なんかめちゃくちゃ感想来てて嬉しい。
読者たちがすぐ涼くん化け物にしようとする……
ちなみに涼くんの能力は普通の人間の延長線上にあります。
厨房に入ると少しひんやりとした空気があるかと思ったが、全然そんなことはなく寧ろ熱い料理を沢山作っているためか暑いくらいだった。
星野を探すと、おばあちゃんから餌付けされており、作った料理の一部をつまみ食いしていた。
草。なんか全然大丈夫そうだな。
「おばあちゃんこれなんて料理? というか食べて大丈夫なの?」
「これはエイヒレって言うのよ。それとこれは馬鹿ども用に多く用意したやつだから大丈夫。心配しなくていいのよ〜」
ほんとに大丈夫そう。(小並感)
星野には特に何も悪い影響はなさそうだな。
思わず気が抜け、意図せず息が漏れる。
これが肩の力が抜けるというやつか。
とりあえずあのキモイデブは追っ払ったとだけ伝えておこう。
「星野」
「んまー! ……あ、佐藤くん」
「あの太ったおっさんは追っ払っといたから、とりあえずは安心していいぞ」
「……うん。守ってくれたんだよね。ありがと」
「あら、涼ったらそんなことしたのね?」
あー、勝手に客追い出したの怒られるかな……いや、怒られないわけがないか。
「涼」
店の営業に必要な、それも新たな定期的な収入源になるかもしれない新規のお客様を追い出したとあれば、流石に俺でも怒るかもしれないし。
甘んじてお叱りでも何でも受け入れよう。
「よくやったわねぇ。あいちゃんを助けるために頑張ったんでしょう? そんなバツが悪い顔しないで、シャキッと胸を張りなさい。……大丈夫、涼は優しい子だからねぇ……自分のために悪いことなんて出来るわけないもの。信じてるわ」
ばあちゃんっ……! やっぱばあちゃんはばあちゃんなんだよ!
いかんいかん。せっかくおばあちゃんが許してくれているんだ。自分の過ちを反省出来るのは俺しか居ない。
どうすれば穏やかにあのf○ckin'ピザデブを帰らせることが出来たのか。
うぅむ。結構出来上がってたからなぁ……どうしようもない感はある。
「あれ? 佐藤くんなんか濡れてない?」
「あー、水ぶっかけられただけだから大丈夫」
その一言を放った瞬間、おばあちゃんは人の頭の半分ほどの大きさの出刃包丁を取り出し、エイヒレを持ってゆっくりと厨房から出ていこうとする。
「……あら、あらあら。お客さんにエイヒレ出さなくちゃねぇ……」
「ばあちゃん? おばあちゃん?? お祖母様???」
出ていってしまった……。
あのおばあちゃんのことだ。まさか殺しはしないだろう。にしてもあと馬鹿でかい包丁は一体何に使うつもりだったのか。というか居酒屋になんでそんなデカイのあるの?
耳を澄ますと店内から
「おい! 婆さんがヤル気だ! 誰か止めろ!」
「そんなん無理っすよぉ! 誰が元最強を止められるんすか!」
「人死には避けないとやべーだろ!? お前ら止めるぞ!!!」
なにやら楽しそうなパーティが開かれている声が聞こえる。
あのおじさんたちならおばあちゃんを止められるだろう。多分。
あそこまで心身が凍りつくような穏やかな笑みのおばあちゃんも見ない気もするが。
「おばあちゃん行っちゃったね。佐藤くんホントに大丈夫そう?」
「大丈夫だ。ごめんな星野。怖い思いさせちゃったよな」
「全然大丈夫! 守ってくれたし!」
「それならいいんだけどな」
「……佐藤くんが助けに来てくれて、実はとっても安心したんだー。
小学生では40後半の酔っ払ったデブの力には絶対に勝てない。腕を掴まれてたんだしそのくらいはわかってるはず。めちゃくちゃ怖い思いをしただろう。
抵抗も出来ないとわかってるのに、それなのにこいつはまだ働こうって思ってるのか。
そこまで、おばあちゃんの居酒屋がこいつにとって居心地の良い場所ってことか!
やっぱおばあちゃんだよなァ!
星野もよくわかってるじゃないか!
「当たり前だ。今度は触らせもしねぇから」
「期待してるよー?」
「任せとけ」
こうなったら休んでも居られねぇ! 客から注文取ってこよっと。
▼
「お、ようやく戻ってきたな坊主! おめぇも婆さん止めてくれよ! あんだけキレてる婆さん見るのも久しぶりだぜ?」
「りょーかーい。おばあちゃん! 料理出したいから戻ってきて!」
「おいおい、そんなんで戻る「あいよ〜!」……戻ったな……豹変っぷりが逆に怖ぇよ」
「おばあちゃん俺に結構甘いから」
これは本当。なんだかんだおばあちゃんは俺に甘いのだ。
「で、あのデブどうなったの? あ、あと注文受け付け再開するから言って」
「あーあのデブなぁ。なんか妙に冷てえからアル中で心臓止まったのかとも思ったが、別にそんなこともねぇからよぉ。よくわかんねぇよな。とりあえず店の隣に転がしといてるぜ。運が良けりゃ財布もスられねぇんじゃねぇか? 鳥串10本とキャベツの漬物ひとつ、あと生ひとつで」
「ふーん? 生きてんの? それ。おばあちゃん! 鳥串10! キャベツの漬物1つ! 生ひとつだって!」
「一応な。ったく昼間っから飲んでるやつはこれだからろくな奴が居ねぇんだ」
「一部自分に返ってきてる気もするけどねおじさん」
「今日はやること終わったから早めに来てやったんだろうが。ほら、これやるよ」
ポイッと輪ゴムで止められている1000円札の束が投げ渡される。
確認する。
「わっ。5000円じゃん。いいの? ろくな事に使わないよ? 俺」
「今日初めてだろ? あの嬢ちゃん。あんな事があったからなぁ……一緒に遊ぶのにでも使ってやれ。色男」
「だからそんなんじゃないって……」
「嬢ちゃんはまた来そうなのか?」
「まぁ……来そうではあるね」
「ははは! そりゃ楽しみだな! 若人のやり取りは最高の酒のつまみなんだぜ?」
厨房から注文された品を運び、つまみの小皿が疎らに広がったテーブルの上に並べていく。
「はいはい、普通のつまみでも食っててくださいね〜」
「ぅむ。確かにおめぇらちっこいからなぁ。ここの常連連中にゃ気をつけろよ〜? なんかある事にお小遣い渡されかねん。俺みたいにな」
なにやらしたり顔で忠告してくるおじさん。ちなみに俺が貰ったお小遣いたちの最高金額はこのおじさんがトップを独占している。
酔っ払った勢いで2万出された時は流石に遠慮した。結局貰ったけど。
ちなみに2万はチョコに溶けました。
この日は7時まで俺たちは働き、その後料理の余りで賄いを一緒に食ってそのまま帰らされた。
賄いが美味いんじゃあ。
今日はびっくりしたな。
俺ってあんなに怒れるんだ。今まであそこまで怒ることってなかったからなんか新鮮な気分。
やっぱ星野か? あいつがキモデブおぢさんに捕まってるのが俺の怒りを呼び覚ました説はある。
いや俺のご尊顔に水ぶっかけられて単純にキレ散らかした説も全然無くはないな……。
……俺の中で、思ったよりも星野は大きくなりつつあるのを感じる。
ええ、もちろん本編には関係ないどうでもいい話ですが、僕は球磨川くんが好きです。
特に『却本作り』。
早くお泊まり会イベントまで行きてぇもんだ。