今回かな~りの遅れが出てしまいました。リアルが正直忙しくて小説書く余裕ねぇんだわ…でも出せたからいいよね?ね?
ってことで今回は閲覧注意な描写が盛りだくさんなので覚悟して見ていってくださいね〜(これでも減らした方なの)
では、よければ見ていってください!!
意識は奥底に沈んでいた。何も感じず、考えられない、暗い深い海の底。その暗闇にただ一人ぼっちで横たわる。何年――何十年と自問自答を繰り返す。幾ばく経った頃、海底に沈んだ暗闇に一筋の光が差す。それは私を呼んでいるかのように体を温かく包み込んだ。
ゆっくりと浮上する感覚。赤黒く荒んだ鉄錆が浄化されていく。次第に鉄は淡く光出し、あの頃を追想する。守れなかったものを次こそは守り抜きたい。その意思が私たちの総意だったのだから。
…………
「あっ――気がついた?」
見覚えのある声に目蓋がピクピクと痙攣する。どこか以前聞いたことのある声…誰だったかな?
「あんたは……?」
その言葉に返すように、すぐ側にいるであろう人物は甘く、今にも溶けそうなぐらいに優しい声で言葉を紡ぐ。
「えーっと……この前あった……うぅ…なんて言えばいいんだろう……」
それは遠慮気味ながらも少しの嬉しさを兼ね備えた喜びを響かせながらこう言った。
「
その言葉とともに、視界は彩りを取り戻した。
終わらない闇の中で一人寂しく一輪の花。淡い白色は私の錆びついた錨を断ち切る。恐怖と疑心に囚われた時から信じようともしなかった目の前のものを、また一度信じようと思わせてくれた。
「……そう…」
「えへへ…流石に恥ずかしいな……」
満更でもなかった。胸の鼓動は早まり、冷ややかな汗を流していた。すぐさま、彼女に背を向ける。数十秒ほどの静寂が訪れ、ぎこちない空気が私の頬を赤く染める。後ろめたい気持ちが脳内で葛藤し、感情が交差する。沈黙の落ちた後、彼女はそっと風向きを変えた。
「そうだ…!なんで二人はこんな所に来たの?」
その言葉と同時に首筋が絞めつけられる感覚が広がる。呼吸を奪われるという単純な事実が恐怖心を駆り立てた。喉に巻き付く圧力、皮膚に食い込む指の感触が意識に染み込んでいく。吸い込もうとしても、肺は空気を受け入れない。心臓の音が激しくなり、視界が次第に暗くなっていく。
体は硬直して、記憶を追っていた。私は体を丸めて、外界を拒絶する。私たちは……捕まったんだ。
「大丈夫…?……嫌なこと思い出しちゃった……よね……」
今までこんなことがなかった筈なのに体は酷く怯えていた。どれだけ殴られても、どれだけ「死ね」と命令されても、動じなかった。なのに、私は……
「……大丈夫よ」
嘘だ――そんな訳ない。自分でも分かっていた。死が間近にある怖さ。一歩先は崖っぷちで足を滑らせれば、真っ逆さまに落ちる。それがこの世界の
「辛かったよね……思い出させちゃってごめんね…」
彼女はそっと私の下へと近づいた。暗闇に広がっていた肌寒さを彼女が温めた。皮膚と皮膚が擦り合い、温かさを均一に広がっていく。
あと少しこのままにしてほしい。あと少しだけ、あと少し――そう唱え続ける度に体の強張りはなくなっていった。
「そういえば朝潮は…?」
「あっちの方に…」
朝潮は浮かばれないように顔を伏せていた。それは罪悪感からか、良からぬことを憂惧しているように思えた。
「そう……」
私はそっと背を向けていた体を彼女へ向ける。いつか感じた、『信頼』という二文字。忘れていた「正直になる」という言葉。今の私なら正直になっていいのかもしれない。この子ならあの提督みたいに信じることが出来るのかもしれない。
「あなたの名前を聞くのを忘れていたわ。何ていう名前なの?」
「あ――そうだった……」
「私は
「椿ね、これからよろしく」
なんだろう、この不思議な気持ちは。感じたことのない――いや忘れていたのかもしれない。引き出しの奥底にしまっていたものを、久しぶりに見つけたような感覚。こんな気持ちになれたのも彼女のおかげなの?
しかし、そんな空間はすぐに終わりを迎えた。
コツコツと軍靴の音が聞こえる。それは私たちに現実を教えるものだった。
薄暗い暗闇から肌寒い風が吹き込む。廊下に明かりが照らされると、目の前に巨大な影が壁に映し出された。軍靴の音が近づくにつれ、その影は次第に実体を持ち始める。ボタンの隙間から脂ぎった肌が覗く軍服。
「よく捕らえてくれた」
そいつは私たちを品定めするようにニヤリとほくそ笑んだ。
「実にいい肉付きをしている……所でこいつは誰だ?」
人差し指を彼女へ向け、ニヤリと笑う。それがどうしても気持ち悪くて直視することは出来なかった。
「あーそいつは次の実験に使う被検体です」
「都合がいいので家畜と一緒にぶち込みました」
屑どもから見たら私たちはただの商品って訳ね。だから嫌いなのよ、人間っていう生き物が。
豚は私たちを上から下まで舐めるように眺める。その視線が這い回るたびに、吐き気が込み上げてきた。奴は部下に目配せし、口角を上げた。
「ほう、そうか」
すると、朝潮が一歩前に踏み出し、真っ直ぐに豚を睨みつけた。その瞳には怒りの炎が燃えていた。
「貴方たちは一体何者なのですか?」
「こんな横暴、明らかに軍規違反です!」
豚の笑みが更に深くなる。私は思わず歯を食いしばった。この状況を何とかしないといけないわね。視線を横に向けると、椿が不安げな表情で状況を見つめている。彼女にはまだ、この状況の深刻さが分かっていないのね。
「これからは俺の
「考えて発言するように」
「――あんたの物?聞いて呆れるわ」
「私たちは物なんかじゃない!列記とした知的生命体よっ!」
「ふっ……その口をいつまで叩けるか、見物だな」
豚は満足げに笑い声を上げると、かさばる体を揺らしながら
「飯だ」
床に投げ捨てられた金属製のトレーが、鈍い音を立てて転がる。その上には灰色がかった粥のような物体と、錆びついたスプーンが転がっていた。手を前に出そうとしても、後ろで固く縛られた手錠が私たちの自由を奪う。
「この手錠を外しなさいよ」
「おいおい、家畜が手でも使って食べようって思ってるのか?」
「どんだけ傲慢なんだよ。手がなくても、てめぇらには、ご立派な口があるだろ?」
なるほどね、私たちは動物みたいに唇と舌だけを使って食べろという訳ね――馬鹿馬鹿しい。そんな屈辱をするぐらいなら食事なんてごめんだわ。
屑どもは愚痴を零しながら暗闇へ消えていった。そして食べ物とは言えない程に見窄らしいものが残っていた。
「ほら、霞」
「あーん」
優しく微笑みながら、スプーンを手に取った。彼女の仕草には不思議と温かみがあった。恥ずかしいけれど今は仕方がない。私は目の前に出された食べ物を、胃の中へと押し込んだ。
「朝潮ちゃんも、はい、あーんして?」
この暗い牢獄の中で、彼女の存在だけが小さな光のように感じられた。
彼女が食べさせてくれたおかげで、頭がある程度整理出来た。とにかくここを出る方法を考えないとけないわね。私は塞がった手で壁を触っていく。四方が五メートルほどの正方形、高さは概ね三メートルと言ったところかしらね。
窓はないし、換気口らしき穴も高すぎて手が届かない。ドアは分厚い鉄製で、鍵は外からしか開けられないみたいね。しかし、どこかに脱出できる場所があるはず。私は細かく壁を調べ始めた。
壁に耳を当てて、薄っすらと聞こえる声に耳を研ぎ澄ます。
「……あの女、結構いい体してるよな」
「――どの女だ?」
「そんなの一人に決まってるだろ?家畜と一緒の所に詰めたアイツだよ…」
聞けば聞くほど虫唾が走った。私の体の中で怒りと嫌悪感が渦巻く。奴らの下卑た笑い声、卑劣な言葉の一つ一つが、まるで毒のように耳に染みついていく。この醜悪な人間の屑どもに、私たちが玩具のように扱われているなんて。胃の中が嫌悪感で引っ繰り返りそうになる。
「どうするよ、一発いくか?」
「そりゃあね、ついでに家畜にも手を付けたいぐらいにね」
「やめとけやめとけ…あんな奴らに入れでもしたらお前の大事なもんが持っていかれちまうぞ」
大声で笑い、その声は耳を澄ませずとも聞こえ、二人の耳にも届いたようだ。気持ち悪い屑どもの顔が目に浮かぶ。
そして屑どもは暗がりから姿を現した。私の背筋が凍る。奴らの目は既に獲物を見つけた野獣のように欲望に濁っていた。全てが一瞬で理解できた。
「朝潮っ」
私は小声で朝潮を呼び、彼女の耳元で囁いた。
「朝潮、絶対にあの子を屑どもの所にやらないで」
「えっ――急にどうしたの…?」
「いいから……お願いよ……」
朝潮が疑問を口にしようとした瞬間、重い足音が牢屋の前で止まった。鍵を開ける音が不吉に響く。
「そこのお前一回出ろ!」
私は即座に椿の前に立ちはだかった。たとえ手が使えなくても、この子だけは守らないと。
看守の顔が怒りで歪む。
「おい、これは一体何のつもりだ?」
「その言葉、丸々あんた達に返して上げるわ」
手が使えなくても体がある。私は全身の力を振り絞って看守に体当たりをした。手錠で動きは制限されているものの、この一撃だけは確実に決めてみせる。看守は予想外の攻撃に、よろめきながら後ろに下がった。
「クッソ!何しやがる!!」
「この暴れ馬を止めろ!」
もう一人の看守が私の体に何かを打った。次第に私の動きが徐々に鈍くなっていく。視界がぼやけ始め、手足の感覚が薄れていく。意識を保とうとしても、体が言うことを聞かない。
「全く……ヒヤヒヤさせやがって……女を引きずり出せ」
私の体から最後の力が抜け、その場に崩れ落ちる。目の前で起きていることが、まるでスローモーションのように見える。看守が乱暴に椿の腕を掴み、強く引っ張る。彼女の悲鳴が遠くで響いているような気がした。
「い…いや……来ないで……」
「や…やめなさい……この屑…」
「なんて言ってるか聞こえねぇなあ!もう一遍行ってみろよ!!」
看守がベルトに手をかける音が聞こえる。私は目を逸らすことも出来ず、ただその場に倒れたままだった。声を出そうとしても、薬の効果で喉から上手く音が出ない。椿の泣き声だけが、この暗い空間に響き渡る。
こんな…こんな酷いことを…
「おら、入れるから壁の方を向け!」
「さもないと…どうなるかわかってるよな?」
看守はホルスターから銃を抜き、椿の頭に突きつけた。銃口が彼女の柔らかな髪に触れる。
「お願い...誰か...」
椿の震える声が私の胸を引き裂く。涙に濡れた瞳が、私と朝潮を必死に見つめている。
「いやぁ…助けて……朝潮…霞………」
「お願い…助けて……」
彼女の瞳からは、光が抜け落ちていた。何かを映しているはずの黒い奥底は、暗い闇の淵へ繋がっているように虚ろだった。
私は助けられなかった。
「――痛っ!い゙だい゙!い゙だい゙!い゙だい゙ぃ゙!」
聞こえる悲鳴と目に映される光景が生々しく、現実を教えた。
私は救えなかった。
失敗したのよ、全部。
ごめんなさい。
「うぉっ、これは久しぶりにいい奴に当たった」
「処女だ」
やめて、もうこれ以上聞きたくない。聞かせないで……
「ゔっ…やめ……っ……おぇ゙……」
ごめんなさい……私が守れなかったばっかりに……
お願いします、神様――私の耳を潰してください。
もう聞きたくない、見たくない。
ごめんなさい。
「いだ……っ……やめて…………ゔっ…さい……」
お願い……もう泣かないで……もう何も言わないで……聞きたくないの……貴方の苦しみを。
「……あっ…………あ゙ぁ゙……ぃっ゙…………ぅ……」
お願い、早く終わって……
誰でもいいから私たちを助けてよ……
胸が痛い、頭が潰れる、息を吸えない。
もう嫌……早く助けに来てよ…………提督。
「………………」
――――――――――――――――――――――――
「あぁ――最高だった。やっぱりこの年の女が一番唆るな」
私が馬鹿だった。
下からこんな世界なんかに救いはなかった。
なのに何故か私は――
私を救ってくれる誰かを探していた。
…………
私たちは再び、暗闇へ戻された。目の前で起こった後継が今でも嘘だと思いたかった。
「っ――」
何も言えなかった。慰めの言葉や共感の意思、憎悪の対象や殺意の言動力。そのすべてが言葉にすら出なかった。私はただ、横たわって彼女を見つめることしか出来なかった。
服は縒れ、しわくちゃになり、所々に悍ましい液体が付着していた。彼女の顔を見ようとも体は拒絶した。あんなに優しくて、温もりのあった人物はそこにはいなかった。冷たいコンクリート床に無残に放り捨てられた少女の他、誰もいない。
「ごめん……なさい…」
朝潮は重い口を開けてそう言った。それに比べ、私は分からなかった。謝るべきなのか、それとも憎悪を示すべきなのか。もう何もかもが分からない。
今思えば助けられるチャンスがあったんじゃないかとさえ思える。動かなくなった体でもまだ出来ることがあったんじゃないのかってね。だから私はそれを棒に振ってしまったんだ。
私はそうやって自己嫌悪に陥った。しかし、それを温める人はその場にはいなかった。誰もが寒さに凍え、自分を嫌っていた。何分も何時間も、私たちはそうやって押しつけられない責任をどこに投げ捨てるべきなのか、目の前で嘔吐く彼女にかける言葉を探していた。
「大丈夫だよ……二人とも」
「私は大丈夫だから……大丈夫…」
体を丸めて静かに口ずさむ。それは自己暗示のように、または呪文のような淀んだ言葉だった。
「♪白い帆が遠く消えて行く~」
聞いたことのない歌。椿の声は震えながらも、優しい調べを紡いでいく。
彼女の歌声が牢獄に響く中、私は目を閉じた。この時間がいつまで続くのだろう。永遠に、この暗闇の中で……
その時、外から物音が聞こえ始めた。最初は微かな足音だったものが、次第に大きくなっていく。そして――
ガチャリと鉄の扉が開く音。その直後、銃声が轟き渡った。
「きゃっ!」
椿が小さく悲鳴を上げ、体を丸める。彼女の全身が震えている。外では銃撃戦が続いているようだ。
「クソっ!なんでここに!」
扉が勢いよく開き、例の豚が転がるように入ってきたようだ。
「お、おい!開けろ!早くしろ!」
「邪魔だ!どけっ!」
「クソっ!クソ!クソクソが!」
と叫びながら、先に押し出して逃げようとした。その瞬間、二発の銃声。看守たちの体が床に崩れ落ちる音が聞こえた。
混乱の中、一人の男の姿が、暗がりから浮かび上がる。その手には未だ煙を上げる拳銃があった。
私たちの房に向かって走り出した。鍵を開ける手が震えている。扉が開くと同時に、後ろから提督が現れた。
「司令官!」
「て、提督……」
朝潮と私の声が重なる。でも、その安堵の瞬間は長く続かなかった。
豚は素早く椿の腕を掴むと、彼女の頭に銃を突きつけた。
「こ、これ以上近づくな!!」
「も、ももし近づくのなら……この女を殺す…殺すぞ!」
屑が突きつけた銃口を見て、彼女は見る見るうちに焦り、暴れ出す。
「クソっ!大人しくしろ!」
「こ、このやろ――」
予想以上に暴れる椿に豚は動揺し、引き金に触れた人差し指に力が入る。一発の弾丸が彼女の胸の下辺りを貫いた。
沈黙が訪れる。
彼女の体が、ゆっくりと地面へと崩れ落ちる。その隙を狙って、提督から放たれた弾丸が屑の銃を直撃した。
金属が歪む音と共に、引き金が宙を舞った。衝撃で豚の指は折れ曲がり、不自然な角度で固まる。
「総員、確保!」
駆けつけた兵士たちの声が響く中、朝潮と霞の拘束が解かれた。二人は躊躇することなく、床に横たわる椿の元へと駆け寄った。
「どいて!私が止血する!」
私は応急処置をしていた兵士を押しのけ、震える手で椿の傷口に触れた。温かい血が、彼女の手のひらを染めていく。
「ねぇ、どうなってるの?私の体」
「大丈夫よ、大した怪我じゃないわ……」
「私……撃たれたの…?」
「っ……いいから黙ってなさい!」
「朝潮、声をかけ続けて!私は血を止めるから」
霞は右手で傷口を強く押さえながら、左手で止血用の包帯を巻いていく。白い包帯が赤く染まる度に、彼女の心は締め付けられた。血の温もりが、まるで椿の命が流れ出ているかのように感じられた。
「お願い、止まって……」
朝潮は必死に呼びかけていた。その声には祈るような響きが含まれていた。朝潮は椿の冷たくなりかけた手を両手で包み、温もりを分け与えようとする。
「寒いよ……嫌だ……死にたくない……」
「お願い止まってよっ!……なんで止まらないのよ!」
手のひらに伝わる温かい感触。両手は彼女の血で真っ赤に染まっていた。服も、床も、全てが彼女の血で染まっていく。
手が震える。その震えは次第に全身へと広がっていった。目の前で確実に、大切な命が砂時計の砂のように零れ落ちていく。その事実を受け入れたくない気持ちと、冷徹な現実が彼女の中で激しく衝突していた。
「かすみ……?」
「霞よ、ほら朝潮もちゃんいるから!」
「かすみ……寒いよ…………寒い」
「さっきまで……あんなに熱かったのに…寒くて凍えちゃいそう……」
奇跡的に血は止まった。私は血だらけになった手で彼女の手を優しく握った。
手遅れだった。彼女の手はもうあの時みたいに温かくなかった。それでも、私は諦めない。手を取り、出来る限りの笑顔を振り絞る。
「ほら、手を握って上げたわ……温かいでしょ?」
「カイロみたいで……とってもあったかいなあ……」
それは死人であることを知らせるように……死神は着々と彼女の命を削っていた。
「あさしお…?」
「なんですか…?椿」
「無理を……したらだめ……だよ…私、怒るから……ね」
「そんな――死ぬみたいな台詞言わないで下さいよ……」
「かすみちゃん…?」
「なに…?」
「霞ちゃんは素直な方が……可愛らしい…よ」
「…………分かっているわよ…」
なんで……なんでなのよ…なんであんたも同じ運命なの…?
「ダメですよ!目を瞑らないで……ください!」
「せっかく助けが来たのに……こんな所で……お別れなんて――」
「いや…いや……やめてください……目を開けてください…………」
「戦後が見たかったんでしょ?……ねぇ、見せて上げるから起きなさいよ……」
「なんで人間ってクズばっかなのよ……起きてよ……」
「ねぇ……なんであんたたちは私に同じことを言うのよ……はっきり言いなさいよ……バカ…」
分かる訳ないないじゃない……
その時、何かが音を立てて壊れた。
それが私にはわかった。朝潮の中で何かが決定的に壊れてしまったことを。いつもの凛とした瞳が、底なしの闇を映し始めた。
「あさし……お?」
一瞬の出来事だった。朝潮は近くの兵士から素早く銃を奪うと、屑へ銃口を向けた。誰もが息を呑む中、引き金は引かれる。
「ああ゙あ゙ぁ゙ぁ゙!!足がぁ゙!俺の゙足――」
銃声が静寂を切り裂く。屑の左足からは赤黒い液体が流れ始めた。
「あはは!見てください霞!ゴミの足が使えなくなりました!」
その笑顔は、いつもの朝潮ではなかった。周囲の兵士たちは恐れるように距離を取る。再び銃声が響く。今度は左足だ。
「どうしたのですか?提督。ほら、見てください、とーっても綺麗な赤色ですよ」
嬉しそうに跳ねながら、屑の両足を次々と撃ち抜いていく。ズボンが鮮血に染まっていく様子を、まるで芸術作品でも見てるかのように眺めている。
「なんでそんなに泣き喚いているのか分かりませんね、静かにしてください」
「ああ゙い゙らぎぁ゙ぁ゙ぁ゙!」
「面白いぐらいに当たりますね……深海棲艦もこんな風に当たればよかったのに……」
弾丸が尽き、銃のスライドが後ろに固定される。それでも朝潮は何度も引き金を引き続ける。カチカチという空虚な音が響くたびに、その笑顔は歪んでいく。
「あっ……弾が切れてしまいましたね」
「やめろ、朝潮」
「どうしてですか?提督。私はゴミに鉄槌を下しているだけですよ?」
「安心してください、殺すつもりはありませんので」
「朝潮…あんた……何言って――」
「だって殺したら、
その声は蜜のように甘く、それでいて底知れない狂気を帯びていた。しかし、その瞳からは涙が溢れ出していた。
「もう十分だ、やめろ。これは
朝潮の目から狂気の色が薄れていく。代わりに、堰を切ったように涙が溢れ出した。
「でも……でも提督……あの子が……椿が……」
提督は静かに朝潮の肩に手を置いた。そして静かに彼女の頭を擦っていた。
「分かっている。だが、これ以上お前の手を汚すわけにはいかない」
「奴は法の下で裁きを受ける。お前が汚れる必要はないんだ」
しかし、もう誰も救えない命があることを、みんなが知っていた。
牢獄に残されたのは、永遠に消えることのない血の痕と、決して癒えることのない心の傷。
私はまた、失ったんだ。
大切な人を――また目の前で。
守りたいから生まれたはずだったのに……
ごめんなさい……
流石にやばかったと今更ながら後悔…
遅れてる理由もこのヤバイ描写を出来るだけ少なくするのに時間掛かってたりするし、一応読んだ感じは黒寄りのグレーだからセーフだと思いたい(手遅れ)ちなみになんで、ぽっと出の奴に本名と名前まで上げたかと、夏椿っていう花が原因です。(*^_^*)
一応今後もこれ以上にエグい描写が出てくるんですけど流石にやめたほうがいいですかね?出来るならコメントとかで教えてください(´・ω・`)
もう少しコアな表現入れても大丈夫ですか?
-
大丈夫だ、問題ない
-
いやです!これ以上艦娘をいじめないで!