なんとか完成させることが出来ましたので嬉しいです。今回はほぼ艦娘要素ががが…ってなってますけど許してちょ!
後説明口調になってたら申し訳ない(修正入れます…)ってことで良ければ読んでいってくださいな〜
「ご同行を願います」
衝撃的な一言が俺を貫いた。立ちはだかる二人の士官。腰には拳銃が備えられている。二人となると負傷なしでは越えられないだろう。肩章を見ると中尉と大尉であることがわかる。
「理由は後ほどで――急ぎご同行を」
二人の士官からは敵意は見えなかった。それとは裏腹に安堵の表情と信頼、尊敬に値する表情が伺える。しかし、朝潮と霞の手がかりが掴めていない。二人が忽然と姿を消した今、
果てしない闇の覆う世界。その水平線には陰謀と策謀が渦巻いている。誰が味方で誰が敵か――その境界線は見定めることは許されない。裏切りが一つの通貨となり、信頼は砂のように指から零れ落ちる。ここでは、真実はただの形であり、嘘こそが日常を支配する。この世界の支配者は力でもなく、富でもない――言葉だ。巧みに紡がれた嘘が現実を形作り、ささやかな真実が火種となって全てを焼き尽くす。
立ち向かう敵は外だけではない。最も恐れるべき存在は心奥深くに潜むもう一人の自分自身なのだ。踏み出す一歩が、救済への道となるのか、さらなる混沌への扉を開くのか――それを決めるのは自分自身だ。
「いいだろう」
俺は短く答えた。
「感謝します。それでは急ぎましょう」
こうして俺は士官に連れられ、大本営を後にした。大本営に繋がる斜行列車を抜け、外へ向かう。
大本営の警備は三重に張り巡らされていた。外周には自動警戒システムと監視カメラが配置され、中間層には武装した警備兵が巡回している。そして内部には憲兵隊が24時間体制で警戒に当たっていた。
二人の士官は警備の死角を熟知しているようだった。監視カメラの死角、警備兵の交代時間、そして憲兵隊の巡回経路——全てを把握し、絶妙なタイミングで移動する。大本営の警備網をすり抜けるには、内部の人間でなければ不可能なはずだ。それだけに、この二人が単なる反乱分子ではないことは明らかだった。
「今です」
どうやら彼らは、人目を避け、俺を連れ出すつもりのようだ。足取りを急ぎ、大本営を後にする。彼らが一体どこに向かうのか――俺を連れ出し、路地裏で殺すというのなら覚悟は出来ている。
「一体どこに行くつもりだ?」
「今は……言えません」
一人がそう答えると腰に着けたホルスターから拳銃を取り出す。士官用に用意されたSFP9のセーフティを解除する。そして男がこう答える。
「この先、何があるかわかりません……これを」
自分の命は自分で守れ…か。俺はそれを手に取り軍服の懐へと潜めさせる。これを使う機会がないことを祈ろう。
「感謝する」
「では、この先を進みます」
三十メートルほどのビルが建ち並び、一段の道幅のある道が広がる。しかし、その様相は見るに堪えないものだった。
壁には反戦ポスターや落書きが隙間なく描かれ、道端にはゴミが放置されている。また、数百メートル先では機動隊と暴徒の熾烈な争いが轟いていた。
「ここから三ブロック先だ!」
「急げ!暴動を鎮圧しろ!」
増援の部隊だろうか。声とともに現れた、黒く整然とした一団が、明らかな焦りを滲ましながらも、訓練された規律で陣形を崩すことなく俺達の横を過ぎて行った。その
すると、左手の高層ビル、十階辺りの窓から一筋の閃光が暗闇を切り裂くように飛び出した。それは死を運ぶ赤い炎となって、追い抜いたばかりの機動隊へと容赦なく襲いかかった。数百メートル先で起こっていた殺し合いが、突如として目の前の現実となって現れる。一瓶の閃光が放つ灼熱は、防具に身を固めた人間の体を、紙が炎に包まれるかのように焦がし、その存在を容赦なく切り裂く。それに呼応するかのように、今度は複数のビルの窓という窓から無数の閃光が降り注ぎ始める。ここは死の華が咲き乱れる戦場へと変わってしまった。俺の影は、その紅蓮の光りに照らされ、アスファルトの上で不気味に歪んでいた。
「こちらへ……急ぎましょう」
二人が案内をする細い道へと入る。先程とは違い、静寂が俺を向かい入れる。今までの出来事がなかったかのように戦場の音は遠ざかっていった。しかし、それとはまた違う地獄がそこにはあった。
やせ細った人々が道の端で蹲っていた。性別さえ、わからなくなった浮浪者が乾いた木のような手が力なく震え、俺の裾を掴む。口を上下に動かし、必死に何かを伝えようとするが、奇しくもその声は悲鳴とも言い表せない枯れた声だった。
それを尻目に進むと完全に息絶え、骨と皮だけになった女性だと思われる隣では、十代と思しき少女が、空腹に苦しむ幼い男の子の背中を優しく擦っていた。少女の頬は落ち窪み、艶を失った髪は埃にまみれている。しかし、その手には赤黒く変色した物体を持ち、それを弟に与えていた。
また、その横で横たわる若い母親は、乳飲み子を抱きながら、痩せ衰えた胸から一滴の母乳も出ないことを悟り、静かに涙を流している。その涙で濡らした目を我々へと向け、激しい憎悪を訴えている。
光が見えてくると、数人ほどの老人が現れる。老人たちは壁際に寄り添うように座り、かつての繁栄を語り合う声さえ、今では力なく消え入りそうだ。子供たちの笑い声は遠い記憶となり、代わりに空腹を訴える微かな呻き声だけが、重苦しい空気の中に溶けていく。彼らの姿は、まるで生きた骨董品のように、時代の暗い影を映し出していた。
「ここを早く抜けましょう……長居したくはありません」
「……そうだな」
生者となり、大地を踏みしめたとしても、足元には死者が群がり、地中深くへと引きずり込もうとする。それにある者は呆気なく引きずられるが、またある者は死骸の上に家を建て、呑気に笑顔を見せている。もはやこの国は生き地獄の他に道はないのだろう。
ようやく道の端に差し掛かる。通りの安全を確認して俺は進み続ける。二人と出会ってから二時間ぐらいといった所だろう。二人はようやくその目的を口にした。
「滝沢大佐殿、我々の拠点はもうこの先です」
「何故私たちが大佐殿をお呼びしたのかお伝えします」
張り詰める空気がその言葉を重く受け止めさせる。そしてとうとう二人――いや彼らはその目的を口にする。
「我々の目的、それはこの国を作り直すことです」
「詳細についてはこの先で」
今までとは違い明らかに整備された建物。外壁の補修も行き届き、大本営までとは言えないが、比較的整えられている。それでも秩序だった管理の跡が随所に見られた。あちらこちらに配置された監視カメラや警備に遭っているだろう兵士が何人か伺える。ここが彼らの重要拠点であることは明白だった。
扉が開かれると、内部から生気に満ちた空気が漏れ出してきた。廊下では迷彩服を着た兵士が足早に行き交い、民間人らしき作業服姿の技術者たちが資料を手に打ち合わせに向かう。中には白い白衣を着た人物が人々を気遣う様子が見て取れる。通信室だと思われる場所からは無線のやり取りを交わす声が漏れて聞こえている。軍人、民間人問わずして、与えられた役割を必死にこなしていた。
「何故私をここに呼んだ?」
「この国を正すためには大佐殿が必要であると陸将が言われたからです」
「大尉入ります」
鉄製のドアを男がノックし、扉が開く。部屋の中には陸海空軍問わず、何人かの軍人が集まっていた。彼らは机に地図を広げ、
「滝沢大佐の身柄を拘束、現着いたしました」
「そうか…そうか……後はゆっくり休んでおいてくれ」
「ご足労をおかけしたね……申し訳ない申し訳ない。もう話しは聞いてくれてるかな?――そう我々の目的を」
「『この国を作り直す』とは一体…?」
陸将の貫禄を纏った老人は、年齢を感じさせない凛とした姿勢で椅子に座っていた。白髪交じりの短い髪、深いしわの刻まれた額。だが、眼光だけは変わってはいなかった。年齢を感じさせる穏やかな表情の中で、その目だけは若々しい輝きを放っている。それは理想を追い求める者特有の、狂気の執念の光だった。
時折、見せる微笑みには慈愛が感じられたが、それは同時に何かを企てる策士の表情でもあった。この老人が単なる理想主義者ではないことは、一目で理解できた。
「……昔話でもするか。あれは六十――いや、六十五年前か。あの頃はまだ『自衛隊』と呼んどったな。ワシは陸自に志願したんじゃが……まぁ、半ば強引に入れられたようなもんだった。日本はあの時代、急成長しとった。とても懐かしいよ。幹部として長う勤め、陸将で退役したが……退職して間もなく、あの『深海棲艦』とやらが現れおった」
老人の目はどこか虚ろで、遠い過去を見つめているようだ。その背中には歳月が刻んだ哀愁が漂っていた。
「……すまん、話が止まってしもうた。深海棲艦と同時に現れたのが、『艦娘』と呼ばれる少女らだ。若い娘たちの姿をしとるが、彼女たちなしでは、今この話もできんかったろう……」
「だが、ワシらは過ちを犯した。特大のやつをな。内閣が再軍備を急ぎ、『陸軍』『海軍』『空軍』と名を改めたとき、ワシも耳を疑ったよ。その後、軍は権限を拡大し、旧軍のような力を持ってしもうた。それが一つ目の過ちじゃ。二つ目……艦娘をただの『兵器』とみなしてしもうたことだ。戦争が長引く中、民は怒りに震え、国は壊れていった」
老人の肩がわずかに震える。寒さではない、深い悲しみがにじみ出ているのだろう。
「申し訳ない……続きを話そう。ほんの十年、十五年前の日本の食料自給率は、たったの三十八パーセント。もしシーレーンが守れなかったらどうなったか? そう、飢え死にしてしまう。四千万人近くが餓死した。ワシの息子もな……どうにか孫だけでも助けようとしたが、空襲で全て燃えてしもうた。今では生きとるのか、死んどるのかも分からん……それでも軍は何もしなかった。守るべきものを見捨て、私利私欲に走ったんだ」
「だからこそワシは、同志を集めた。人を守り、敵を退ける『本来の軍』を取り戻すためにな……そのためには、武力的な反乱も辞さぬ覚悟。六千万人の国民を守るためには、必要なことなんだ……」
老人の言葉に感化されたのか士官の目頭が赤くなっている。老人の言葉にも一利ある。腐敗した政治と軍部を正すには改革が必要だ。
「何故君はここに呼ばれたのか……それは君が知る人物からのコンタクトだ」
その言葉とともに机の地図を見ていた一人の士官が顔を上げる。額に古傷のあるその男は俺の顔を見るやいなや口角を吊り上げる。
「――やっぱり、お前はしぶといな」
「二年ぶりってところか?まあまあそんなに面も階級も上がってしまって…」
「その口を慎んだらどうだ?」
「葛城少佐」
葛城との最後の記憶は、夕暮れの戦場だった。第三十六海上護衛部隊の全滅。深海棲艦の奇襲。そして彼の逃亡——。
本来なら戦場で処刑されるべき立場の男が、どうして少佐まで出世できたのか。あの時、彼は確かに逃げた。だが今になって考えれば、あれは単なる臆病からの逃亡ではなかったのかもしれない。
あの戦場で何かを見た。そして何かを知った。だからこそ彼は逃げ、そして生き延びた。そして今、少佐という階級を手に入れ、反乱軍の中枢にまでいる。彼の目的は何なのか。単なる出世欲か、それとも別の何かか。
しかし、それを確かめる術はない。葛城は相変わらず、その本心を巧みに隠している。表面的な軽薄さの下に、計算された狡猾さを感じさせる男は、二年の時を経てより一層その本質を見えにくくしていた。
「これは心外だなあ…せっかくの奇跡の再会だというのに」
「その減らず口は直らないようだな、逃亡兵」
「過去のことは水に流そうではないか?滝沢大佐」
「戯言はそこまでにしろ」
老人が一喝する。流石陸将まで上り詰めただけはあるのか威厳は消えないらしい。そして老人は俺と奴を一目見ると深く深呼吸をする。
「話を進めるぞ。葛城少佐、何故お前は滝沢大佐をここへ呼んだ?その理由を述べよ」
「何故呼んだのか……そうですね。彼は頭が回ります、それに対深海棲艦用に創設された人間のみの攻撃部隊『第三十六海上護衛部隊』唯一の生き残り。彼の腕が確かなものであれば使えるはずです」
「それで貴君は我々に協力するのか?その真偽を問いたいんだ」
「どうするんだ、君は?」
選択肢など残されてはいなかった。ここで拒否したとしても反乱が治まるまでは外には出られないだろう。それに俺には朝潮と霞を探す義務がある。
俺は老人を見つめ、答えを返す。大義名分を語る彼らがどこまで理想を実現出来るのか。そんなものはわからない。今の俺は二人が見つかればそれでいい。
「私は貴方がたに協力しましょう」
「しかし、二つ条件があります」
「私の部下である朝潮、霞の捜索に協力すること。二つ目に我々横須賀鎮守府への物資の配給を優先させること」
「私から以上になります」
そして静寂は訪れる。老人はほくそ笑み、こちらを見つめる。心底気味の悪い状況だが、老人はこう応える。
「よかろう」
「武力的な反乱は今から四十二時間後に開始される。それまでの間、滝沢大佐の指揮の下、朝潮、霞の捜索に協力しよう。物資の手配についてはおって状況を伝えよう」
「了解しました」
老人との交渉を終え、俺は反乱に部分的に協力することになった。未だ二人の行方が掴めない今、彼女たちを救うには方法に他はない。
しかし、あまりにも話が出来すぎている。潤沢な武器などの装備、反乱に加わる士官の多さ。間違いなくこの動きは大本営でも確認できるはず……もし、この反乱の意思が誰かによって巧妙に操られているのだとしたら?背後に何が隠れているのか?
地下潜れば潜るほど、人の本性は現れる。善意、偽善、嫉妬、憎悪。ありとあらゆる感情は渦を巻き人々を狂乱へと導き始める。疑心が人を焼き尽くし、子は母の肉を貪る。
深海棲艦はそれをケラケラと笑いながら覗いているのだろう。しかし、俺は奴らを駆逐する。奴らに奪われた全てのものを俺は奴らに返す。それだけために俺はこの死体の山の上に立っているのだから。
最近忙しくてブルアカ小説出せてないンゴね…てかマジで忙しくて書けるどころ場合じゃないので当分月1になるかもしれないことに土下座。今年はマジで厳しいんだって〜
まぁ、小説はちゃんと書きますので……今回はそこまでコア表現入れなかったけど次回からはちょこっと薄い本展開あるのでお楽しみに〜
ではまた今度ってこで!
もう少しコアな表現入れても大丈夫ですか?
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大丈夫だ、問題ない
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いやです!これ以上艦娘をいじめないで!