なんかまっ○ろくろすけに懐かれた。   作:レトルトところてん

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ぐぇぇぇえ!
誰か星野アイの口調教えてくれぇぇぇ!

あと僕は書いたやつその場で投稿するので
(ストックなんてものは)無いです。

続きです。


未知との約束。もしくはわすれもの。

 

 

 

 窓際の席ということもあり、俺と星野は道行く通行人にめちゃくちゃ注目されている。

 

 

 この辺りは飲食店が多く、お昼頃ということもあり軽く昼食をとろうとしている人々が店の前に多く見られた。

 

 

 自他ともに認め……多分認めている俺のイケメンフェイスと、暫定美少女の星野のコンビは驚くほど目を惹かれるようだ。

 

 あとこの喫茶店の落ち着いたビターなイメージにそぐわない小学生が菓子を食っていることが物珍しいというのもあるだろう。

 

 

 俺たちを見てこの店に入ってきている客も少なくないように見える。

 

 どうやら俺たちは予期せず広告塔になっているらしい。俺としてもこの素晴らしい喫茶店に人気が出ることに貢献するのは吝かではない。

 

 

 個人的にはクソでかいパフェがスプーンに掬われたかと思うと徐々にまっ○ろくろすけに近付き、暗闇に包まれ消失するという怪奇現象もあり、客足が遠のいてもおかしくはないと思っている。

 

 

 それはお前だけだという反論を受けた気もするが……それはさておき。

 

 

 どうやら初めての経験ばかりで動揺していた星野もようやくいつもの調子を取り戻したようだ。何気に適応するの早いなこいつ。

 

 

 悪いが俺は早めに重要なことを片付けるタイプ!

 

 チョコの好みを聞くなら今の、このタイミングだろッ! 

 

 

「なあ、ほ「うま〜♡ ほんっとに美味しいよこれ〜! ほんとに私だけで食べちゃっていいの? 佐藤くんも1口食べる?」……」

 

 

 こいつぅ……!

 

 

 口では遠慮してる風に見せかけて俺に提案するの1口だけとかこいつが思っていることが透けて見える。

 

 

 ん〜♪ とマジで美味そうに声をあげているのが対面だとよくわかる。なんなら体を揺らしているくらいだ。

 

 反応が可愛い。これでまっ○ろくろすけじゃなければ100点満点あげちゃうのに。

 

 

「というか1つだけなんだね。頼んだの」

 

 

 口にパフェを運ぶワンアクションごとにんまー! だの んん〜♡ だのと声をあげている星野。

 

 

 ちょっとうるさい。

 

 

 別に俺はちょっとうるさいくらいで気分を悪くしない。なんならそれだけ喜んでくれているとわかって嬉しいくらいだ。

 

 だがしかし、それより周りの目が気になる。

 

こいつの奇声のせいで出禁にされたりしないかな……? ちょっぴり不安。

 

 微笑ましい目で見られている気もするし、杞憂だとは思うが。

 

 

 にしても本当にでかいパフェだな。

 

 

 さっき女子大生2人組が食べていたときにめっちゃでかいことはわかっていたが、まだまだ過小評価だったようだ。

 

 

 小学生からしたらそれこそ頭分の大きさくらいあるんじゃないのか? これ。

 

 

「最近誰かさんと食い歩きしまくってるからな。節約志向に目覚めたんだよ。あとそこまで甘党じゃないし」

 

 

 一方俺は目の前のまっ○ろくろすけに目を向けながらも、スーパービッグジャンボパフェそっちのけでチョコマフィンを貪っていた。

 

 少しのカカオの苦味とそれを打ち消さず、しかしちゃんと存在するチョコっぽい濃厚な甘さの主張が口にとけていく。まだほんのりと暖かい。

 

 上品な味だ。これはまだ俺には出せないクオリティ。おそらく焼き上げにあまり時間をかけていないんだろう。勉強になる。

 

 

 3日くらい練習すれば……いけるか?

 

 

 ここで休憩の緑茶。

 

 

 これがまた染みる……!

 

 くどくない程度に上手く甘さを調節されたチョコマフィンと言えど、ずっと食べていると少し口に甘さが残ってくるというもの。

 

 それにこの苦めの緑茶がリセットをかける!

 

 

 来てよかったなぁ……! これだけでうめぇ!

 

 

「なんか申し訳ないね。はむっ……つめた!」

 

 

 何も申し訳なさそうじゃねぇなこいつ。

 

 

 パフェというものはアイスも入っているっぽい。

 

 果物、生クリーム、チョコ、アイス、なんかよくわかんない物体……女の子の食いたいもの全部乗せの欲望スイーツに見えてくるな。

 

 

 今のこいつに何を言っても上の空だろう。大人しく俺もこの食事を楽しむとしよう。

 

 

 後から聞いたところで問題はない。

 

 

「ぁむ。やっぱうめぇぇ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆっくりと緑茶を啜り、ほっと一息つく。

 

 

「さ……佐藤ぐん……お腹いっぱいだから手伝って〜……」

 

 

 両手を投げ出し机にガタッと突っ伏す星野。

僅かに黒い煙から突き出たスプーンは少しだけ震えていた。

 

 

 こうなると思った。

 

 考えているようで何も考えていない星野らしい。

 

 

 小学生の胃に収まるような大きさじゃないんだよなぁ。

 思ったより大きくて計算違いだった。

 

 

「頑張れ〜星野〜。まだチョコレートマフィンと生チョコが残ってるんだぞ〜」

 

「だから抑えてるんだよー……せっかく喫茶店来たのにパフェだけで終わりとか勿体ないし」

 

 

 なんか弱ってる星野面白いな。

 

 

 見ればあの巨大なパフェが半分無いくらいまでは減っている。

 

 頑張った方か。うん。そういうことにしといてやろう。

 

 

「まぁ、俺も少しは興味あったし良いけど」

 

「どうせなら一緒に食べよ」

 

「チョコマフィンと生チョコ食ってから言うことだな」

 

「むぅー……」

 

「ほら、献上するがいい」

 

「……はい」

 

「うむ」

 

 

 押し出されてきたパフェにスプーンを突き立てる。

 

 1口。

 

 

「……甘すぎだろぉ! 緑茶の風味全部消し飛んだぞ!?」

 

「その甘さが良いんだよ?」

 

「現代女子小学生を舐めていた……こいつも一端の女子だったか。食い切れる気がしねぇ」

 

「佐藤くんが言ったんだからねー。ちゃんと食べるんだよ?」

 

「手助けを頼んでる自覚ある??? 偉そうなやつめ」

 

 

 文句を言いながらパフェを食う。

 

 馬鹿みたいに甘いし、なんか微妙に冷たくてドロドロしてる。

 

 

 これは……溶けたアイスか?

 

 

 窓際の席で尚且つお昼頃ということが裏目に出たのか、パフェの内部のアイスがめちゃくちゃ溶けてる。

 

 

 正直あんま美味しくない。

 

 

 緑茶だけが俺の救いよ……。

 

 

 それでも黙々と食べ続けていると

 

 

「……前にさー。私が嘘をついていること、佐藤くん見破ってきたよね」

 

 

 チョコマフィンを食いながら星野が言う。

 

 

「おう。そんな事もあったな」

 

「あの時すっごいびっくりしちゃってさ、何でかなー? ってふと思っちゃって」

 

「……あー、まぁ、うーん……」

 

 

 言うか? 俺が嘘を捉えることが出来る特異体質であるというスーパービッグシークレットを。

 

 俺を煙たがっている大人たちはとんでもない洞察力で嘘を見抜いていると思っている。

 

 しかし実態は嘘を視覚で捉えられるというもの。

 

 この事実を正確に知っているのはおばあちゃんしか……いやクソ共も居たか。

 

 

 ……まあ、星野なら、いいか。

 

 星野を信じられなかったら、俺は生涯誰も信じることが出来ないだろう。

 

 

 誰の言葉だったか。

 

 真の自由を過去は雁字搦めにする……捨て去ったはずの過去を、もう一度捨て去る時が来たッ!

 

 

 俺も、いい加減変わるべきだ。

 

 

「絶対誰にも言うなよ?」

 

「勿論!」

 

「俺は……嘘が見えるんだ。物体としてな」

 

「……嘘が…見える? 物体として?」

 

「なんか嘘ついてるやつって体から黒い煙みたいの出すんだよね」

 

「へぇー……! じゃあ、私はどう見えてるの?」

 

「まっ○ろくろすけ」

 

「まっ○ろくろすけ!!!!???」

 

 

 ぷっと吹き出すように星野がケラケラと笑い出す。

 

 

 どうやらあまり不快感はない……どころかめっちゃ笑うやんこいつ。

 

 こっちからするとめっちゃ怖かったからね君。

 

 

「この間の図画工作の時とかマジで焦ったからな。まんままっ○ろくろすけ描いてやろうかと思った」

 

「もうやめてっ! 笑いすぎて死んじゃう!」

 

 

 遂にあはは! と声を出すまで笑い始めた。

 

 

 俺もまっ○ろくろすけってなに???? とは思う。

 

 

 しばらく笑っていると

 

 

「そっかー……佐藤くんは嘘が見えるんだね。……え、凄いね! だからあんまり目が合わないのか。なるほど……」

 

 

 ようやく笑いが収まってきたらしい。

 

 

「星野が嘘ついた瞬間爆速でわかるからな。覚悟しとけ」

 

 

「……私、最近考えるよりも先に嘘が出るんだー……。そういうのも全部、わかってたりする?」

 

「当然」

 

「……あははー……知られたくない人に、知られちゃったなー……」

 

「はい嘘ー!」

 

「え」

 

「なんでお前も驚いてんの? 嘘だったぞ。今の」

 

 

 わなわなと震えるまっ○ろくろすけ。なんかちょっと面白いな。

 

 

「そっか……」

 

「……そっかー! 嘘なんだ。今の……! 

私って……嘘吐きな私を、知って欲しいんだ……!

 

 

 やつは両手を見つめている。多分。

 

 

 おっと、パフェが更に溶ける。食べよ。

 

 

「ふふっ♪ 佐藤くんには嘘はつけなさそうだね」

 

 

 いやー困っちゃうなーと心底楽しそうに呟いている。

 

 

 どうしたんだ? こいつ。

 

 

「嘘は絶対に悪いってもんでもないし。別についてもいいけどバレるからな」

 

「嘘は、悪いものじゃない?」

 

「ん? だってそうだろ? 人を助けるための嘘、人を傷付けるための嘘。どっちも嘘だが、少なくとも人を助ける嘘には愛がある」

 

「愛があるから嘘をつくなんてことも、まぁあるっちゃあるだろ?」

 

 

 口にパフェを運び終わったスプーンを星野に向ける。

 

 

 そこらへん、全部同じに見える俺の目もだいぶ拗らせてるよなー。

 

 

「でも、少なくとも俺の前では嘘はやめて欲しいところだな。だって何も見えないし。まっ○ろくろすけよ? 君」

 

「はーい」

 

 

 やべ、ガチで溶ける。パフェ食わないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何やかんや喫茶店で話は続き、日が暮れかけていた。

 

 今は喫茶店を退室し、星野を家に送っている最中である。

 

 

 夕暮れに小学生が2人。

 電線にとまっている鴉の羽が妖しく光っている。

 

 

 無言で歩いている途中、ふと星野が喋り出す。

 

 

「私さ。さっきの話の続きなんだけど、自分の言う言葉が嘘か本当か、わからなくなる時があるんだ」

 

 

 それほど嘘が必要になることがあったのか。 

 

 そういえば、天性の才能もあったと思うが、環境も要因だって前に考えたことあったな。

 

 

 茜色に染まった雲をなんとなく見上げながら歩く。

 

 

「でも、佐藤くんなら嘘がわかるんだよね」

 

「おう」

 

「ちょっとだけ、安心したなー」

 

 

 はぁ、こいつはもう! ほんとに!

 

 人が欲しい言葉を言ってくれちゃって。

 

 

 こっちこそ安心したわ!

 

 ……星野に受け入れられて、本当に良かった。

 

 

「はー! 全く。初めてだよ、そんなこと言ってくれた人は」

 

「こっちこそ、星野が傍に居てくれて、結構感謝してるんだぜ」

 

「……これからもよろしくね? 佐藤くん」

 

「ああ、よろしく。星野」

 

 

 

 

「……それともまっ○ろくろすけって言った方がいい? なんか気に入ってるよね君」

 

「やめてよもー、笑っちゃうから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつも星野と別れる場所が見えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつか、本当の私を見つけてね。()()()。約束だよ?」

 

「……ばか、当たり前だ。()()。約束な」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この時佐藤くんは気付いていませんが……
図画工作のあの日の今朝と
この日で1つ大きな違いがあります。

1つ目の約束。
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