生きとし生けるものへ   作:ハクスナ

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いやぁどうもHAKUSUNAです...
遅れてしまい大変申し訳ない。今日死ぬ気で一話を完成させたのでこれで許して欲しい。
今回は前半部分は艦娘は出ません。後半から出てきます。


第六話 傲慢〜提督〜

 

 俺は歩み始め、厨房へと入る。一層香ばしい香りに包まれている。そう、ここがこの鎮守府の厨房だ。料理を作る料理人達によって、この鎮守府の食が満たされている。

 

 厨房には何人かの料理人がいる。彼らは鍋や釜などを駆使し、我々を補佐してくれる。

 

 けして表舞台では目立つ事は無い、しかし彼らがいなければ今ここにいる事でさえ出来ないであろう。どんな屈強な戦士であったとしても後方からの補助が無ければ無用の長物と化す。それほどにも食とは重要なものであり、また兵士達をより強力なものにしていくのだ。

 

 俺は、手が空いているであろう一人に声を掛ける。

 

「失礼だがそこの君、ここの責任者は誰だ?」

 

「一体誰です......も、申し訳御座いません!提督だと知らず不敬を働いてしまって...」

 

 かなり動揺してるように思える口調だ。普通なら現場にまで来るとは思わなかったのだろう。彼は緊張し、冷や汗を出している。怯える子鹿の様にこちらを見ている彼に俺は続けてこう言う。

 

「もう一度聞く、ここの責任者は誰だ?」

 

「はっ…はい、今お呼びしっます!」

 

 逃げるようにして、彼は厨房の奥へと姿を消していった。

 

 しばらくして、奥からだるそうにある一人の男が姿を見せる。あの男がここの責任者であろうか?一歩一歩とこちらへ近づいて来る彼には怠慢と言う文字が一番当てはまるだろう。

 

「何だあ〜?こんな忙しい時間によ」

 

「忙しい時間に邪魔してすまない、私はここに着任する事になった者だ」

 

「よろしく頼む」

 

 俺はそう言うが、彼からの返事は予想外のものだった。

 

「昨日来たのはあんたか」

 

「当ててやる、どうせ上層部の息のかかった奴だろ?」

 

 彼はほくそ笑む様にそう言った。彼からには上官に対する敬意すらない。上層部の息のかかった奴か。馬鹿馬鹿しい。俺はあのクソ野郎共とは違う。俺はそう思ってここまで来た。

 

 腐敗した軍部と政府によってこの国は窮地に立たされている。国民から資源、財源を吸い上げ、自分の私腹だけを肥やす無能な政治家。権力争いや物資の横流し、艦娘への迫害を容認する腐り切った軍部。

 

 この国は腐り切っている、何処までも。そのような国が深海棲艦にも勝てる筈がない。戦線は後退し続け、本土上陸も時間の問題だ。深海棲艦によって要塞化された東南アジアを攻略するのも夢のまた夢。この絶望的な状況を変えなければ人類は滅亡するだろう。

 

 それだけに時間がない。1つたりともミスを犯しては行けないのだ。これ以上の失敗は許されない。我々は失敗を犯しすぎた。だから俺はこの鎮守府から変えて見せる。その為にもここで屈しては行けない。

 

「残念だな」

 

「確かに私は上層部によってここに配属を命令された」

 

「たがあいつらのように後方で怖気づくような事は経験していない」

 

「目の前で幾度も仲間が死に絶えるのを見てきた」

 

「君はそれでも私を腰抜けと言うのか?」

 

 俺がそう言うと彼は黙り込む。しかしすぐいつも通りに戻るかのように態度が戻る。

 

「深海棲艦と戦って帰って来るとはね〜」

 

「どうせ仲間を盾にでもしんだろ?」

 

「あ、それかあの艦娘共でも囮に使ったか?」

 

 彼から出る言葉は刺々しく、他人を思いやる気持ちが無いかのようだ。それに艦娘に対して艦娘共と言う。彼らに守って貰っているのを知らず、安々と言うその態度に怒りが込み上げてくる。

 

「その話は後だ、それより艦娘共とはどう言う事だ?」

 

「あ?そのまんまの意味だ」

 

「あいつらはただの道具だよ」

 

「彼女達に食事は与えているのか?」

 

「そんな奴らに与える飯なんて人間が食い残した残飯でいいだろ?」

 

 彼はそう言い放ち、苦笑する。それに同調するかのように調理人達も合わせていく。

 

 本当に人間とは愚かだ。今ある幸せにも文句を付け、それ以上の代価を要求する傲慢さ。何か集団で敵を見つけなければ集団が崩壊してしまう社会性の弱さ。どれもこれも全て人間の愚かで強欲な生き物であるかを体現するかのようだ。

 

「それは前任の提督の命令か?」

 

「まあ、そうだな」

 

「後は俺達の総意でもあるな」

 

「あいつらに飯を与え続けてたら俺達の分まで無くなってしまう」

 

「そんな事になるぐらいなら、与えなければ良い」

 

「しかし俺達は優しいからな、寛大な慈悲の心で残飯を与えて上げてるって所だ」

 

 実に人間らしい奴らだ。自分達の将来が不安になるあまりに他人を傷付け、それだけではならず、慈悲の心と言い人の残した食事を艦娘へ与える始末。

 

「馬鹿馬鹿しい...」

 

「あ?何だって」

 

 彼は意地の悪い眼をしている。何か気にでも障ったかのように。

 

「馬鹿馬鹿しいと言っている」

 

「お前達は実に愚かな道を歩んでいる」

 

「お前らだけで生き残ったとしても深海棲艦と戦えるのか?」

 

「艦娘のように強くない我々は深海棲艦から見ればエサだ、赤子の手をひねるかのように簡単に死ぬ」

 

「それでもお前らだけで生き残りたいならそのまま続ければいいさ、その先に有るものは破滅の道だがな」

 

 俺がそう言うあまり彼の逆鱗に触れたのか、彼は俺に近づき胸ぐらをつかむ。

 

「さっきから黙っていれば、ぺちゃくちゃとうるさいやつだな!」

 

「ここに居るのはお前一人と俺を含め、数人だ」

 

「ここでお前を殺す事だって出来るんだぞ?この間抜けが!」

 

 馬鹿な奴らだ。脳みそに味噌でも詰まっているかのようだ。

 

「殺せばいい、その先には軍法会議が待っているがな」

 

「軍法会議なんてあって無いようなもんだろ」

 

「さあ、どうだかな」

 

 

 

 

「……」

 

 彼は黙り込む。徐々に俺に対しての掴まれていた力が弱まる。まだ考えられる頭があったようだ。俺は体制を整え、彼の方へと顔をあげる。

 

「それでいいのだ」

 

「今回の事は目を瞑ろう、だが次は無いぞ」

 

「チッ...」

 

 そう彼は舌打ちし、厨房の奥へと消えていく。それと同時にある一人の人物が近づき、言葉を発する。

 

「申し訳ございません...提督」

 

 確か彼は俺がここに来て聞いたときの男か。あのときは緊張で上手く話せなかったのだろう。

 

「君が謝る事ではない、それよりも彼について教えてくれ」

 

「は、はい」

 

「彼、いや料理長は私達だけでも助けようと以前も前提督とも何度も衝突していて...」

 

「けして悪い人出はなんです...ただ必死なだけなんです誰もが...」

 

「提督の言う通り艦娘にまともな食事を与えなければ人類に勝利はありません」

 

「ですが艦娘達に食料を分け与えたのなら食料が枯渇してしまいます」

 

 そうだ。内地からの補給が不安定である今、資源は勿論、食料の供給まで不定期である。そのような状況で助かるには食料を次の補給まで持たせる必要がある。あの男もただの馬鹿ではないようだ。

 

「しかしあの男は艦娘に対していい感情は抱いていないように見える」

 

「艦娘との協調が出来ないのならこの戦いには勝てない」

 

「...提督」

 

「なんだ?」

 

「料理長には辛い過去があります」

 

「彼は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「親を艦娘に殺されたんです」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 彼の事についてある程度の事をこの男に聞いた。相当苦労してきたらしい。俺といやそれよりも辛い出来事があったのかも知れない。

 

「彼も彼で大変だったんだな」

 

「私も流石に言い過ぎたようだ、後で正式に謝罪を申したいと伝えてくれ」  

 

「いえ、提督がそこまでなさらずとも...」

 

「彼の過去を知らずにずかずかと足を踏み入れたのはこの私だ、非は私にある」

 

「だから謝りたい」

 

「そうですか…なら私が料理長へ伝えておきます」

 

「ああ、助かる」

 

「所で君の名前は?」

 

「鈴木一等兵です」

 

「そうか、すまないがよろしく頼む」

 

「はい、了解しました」

 

 そう言い、俺と鈴木一等兵と別れ俺は食堂とは違う方向へ足を進める。

 

 この鎮守府にも様々な問題がある事が分かった。前任の提督の置き土産と言わんばかりの諸問題を俺が一つ一つ解決していかねばならない事を再度確認する。

 

 まだこの鎮守府は深海棲艦と対等に戦えるレベルではない。艦娘達はボロボロ、人間と艦娘の確執もある。鎮守府だけならまだしも軍部ないし政府までもが汚職と不敗によって国民が苦しめられている。

 

 この国は終わりを迎えようとしているのかも知れない。長い人類の歴史に新たに悲劇一ページが記される。この本も最終章に突入しているのかも知れない。

 

 俺の中でふと頭に浮かぶ言葉、ラグナロク。確か北欧神話の中の話だ。世界の終末を意味する言葉、まさに今似合う言葉だ。神々による死闘により荒廃する世界。神の化身である艦娘と深海棲艦による天上戦争。それに翻弄される人類。まさに北欧神話のラグナロクに近い現状が今なのだ。

 

 そう頭の中で耽っていると、奥にふらふらと歩く人影が見える。一体誰だ?そう思い俺はそれに近づく。

 

 一歩一歩と近づいてき、視認できる距離までになった。恐らく艦娘であろう。彼女は川内よりも小柄だ。駆逐艦か?だとして何故ここに...俺は彼女へと更に近づこうとしたその時、彼女は地面へと倒れる。

 

 一体なんだ?俺は一目散に近づき安否を確かめる。

 

「おい!大丈夫か!?」

 

 彼女のからは大量の汗が出ており何か不味いことはひと目見ても分かる状態だ。それに目も何か可笑しい。瞳孔が開いている。まだ昼間だと言うのにこれは明らかに異常だ。

 

 早速俺は彼女を担ぎ上げて、医務室を探し始める。

 

「医務室は何処だ!クソッ!」

 

 焦っては行けない。だがここで焦らないと彼女の安否が分からない。クソ、クソ、なんでいつも俺から消えていくんだ。俺はもう失いたく無い。誰もそう誓った筈だ。こんな所で終わる訳には行かない。

 

 俺は我武者羅に走り続け奇跡的に医務室を発見する事が出来た。

 

「よし!あそこだ」

 

「おいお前、死ぬなよ!こんな所で」

 

 扉を勢いよく開け医務室えと駆け込む。

 

「おい!軍医はいないか?急患だ、急げ!」

 

 俺はそう言い奥から軍医らしき人物が姿を表す。50代か?60代か?この際どうでもいい。

 

「一体どうしたんですか?」

 

「こいつが俺の前を歩いていたら突然倒れた」

 

「分かりました!今すぐ人工呼吸器と診察器具を持って来ます」

 

「迅速に頼むぞ」

 

 ここで死なせてたまるか。

 

 俺は彼女の手を掴み、力強く握り、声をかけ続ける。俺に出来る最大限の努力をして見せる。

 

「持って来ました!彼女をこちらに」

 

 彼の指示に従い、彼女を軍医の方へ近づける。

 

 

 

 

 

 この手で救って見せる絶対に。

 

 

 

  

 

 必ず。

 

 

 

 

 彼女の為になるのであれば。

 

 




見てくれありがとうございます(^o^)
こんな下手な文でも見てくれる方々居るのは本当に嬉しい事です...今回はほぼ全文を一日で下記終わらせたので誤字が多かったかも知れません。申し訳ない...最近書く時間が無くて期限を2週間にしようか迷っています。
ですが、自分が本当に書きたい艦これの物語はここからですのでモチベはあります。ですのでここからは結構鬱でシリアス展開が予想されますので閲覧注意です...

もう少しコアな表現入れても大丈夫ですか?

  • 大丈夫だ、問題ない
  • いやです!これ以上艦娘をいじめないで!
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