なんかまっ○ろくろすけに懐かれた。   作:レトルトところてん

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どうも。僕です。
本当は日曜も投稿しようと思ったんですが、
アホみたいに忙しかったのと、何故か2~3年後の涼とアイのイメージが湧いてしまい、時系列的に当分出せない話を書いてました。 多分馬鹿なんだと思います。

続きです。


未知への誘い。もしくは釣られた星。

 

 

 

 

 ホワイトデー当日。3月14日。

 

 

 ランドセルを後ろの棚に仕舞い、上着をハンガーにかける。

 深く椅子に座り込み、ちらりと教室を見回す。

 

 

 ____これ、お返し!

 

 ____あとで、机の中見て

 

 ____下駄箱の中みた?

 

 

 四方八方から男子共の落ち着かない声が聞こえてくる。

 

 我がクラスの小学生共は実にホワイトデーを満喫しているらしい。

 

 もう5年も経てばこいつらも思春期を経験し、異性との見えない壁に苦しむ時代が来るだろう。

 

 

 その日を楽しみにしつつ、今日教室に来るまでにあったこいつらのリア充イベントを思い返す。

 

 

 例えば、クラスの小学生ズがお返しに女子の机に小さな箱を入れたり、登校中に直接手渡したり、下駄箱に入れたり。

 

 実にホワイトデーを極めている。

 

 

 そんな中またしても俺は朝日に照らされ、ゲン○ウポーズで星野を待っていた。

 

 

 傍から見れば俺には何も動揺してる様子もなく、ただ貫禄だけが存在しているであろう。

 

 ただ実際は俺は凄まじい不安に苛まれていた。

 

 

 なんでかって?

 

 

 どっかの馬鹿がせっかく星野を喫茶店まで連れてったのに好きなチョコを聞くの忘れてたからだよお!

 

 

 もおおおおお! マジでアホすぎる……!

 

 

 もはや自分の馬鹿さ加減に戦慄するレベルだ。

 

 相手の好みのチョコのリサーチなんざ一ヶ月前のバレンタイン貰った時から始めてるのが常識なのに。(異常)

 

 もうどうしようもなくなったので、結局、俺はあのチョコマフィンを再現することにした。

 

 なんだかんだ星野も美味しそうにチョコマフィン食ってたし。

 

 俺はチョコマフィンを初めて食った時は再現するのに漠然と3日くらい掛かるなーと予想していたが、ホワイトデーチョコへの執念が己の技量を底上げしたのか、なんと2日であのクオリティを出すことに成功していたのだ。

 

 この天才っぷりには俺もびっくり。

 

 なので、味にはそこそこ自信があるのだが、やはり俺も人間。そわそわしてしまうのも無理はない。

 

 

 クラスメイトを見ながら暇を潰していると扉の窓から黒い影。

 我らがまっ○ろくろすけがこの教室を覗き込んでいる。

 

 

 ……! 来たな。

 

 

 にしてもやっぱりホラーなのでは???

 見つかってはいけない系の徘徊型ボスみたいな雰囲気出してるんだよな。

 

 星野は教室に入り、周りの小学生に挨拶しながらこちらに向かってくる。

 

 

 あ、そうそう。どうでもいい話かもしれないが、もうこのクラスで席替えは起きない。

 

 正確には起きないようにした。

 

 せっかく星野の隣になれたし、その確率を思えば人間関係を嘘で誤魔化してるしょうもない担任を脅すくらいわけないのだ。

 

 聞き耳を立てれば立てるほどボロが出る担任にも問題があるというものだろう。

 

 

「おはよ、佐藤くん」

 

「おはよ。星野」

 

 

 星野が俺の隣に座る。

 

 

 いつ、どのタイミングで渡すべきだ?

 

 渡すタイミングによってこの苦節一週間の努力が水泡に帰すか報われるかが決まるだろう。

 

 

 やばい。緊張しすぎてゲボ吐きそう。

 

 

 落ち着け佐藤涼。慎重に慎重を期すが、しかし慎重にし過ぎてもいけない。時には大胆に、時には繊細に、そう! 蜂のように舞い蝶のように刺「ねぇ、チョコは?」________。

 

 

 

 

「あっ、はい。あります」

 

「? なんで敬語?」

 

「なんでもないです……なんか、自分の矮小さに気付きました……」

 

 

 全てを破壊しやがってよ! このまっ○ろくろすけが!

 

 

 俺の予定ではスーパードラマティックなタイミングを隙を見て探し、そこからチョコをプレゼントしつつ雰囲気と勢いでゴリ押して星野を家に招待するはずだったのだ。

 

 

 バレンタインの日は遊びに来てくれなかったからな。

 

 

 リベンジ招待を密かに目論んでいたのだ。

 

 なんだかんだ有耶無耶になって未だに星野を家に呼べてないし。

 

 

「どうぞ」

 

「うむ!」

 

 

 丹精込めて作り上げたチョコマフィンを包み込む装飾が美しい綺麗な箱。

 

 

 それを捧げるように星野に献上した。

 

 

 ラッピングする箱のリボンはオーソドックスに赤色を採用した。

 

 ちなみに全部手作り。

 

 チョコを入れる箱も特別にしてやりたかったから一から装飾を勉強して____と言いたいところだが、何となくの確信に基づいて箱を彫ったらそれっぽくなったのである。

 

 もちろん少しは勉強した。詰め込み学習だったが装飾の善し悪しくらいなら今の俺は判断することが出来る。

 

 全部手作り故に星野に気に入られなかった時のことを考えるとなんかこの世を儚みそうだ。

 

 

「気に入ってくれると、嬉しいんだが……」

 

「佐藤くんが作ったの?」

 

「そりゃまぁ、もちろん」

 

「! へぇー! それじゃあ、楽しみにしておかなきゃだね」

 

「あんま期待するなよ……?」

 

 

 割とマジで。

 

 星野は興味深そうに俺のプレゼントした箱を手に取ったり、眺めたりしている。

 

 

 !? 中身を振ろうとするんじゃありません!

 

 

「にしてもこの箱、すっごい綺麗な模様。職人さんが作ったみたい」

 

「結構お金かかったよね。大丈夫だった?」

 

「これも俺の自作だ」

 

「うっそー……! 佐藤くんってそんな器用だったんだね」

 

 

 まるで俺が器用ではないと思っていたような言い草だな星野くん。図画工作やら数学やらで俺のペン先の正確性を十分すぎるほど伝えたつもりだったが、どうやら気のせいだったようだ。

 

 

「……さて、ところで星野くん」

 

「はい?」

 

「実はそのなか「はい着席〜!」……」

 

 

 

 

 その瞬間、俺の中の何かがキレた。

 

 

 

 

 丁度いい。お前はもう潮時だろう?

 いい歳こいたおばさんが嘘と屁理屈をこねて周りの尊敬を集めようとしているなんて惨めな行為を辞めさせてあげるキッカケを作ってやろう。

 

 

 野球しようぜ。お前ボールな。

 

 

 (明日からお前の席)ねぇから!

 

 

「学校のチャイムが何故か鳴らなかったみたいだけど、もう25分ですよ〜! 皆さん着席してくださいね〜!」

 

「担任......潰す

 

 

 八つ裂きにしてやりたいところだが、物理的にそれは不可能なので却下。1番現実的に遂行出来そうな最大級の嫌がらせとしてこの間言っていた『私は加齢臭なんてしないわよ〜!』という発言の嘘を広めてやるくらいだろうか。幸い俺にはひとつあたり1000円のチョコが50個全部おばあちゃんの居酒屋で売り切れたということもあり、5万円ほど臨時収入があった。これで臭い検査キットも購入することができる。臭いを証明する現物として________

 

 

「あ、あはは……程々にしておくんだよ……?」

 

 

 ……まぁ、程々にしておこう。

 

 なんだかんだ俺も席替えとかのメリットは享受してるし、星野がそういうなら……。

 

 

「放課後。放課後な!」

 

「っふふ……わかったよー?」

 

 

 何だか癪に障る笑い方をしよって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後。

 

 

 かあかあとカラス共の間抜けな声が窓という障壁を貫通し、教室に音の響きを伝えていた。

 

 教室の窓から下校している生徒たちを見ると、下校する集団の中に装飾過多の目に優しくない金色の光を放っている箱がカラスに盗まれていた。

 

 

 あーあ、かわいそー。キラキラにするとカラスが寄ってくるんだぞ? もう手遅れだったか。

 

 

 ってそんな他人のことなんてどうでもいいんだよ!

 

 

 生暖かい目で窓の景色を見ていた俺ははっと間が覚めたかのように動き出す。

 

 他のクラスメイトたちが帰る準備を始めている中、俺は隣の席の目の前に立ち、座っているまっ○ろくろすけの机に両手を叩きつける。

 

 

「星野くん!!!!!」

 

「おー、すごい勢い。どうしたのー? 佐藤くん」

 

 

「今朝の話なんだが!」

 

「家にその箱の中のチョコに合うお菓子やら飲み物を用意しているんだよ! 俺は!」

 

「どうかな!?」

 

「遊びに来いよ! 俺ん家!」

 

 

「これまたド直球だね」

 

「んー……どうしよっかなー?」

 

 

 んふふーっといやらしい笑いを漏らし出す星野。

 

 

 こいつ……! なんかめっちゃ腹立つ笑い方するんだけど!

 

 

 いや抑えろ……抑えるんだ、佐藤涼。

 

 海外のキッズアニメに出てきそうなまっ○ろくろすけの腹立つ笑い声で心を乱されるんじゃない……!

 

 

 今日はホワイトデー。お互いに日頃の感謝を伝える的なそんな感じの量産型イベントだったはず……。(無知)

 

 その口実としてチョコをやり取りするのだ。多分。

 

 バレンタインでは感謝を受け取ったのだ。ホワイトデーたる今日は俺が寛容さを見せつけねば……!

 

 考えてみればバレンタインってどういう日か全然知らないかも。俺。

 

 

 あ、そうだ。

 

 

「今なら家にまだ5種類はチョコあるぞ」

 

「何してるの? 早く準備しなよ!」

 

ちょろ……

 

 

 釣れたぞ! こいつ釣られやがった!

 

 

 甘い物に惹かれてこんな怪しい小学生の家に行く決断をするなんてな!

 

 

 ふははははははは!

 

 

 首を洗って待っていろ星野。

 

 施設に戻りたいとは思えないほど快適で優雅で、そして幸せな体験をさせてやる……!

 

 にしてもこいつ2、3日前にパフェ食ったのにまだ甘いもの食べたいのか。エンゲル係数とんでもないくらい増えてそうだな。

 

 まぁ、まっ○ろくろすけの裏の姿が少し太ってたところで俺は軽蔑しないであげよう。

 

 体育の時めっちゃ動けるけど今どき動けるデブって多いからなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ、おばあちゃんにどっか行ってもらうよう頼むの忘れてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちなみに何故この小説が星野アイが小学生という時代の話なのかというと
僕の書く主人公に中学生or高校生星野アイを幸せにできる気がしなかったからです。
嘘の天才である星野アイの心に触れることは、
嘘はとびきりの愛という哲学を手に入れてしまった完全体星野アイの『本当』に触れることは、僕の主人公にはできる気がしねぇ……!
僕の解釈が俺を雁字搦めにする……!

こういう考え方なのもあり、簡単にヤンデレになって欲しくないんですよね。

髪の毛inチョコでそこまで行ってしまえば昨日書いたとあるイベントが起こらなくなるので、書かなかったというのもあります。
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