なんかまっ○ろくろすけに懐かれた。   作:レトルトところてん

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星野アイってどんな口調なんだろう。
嘘ってなんだろう。
ノイローゼになりそうだぜ。

はい。続きです。


未知への考察。もしくは自己理解。

 

 

 嘘つきの女王こと星野アイがこの学校に転校してきて約3週間。

 分かったことが3つある。

 

 1つ目は星野アイは顔がいいということ。

 残念なことに俺にはやけに美声な人間大のまっ○ろくろすけにしか見えないが、これは恐らく間違いないだろう。

 

 クラスの男子たちはやつが来てから妙にかっこつけたがるようになったし、本人にしょうもないちょっかいを掛けている。

 

 俺がやつだったら即先生にチクって大泣きコースからの俺へのアンタッチャブル化一択だな。

 

 見てて普通に鬱陶しいし。

 

 

 おっと話が逸れた。

 

 2つ目は星野アイには親が居ないことだ。

 この発見は丁度昨日の授業参観からなる。

 

 あの時教室の後ろに立っていた大人たちは学校のHRが終わると、颯爽と自分たちの子供を連れて帰って行った人がほとんどだった。

 

 そして、その中にあいつは居なかった。

 

 これだけの材料だと星野アイには親が居ないと判断するには早計が過ぎると思われそうだが、まだ他にも判断材料はある。

 

 俺たちはまだ小学二年生であり、当然道徳の授業も入ってくる。

 

 微塵も面白くない常識を語られて、俺はまったく日本の道徳観念への教育には頭が上がらない思いだったが、つまらない授業にも思わぬ収穫があった。

 

 授業の内容は親へ感謝のメッセージを書くというものだったのだ。俺は爆速でおばあちゃんへの感謝のメッセージを書き上げると机に顔を伏し、聞き耳をたてた。

 

 

 すると担任は星野アイの席まで近寄っていくと小声で

 

「普段お世話になっている職員さんでも良いからね」

 

と言っていた。

 

 わざわざ星野アイの近くにまで行って言うことでもないのにそう言うってことはつまりそういう事だろう。

 

 

 

 さて、3つ目。

 これには流石の俺も驚いた。

 

 

 1つ目と2つ目は有り得なくもないと思っていた。

 

 虚言癖レベルにまでいく精神性を持つ人間は大抵どこか生い立ち、経歴にそうなるべくしてなったと納得出来る要因が存在する事が多い。

 

 顔がいいことで周囲からのやっかみを買うことなどさして珍しいことでもない。出る杭は打たれるというやつだ。

 

 しかし、それだけであのレベルの嘘を吐けるようになれるとは到底思えなかったから、1つ目と2つ目が同時に存在しても大きな驚きはなかった。

 

 

 問題の3つ目は、やつはおそらく動きで嘘をつけるということだ。

 テレビとかでアイドルや俳優が喋っていないのに黒い煙を出しているのを見るが……。これを機に考えるとしよう。

 

 

 よく分からない人も居るだろう。俺も教えて欲しいくらいだ。

 動きで嘘をつけるとはなんだ?

 動きとは物体が移動することだ。

そこに嘘もくそもなく、事実しか存在しない。

 存在しえないはずだ。

 

 

 しかし現実、俺の目にはやつが何も喋っていないのにも関わらず、何故か身体から黒い煙が放出されている。

 

 ついに俺の目がバグったのかとも思ったが、星野アイ以外には正常に働くので問題があるとも思えない。

 

 

……一旦冷静に考えてみよう。

 嘘をつくとはどんなことを示す?

 

 事実とは異なる虚実を語ることだ。

 

 なら動きで嘘をつくとはどういうことだ?

実際の動きとは異なる動きをする?

 いや、実際に空間に存在する物体は単一でしかない。真実しか有り得ない。

 

 だめだ行き詰まる。

 

 考え方を変えよう。

 

 嘘とは概念的なものだ。真実と虚実、この2つが存在することで成り立つ。

 そう、嘘とは概念的なものなんだ。

仮に嘘の言葉を発したとして、

物理的にはただの言葉の響きでしかない。言葉とは空気の揺らぎだ。

 

 なら何故俺の目は人の嘘を、概念的なものである嘘を見抜ける?

そうだ。俺は人の嘘を見抜けるんだ。

 逆に言えば人では無いものが嘘をついたとしても俺は気づけない。Sir○とかに嘘つかれても何もわからない。

 

 人にあって機械に無いもの。

 

 心か?

 

 !

 

 馬鹿か俺は。

 

 空間に存在する物体は単一でしかない?

 

当たり前だろそんなこと。

 

 俺が見抜いているのは嘘という概念そのものではなく、嘘をついていると感じている相手の心そのものなんだ……!

 

 精神が、気持ちが、心が脳に命令を下し、体を動かしているなら。体の動きはその心の表れなんだ。

 

 本当のことと異なることをしている。その異なることを本当のことのように振る舞っている行為を、俺は黒い煙として視認している……のだと思う。

 

 女優やらアイドルやらが動作だけで黒い煙を出せるのもこれが原因だろう。彼らは嘘を真実かのように演技する技術に長けている。

 

 しかしそんな彼らでも流石に顔は見える。ということは……星野アイは、小学二年生にして、現役女優やアイドルを超えるほどの嘘つきということになる……が…。

 

 

 化け物かな??????

 

 

 まったく、やつのせいでめちゃくちゃ考えさせられた。

 

 まぁお陰で俺の能力についての理解も深まったが……。深まったか?これ。なんか余計によくわかんなくなりそうだ。端的に言ってしまえば結局何も変わらず人の嘘がわかるってだけだし。

 

 

 総括。星野アイは顔が良く、施設育ちで、なんと動きで嘘をつける人間だ。

 

 

 ……3週間、欠かさず観察した成果がこれかぁ。

 

 聞けばわかることで草

 

 より濃密に星野アイのパーソナリティを理解するには、やはりコンタクトを図ること以外に有り得ないだろう。

 

 

「よしっ」

 

 

 今、この昼休みの時より俺は星野アイとコミュニケーションを積極的に取ることを決定する。

 

 

「はぁ……頑張るかぁ」

 

「悩ましげなため息だね。何か悩み事?」

 

「……なんでもないよ」

 

「ふーん?」

 

 

 まっ○ろくろすけが意味ありげに薄く笑う恐怖。

 

 やっぱこええええええよおおお!!!

 




これでいいのか迷うところじゃよ。
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