生きとし生けるものへ   作:ハクスナ

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どうも〜HAKUSUNAです!
今回は艦娘パートとですね〜大淀視点のお話となります。
一話と二話続けて入れてるのでちょっと長くなってしまった...長いかもしれないけど許してくれ...


第四話 救い〜大淀〜

 

 提督が死んだ。

 

 

 その一報が届いた。

 

 

 死因は深海棲艦の艦載機によるものらしい。運悪く頭に当たりそのまま即死だという。

 

 頭に一発食らい即死。もっと苦しでから死んで欲しかったとも思ってしまう。

 

 

 正直嬉しかった。もうこれ以上傷付かなくて済む。みんな苦しまなくて済むと。

 

 

 自由になれると思っていた。

 

 みんなボロボロだった。まともに与えられない補給。入渠は使える奴だけと言われ殆どの艦娘が入渠を許されなかった。

 

 食事は残飯を渡された。人間の残した残飯を私達は分け合い、食べた。

 

 誰もが生きる糧を失くした。

 

 

 

 何で生きているんだろう。

 

 

 何で戦っているのだろう。

 

 

 救いは無かった。私だって自分の事で精一杯で周りを気にすることなんて出来なかった。

 

 その中で私達は救われた。提督の死に。

 

 

 

 だがそんな日々は続かなかった。

 

 提督のが死んだ翌日、新たに新任の提督が来ることが決まった。新任の提督は最前線で戦い生き残った人らしい。

 

 運良く生き延びたのか、仲間を盾に使い逃げ延びたなどだろう。人間なんて自分の事が一番なんだ。それは私達が一番分かっている。

 

 まだ来るまでには時間がある。上から執務室を整えろとの司令が下った。執務室は提督によって痛め続けられた跡が残っている。

 

 私達はまだ余力が残っている数少ない艦娘達で執務室の大掃除を始めた。

 

 まずはもう使わないであろう物品を捨てる作業から始めた。一つ一つに嫌な記憶を思い出し、軽く吐き気をもよおす。

 

 その中でも長門さんは誰よりも率先してやってくれた。誰もが辛い中、長門さんは他の子を励ましている。流石だとしか言えない。私には無理だ。 

 

 片付けを終わらせ壁や床の汚れを落とす作業が始まった。所々に生々しい血の跡がある。

 

 血痕が固まったものはどうにも落とせない。壁や床の張替えもしたいところだが、そんな物はここにはない。

 

 出来るだけ目立たない様には努力はしたが壁の色と明らかに違う。新任の提督にどう思われるか心配だ。

 

 執務室を掃除はある程度終わった。次は提督の使う私室の部屋をやらなければ行けない。しかし誰もあの人の部屋に近づきたくなかった。傷めつけられた記憶が蘇り、足が竦んでしまう。

 

 近づいては行けない。

 

 またあのような目に合うのは嫌だと体が拒否反応を出す。

 

 それにより私達は提督の私室に入れることが出来ずに新任の提督を迎えることになることになった。罰を受けるのは仕方ないだろう。それでもあれよりはマシなのだと自分に言い聞かす。

 

 一つの車が鎮守府の前に止まり、中から白い服を来た人が現れる。服も新しく新調したものだろう。遠くから見てもよく分かる。

 

 私はその人の方へ向かい歩き始めた。一歩一歩近づく程に足が竦むようだった。近づく程に嫌な空気が増す。だが前の提督とは何か違う空気だ。何か恨みを持ってここに来ているかのような重い空気。

 

 私は恐る恐る近づき勇気を持って言う。

 

「こちらです、提督」

 

 彼からの返答が怖い。何を言われるのかと思うと足が思い通りに動かない。

 

 彼はこう言った。

 

「君の名前はなんだ?」

 

 そう聞かれた。

 

 名前か。私達は前世の船の記憶を持っていることから艦娘と呼ばれている。一人一人違う記憶を持っていることから前世の船の歴史と合うように名前を付けられている。

 

 私は軽巡洋艦大淀の記憶を持っている。前世は最後の連合艦隊旗艦となって最後を迎えた。

 

 そんな私でも今は人と同じように様々な場所に行けるようになった。陸を歩ける。船であった頃には絶対に出来なかったことだ。だがそんな暇はない。私達は人間によって使われる存在なのだから。

 

「失礼しました、私は大淀と言います」

 

「そうか、これからよろしく頼む」

 

 彼の目を見た。恐ろしくなるほどの恨みをこめた燃えるような視線、憎しみで目を光らせている。まるで鬼ようだ。

 

 私は彼に恐怖した。深海棲艦とはなにか違う恐怖を。ここまでするには簡単ではない。

 

 明らかに仲間を盾に使ったり、運良く生きてわけでは無いのがよく分かる。私の予想とは大違いだ。至福のためにいるような目ではない。何かを決意した目だ。

 

 私は彼の目を見て恐ろしくなり自然と声が出てしまった。

 

「はい...」

 

 彼は間髪入れずまた何かを言う。

 

「艦隊の状況はどうだ?」

 

 怖い。もし本当の事を言ってしまったら何をされるのか分からない。今の状況を言ってしまったら全員を解体もしくはあの作戦に使われ全員が死んでしまう。

 

 嫌だ。まだ生きたい。死にたくない。

 

 嘘をつく他ない。

 

「はい、全艦、出撃可能です。何も問題はありません」

 

 バレないようにした。だとしても時間の問題だ。バレれば何をされるか分からない。

 

「それは本当か?」

 

 バレた?いやまだ何も見られてないはずだからバレてない。大丈夫、まだ嘘はバレてない。

 

「はい」

 

 私は彼の前を歩き、後ろをついて来る。1mほどの距離はあるが、それでも彼のあの目がこちらを見ていると考えるだけでも背筋が凍るかのような恐怖に駆られる。

 

 私はがそう思っていると一人の整備士が彼に声をかける。

 

 彼はそれに返答し、何か話し合っている。なんのことだろうか?気になる。しかしそこまで時間がない。早く執務に取り掛かって貰わないと行けない。

 

「すいません提督、そろそろお時間が...」

 

 彼はなにか少し考えた後、

 

「すまない、話をし過ぎてしまったようだ。執務室へ案内してくれ」

 

 何を考えていたのだろうか?分からない。彼からは殆ど読み取れない。読み取ろうとしても彼がそれを許さないかのように。

 

「了解しました、こちらです」

 

 彼の私はまた歩き始め、ある一人の艦娘と出会う。

 

 川内さんだ。川内型は彼女一人だけになってしまった。彼女は夜戦が好きだった。けど今は違う。夜戦で姉妹を失った。それから彼女は罪悪感と焦燥感によって苦しんでいる。

 

 私には姉妹艦はいない。姉妹を失った時どれほどの喪失感、悲しみなのかは分からない。けど家族のように中がよかった仲間が死ぬのは心苦しい。

 

 彼も川内さんを見ている。何を思ったのだろうか?ふと顔を見る。彼の目は一瞬憐れんでいる様にも見えた。私の気のせいだろうか?分からない。

 

 そう思いあるき続け、とうとう執務室へと辿り着いた。

 

 扉を開け彼を執務室へと招き入れる。

 

「では、私は資料も持って来ますので中でお待ち下さい」

 

「そうか、分かった」

 

 私は彼を背に資料室へと入った。壁いっぱいにある本棚。そこには沢山の本が積まれてある。作戦報告書や資料など様々だ。私はここが好きだ。

 

 唯一安心出来るのがここ。ここは私は以外はほぼ入らない。本は嘘をつかない、だから好き。けど人は嘘を付く。唯一の頼りが本。これを読んで楽しむのが私の唯一の楽しみでもある。

 

 そんな事は思い、私は必要な物を取り出し執務室へと戻る。

 

 執務室に戻ると彼はまだ片付けも済んでいない私室へと入っていた。まずい、何か言われるのではないか?そう思いながら私は

 

「そちらの部屋を見ていましたか...すいませんまだ掃除が完全に終わったわけではなくお呼びしてしまって」

 

 彼は何も言わず考えている。どのような罰を受けるのだろう。まだ何も言われない。

 

 私は近づき、手にある資料を提督の机に置き、

 

「では提督、こちらの資料をご覧下さい」

 

 彼はニヤリを微笑む。恐ろしさに磨きが掛かるかのようだった。

 

「さて、仕事を始めるとしよう」

 

 彼はそう言い資料を見始めた。

 

 私が渡した資料すらすらと読み進める。彼は一つのページで手を止める。資源量だ。彼の目は深く考え事に耽っている。そこまで資源に関する事で疑問でもあるのだろう?

 

 

「近くに物資を回収出来るような場所はないか?」

 

 この近く?いやそんな場所は全て深海棲艦によって支配されたか破壊されている。本当のことを言うべきか、それとも嘘を嘘で塗り固めるべきなのか…

 

 そう考え彼の目を見る。至って真剣な目だ。力強くこちらを見ている。嘘を付けるような人ではない。そう私は思った。

 

「申し訳ないのですが、この近くに物資がある所はありません」

 

 そう言った数秒後ノック音がなる。

 

「入れ」

 

 扉が開き、現れたのはさっきの整備士と整備長だ。

 

「失礼します、私は当鎮守府で整備科、整備長を努めている斎藤少尉と申します」

 

「お、同じく整備科、山口であります!」

 

 彼らの返答に応えるかのように彼は

 

「要件はなんだ?」

 

 少し間をおいて整備長が言う、

 

「ただ挨拶に参っただけです」

 

 

「そうか...私から1つ聞いてもいいか?」

 

 そう言い整備長が応える。

 

「...はい何でしょうか?」

 

 また彼は何かを考え込んでいる。さっきと同じように真剣な目をしている。

 

 彼が黙り執務室に沈黙が木霊する。何も音がない世界かのように誰も喋らない。

 

 沈黙の末、彼から言葉が出る。

 

「艦娘は全員出撃可能なのか?」

 

 どう言うことだ?嘘がバレた?この短時間で全てを見抜いたなんて…

 

 嫌な汗が私から出る。彼は私が見て来た人達と違う。心が読めない。あの憎しみで目を光らせた目が頭から離れない。

 

 そう思っていると

 

「すまないが大淀と君は席を外してくれないか?」

 

 私が考えている内に話は進んでいたらしい。

 

「了解しました!」

 

「分かりました」

 

 私と整備士は執務室を出た。

 

 彼と整備長が何を話すのかは分からない。気になる。そう思っていると、

 

「いやぁ凄い人が着任してきましたね」

 

 整備士がこちらに声をかける。

 

「ええ、そうですね」

 

「上層部の隠し玉何でしょうかね?」

 

「いえ、それはないと思います」

 

 この人は彼の気配を見ても何も動じなかった。ただ気づいてないだけなのか、気づいていてあのように出来たのか?いや気づいていて無いだけか。

 

「そうかぁ、だとしても未来は明るくなりそうですね」

 

「何でそのように思うのですか?」

 

 彼は少し考えてから、

 

「んー直感かな?」

 

「直感ですか...」

 

「まぁお互い頑張りましょう」

 

「それでは僕は妖精さんと装備の手入れをしてきます!」

 

「はい、それでは」

 

 整備士は私は別れた。

 

 さて夜までは執務をしておこう。

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 夜になり話が終わったのであろうこと確認し、執務室の扉をノックする。

 

「入れ」

 

 そう言われ私は部屋へ入る。

 

「失礼します」

 

「話は終わったのですね」

 

「ああ、そうだ」

 

 私は彼が気になる。何故このような人がまだ残って居たのか気になる。それもあるが一番気になるのは、

 

「...提督はこれからどうされるのですか?」

 

 そう聞く、彼もそれに応えてくれる。

 

「今は鎮守府の立て直しが最優先だ」

 

「出撃は控えてもらう」

 

 彼はそう言う。確かに深海棲艦は空母などからの航空攻撃に変化している。的確な判断かもしれない。

  

「後、今日合ったあの艦娘を明日ここに連れて来てくれ」

 

「話がしたい」

 

 川内さんの事だろうか?何か気になる事でもあったのだろうか?

 

「了解しました、それでは明日に」

 

「よろしく頼むよ」

 

「それでは失礼します」

 

 そう言って私は執務室を出た。

 

 彼は以前の提督とはまったく違う。あった時から彼は他の人とは何か違った。恨み、憎しみで出来たかのような人物だ。

 

 

 だが彼が私達、艦娘の救いになってくれるのだろうか?

 

 

 自由にしてくれるのだろうか?

 

 

 

 彼は何を考えているか分からない。

 

 

 

 それでも何かを変えてくれる事だけは分かる。

 

 

 

 いい方向に行くかはわからない。

 

 

  

 

 もしかしたら、これよりも地獄が待っているのかもしれない。

 

 

 

  

 

 

 それだとしても私はついて行く。

 

 

 

 

 

  

 

 提督(かれ)に。

 

 

 

 




やっぱ艦娘パートは難しいです...提督ぽく書ける大淀はまだしもこれから川内とか他の子達も、書くとなると...それでも見てくれる人がいるので嬉しいなぁ(⌒▽⌒)
次の話は普通に提督の話になるかなぁ〜まぁ来週の土曜辺りには完成させます...テストが近いのでズレる可能大ですが...待っててくれ

追記
今週(5月8日から)と再来週の投稿はテストによってできない可能性が高いです。合間を縫って書きはしますが遅れるのは確実です。

もう少しコアな表現入れても大丈夫ですか?

  • 大丈夫だ、問題ない
  • いやです!これ以上艦娘をいじめないで!
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