れ」

 

「よく来てくれた」

 

「にしても態度が悪ね、君」

 

「聞いてるよ何度も左遷されてここに来たみたいだって」

 

「元はあの女性提督の所の配属なんだってな?」

 

「...」

 

「黙秘か...まぁいいか」

 

「あの鎮守府の艦娘なのにこの体たらく」

 

「笑いが出るよ」

 

 屑は屑らしい笑みをしている。

 

「そんな君に朗報だ」

 

「おい持って来い」

 

 屑の合図によって扉から人間が出てくる。彼らが持っているのは小型の拳銃のようだった。

 

「安心してくれ」

 

「ちょっと君には俺の授業を受けてもらうよ」

 

「やれ」

 

 感情がないかのように奴等はその物を撃ってきた。

 

「うツッ」

 

「どうだい?今の感じは?」

 

「力が抜けていくだろう?そうだろ!」

 

 体が重い。何時もよりも力が出ない。こんな奴らのなんて艤装がなくても殺れる筈なのに力が出ない。

 

「君に撃ったのは艦娘を人間と同じぐらいの力にする薬だよ」

 

「まぁその体だと中学生程度の力しか出ないか」

 

 高々と笑い。勝ったかのようにこっちを覗き込んでくる。

 

「さぁ授業の時間だ」

 

 そう言って持ってきたのは尋問用の器具だった。

 

「やめて...」

 

「おう!やっとこいつ話しやがった!」

 

「大丈夫だ、痛いのは最初だけだ」

 

「慣れれば問題ない」

 

 そうして私は死なない程度にやられた。鞭で打たれ、バケツの水に顔を付けられ窒息するまで漬けられる。沈むのが怖いと知ってなのか水を中心にされた。同じ事を他の艦娘でもやっているだろう。

 

「どうだぁ!?」

 

「これで言うことを聞くようになったか?」

 

「まだ足りないのかよ!」

 

「暴れるな!」

 

「ほら水だぞ飲め!」

 

 苦しかった、辛かった。気絶しない様に鞭に打たれ、それが終わったら拷問が始まる。こんな奴等が上に立っているなんて死んだ方がマシだった。でも死ぬのが怖かった。

 

「そろそろ時間だな」

 

「もういいだろう」

 

「次俺に逆らったらどうなるか考えておけよ」

 

「お前ぐらいの歳が好きな奴らが上には沢山いるからな」

 

「何時でも俺がゴーサインをだせば...後はわかるな?」

 

「この狂犬めが...」

 

 最後にそう小言挿まれ解放される。

 

 散々やられた上、廊下に投げ捨てられた。立ち上がることも出来なかった。体中に激痛が走っている。どうにもすることが出来ない私はそのまま気絶した。

 

 目を覚ますとそこは誰かの寝床だった。辺りを見回す。寝るだけに用意された様な部屋。部屋の中にギチギチに入っている二段ベッド。生乾きのする部屋。環境は最悪だ。それにまだ体が痛い。屑のせいだ。全部、何もかも。なんとか体を浮き上がらせないかと模索する。すると誰かが近づいてきた。

 

「大丈夫...ですか?」

 

「貴方は誰?」

 

「ごめん...言ってなかったね」

 

「私は朝潮型一番艦の朝潮だよ」

 

「朝潮って――ああ私の姉妹艦か」

 

「そうだよ」

 

 何処かあの人に似ている気がした。多分私の気のせいだと思うけど。

 

「中で何があったの?凄い怪我だったし...」

 

「あの屑にやられたのよ」

 

「クズって...提督のこと?」

 

「そうよ!あいつのせいでこんな事になってるのよ」

 

「ごめんね...提督も色々あったの」

 

「昔はとても頼りがいのあって優しくて...」

 

「だからね...提督は元々は悪いじゃ――」

 

「元々は?そんな訳ないでしょ」

 

「元々からああ言う性格なの人間は!」

 

 皮被ってるのが最近になってバレただけ。元から人間はそうだ。他人にいい面だけ見せて自分の本性を隠そうとする。土壇場になってからその本性が露わになる。艦娘と言うだけで忌み者にされ排除する。終いには仲間同士で争い始める。人間なんてどの生き物よりも冷酷で残酷な生き物なんだ。あの人を除いて。

 

「...」

 

「沈黙は同意と同じよ...」

 

「気づいてるんでしょ彼奴の本性を」

 

「で、でも――」

 

「でもはない!」

 

「私のこの体が証明してるじゃない」

 

 背中を見せる。自分で見たわけじゃ無いけど何度も何度も鞭で打たれた。その傷痕が必ずある。

 

「...」

 

「わかった?これであの屑の本性が」

 

 朝潮は黙り何も言わなかった。

 

「そう――なら私は休むわ」

 

 姉妹艦と会うのは始めてだった。もしかしたら何処かで会っていたのかもしれない。そうだとしてもその子達はもういない。

 

 私は眠りについた。

 

 ―――――――――――――――――――――――――――

 

 それから数ヶ月。何か屑の機嫌に触れれば拷問をされ、出撃の時は死ぬかもしれない思いをしてまで生きた。

 

 そんなある日、提督が死んだ。

 

 屑が死んだ時は心の底から嬉しかった。拷問に耐えなくて済む。それだけでも救いは大きかった。

 

 しかし現実は残酷だった。また新しく提督が着任する。膝から崩れ落ちた。嫌だまたあの日常に帰るなんて...死んでも嫌だった。

 

 けど奴はそれを聞いた翌日に着任した。何か言われると考えていた。しかし何も言われなかった。正確には何もされなかった。それ何処かまともにさせてくれなかった入渠をさせてくれた。一体この屑は何がしたいの分からなかった。

 

 でもそれも終わった。呼び出された。何もしていないのに呼び出しを食らった。また打たれると思うと嫌になる。そう思いながらあの扉の前に立つ。扉が数倍大きく見えた。そんな事を知らずか朝潮が扉を叩く。

 

「さぁ、入れ」

 

「失礼します」

 

「司令官に敬礼!」

 

 私はしたくもない敬礼をする。

 

「単刀直入だが、君達の名前を教えて欲しい」

 

 そう言われるがどう言えばいいのか分からない。私は動揺していた、ヤツに。

 

「怖がる事はない」

 

「決めかねているなら左の子から順にと言うのはどうだろうか?」

 

 そうして点呼が始まった。朝潮が言った後、私の番が回ってきた。

 

「同じく、朝潮型十番艦霞...」

 

 点呼が終わる。提督は一人の艦娘と話した後、本題へと移った。

 

「今回君達を読んだのは名前の確認と万が一、深海棲艦からの攻撃を受けた際の対処に当たって貰うためだ」

 

 なるほど勝手のいい囮って訳ね。なら私達を入渠させた理由もわかる。許せない、なんで私達をここまで道具のように出来るのか。考えるだけで気持ちが抑えられなくなった。

 

「どうせ死んでこいとでも言うんでしょ...」

 

「いつだってそうじゃない!」

 

「品定めするかのように私達を見て戦場に送り出す」

 

「ちょっと...霞」

 

 死ぬぐらいなら今ここで思いをぶつけてやる。

 

「どれだけの艦娘が犠牲になったかわかる?」

 

「目の前で助けられる命ですら見捨てなきゃいけなかった...」

 

「わからないでしょ!貴方達には!!」

 

 今まで受けた事を吐き捨てるように言った。

 

「...」

 

 前にいる奴は何も答えなかった。

 

「ほら、言えないじゃない!」

 

「どうせ、貴方もアイツと同じ...私は死ぬんでしょ」

 

 今までそうだったんだからこれからも変わらない。悲しいけどこれが現実。

 

「いや、死なせない」

 

「...嘘よ、どうせ裏切るんでしょ!」

 

「アイツ見たいに猫被って良いように使って捨てる...消耗品見たいに」

 

 今まで来た鎮守府の殆どがそうだった。消耗品のように艦娘が沈んで行く。そんな現実をこいつは見ていない。

 

 なのに一人の艦娘が提督を擁護する。意味がわからなかった。人間の本性なんて貴方だって分かってる筈なのに...

 

「司令官、すいません」

 

「私の妹が司令官に無礼を働いた事を私が詫びます」

 

「お願いしますですので霞だけは許してくれませんか?」

 

「朝潮はどうなってもいいので...お願いします」

 

 朝潮は私を庇うようにして言った。なんでみんな自分体を一番考えないのよ...あの人だってそうだった。そうやって自分の身を削って人の為になろうとする。身を滅ぼそうとも。

 

「ちょっと!何勝手に言ってるの!」

 

「これは私の責任よ」

 

「殺すなら私をやりなさい!」

 

 本当にここにいる奴全員身勝手なんだから。言った発言には責任を取る――当たり前でしょ...

 

 私の前にいる奴と言い争いをしている。それを仲裁するようにまた新たに話に加わる者がいた。

 

「...司令を信じます!」

 

「絶対、大丈夫!」

 

 そんな戯れ言を言う奴は呑気に笑顔を見せている。今までなんの苦しみを感じた事が無いようにそいつは笑顔を見せている。虫酸が走る。過去の事を全て否定されている気分だ。なんでこんなに笑えるの?なんでそこまで他人を信じれるの?理解が出来なかった。彼女は何故そこまで前にいる奴を信じれるのか。

 

 分からないまま時間が過ぎていった。

 

「話は以上だ」

 

「下がっていいぞ」

 

 執務室から下がる時私は奴の顔を見た。奴は一人の艦娘を見ていた。私の次の娘――確か響って子。奴は懐かしむかのように響を見ていた。なーんだやっぱアイツも人間なんだ。

 

 気持ち悪い。

 

 ―――――――――――――――――――――――――――

 

 数日経った。奴から何も言われていない。そんな時の夜だった。

 

「総員、第一種戦闘配備!」

 

「敵艦隊絶対国防圏に侵入!」

 

 けたたましく鳴り響く警報音と共に天井のランプが赤く点滅する。

 

「出撃可能な艦娘は直ちに乾ドックに集合!」

 

「霞いくよ!」

 

 そう言うのは朝潮。姉らしく引っ張ろうとしてくる。嫌と言っても朝潮は私を引きずってでも連れて行こうとする。

 

 出撃か...それを考えるだけでも嫌になる。屍を越え味方か敵かも分からずに引き金を引く。そんなのはもうごめんよ。――本当に。

 

 この前会った艦娘達が集まっていた。なんでみんなそこまで順々なのよ...集まっていると奴が現れた。

 

「すまない、待たせた」

 

「ここに呼んだのは――」

 

 どうせ分かってる、何も言うかも。

 

「ここに呼ばれたと言うことはどうせ深海棲艦が攻めてきたんでしょ?」

 

「それで私達に何をしろと?」

 

「死んでこいって言うの?」

 

 気持ちが抑えられない。昔からそうだった。気持ちが抑えられなくなると口に出てしまう。朝潮に止められる。静止されても止められない。だって私は――

 

「もういい加減にして!」

 

 そこにいた誰もが彼女に注目したと思う。私は口を閉ざすしかなかった。あの覇気は奴にも響いていた。

 

「川内さん...」

 

 彼女は奴を信じた。不完全な人間を。

 

 奴は川内の言葉に乗るように言ってくる。

 

「お願いだ」

 

「力を貸してくれないか?」

 

「な、何なのよもう...」

 

「馬鹿ばっかり...」

 

 本当に馬鹿ばっかりよ。ここにいる奴はみんな。

 

「みんな、生きて帰ってきてくれ」

 

 生きて帰ってきて来るわよ。こんな所で死んでいられない。あの場所に帰るまではね。

 

 私はそうして艤装を装着した。まともに装備出来るのも久しぶりだ。魚雷もある。主砲もある。妖精さんもいる。

 

「霞、出るわ」

 

 トンネルを通って海上に出る。外は月明かりに照らせた夜だった。私達の部屋では見られない自由な海がそこにあった。

 

「艦隊集結!」

 

「単縦陣に移行次第、敵艦隊に向け舵を取る!」

 

 敵は私達よりも多い。それでも川内さんは奴のお願いを果たそうとしている。まるであの時の私みたいに。変わらないのかもね、――今も昔も。

 

 鎮守府を後にして数十分。奴から無線が入った。川内さんは奴の命令を聞いている。無線の内容がこっちにも入ってくる。

 

「はぁ?どういうことよ!」

 

 囮を使った奇襲作戦。私達は奇襲側だけど川内さんを含めた三艦でどう持ちこたえるのよ。本当にアイツは何を考えているの?人の気持ちを考えずに...

 

 川内さんは勿論奴の指示に従うみたいだ。

 

「じゃああんた達はどうなのよ?」

 

「囮なんて...死ぬかもしれないのよ!」

 

 囮と言って何人もの最後を見てきた。また最後を見送るなんて...そんなの絶対にいやよ。

 

「雪風は大丈夫です!」

 

「...それで響はいいの?」

 

 あまり言いづらそうにしていた。理由もわかる。朝潮から聞いた。あの子の境遇ならこの囮はあの記憶を――

 

「うん、大丈夫」

 

「みんながついてるなら」

 

「...後悔しても知らないわよ」

 

 あまりいい雰囲気ではない。その流れを崩すように川内さんはみんなを鼓舞してくる。

 

「それじゃまた後で」

 

 川内さんと私達三人は分かれた。奇襲部隊は朝潮に任されている。けどその間は川内さん達が敵の攻撃を受ける。呑気に海を漂っている場合なの?

 

「どうするのよ、ここから」

 

「川内さんなら大丈夫だと思う...」

 

「だからこのまま――」

 

「相手には空母と重巡がいるのよ!?」

 

「川内さんと言ってもあの数は...」

 

「...霞は川内さんを何だと思ってるの?」

 

 後ろだから顔は見えない。けど口調が荒くなってるのが分った。

 

「今は川内さんと司令官に従って」

 

「あわわ...」

 

「けんかだめ!ぜったい」

 

 妖精さん達は話に割り込んでくる。分かってるわよこんなとこで言っても変わらない事ぐらい。

 

「...悪かったわよ」

 

 朝潮は振り返らず前を見ていた。気まずい雰囲気が夜の海に漂う。

 

「二人ともそろそろ奇襲地点です」

 

 私の後ろの三日月が言った。前からは砲撃音が聞こえてくる。

 

「川内さんは無事なの?」

 

「でいじょうぶだ、いきてる」

 

「良かった...朝潮!」

 

「分かった!魚雷戦よーい!」

 

 敵に向けて発射管を合わせる。

 

「そっきょかんりょう!いけますぜ!」

 

「発射ッ!」

 

「魚雷発射!」

 

「当たって…っ!」

 

 魚雷を撃つ。敵は全くこっちに気づいていない。これなら...

 

「敵に命中!」

 

「やったわよ!朝潮」

 

「これなら...砲撃戦開始!川内さんと合流します!」

 

『了解!』

 

 敵が動揺している隙に川内との合流に成功した。あんだけの砲撃と空襲を食らって中破一隻に止められているだけ奇跡に近い。

 

 追撃して殲滅のチャンスなのかもしれない。そこにいたみんながそう思った。そうして私達は敵艦隊を追った。

 

 かなりの距離を追撃した。そろそろ燃料が危なくなってくる。川内さんも気づいているようだ。

 

「ではこれより鎮守府に――」

 

「電探に感あり!」

 

 まだ残っていた敵機かと思ったけど朝潮が言うには...

 

「敵艦隊こちらに接近中...」

 

「戦闘になると思われます...」

 

 なんで...ここまで来たのに。――そうか

 

「やっぱり...見捨てられたのよ」

 

「ね?言ったとおりでしよ?」

 

 ()()から上には上がれない。今までの待遇がそう示している。希望だけを見せて後は捨てる。私は馬鹿だった。あいつを信頼したからだ。出撃前にアイツの頭を撃てば...こんな事には。もう...いやだ。

 

 口に出てしまう。

 

「こんな世界深海棲艦に滅ぼされればいいんだ!」

 

「助けなんてない...」

 

「この世界には救いなんて存在しない!」

 

「あるのは絶望と憎しみだけ!」

 

 私は膝を海に着く。ここから生きて帰るなんてありえない。無理なんだそもそもこの戦い自体が。私はあの時から負け続けてたんだ。この国の衰退と共に私は負け続けた。唯一の提督も今はいない。あの場所に行けなくなる。私は――

 

「私は...沈みません!」

 

「しれぇは絶対に私達を見捨てる筈がない!」

 

 耳を塞ぎたくなる。この子はいつもヘラヘラして笑って何も辛いことが無いみたいに...

 

「霞も元気だして!」

 

「大丈夫!絶対に沈まない!」

 

 いやだ、嫌だ。もう聞きたくない。

 

「なによ...」

 

「貴方、どうせ死ぬのが怖くないからそう言ってるんでしょ!」

 

 聞きたくない。

 

「私は死ぬのが怖い」

 

「死にたくない...」

 

「見るのもなるのもいやだ...」

 

「大丈夫」

 

 彼女はそう言って私を覆って抱きしめるようにして来た。

 

「なんのつもり...?」

 

「信頼です」

 

「こうして抱きしめればみんな幸せになります」

 

「何言って...」

 

 彼女は――震えていた。気づかれないとでも思っているのか私を抱きしめて震えている。雪風も怖かったんだ。顔に見せないだけで心の中では怖がっている。私達と何も変わらない。自分が沈まないから怖がってなかったんじゃない。言えないだけで本当は...

 

「大丈夫...今が辛くても何時か安心して過ごせる日が来る」

 

 頭を撫でてくる。その手は小刻みながら震えている。

 

「だからね...あと少し、あと少しだけ耐えれば自由になれる」

 

「もう少し頑張ってみよう?」

 

「貴方は相当のお節介好きね...」

 

 私は手放した連装砲を手に取る。

 

「今日の事覚えておきなさいよ!」

 

「本当にイライラするわ!」

 

「ほら行きましょ!」

 

 雪風に助けられるとはね。全く...なんでアイツの為なんかに武器を持たないといけないのか。

 

「いっしょにがんばろう!」

 

「そうてんかんりょう!」

 

「かすみさんや、やるときはやる」

 

「それがかんむすだろ?」

 

 妖精さんにまで励まされるとはね…この戦い絶対に勝って――アイツに一泡吹かせてやる。

 

 私達は敵艦隊に向けて走った。陣形なんて考えずに敵まで走り続けた。

 

「だめだ!たまがきれた」

 

「こっちもだ」

 

「まだ機銃があるわ!それで撃ちなさい!」

 

「あいよ!」

 

 弾が切れ始めた。まだ助けは来ない訳?川内さんは誰よりも前に立って戦っているのに...

 

 その時だった。轟音と共に空から現れる無数のミサイル。ミサイルは次々に敵戦艦に当たっていった。

 

「やった!これで深海棲艦もお終いよ!」

 

「いいぞ!ていとくー」

 

「全員砲撃用意!」

 

 川内さんの合図が聞こえる。

 

「撃つわよ!」

 

 主砲に装填された最後の一発を放つ。煙が立つ敵に命中した。しかし現実は残酷だった。

 

 煙の中から出てくるのは敵の砲弾だった。油断してた私は敵の弾をもろに受けてしまった。

 

 重い一撃が入る。腕の一本か体が裂けたみたいに痛い。体から赤い液体が流れる。腕に敵の砲弾の破片が刺さっている。認識するだけでさっきの数倍の痛みが体を走る。

 

 ここまできて最後は呆気ないなんて。周りのみんなも被弾してる。雪風が朝潮を担いでいるのがわかる。

 

 痛みに耐えながら私は立つ。体が身震いしている。怖いのはわかってる。でも戦わないといけないのよ霞。立って!行くのよ!川内さんの所まで。

 

 前に進もうとしたその時だった。

 

「大丈夫ですか!?」

 

 後ろから聞こえる声。

 

「大丈夫な訳...ないでしょ」

 

 後ろに振り向く。そこにいたのは――

 

「大淀、生存者を発見!」

 

「霞さんですね!川内さんは何処に?」

 

 こちらに近づく二人。 

 

「朝潮をお願いします!」

 

 来たのは雪風とボロボロになった朝潮だった。

 

「朝潮さんと雪風さんですね!」

 

「朝潮さんをこちらに...手当します」

 

 そう言って持ってきたもので応急処置をしている。

 

「それで川内さんは?」

 

 私が彼女の行った方向に指を指す。

 

「そんな...」

 

 無線が反応する。やっとあの屑の声が聞こえる。大淀あの屑が何かを話している。川内さんを止める気のようだ。

 

「屑...司令官」

 

「やっと持ってきたようね...」

 

「川内さんを助ける気...なの?」

 

 川内はみんなの為に一人で戦ってくれている。自分を犠牲にして。けど無線越しのアイツは誰一人見捨てない気でいるようだ。

 

「...何なのよ」

 

「ほんとに...」

 

 クズのくせに...なんで私達の為なんかに。

 

 アイツとの通信が終わった。離れていた響と三日月もなんとか私達のいる所にこれた。敵の攻撃も減ってきている。

 

「提督からです」

 

「砲撃戦中止」

 

「母港に帰投しろとの事です!」

  

 その後、私達は全員生きて鎮守府に帰れた。川内さん含めた三人も途中で合流する事が出来た。

 

 帰投するとアイツが迎えに来てくれていた。労いの言葉と後日集合と言う事を残してはアイツは解散の号令を掛けた。

 

 アイツは入渠する事を許してくれた。入渠すると言う事が出来るだけも嬉しい。

 

 けどわからない。なんでアイツは私達艦娘の為に動いているのか。ここまでして助けるのか。

 

 絶対に目的がある。だからまだ信用出来ない。

 

 私の信用出来る提督はあの人だけだから。




いやー流石に今回は長過ぎますね…書きたいことがいっぱいあって上手く縮める事が出来ませんでした…後最後らへんは少し変な文になっているので後日確認しておかしければ直します。
まぁ今回は拷問シーン出せただけでも嬉しいのでもっとキツイ描写もだしたいですね!

もう少しコアな表現入れても大丈夫ですか?

  • 大丈夫だ、問題ない
  • いやです!これ以上艦娘をいじめないで!
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