いつの間にか8月も終わってしまいました…やばいねこの前上げたやつもう2週間も前ですね…反省します。
とりあえず今回はそこまで鬱要素はないから安心だね!
人間に
人類は社会性が生まれる中で感情と理性を持つ心が生まれた。それは他の生物では想像もつかない程の創造性や理屈を生み出し、
ある兄弟がいた。二人は神に捧げ物を渡すために日々働いた。そしてとうとうその日がやってくる。一方は肥えた子羊を、もう一方は土で実った稲を。しかし、神は稲を選ぶことはなかったのだ。兄には深い傲慢な心があることを神は知っていた。数ある稲から良質な稲を探さず、手に取った稲を捧げ物にしたのだ。兄は全て神に見通されていたにも関わらず、嫉妬を弟に覚える。『許せない、悔しい、見返してやりたい』と、言う思いを全て兄は弟に押し付けたのだ。兄は激しい怒りを覚えた。その怒りは神であっても止めることはできない程に激しく燃えていたのだ。愚かな兄はとうとう、原罪に触れることになる。
ある日のことだ。兄は弟をとある野原に誘い出した。そもそも兄弟と言うものはお互いに支え合い、助け合うものだと神は思っていた。兄弟愛があるものなのだと神は考えたのだ。しかし、人間はそこまで利口ではなかった。単なる一つのことに兄は執着する。怒りと嫉妬によって犯された兄はとうとう、弟に手をかけたのだ。大地に寝転がる弟。彼はどうやって弟の命を奪ったのか。首を絞め、窒息させたのだろうか、それともナイフで腹を刺し、大地を赤色に染めたのであろうか。如何せん我々からすれば大昔の話、到底現場を知ることは出来ない。
神の考えた理想の生物達は他の動物と同じ様に仲間を殺す。しかし、その殺生には動物とは違うものがあった。憎悪、怒り、軽蔑、嫌悪――ありとあらゆる悪の心を持っていた。人は飽足らず、それを当然なものとして傍観した。そしてそれすら利用する小悪党が生まれ、人間と言う動物ならざる者が完成したのだ。我々はその血を代々受け継ぎ、明日を壊し続ける。それが神にもわかったのだろう。気づかぬうちに人は神の怒りに触れた。――その結果がこれだ。
一日も経てば罪は洗い流せることは出来るのだろうか?
ありふれた罪が重なって人を壊す。たとえ、どれだけの時間が経ったとしても罪の重さは変えられず、時間も変えられない。一時の休息があったとしても、いずれは忘却で許されるなどあり得ない。罪は死でこそ洗い流され、死を持って償いとなす。そう言った憎悪を溜めに溜め、事件が起こる。過去の出来事も理想と現実が食い違い、悲劇が起こった。絶滅戦争と言うものが人間と艦娘に亀裂を生んだ。けして癒えることもなく、消えることもない歴史の一部へと誘うことになる。それが人間と艦娘の理、人間の歩む未来に差別は存在し続ける。
消えることもない人間の業として。
次のグアムに向けて翔鶴、瑞鶴を戦闘に参加させる。人間が明日を迎えるために俺は二人を利用する――いや艦娘を使う。これは彼女達の戦争ではない。人間が人間であり続けるがために艦娘と言うものを使っているのだ。そう、
窓からすり抜けてくる風の残響。海風の匂いが薄っすらと感じとれる。あれから一日、あの二人と会ってたった数十時間と言った所だろうか。何事もなかったかのようにしている自分自身が一番恐ろしく感じる。銃口を向けられ、体を掠める弾丸。憎悪と怒りの目を向けられて窶れた少女。二人の顔を見れば辛苦思いが犇々と肌に伝わる。俺はその思いに応えたかった。しかし、俺には軍全体を動かせるほどの力はない、無力で非力な男だ。その分際で二人を助けるなどと言う甘ったれた偽善は、二人をより苦しめる結果になるかもしれない。偽善すら、自身の目的に向う足掛かりであることすら知っていてもなお、同情の心を向ける。気持ち悪い、心底自分自身が気持ち悪く感じる。それでも俺は戦わなければいけない。どれだけの犠牲を得ようとも俺は戦わなければいけない。
「今回、皆に集まってもらったのは次の戦いについてだ」
「目標はグアム、的補給基地の撃滅にある」
「編成は空母、翔鶴、瑞鶴」
「軽巡、川内」
「駆逐艦、時雨、雪風、霞」
「以上だ」
『...』
窶れる者や葛藤し苦悶する者、ケラっと笑顔を見せる者、真剣な眼差しで見つめる者。様々な感情が渦を巻き、醜く漂っていた。
「ちょっと――待ってください!」
一際大きな声が辺りを一蹴した。視線がその声の主へと向く。声の主は川内であった。顔には影が掛かり、言葉が唇の先まで来ているのにそこから進めていない。
時計の針が刻まれるように心臓が鼓動が聞こえてくる。数十秒程の間が生まれ、そうして迷子になっていた言葉が紡がれた。
「私達に何か隠しているんじゃないんですか?」
「隠す?一体なにを?」
「嘘じゃ――ないんですね...」
彼女がなにを言いたいのかわからない。しかし、彼女の目は荒み、以前の姿に逆戻りしていると言ってもいい。再び戦場が彼女に齎した影響は計り知れないものだったのだろう。
「提督、聞きたいことがあるの...」
「艦娘を深海棲艦にする方法があったりするの?」
誰もがその言葉を疑問に抱いた。一体なにを言っているんだと、そんな訳がない筈だと。だが、彼女から語られる言葉は何処か事実であるかのように思えた。
「あれは――絶対に私の姉妹艦でした!二人の顔を見間違える筈がないもん...」
「お願いです!二人を...どうか二人を助けてください!!」
恥も知れずに彼女は頭を垂れる。錯乱するように言葉を並べ、他人からするれば可笑しくなったと思われても異論はないだろう。戦場に姉妹を重ねて、淡い希望を持ち、絶望に打ちひしがれることも彼女は知らない。戦場に嘘はなく、ただ事実を述べるだけだ。残酷な真実を言う代償を。
「一つ目の質問、私にはわからない」
「まず、深海棲艦すら不明な点が多い」
「もしかしたらその方法と言うものがあるかもしれないし、ないかもしれない」
「二つ目の願い、その願いは不可能だ――いや不可能に近いと言ってもいい」
「その情報が正しいのだとするのなら川内、君の姉妹なのだろう」
「しかし、深海棲艦になるしても原理が不明なのに助けろと言うのは無理な願いだ」
「......」
「――もし助けたいのであれば一つ方法があると言えばある」
その言葉に顔を上げる川内。だが、その方法と言うものは彼女にとって残酷で苦しい手段になるに違いない。重い様相を見せるが彼女は見ず知らずに今か今かと待っている。それを望むのであれば教えよう、それをやるのもやらないのも彼女の意思であろう。
「死を持って償いとするしかない」
「そんな......でも提督ならっ!」
「すまない、これに限ってはどうすることも出来ない」
「...嘘だ、嫌だよ......そんな現実.........嘘だって言ってよ......」
「私は神でもなければ神の代行者でもない――ただの軍人だ」
姉妹の手によって最期を迎える。なんと皮肉なことだろうか。あの兄弟のように、またこの世界も残酷だ。
川内に変えられない現実が壁となって立ちはだかる。どうにか乗り越えようと壁によじ登っても、途端に滑り落ちる。何度も何度も挑戦を続けたとしても現実はものを言う。冷酷な壁は現実そのものだ。楽園から追放された者達の最期は死という代価を支払う。苦しみ藻掻き、死ぬまでがこの世界に与えられた運命というものだ。そこから救う唯一の方法、それは二人を殺めること。冷酷で残酷な手段と言われても仕方がない。しかし、二人は奴等と同じ深海棲艦だ。あの悪魔を野放しに出来るわけがない。
「君が姉妹に方を付けるのも付けないのも自由にしてくれて構わない、だが――」
「やらないと決めるのなら、こちらで手段は選ばさせて貰う」
「奴等は紛れもない敵だ、人の命を奪う悪魔だ」
「――許してはおけない」
たとえ、艦娘だった者だとしても武器を向け、引き金を引く者は俺の敵だ。救いきれない者を助ける義理は俺にはない。
「そんなのあまりにも酷すぎるじゃない!」
霞が声を荒げ、反論する。それは敵を見るように鋭く尖っていた。
「言い方ってもんあるでしょうが!」
「何がすまないだって?くだらない、あんたみたいな屑がいるからこうなったんでしょ?」
「否定もしなければ何一つ表情も変えない、本当の――」
「もうやめて!霞」
「司令が悪いわけじゃないっ!」
雪風までもが参加し、口論が収まることを知らない。それは小さな歪みは少しずつ大きな亀裂へと変わっていった。
「何が言いたい訳なのよ?雪風は?」
霞の方に視線を向け、真剣な態度をとる。それは霞と相対するように思えた。
「...これは私達と司令の問題なんです!」
「こんな所で言い争いなんかしてても何も変わらないじゃあないですか!」
「みんなでもっと良い方法を考えましょう!」
「そんなものないに決まってるわよ...」
自分の身を犠牲にしてでも仲間を救おうとする。手を差し伸べ、共に困難を乗り越えよう努力する。正にアニメや漫画で万といる主人公。彼女をそう罵ってもいいだろう。しかし、理想と現実は全くの別物だ。様々な事柄が入り混じり社会が形成され、裏切りや憎悪によって動いている。馬鹿の独り善がり、偽善。奴等にさえ救えるのであれば救おうとするその行動はいずれ、身を滅ぼすのに時間は必要ない。
「あの時...川内さんはチ級――いや姉妹の二人と話し合えていたんです!だからきっとまた会えれば...」
「また会えるって言う確証はあるのかい?こんな広大な海で?」
「時雨の言う通りよ、どう会うつもりなのよ?」
「それは...えっーと......」
雪風の言葉が詰まる。今までの威勢が一気に剥がれ落ちていく。
どうしてだろうか。本当に二人を助けることが出来るならと考えてしまうのは。奴等は紛れもない敵で仇だ。そんな奴らを救う?馬鹿げているさ。同情して自分は善人なんだと逃避したいだけ。他の奴と違うと誇示したいだけ。そうだ、そうに決まっている。あんな奴等を助ける必要も義理もない筈だ。
「奴等は南南東方面――今回の目標のグアムに帰投した可能性が高い」
「補給も修理も終わっていない筈だ」
「二人がいる可能性は高い」
こんなことをする必要はない。何故あんな奴等の仲間に手を差し伸べる必要があるのかとつくづく思う。川内の姿を見てもなお、思いは変わらない。奴等は憎む敵で憎悪の対象だ。どんな生い立ちであっても許せるわけがない。――今まではそうだった。しかし、何故かここに来てからと言うもの根本にあるものが崩れていく気がする。それが何よりも恐ろしく怖い、今までの努力が水の泡になるのかと思うと絶望すら覚える。なのに何故か救いの手を差し伸べる。偽善とわかっていても体が動いてしまう馬鹿な男だ。
「それでも確たる証拠はないんでしょ?不可能よ」
「そんなことありませんっ!」
「限りなく小さな可能性でも信じれば必ず...きっと、大丈夫です!」
雪風はニコリと笑顔を振りまく。それはまるで女神のように美しく可憐な少女であった。誰もが雪風の言葉に耳を傾けていた。それは川内の挫けた心を動かすほどに。
「ありがとう、雪風!」
「雪風のおかげで二人とまた会って話してみようと思えた」
「提督!私はやります!必ず二人を助けます!」
「力を貸してください!」
「好きにやれば...まったく......」
「やってはみませんか?しれぇ?」
壁は高く険しい。何度も乗り越えようとし、滑り落ちたほどに難しい道だ。たかが、一人の願いのためにと言えばそれで終わる。しかし、一人の少女の願いも守れずに勝つ戦いに虚しいものはない。全くどうかしているよ。雪風には信じるに値する運と実力がある。俺は雪風を信じる。偽善でも保身のためでも構わない。
神の信じた理想の生物は本当に消えてしまったのか。もし理想の生物と呼べる者は今、目の前にいるのかもしれない。
いやぁ~雪風さんぱねっすねぇー!早く雪風の過去編を書きたくて主はうずうずしていますよー!そこまで鬱要素は多いって訳でもないけど雪風らしい物語を考えているので早く書きたいね!
そんじゃまた再来週には上げれるようにはするけど9月も忙しくなるぞぉ…(絶望)
もう少しコアな表現入れても大丈夫ですか?
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大丈夫だ、問題ない
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いやです!これ以上艦娘をいじめないで!