今日は艦これのssをなんとか上げれる事が出来ました…今回の話はほぼ提督が空気になってます()
なんかよくわからないキャラが出ているなとでも思ってて下さい…
第二十六話 変化〜提督〜
戦慄した空気が辺りを漂う。忌まわしいモノを見るかの様に凝視している。また、雪辱を果たすまいとの容貌にも見えた。体毛が逆立ち、威嚇を示す料理長。
「な、なんでしょうか...」
吃りながらも立ちはだかる彼との対話を意思を見せる。怯えた表情を尻目に彼は質問を投げかける。
「お前、ここに来る前は何処の部隊に配属されていた?」
彼とは思えないほど真剣な態度だ。何がそこまで彼を駆り立てるのだろうか。出来心ではなし得ないものがあるのか。
三日月は質問に応えようと自身を励ましている様な姿が取れた。少しの合間を得た後、三日月は喋り始めた。
「佐世保方面軍――佐世保基地所属の第◯四駆逐隊です...」
佐世保、以前から重要な拠点として定められてきた場所。佐世保と言う言葉を聞き更に彼の様相が変貌していくと言うべきか。前々からの彼の印象は大きく変化した。大きく見せていた態度は更に勢いがます。人が見ていようと構いないと言わんばかりか、三日月の胸ぐらを掴む。そうして彼はこう言い放った。
「――そうか、やっと見つけたぞ」
疑惑が確信に変わった。言わばそう思わせてくれる。すると、彼は胸ぐらを掴みながら三日月を持ち上げた。三日月と彼の身長差は目に見えて当然なぐらいの差があった。そうして、地面から一◯センチ程持ち上がっている。何が起きているのか理解が追いつかない三日月。恐怖心とも猜疑心とも見える表情を見せる。
「忘れたとは言わせないねぇぞ」
掴む手が一段と強くなる。中に無理矢理浮かせられた状態の三日月。胸ぐらを掴んでいる手を退かそうと足をばたつかせ、狼狽している。
「い、いや――や、やめてくだ...さい」
掠れながら精一杯の声を出して伝える。だがその苦しみが止まることはなかった。
今起きている現状をさもない様にあしらう人々。人はそれを見ても黙認し――いやどうでもいいと言う容貌をしていた。人の業とはどれほど多く積み上げればいいものなのか。そう言いながらも傍観者と同じように見ている。人と違うようでありたいというエゴを他人に押し付けて苦しめて来たこと。本当の善意で動いている訳ではない。偽善者としての善意でしか物事を区別出来ていないんだ。それに行き着く答えを示していた。
偽善者でいいのか。それでいいのかと自問する。自身の為の善意。栄光や永栄に縋るためでない。これは俺自身――これまでの罪過を葬る為の善意なんだ。偽善者でいいじゃないか。その為に
そうして彼は予め用意していたのか鋭く研ぎ澄まされた刃物を取り出す。その光景を見て俺は駆け出した。
駆け出した理由なんてものは自分の為だ。それでもいい。今まで考えて来たこと全てはあの目的の為だ。同情する気持ちはある。未来を変えてあげたいと言う気持ちもある。艦娘が以前と同様な暮らしが出来るように努力はするつもりだ。しかし、確信し続けているこの復讐の心は止まらない。止めるつもりもない。
俺は三日月を掴み上げている手を振り落とす。三日月はその場に倒れ込んだ。掴み上げられていたことによる酸素不足か、荒い呼吸が見受けられる。彼からは理性など感じ取れる訳がなかった。
「ふざけるな!ふざけるなっ!馬鹿野郎!」
半狂乱になって刃物を振り回す料理長。彼の中には何があるのか。あそこまで三日月に執着するのか。それ程の憎くて堪らないのだろうか。逆撫でするとわかっていても知らなくては話が進まない。俺は両手に刃物を持った彼に問いただした。
「そんなもん言って何になる?」
「人一人助けられないお前に何が出来る?」
「減らず口だけ叩いてるだけのホラ吹き者だよ――お前は」
否定的な言葉しか返って来なかった。人一人助けられないか――肯定出来なかった。そんな奴の戯言など見向きをしないと言うことらしい。
「お前も艦娘も何をしてくれた?――何もやっちゃあいない」
「見捨てて行ったのはお前達だ!」
「あの時からこの国は変わってないな――人も艦娘も」
過去に囚われた囚人。そう体現しても仕方ない。そう言う俺もその質の奴だ。だからわかる。とても気持ちがよくわかってしまう。わかりたくもないのにわかってしまうんだ。恨み、憎しみ、憎悪の気持ちに共感する。それがどれ程の大罪なのかはよく知っている。昔の俺なら止めずにいただろう。なら何故止めようとするのか。共感する相手がいるのにそれを阻止するのか。それは至って簡単な事だった。
己の妨げになる。ただそれだけの感情だった。
「それ以上はやめろ」
「部下に傷を付けると言うならお前を軍法会議にでも放り投げるぞ――」
少し足を引きずる彼。後ろめたい気持ちはあるようだ。しかし、一度後退りするも彼は再度刃物を向けてくる。
「どうせ脅し文句だろ?」
「お前には出来ない」
ふんぞり返った態度で言い返す料理長。さも、あり得ないと言う憶測で虚勢を張っている。そうして俺はある一言を告げる。
「以前ので最後と言ったな」
わかり合えないのなら下すしかない。これ以上無駄な血を流さない為にも犠牲は必要だ。犠牲を得なくて結果は生まれない。そうやって成り上がってきた。自分の為に――約束の為に。
「もうやめてくださいよっ!」
その声が食堂に木霊する。傍観していた人々もようやく我々に視線を向ける。その声はここにいる誰でもなかった。
その声の真相に気づいたのは料理長だった。
「す――鈴木か?」
鈴木――この前も彼を擁護していた奴か。
「なんでまだこんな事するんですか!?」
「やめるんじゃなかったんですか!?」
彼を責め立てるようにそう口にする。彼の威勢が少しずつ剥がれ落ちていく。
「違う!こいつが――こいつが見捨てて行きやがったんだ!」
三日月の方に指を指して罵る。
「こいつは殺さないと駄目だ!」
三日月は唖然とし、涙目になっている。直後、パチンと言う高い音が辺りを一周する。その音の発端は彼の頬だった。彼の頬は手形の赤い後が付いている。
「馬鹿言わないで下さい!」
「ここまで生きてこれたのも艦娘がいたから出来たんですよ!」
「今まで相当目を瞑ってきました――しかし、もうこれ以上は耐えれません!」
この前会った時の落ち着いたとは印象が大きく違っていた。何処となく女性的な印象が見受けれる。
そして鈴木は語った。彼が艦娘に食料を分け与えない事を知っていたこと。隠れて食べ物を渡していたということを。暴走した彼を止めるためか必死に説得を試みる鈴木。
「もういいじゃないですか...」
「...」
「...だめだ――駄目なんだよ」
彼の持つ刃物が小刻みに震え始める。
「あの時に誓ったんだよっ...必ず殺してやるってよ」
「鈴木だって一緒に見てきただろ?」
彼は拳を握りしめてこう語る。
「あの時――見捨てられた時、こいつらどんな顔をしていたと思う?」
「平然としてやがったたんだよ!自分よりも格下を見るような目で見てやがったんだよっ!」
歯をギシギシと言わせてながら三日月に顔を向ける。
「許せない、呪ってやる、殺してやるってどれ程思ったと思う?」
「なぁ、そこの黒髪ロングの艦娘さんよお」
突然、話を振られたからか、それとも彼に恐怖したのか。三日月は言葉を出そうとはしている。しかし、喉が詰まったかのように何も喋れていない。
「――そうかそうか、喋れないか」
言わば、彼はそれが当たり前だと断言する顔をしていた。
「ご、ごめんな...さい――許して...くださ、さい」
怯えながらも三日月は必死に謝罪を告げる。すると、鈴木は倒れた三日月に歩み寄り、背中をさすっている。
「復讐して何になるんですか?」
鈴木は問う。復讐に意味があるのかと。
「もし、復讐したとして何が残るんですか?」
「何か得るのですか?」
「そんな一時的な達成感で満足するんですか?」
復讐なんかに意味はない。鈴木はそう言っている。無意識的に拳を握る。そんな筈はないと言いたいと感情が湧いてくる。と言うよりもわからなくなってきているのが正しい。
彼はその言葉に歯向かう様子がない。それよりも自身に呆れている様子にも伺える。
「じゃあどうしろって言うんだ?」
「見ろよ――もう手遅れじゃないか」
彼は辺りを見渡す。静まり返った食堂。誰も食事に集中出来ていない。
「これから考えるんです」
「これからって――無計画過ぎるだろ...」
「今はそれでいいんです――だから謝ってください」
「謝るだと――こいつに」
彼は露骨に嫌がりを見せている。彼にとっては謝ると言うのは敗北を認めるのと同等。言うならば恨んで憎悪していた相手に頭を垂れると言うことだ。
無言の圧力を向ける鈴木。流石に彼もそれを察したのか、不承不承ながらも三日月に歩み寄った。
「......悪かったよ」
「いえ...大丈夫です...」
互いに納得は言ってなさそうだったが、取り敢えず危機は去った。
「提督...」
鈴木が申し訳なさそうに話しかけにくる。
「どうか彼――料理長を軍法会議には出さないでくれませんか?」
「どうかお願いします」
深く深く沈痛な表情を浮かべ謝罪する。次はないと言った。言葉に従うなら相応の処置は下る。
「申しわけ...なかった」
等の御本人も謝罪し、頭を下げた。
「度重なる上官や部下に対する暴言や暴力行為」
「戦時下だと言っても処罰の対象になるのは覚悟しているな?」
「わかってるさ...」
彼には相応の覚悟があるらしい。今まで彼、料理長を見てきた。何処までも愚直で俺と同じ性分を背よって生きている。しかし、彼は今までの事を捨て、新たに歩もうとしている。
「しかし、この鎮守府にはとにかく人手が足りない」
「わかっているな?」
「見てりゃわかるだろ、それぐらい」
俺はこいつを――許そうとしている。馬鹿馬鹿しい、実に馬鹿馬鹿しいことだ。人生の本命を捨て逃避に走る奴の肩を貸すような真似をしている。許せる訳がない。なのに――何故だろうか、許してしまえと心が叫んでいる。
わからない。復讐がわからない。ここまで来たというのにわからなくなる。俺はわからないまま彼に処分を伝える。
「追って処分は言い渡す」
「その間は死ぬ気で働いて貰う」
「いいな?」
彼の目に少しの光が指すような気がした。鈴木はその言葉を聞いて安堵の表情を浮かべている。
「ありがとうございます!提督!」
「わかったよ...それまで馬車馬のように働けばいいんだろ?」
少し甘過ぎる――いや甘過ぎる処置と言っても過言はないだろう。
「以後、艦娘への態度を改めろ、それに今までしてきた事を全員に謝罪しろ」
「――わかったよ...謝るよ」
三日月も大分落ち着いてきた。俺は三日月に近寄り、手を貸す。
「ありがとうございます――提督」
「怪我はないか?」
「はい、大丈夫です」
少し笑顔を見せる。少しは救いにはなれただろうか。
それでもこれも自分の為にやっているのか。この笑いも自分の為に――わからない。なんでここまでする必要があるんだ。奴等を倒すだけならそんなもの必要ないのにと考える。しかし、何故か見ていると安心する。温もりを感じる。
――復讐ってなんなんだ。
俺の中で少しずつ復讐と言うものが変わり始めていた。
引き続き見ていただきありがとうございました!
現在ブルアカの短編ものもあるので結構地獄ですwそれはさて置き、最近文字が書きづらくなってきています。というのもリアルの仕事がクソ忙しいのと体調がぶっ壊れフィーバーしている状態で書いてるので文書死んでます、すいません…
取り出すまた再来週には出せるので頑張ります!
もう少しコアな表現入れても大丈夫ですか?
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大丈夫だ、問題ない
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いやです!これ以上艦娘をいじめないで!