今回もなんとか書き終わることが出来ました!今回の話は結構重め?かなと勝手に感じてます!まぁ〜今まで見てくれた人ならそこまでだと思うので楽しんで行ってください!
鎮守府から離れ、約二時間経った。しかし、大本営までは時間が掛かる。我々は旧市街地を抜け、この国の現状を知る。
我々の目の前には世界は荒んだ風景だった。曇り空の下、崩れたビルや家、中央から崩壊した橋など、その様相はまさに亡国のような有様だった。
そうだ――この国はもうとっくの昔に負けていたのだ。何度も行われる首都機能の移転。空襲によって次から次へと潰される大都市圏。制空権が失墜するだけで多くの人間が死ぬことになった。それには、俺の家族も一緒だった。後退し続ける戦線は日本のシーレーンを脅かし、人々を不安に駆り立てた。それは人々だけで収まることもなくいずれは国家を巻き込む疑心へと変わっていく。誰一人信用出来なくなった生き地獄は憎しみと恨みに満ちた俗世へと変わり果てた。地獄を知る人々に天国の話をしても意味がない。天国なんてものは存在しない。我々には「地獄と愛のない世界」が存在するだけなのだ。だから俺はただ奴等と戦い、報いる他にないのだ。
車列はひび割れた道路を進んでいく。公用車とは言え、これほど道の状態が悪ければ寝ることも出来まい。寝ていた二人も起き、車列は進んで行った。
「状況を送れ」
「VIP2、正面に異常なし」
「VIP8、後方も異常ありません」
「了解」
やけに緊張した空気が張り詰める車内。それはまるで戦場のど真ん中にいるように張り詰めていた。そうして車列は少しずつ山のある方向へと進む。ふと、外を見ると一直線に長い道に小さな店舗が立ち並ぶ繁華街を通っていた。空襲によって崩壊した街は我々を静かに見守っていた。
真上から何かの音がする。耳に不快感を残すその音は、どうやら真上を通過していった。一体あの音は何なのだろうか。しかし、薄々と気づき始めていた。一直線の道に身動きできにくい道路。更には曲がり角も少ない。
車列の両端から聞こえる轟音。その音と共に正面から大きな火柱が立つ。その場にいた全員が息を飲んだだろう。そうして助手席の隊長へと無線が入る。
「敵襲!敵襲!」
その声と共に閃光が走る。鋭い音ともに、弾丸は勢いを落とすことなく車のボディを削っていく。それに加え、鈍い音が響く。それはフロントガラスにクモの巣状の亀裂が広がり、中心には小さな穴が開いた。ガラスの表面から細かな粉塵が漂う。ガラス全体に波紋が生じ、不気味な光が輝いていた。
「伏せて!」
助手席から聞こえる声に咄嗟に頭を座席の下へと潜らせる。数十発以上の弾丸が車へと命中すると車体が揺れるように感じた。俺は隣に座っていた二人を交互に見る。何が起きたのか分からず、呆然自失のまま、頭を上げようとしていた。俺は二人の頭の天辺に手を置くや否や地面へと強く押す。
「ちょっ!何すんのよ!」
「頭を上げるな!死にたいのか!?」
しかし、このままではこの車もそのうち駄目になる。隙を見計らって外に出るしか方法はない。
「提督殿!ここから脱出しましょう!」
「合図に合わせてドアを開けてください!」
そうして彼の合図を待つ。数秒の時間が数時間に感じる。緊張によって顔からは一滴の汗が零れ落ちる。隊長とドライバーはライフルの薬室に弾を装填し、準備を整えていた。――その言葉を今か今かと待ち詫びる。
「今っ!」
発せられた言葉と共に勢いよくドアを開ける。車の中で軽減されていた銃声が本来の音として響く。俺はドアを盾にしながら二人を降ろす。道路には何度も弾が跳弾し、軌道を変えている。
「提督殿!後ろのLAVに向かって下さいっ!」
「煙幕投下!」
隊長は俺の肩に手を乗せ、牽制射撃を行う。後ろからは白い煙が現れ始め、我々の姿を隠してくれた。
一歩進むたびに数発の薬莢が地面へと落ちていく。俺は二人の手を強く握りしめ、前に進む。
「こちらです!急いで!」
LAVの上面にいる年配の兵士がそう叫んでいた。運よく一発も当たることもなくLAVに辿り着くとドアが開く。俺は先に二人を乗せ、ドアを閉める。それと同時に隊長も合流し、前方のドアを盾に窓を開けながら射撃を行っている。
「要人三人は無事!送れ」
「敵に狙撃手だ!全員頭を下げろ!」
しかし、その声も虚しく、一発の鋭い音が一人の男を穿つ。
「うっ……くそっ、足が…!」
「誰か…お願いだ、助けてくれ!」
声の主はドライバーだった。足を撃たれた彼は、後退しながら地面に崩れ落ちた。荒い息遣いとともに彼は体を藻掻き、助けを呼ぼうと声を張り上げている。だか、その瞬間、鋭い音が彼の腕に容赦なく貫く。自力で立ち上がろうとしていた体は再び地面に叩きつけられた。痛みと恐怖に包まれた声が辺りに響く。
「あああああっ!!」
「な…なんで…こんな…!?」
苦しみながら、掠れる声で叫ぶドライバー。あの時の落ち着いた顔とはまるで別人のように変わっていた。辺りには鮮血を撒き散らし、彼は段々と衰弱していった。
「行ってはいけません!」
彼が俺の前に腕をだして妨害する。その目はどこか虚ろでその状況を物語っていた。
「あれは――囮です」
隊長は淡々と応えた。その声に応じるかのようにまた一発、彼の腕に命中する。その弾丸が彼の腕をもぎ取っていく。そして彼の目が俺の方へと向く。寒さに苦しむように目はぼんやりと開いていた。
「まだ…死にたくない…誰か…」
「…死にたくない……嫌だ…」
その声は凍えるように小さくなっていき、次第に銃声にかき消されて行った。
「クソ野郎!これでもくらいやがれ!」
上面のハッチに同乗する年配の兵士が怒りを露わにし、機関銃を撃ち始めた。金色に輝く薬莢が「カラカラカラ」と音を立て落ちてくる。そしてまた鋭い音が一発我々のいる真上を通過した。それと同時に年配の兵士は俺達のいる下へと倒れ込む。
「ちょっ何腰抜かしてんのよ!しっかりしなさ……」
言葉に詰まる霞。その兵士の前額部には一センチほどの赤黒く広がる穴が形成されていた。それを見た霞は怯えるようにその死骸から退いた。
一人、また一人と命が途絶えていく戦場。逃げようとしても前後は破壊された車両によって封鎖され、身動き出来ない。俺は辺りを見渡し何か手立てはないかと探す。
そう言えば奴等は前方からしか撃って来ていない。もしか相手が完全な包囲をしているのなら両方向から撃たれるはずだ。ここから抜け出せるかは分からない。それでも賭けてみる価値はある。俺は隊長に向かい声をかける。
「煙幕はないのか!?」
「残りわずかです!」
「煙幕があるなら使え、急いで後方に撤退しろ!」
「りょ…了解!」
彼は無線機を使い、前方の生存者に煙幕を焚かせた。三十秒ほどして前方は白い煙で覆われた。これで狙撃の心配もないだろう。
「一体何をするつもり?」
「撤退だ」
「一体どこに逃げるおつもりで…?」
「下道を使う」
幸いにも道幅は広い。後方車両が道を塞ぐとしてもすり抜けることは可能だ。出るだけ多くの兵士を救うためにはこれしかない。
「急げ!」
煙幕を焚いたとしても弾丸の雨は止まらない。生き残りをかき集め、車を回転させると撤退を開始した。その戦場から抜け出して数分、なんとか落ち着きを取り戻し、状況の把握に取りかかる。
「何人死んだ?」
「ほぼ半数…うち一人が重傷です……」
「クソ…」
大通りを離れ、下道を使い大本営を目指した。運良く敵からの追撃は受けることもなく、その後の道のりは順調。しかし、八両もあった車列はたったの三両までになった。
「車を止めてくれ」
彼は車を止めるとまだ損傷の少ない民家へと負傷した兵士を運ぶ。そして玄関に立ちはだかるとドアを強く叩き、家主を探す。数秒すると家の中から「ドタドタ」と嬉しそうな地響きが聞こえてきた。
「お父さんっ!」
「あれ?おじさん達……誰?」
照明の付く民家を開けるとそこにいたのは小さな少女だった。少女の目は期待から落胆した表情へと変わっていった。そして奥から一人の女性がやってくる。
「一体…なんでここに軍の人が……」
「怪我人がいるんだ!そこをどけ!」
荒々しく声を出す隊長の目は血走っていた。余裕のなくなった彼は仲間をリビングの机まで運ぶと、負傷した兵士の服を破り捨てる。
「事情は説明します…どうか……」
「わ、わかりました……救急箱…入りますよね」
そそくさと女性は引き出しにある救急箱を取り出してリビングに向かっていった。明らかに銃を持って血まみれの大人が数十と押し寄せ強引に入って来るのだ。恐怖の他ないだろう。その顔は酷く怯えていた。
「ねぇ…二人も軍人さんなの…?」
少女は少し怯えながらも興奮した様子で二人を見ていた。二人は目を合わせて言葉に詰まっている様子だった。
「ええ、そうよ」
霞は淡々と応えた。そうすると少女は目を輝かせながら私の方へとやってくる。
「白い軍服のおじさん。二人ともっと話してもいいですか?」
「構わない」
「ありがとう!」
そうして三人は少し離れた和室で会話を始めていた。年相応な三人が不器用ながらも話している二人の顔には、どこか儚げな笑みが浮かんでいた。それはまるで、友達同士で楽しく話しているようでありながら、心の奥底に潜む孤独や哀しみを隠しきれないような表情だった。
「それで二人はどこの部隊にいるの?」
「私達は……
その言葉に辺りは静寂に包まれた。少女は二人の顔を見つめ直してこう言った。
「――かっこいい!」
「いいなぁ〜艦娘って」
二人から次第に笑みが消えていった。先程までの温かみが消えるように二人は虚ろな目を少女に向ける。二人は少女の言葉に反論するように真実を教える。
「かっこよくなんか…ありません……」
「艦娘なんてただの道具なのよ」
その言葉は重苦しく、痛々しく語られた。戦場を駆け巡れば次第と人の死に慣れ始めてくる。人一人が死ぬのに対した時間は必要ない。それは艦娘も同じだ。たとえ人間より、頑丈だとしても命ある生命だ。いずれは人間のように弱り果てて死ぬ。そんな光景を知らない少女から見れば戦場は日常とは違うものに見えるのだろう。全てが煌びやかに見えるように戦場の戦慄とした空気が兵士を襲う。砲弾に耐え忍び、夜も眠れず、手は震える。いつ死ぬのかわからない、次は自分なのかもしれないし次ではないのかもしれない。戦場は平等にして与える。
「そんなことないよ」
「私のお父さんは艦娘の事を絶対にそんな扱いしないもん!」
「お父さんはいつも艦娘に感謝してたし、私だってお父さんみたいに戦いたい!」
「無理な話ね」
「で、でも……」
「クソっ!」
少女の言葉に被せるように大きく声を荒げる男。
「なんで止血しても血が止まらないんだ!」
リビングには大量の血液が滴り、冷静さを掻き乱していった。血液は次第に固まり始め、ネバネバとした液体に変わり始めた。
「クソっ!こんなとこで死なせるか!」
銃傷部分に包帯を巻き血管を圧迫する。しかし、それでさえ効果はなく見る見るとに衰弱していく。遠くから見ていても彼の動揺が伺える。そしてその横たわる兵士は彼の手を弱く握りると、力が抜けるように腕は離れていった。
「……」
「LAVまで運んでください」
「私はこの血を片付けます……」
一人の命を救うために全てを犠牲にしようと無駄になる。助けたくても現実はただ残酷に物語る。一人の死でさえ日常な今、足踏みをしている場合ではない。
……
「また二人に会えるといいな…」
「生きていれば必ず会えます」
「まあ、そうね」
「じゃあ戦争が終わったらみんなで会おうね!」
「ばいばい」
たった数十分の付き合いとは言え二人にとっては貴著な時間になったのだろう。この狂った世界でたった一人の友達。それも……悪くはない。
「皆さんは前の車両に……あちらには死体は乗せませんので…」
「わかった、そうさせてもらうよ」
「ありがとうございます…」
彼の軍服は赤黒い後がそこら中に染みて迷彩の意味を成していなかった。そこにいる誰もがこの先の未来を恨んでいた。黒い雲からはポツポツと雨が降り始めてくる。そして「ゴロゴロ」と雲は怒り、放電している。この先は大雨になりそうだ。
日が落ちると雨は一層に強さを増していた。しかし、着実に我々は大本営へと向かっていた。外のにはちらほらと人が見え始めるが誰も顔を上げるものはいなかった。そして暗いトンネルの中へと入る。五分ほどトンネルの中を進んで行くとその先には大きな都市が広がっていた。
「ここが松代か…」
地下に出来たその都市――この国の最後の砦だった。しかし、数分ほど道路を進んで行くと検問に引っかかる。かなり緊迫した様子で辺りには武装した兵士が巡回していた。
「何があった?」
「東部管区で暴動が発生しまして……」
「鎮圧は行っていますがほぼ毎日どこかで暴動が起きていますので把握出来ていません…」
「そうか…」
「今日は西側が安全エリアなのでそっちから向かって下さい」
「…了解した」
検問を抜け、西がの安全エリアへと進む指示を受けた車列は、静かに動き出す。街中はスラムが建ち並び異臭が漂っていた。行く当てもなく歩き回る老人や配給を求め長蛇の列に並ぶ親子、死体から金品を盗み取ろうとする子供。
「ひ、酷い……」
「嫌なら見ない方がいい」
野犬を襲いその肉を貪る者。それは人間というよりは獣に近いものがあった。それがこの国の中心で行われていることだ。
「そろそろ到着します」
「本当に長い間ご苦労であった」
「ゆっくり休んでくれ」
「……ありがとうございます」
彼と数名の部下は仲間の認識票を引きちぎり集めていた。私は最後に隊長に敬礼し、その場を後にした。そして俺達はとうとう『松代大本営』へと到着した。
「本当に来るなんて…思いもしませんでした」
「……ふん!まったくよ」
闇の中、希望を探し続ける人々。地獄から抜け出そうと蜘蛛の糸を探す。それがこの世界で生き続ける根源となる。俺達は前に進んでいく。この先に待つ未来がどんなものであろうとも、生き延びるために足を止めることは許されないのだから。
見て頂きありがとうございましたー
最近は忙しくてあまり書ける時間がないでごわす…今回は俺の書きたいと言う所じゃあなかったので上手く書けてるか心配……後少しで書きたいところ沢山あるから再来週もがんばります!
よければコメントとかもどしどししてくださいね!
もう少しコアな表現入れても大丈夫ですか?
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大丈夫だ、問題ない
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いやです!これ以上艦娘をいじめないで!