なんかまっ○ろくろすけに懐かれた。   作:レトルトところてん

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どうも、僕です。
間違ってブラバして20分くらいかけて付けたフォントが全部消し飛びました。

 疲れたよおおおお!

続きです。


未知なる体験。もしくは黒星の殺意。

 

 

 

 燦々と照りつける太陽。

 

 軽やかさすら感じるような草の靡く姿。

 

 少しだけ聞こえる鳥たちのさざめき。

 

 麗らかな春の代表例とも言えるような素晴らしい日だ。

 

 

 そんな素晴らしい日の中、古くから地元民に愛されている公園のブランコにひとり、太陽の光を受け、黄金色に髪の毛を輝かせるナイスボーイが座っていた。

 

 座っていたというか、めちゃくちゃ漕いでいた。

 

 荒々しさすら感じさせるほどにそのブランコの勢いは加速的に速くなっていく。

 

 煌めくその瞳は腕に取り付けられたお洒落でエレガントな腕時計に釘付けになっており、ブランコに揺られながらもその視線は一切揺らがない。

 

 

 ……というか俺だ。

 

 

「……」

 

 

 時計を見る。

 

 2時13分。

 

 

「…………」

 

 

 時計を見る。

 

 2時20分。

 

 

「………………」

 

 

 時計を見る。

 

 2時30分。

 

 

 きれそうなんですけどぉぉぉお!!!!!

 

 

 現在、俺は指定した公園にて星野を待ち受けていた。

 

 理由は簡単だ。今日は4月16日土曜日。

 

 おばあちゃんが居酒屋一日体験の予定を合わせた日であり、おばあちゃんの居酒屋に向かうのに星野と合流する地点が必要となる。

 

 そこがこのある程度大きさがあり、自然豊かで、そこそこわかりやすい公園である。

 

 俺と星野はこの公園に1時半に待ち合わせする予定を立てていた。

 

 

 今? 2時32分。

 

 

 ぜんっぜん来ないんだけどあの子! どうしちゃったのかしら! 全く困っちゃうわよ〜! あたしもう歳なんだからこんなとこに1時間も待たされたら風邪ひいちゃうわ!(突然のカマ)

 

 失礼、取り乱した。

 

 だが俺の言いたいことは伝わったと思う。そう、何故か星野が来ないのだ。

 

 あいつは物怖じするタイプではないし、緊張するからと言って逃げ出すような人間でもない。それくらいは俺でもわかる。

 

 なら何故来ないのか……!

 

 もうそろ3時。流石にもう待ってられないと思いブランコから腰を上げようとしたその瞬間

 

 

「あ! 佐藤く〜ん! 服選びに迷っちゃってて……ごめん待った?」

 

 

 と言い、公園の入り口からこちらに走ってきている星野が目に入った。

 

 どうでもいいけど太陽の下にまっ○ろくろすけ走ってるの見るとミスマッチ感凄いんだよな。

 

 よし。ここはひとつ説教してやるとしよう。

 

 

「よお。星野。なにか俺に改めて言うべき言葉があるよなぁ!」

 

「悪かったってば〜! ごめんね。ほんとに。私もこんな時間掛かると思ってなくて……流石に直前に服買うのはまずったなー……佐藤くん私の事見えないの忘れてたし……

 

 

 後半ゴニョゴニョと何かを言っているが、マジで聞き取れない音量で喋るのやめてもらっていいかな?

 

 

 ……ぐぬぅ。嘘が見抜ける体質がここで裏目に出るとは……。

 

 

 言葉に嘘は無いし、反省していることも声音から伝わってくる。伝わってくるからこそ、俺としてはもう何も言えん……!

 

 それに、星野が申し訳なさそうにしてるだけでなんでも許しそうになってしまう。

 

 これが、パパの気持ち……? 今ならパパ活の真意が理解出来るかもしれない。(8歳児)

 

 

「……ならいい」

 

「ほんと、ごめんね。おばあちゃん待たせちゃったよね……早く行かなきゃ!」

 

「それについては問題ない。元々3時までに行けば良かったからな」

 

「そうなの? 予定じゃ1時半に集合だったよね」

 

「どっかの誰かさんは絶対遅刻すると思ってだいぶ余裕作っておいたんだよお! 流石にここまでは想定してなかったが……」

 

「あはは、なんか申し訳ないねー」

 

「はぁ……とりま、行くか。おばあちゃんの居酒屋、八尾蝶へ」

 

 

 俺は少し星野に甘すぎるのかもしれない……。

 

 

 にしても、服選びで遅刻かぁ……まぁそれだけ本気ってことかね。

 

 星野ってセンスは良いのにイマイチ着る服適当なところあるからな。

 

 それを考えると今回はガチで考えて服を選んできたっぽいから客寄せの期待は出来るだろう。多分。

 

 小学2年生……いや、今じゃ小学3年生に釣られてやってくる居酒屋の大人というのも何か犯罪チックなものを感じさせるが……。

 

 ったくお客さんに見せるためとはいえわざわざそんな考えて着てこなくてもいいだろうに。

 

 残念なことに居酒屋ではおばあちゃん特製のエプロンとバンダナが配られるしな。

 

 

 星野がおめかしねー。

 

 ……どうせ俺にはまっ○ろくろすけだしなぁ。

 

 あーあ、俺も星野のお洒落な格好見たかったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー!」

 

「らっしゃっせ〜」

 

 キンっとビールを乾杯する音や、大人たちが話し込む喧騒が大きくもない店中に広がっていく。

 

「久しぶりだな坊主! 横のちっちゃいかわい子ちゃんはお前のコレか? どうなんだ? うりうり」

 

 一時期俺もここで働かされてたこともあり、そこそこ居酒屋の客に人脈というか面識はあった。

 

 その面識がある大人のひとりが、今俺たちの目の前の手で下品なポーズを取っているおじさんだ。

 

「そんなんじゃないって……小学生相手にそれしても普通わかんないからね」

 

「おめぇにゃ伝わるからいいじゃねぇか! ははは! お、そうだ。嬢ちゃん、生ビールと枝豆と唐揚げにチャーハン1人前頼めるかい?」

 

「は、はい! えっと……生ビール、枝豆、からあげ、あと……」

 

「あとチャーハンな」

 

「……よし、おばあちゃーん! 生と枝豆と唐揚げとチャーハンそれぞれひとつだってー!」

 

 

 厨房から普段からは想像出来ないほど大きな声が聞こえてくる。

 

 

「あいよー! お客さんに水だけ持ってっておいてー!」

 

「はーい!」

 

 

 テキパキとコップに水を注ぎ、テーブルに持っていく星野。

 

 なんか……妙に適応すんの早いなこいつ。いやマジで早いぞ。

 

 初めて直ぐは注文を間違えることや、持ってくテーブルを間違えたりなど、拙さが確かに存在していたが……それも20分しないうちに改善されていった。

 

 まだ働き始めて1時間しないくらいなのに恐ろしい速度でやるべきこと、放置していいこと、やったほうがいいことの判別が付くようになってきている。

 

 あいつはこういう仕事に適性があるらしい。

 

 

 俺の初めてよりは劣るがなッ! 負けんぞォ! 星野ォ!

 

 

 ……なんか、おばあちゃんの店って古き良き居酒屋って感じだから、千と千尋の○隠しにまっ○ろくろすけ登場してきたみたいになってるんだよな……。

 

 まさかのクロスオーバーにちょっと興奮。

 

 

「お嬢ちゃん! こっちも生3つ追加で!」

 

「生3つだって! おばあちゃん!」

 

 

 何かとフォローしてやろうと思っていたが……やれやれ、どうやら俺の心配は無用のものだったらしい。

 

 

 

 

 俺と星野は順調に働き続け、気が付くと6時くらいになっていた。

 

 

 

 

 星野の評判は上々だ。やはり小学生のちっこい女の子が頑張って働いているのを見ると大人というものは応援したくなるものらしい。

 

 重たいものを持ってもらったりしているのもちょいちょい見つける。

 

 

 しかし……そろそろだな。

 

 

 初めての仕事で3時間ぶっ通しということもあり、星野は少しふらついているように見える。

 

 もうそろ休ませた方が良さそうだ。

 

 

「あいちゃ〜ん! 置いてかないでよ〜! ひっく……うひっ……はははは! ほら〜もっと近く来てこ〜!」

 

「あの……どうしました?」

 

 

 ふむ。あまり見ない顔だな。大体40代後半といったところか? また派手に飲みやがって。

 

 普段から見かける客は基本的におばあちゃんの知り合いらしく、安心安全だ。

 

 しかし新規の客となると酔っ払って暴れるやつもたまにいるため、注意しておかなければならないとこっそり俺に常連の客がさっき教えてくれたのだ。

 

 ちなみに教えてくれた客も星野にメロメロだ。この後方腕組みパパ面おじさん共め。

 

 

「いいから! ほら!」

 

「いっ…た……あの、やめてください」

 

 

 赤面の太ったじじ……おじさんが星野の手を無理やり引っ張り自分の傍に控えさせている。

 

 ……ちょーっと、おいたが過ぎるぜ。おい。

 

 

「そんなこと言っちゃってさ〜!? いいのぉ!? おじさん本気になっちゃうよ〜?」

 

 

 もうそろ助けに入らないとやばそうだな。

 

 

 あぁ……なんかいらいらしてくるな……薄汚ぇ手で星野に触んなくそデブが……児ポなんだよ……! 殺されてぇのか?

 

 

 不味い、抑えよう。

 

 俺はぶっちゃけ星野より人嫌いなんだ。嫌ってもいい人間を見ると、箍が外れる。

 

 一旦、落ち着こう。落ち着け。

 

 

「はいはい、酒は飲んでも呑まれるなですよ〜! 星野、一旦厨房まで下がれ。後は俺が対応するから

 

「う、うん……!」

 

 

 星野をおばあちゃんの居る厨房まで下がらせる。

 

 周りの話し声が少し小さくなり、視線が向けられているのを感じる。

 

 どうやら、俺がキレてることを常連は気付いているらしい。上手いこと隠しているつもりだが、何か本能で勘づかれているのか。

 

 

「あぁん? 俺はあいちゃんにお酒注いで欲しいわけ! すっこんでろガキが! 身の程弁えるってのを知らねぇクソガキが多いんだよなあ! まったくよお! ええ!? あいちゃん呼んでよ! あいちゃあん!」

 

 

 あ? アイだと? てめぇごときが呼んでいい名前じゃねぇんだよタコが。

 

 

 落ち着け。落ち着け。落ち着け。落ち着け。

 

 

「すいません、あの子は正式なうちの従業員ではないので……」

 

「そんなこと知らねぇよ! 早くあいちゃん呼べって! しょんべんくせぇガキなんざお呼びじゃないことくらいわかるだろうが!」

 

 

 激昂した客に水をぶっかけられる。

 

 

 あぁ。もういいよ。お前。

 

 

言っとくけどお前のせいだからな

 

 

 俺は本気で人を害そうという敵意を、殺意を持って人を睨んだことがなかった。

 

 何となく、不味いなって思ったから。

 

 

 でも、こいつなら別にいい。

 

 

「何言って……ひっ、あアああアアあああアああアアアアッ!!????? ハッハッハッ……う”っ”、ゔぉ“ぇ“ぇ“ぇ“え“え“え“え“ッ!!」

 

 

 くそデブはまるで強制的に胃袋がひっくり返されたかのようにえづきだし、胃の中身を逆流させている。

 

 体は震え、手に力が入っていないのかテーブルに倒れ伏している。

 

 近付いて様子を確認すると、どうやら呼吸が疎らになっており、音が大きい。

 

 目が定まっていない……? 意識を失いかけているのか。

 

 

 生ゴミだな。

 

 

「おお!? なんだこりゃ! すげぇな坊主! たまにやるアレのすげぇ版ってとこか?」

 

「……まぁそんなとこ」

 

「かーっ! 全くこんなくせぇやつ放っておいたら臭くて酒もまともに飲めねぇな! ってことでおめぇにゃコレ動かすの無理だろ? 代わりに俺たちが店の前に置いといてやるから、さっさとあの嬢ちゃんとこ行ってやれ」

 

「いいの?」

 

「おう、俺たちゃ婆さんに恩があるし……何より嬢ちゃんも不安だろうさ。さっさと行ってこい! はなたれ小僧め」

 

 

 常連の客が人間が出来ている人達で本当に良かった。

 

 この修羅場は星野に見せていないはずだし、そこまで影響はないと思うが、念の為だ。早く星野のメンタル状況を確認しなくては。

 

 俺は足早に厨房へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、世話のやけるガキンチョだな。ほんとによー。俺でも今のおめぇにゃ嬢ちゃんが必要だってわかるぜ」

 

「うしっおめーら! こいつ運ぶの手伝ってくれや!」

 

「「「「「うぃーっ」」」」」

 

「あららー、盛大にデブのくせに吐きやがってまぁ、よいしょ……って冷た!? このデブなんか冷てぇぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 




一体涼くんは何をしたんでしょうかねぇ。

ちなみに集まる時アイはそのまま適当な服で行こうとしてピシッと固まり、その後服を買いに行ったそうな。
八重桜がモチーフのワンピースが売れたらしい。

あとおばあちゃんの傘下の常連連中のおじさんは涼くんの通常状態の眼力なら酔いを覚ます程度しか影響を受けません。
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