本当に自分が愛されていることを自覚したらズブズブに依存すると思うんだ。
特に精神的にまだ成熟していない年齢の時は。
まぁ今作ではやりませんけどね!!!!!!
……多分。
続きです。
午前5時20分。
電線にとまった小鳥が、まるで朝を告げるように気持ちのいい声を響かせている。
窓から微かに朝日が差し込み、キッチンが照らされていく。
照らされているのは、多種多様な大量のチョコ。
「ふぅ〜……」
日も登りきらない朝の冷涼な空気を、大きく吸って、ゆっくりと吐き出す。
「……さて。いっちょやったるか!」
愉しそうに開かれたその瞳には、確かな星の光が宿っていた。
▼
「う〜ん……うぅ〜ん………ぅぅぅぅぅうんッ!」
「涼! あんたさっきからうるさいよ! まだ朝なんだからご近所さんに迷惑でしょ!」
「うん……ごめん……」
今日は3月7日。
星野が俺になんとチョコをプレゼントしてくれたバレンタインから約3週間経った日であり。
そして……ホワイトデーの1週間前ッ!
俺は初めて女の子から、友達からチョコを貰って浮かれていたのだ。
むしろ浮かれすぎて昇天するんじゃないかと疑われるレベルでうきうきしていた。
最近なんて特に。
俺は星野と一緒に帰ったりすることも多くなったし、なんだか話してるだけで結構楽しいし。
そんなこんなで幸せな毎日を、のほほーんと平和ボケした顔でエンジョイしながら過ごしていたわけだ。
密やかに己に差し迫っていたホワイトデー、お返しのチョコという存在を思い出すまではなぁ!!!!
こんな重要に重要を重ねたビックイベントを忘れるとかマジで馬鹿だと自分でも思う。
いや天才だけど嬉しいことがあると色々頭からすっぽ抜けてしまうのだ。
もう1週間しかない。
1週間と聞けば、なんだ。それなりに余裕あるじゃんと思う戯けも居るだろう。
そんなやつらに現実を見せてやる。
1週間は7日。7日は24時間×7。
24時間×7は168時間。168時間×60は10080分。
10080分×60は604800秒。
そう、たったの約60万秒しかないのだ。
ただでさえたった約60万秒しかないのに、ここから更に学校に通う時間や睡眠時間、生活する時間も引かれるとなると半分くらいになるのは目に見えている。
つまり!
俺には大体あと30万秒しか残っていないのだ。
(ガバガバ計算)
ちなみに俺は今まで料理したことがない。だっておばあちゃんが作ってくれたし。
そんなガキが1週間ぽっちでまともなチョコを作れるようになれるとは思えなかった。
人様に食わすものなんだ。それが星野相手ともなればさしもの俺もちょっと不安になる。
もちろん、おばあちゃんにお願いしてチョコを作ってもらい、それをプレゼントすることも視野に入れた。
でも、なんか嫌だった。
どうしてもあいつに俺が作った最善、最大、最高、最強のアルティメットチョコレートをプレゼントしてやりたかったのだ。
バレンタインのあの日。
俺があの時どれだけ嬉しかったか。
それをチョコに込められるのは、俺しか居ない。
余すとこなく、チョコに込めてお返ししてやる。
俺は我がお小遣いの大半を消費し、大量のチョコとチョコ作りに必要なレシピ。それとチョコの型やナッツ類、あと……プラスチックでできたヘラなどネットで調べ買い込んだ。
星野と買い食いしてたことも重なり、俺の所持金は8割以上消し飛んだが……まぁ別にいいだろう。他に使い道も無いし。
その結果……なんか、思ったより上手く作ることはできた。
なんか違うけど。
形も綺麗で、味も悪くない。
なんか気に食わないけど。
実際、おばあちゃんも絶賛してくれた。
なんか足りないけど!
何だかんだいって、俺は才能があった。そこは素直に安心した。
だが……何かが、ほんの僅かな何かが足りない。
なんだ? 何が足りない?
星野のチョコはめっっちゃ美味しかったし、何より心に残った。
星野のチョコと俺のチョコ。一体何が違う?
星野のチョコは俺が使ったチョコと多分使った材料は同じだ。
俺は味覚もまあまあ良い。
チョコを溶かす前と溶かした後を知れば判別くらいは出来た。
材料は同じ。工程も大した差は無いだろう。
おそらく星野は施設の人の助力を借りてチョコを作った。
あいつは精神面は大分成熟しているが、学力面では他の小学生たちと大差ない。
小学二年生がたった1人で、あのレベルのチョコを作れるとは思えない。
…………。
! そうだ。あいつのチョコには髪の毛が混入していた。
そこが肝か? しかし髪の毛1本で味が変わるとも思えないが……。
髪の毛には何か隠された旨み成分でもあるのか?
1度調べてみるか。
▼
「や……やんでれ……?」
好意が強すぎるあまり、精神的に病んだ状態である女の子。
ヤンデレ女子は自分の愛を伝えるために、それこそ道徳や倫理を無視し、ぶっ飛んだこともするらしい。
つまり……? 星野は俺のことが好きすぎて、自分の体の一部を食べてもらおうとした……と?
……………笑。
絶対ちげぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!
思わず笑ってしまった。
あの天国と地獄の図画工作のあと、俺は星野のチョコに髪の毛が入ってたことについて聞いたのだ。
『てか星野〜? そいや星野から貰ったチョコに髪の毛入ってたんだけどさ〜……?』
『あ〜……気づいちゃったかー、ごめんごめん、ちゃんと出来てるか不安でさ……。何回か確認したときに入っちゃったんだ〜。もちろん自分から入れたわけじゃないから安心して☆』
『知ってたのかい』
『大体チョコ固まっちゃってたから別に……いいかな? って。だめだった?』
『まぁそんな気にしてないけど』
大体こんな感じだった。
星野は嘘を吐いていなかった。
だからといって本当のことも言っていない可能性もあるっちゃあるが……。
少なくとも自分から入れたわけではない。
あいつは本質的に人を嫌っているように見える。
直接それを感じ取ったわけじゃない。
ただ……他人が星野と話しているのを何となく聞いていると、自然とマルバツゲームが出来るのだ。
これは嘘。これは本当。この連続。
ウミガメのスープ、だったか? あれをリアルで常時してるみたいな感じ。
毎日近くにいると、見破ろうとしなくても何となくわかってくる。
そんなあいつのことだ。
まだそこまで好感度は高くないだろう。
星野はたぶん、俺のことをクラスで特に仲のいい友達男子B君くらいに思ってるんじゃないかなぁー。
残念なことに。
まぁそれも今だけだ……!
絶対、もっと、もぉぉっと仲良くなって顔見てやる……!
仲良くなって嘘の煙が嘘のように晴れる(激ウマギャグ)とも限らないけど……そこはその時になったらまた考えよう。
おっと話がズレた。
結局、俺は究極のチョコを作るためにどうすればいいのか。
俺も髪の毛入れてみるか? チョコに。
俺も正直どうかと思うが、俺と星野のチョコの違いはおそらく髪の毛1本、あるかないかの違いだ。
やってみる価値はある。
真に心を動かすチョコを作るためだ。
多少の犠牲はやむを得ない。
ほんとだよ? 別に舌ちょっと切って痛い思いしたのに当の本人があんまり気にしてなかった腹いせとかでは決してないよ?
ホントホント、リョークンウソツカナイ(小学2年生)
今、こいつねちっこいやつだなって思ったでしょ。
そんなやつにはいい言葉を送ってやろう。
プライド高いやつは皆ねちっこいんだよお!
流石にやめとくか……。
ぶっちゃけ俺がやると思うときもいし。
食べ物を粗末にしちゃいけないしな。
ちなみに主人公の頭がアッパラパーで
チョコに髪の毛を入れる。
この時受け取るアイちゃんの年齢が13歳(春頃)〜11歳だとアイちゃんの頭がバグり、依存ルートに入ります。
この年齢だと髪の毛inチョコはあまり効果はありません。
ヒント:ケータイ
僕は雛見沢出身だったのかもしれません。