こういうの書いてる時が1番楽しい。筆乗ってる時はマジで載ってくれるんだけどね。
全く、度し難いッ!
続きです。
__いただきます!
「……っ! おいしぃ〜! すっごく味濃い! これ美味しいよおばあちゃん!」
「ふふふ、そうでしょう? 佐藤家の秘伝の調理法ですからね。お塩に醤油、砂糖に少しだけ生姜を入れて作るのよ」
「ちなみにこの味にするのアホほど難しいからな。未だにこの俺ですら真似できないほど繊細な煮具合だ」
星野が美味しそうに食べているのはおばあちゃん特製の大根とタコの足の煮物である。本当に美味しいし俺も作れるようになりたいと願ってやまない代物であるが、いかんせんおばあちゃんの料理技術は直感と経験に裏打ちされたものであるので、未だに俺は真似できていない。
無意識に食材の状態を感じ取り、上手く煮るのに最適な調味料、時間、火加減を調整するのだ。
目分量とは思えぬ精密さのスーパー居酒屋店主がおばあちゃんなのである。
「そうだ。お風呂も沸かしてありますからね。レディーファーストであいちゃんから入ってもいいのよ?」
お風呂となるとバスタオルやら下着やら服やらが必要となってくるわけだが……星野手ぶらで来てたよな。
「……そいや星野、お前荷物持ってきて……」
「ないよ!」
「ないかー! そっかー!」
ないらしい。どうしよう。小学2年生女児の着る服なんてうちにあったか。……まぁ性差もまだ出にくい年齢だし、俺の服でいいか。俺も星野もチビだしな。
「ふふ、大丈夫よ。いざとなれば涼の服でも着ればいいわ。こんなこともあろうかと、涼の服は可愛いのを多くしているのよ」
そうだったの? そういう目的があったの??? ただたんにおばあちゃんの趣味だと思ってたぜ。俺としても似合ってれば何でもいいと考えるタイプなので、不満はなかったけども! 流石おばあちゃんだ。さすおば。
「えっ、いいの? おばあちゃん!」
「ええ。もちろんいいわよ……! いいこと考えたわ。あいちゃんは私と2人でお風呂に入りましょうね」
「はーい!」
「勝手に俺の歯ブラシとか使うなよ」
「むー、使わないよ〜! そんな子供っぽくないしっ」
子供っぽくないって言うやつほど子供なんだよねぇ。まぁ俺は大人顔負けの思考力を持ち合わせていると自負してますけどね?
ふっ
俺は勝ち誇った表情で食事を続ける。俺はぶなしめじが好きなので、最近おばあちゃんにお願いしたら味噌汁にぶなしめじがレギュラー入りするようになったのだ。
お陰で味噌汁が今日も格別に美味い。
「……○鉄」
「やめろ。悪魔の単語を口に出すんじゃない! 呪われるぞ!」
「呪われてるのは佐藤くんだけなんだよね」
「ぐぬ……」
だがしかし、おばあちゃんも参戦してくるそうなので、必然的に遊ぶゲームは○鉄になってしまう。マ○オカートとかリ○ム天国は慣れてからじゃないと難しそうだしな。
ちなみにリ○ム天国では互角の戦いを繰り広げました。俺と星野どっちもパーフェクトで少し満足したのは秘密である。我が宿敵に相応しい。
今のところ勝敗は3:1と言ったところか……引き分けは1とカウントする。
だが楽しみだぜ。ふふ、ふは、ふはははははは!
今宵、やつは地獄の苦しみを味わい、空気を吸うことすらままならず地べたに這いつくばることになる。
テレビに映った番組についてギャーギャー喋ったりしつつ、10分ほど時間が経過する。
「……この人は……ダメね」
「あっ、やっぱり? なんかオーラないよね〜! うーん、顔は良いんだけど……なんでだろ」
「人としての厚みは経験を重ねることでしか増えないもの。あと数年経てば雰囲気もこなれた感じになるかもしれないわねぇ。あいちゃんも結構わかる子なのね」
「ふふん、才能ある人は特に覚えられるんだよ!」
ボコボコに批評してる……。星野とおばあちゃんの組み合わせは予想以上にマッチしてしまうのかもしれない。
まぁ俺の嘘を見る目からしてもあの男性俳優は実力が足りてないが。嘘の質が低すぎる。星野を見習って欲しいくらいだ。
つらつらと考えつつ、俺は茶碗に盛られた米を1粒残らず食べ終えた。
「ご馳走様でした。食器は自分で洗うから」
「あら、あいちゃんが居るんだもの。大人しく2階でお布団の準備でもしてなさい。お風呂の準備ができたらあいちゃんも呼びに行くから」
「わかったー! さっさと……いや、味わって食ってから2階来いよ〜星野! 先に布団の準備しとくから!」
片付け不要の旨を受け取ったので、大人しく茶の間を出て、すぐ横の階段に足を引っ掛ける。そのまま星野に呼びかけてから上がる。
うちの階段急だからなぁ……星野が転ばないか不安だ……。
「えっ、ちょっと待ってよ〜! 私もやる! それ! おばあちゃんご馳走様! 凄く美味しかった!」
階段を登り終えたくらいで下から騒がしい声が響いてくる。トットットットと階段を勢い良く登り詰める足音がした。
「……そんな急がなくてもいいのに」
「いや! っふぅ……なんでこんな急なのかいだん……ふぅ……いや! 布団の準備とかそんな楽しそうなことやるに決まってるじゃん! 枕投げしようよ! 枕投げ!」
黒い煙の塊が階段をすごい勢いで登り、こちらに迫ってくるという軽くホラーな光景を目にしてちょっとビビった俺は少し塩対応になってしまう。
慣れねぇもんだぜ。(震え声)
2人で2階の俺の自室に入る。我が自室はかなり広い。襖で区切られてはいるが、それを開け放てば結構動いても問題ないくらいだ。もちろん押し入れもある。
元々は俺の母親が使っていたらしいが……まぁ関係ない。
「えっ、広くない? こんなに広い部屋で寝てるの佐藤くん」
「おう。結構色んなことできて楽しいぞ」
「……おばあちゃんは? どこで寝てるの?」
ふーむ? 妙なこと聞いてくるじゃないか星野くん。何を目論んでいるのかね。
「1階の茶の間の向かいの部屋で寝てるぞ〜」
返事をしながら押し入れに向かう。中にはもう使わなくなった布団類が2つほど入っているので、こいつらを引っ張り出す。うわ、ホコリすげぇ! 数年しか経ってないのにこんなにも溜まるものなのか。
「……佐藤くんはさ。さみしくないの?」
「さみしくないかって? うぅ〜ん……」
寂しくないか、かぁ……。考えたこともないな。クソ共から逃れられただけ御の字。ひとりで安心して寝られる環境はむしろ天国のような睡眠の質を提供してくれる。
だから寂しくはない。
「寂しくない、かな……今はこうやって泊まりに来る友達も居るしな?」
「……そっか。そうなんだ。ふーん? そっ「隙ありぃッ!」ごふっ……」
なんかニヨニヨして煽り散らかしてくる気配を感じ取ったので急遽枕を取り出し、投擲ぃっ!
ヒット! これはおそらく顔面かそこに近しい位置にクリティカルヒットだぁぁぁ!
脳汁が分泌されるのを感じる。
枕はふわふわのものを使用しているので当たったところで問題は何もない。煽りイベントはキャンセルするに限るぜぇ!
「そういうことしちゃうんだ。そっかー。佐藤くん結構そういうとこあるからね……? うんうん、別にいいよ? 別に私怒ったりしないし。別に佐藤くんがどこまでもKYだったとしても責めたりしないよ? でもなー? そういうことしちゃうなら私が本気で反撃してもしょうがないよね?」
瞬間。爆発的にまっ○ろくろすけから飛び出る暗黒。H○NTER × H○NTERで見る熟練者の練のように膨大な嘘の煙が星野から噴出する。
こ、これは!? まさかッ!? 溢れ出る嘘の煙ッ!?
な、何も見えぬぅッ!!??
いかん、これは間違いなくキレ散らかしてる。そうか、こいつは学んでいるのだ。過去のじゃんけんで俺と戦い、そして勝利した経験からこの俺の弱点が嘘の煙であることを見抜いているッ!
どう対処すれば……!「へぶっ」
黒い嘘の煙に包まれ、もはや持っている物すら見えなくなったまっ○ろくろすけ。そこから突如として飛んでくる枕!
読めない……! モーションが何一つ! どうすれば……否、どうにかするしかない!
視覚情報は潰された。ならば、俺が取得するべき情報は音ッ!
急いで俺は押し入れにある枕ズを取り出し、邪悪なるまっ○ろくろすけを討伐するべく枕二刀流を装備した。
聖戦だ。負けられない戦いが、今! ここにある。
「行くぞォ! 星野ォ! 枕の貯蔵は十分か!」
「きっとまともに見えないのによくやるよね〜。えいっ」
はっ! どうせフェイクのかけご「ゴフゥッ!?」
全然フェイクの掛け声じゃなかったァ! 思いっきりストレートに飛んできやがった! くそ、完全に読まれてやがる。
顔面に引っ付いた枕を取り、とりあえず牽制で右手に持った枕を星野にぶん投げる。
しかし案の定キャッチされている。多分。より増大した戦闘モード嘘つき魔神星野アイの状態を正確に知るのは至難の業だ。
だがそれでいい、それがいい。敵は強ければ強いほどいい!
「枕2連ショットォ! 片方を取ってももう片方は避けられまい!」
「きゃっ、あぶないなーもう! でも受け止められ「るとちょいとでも思ったのかぁ? マヌケがぁ!」え__へぶっ」
「俺は押し入れの近くに陣取ってるんだぜぇ! 追加の枕くらい補充可能ッ! ふはははは!」
俺の2連続という発言で、攻撃は2回で終わりという認識を植え付け、おそらく2連続で放った枕を受け止めたであろう星野はもう両手が塞がっていると見込んで、俺は更に押し入れから第3の弾丸を放った。
ふっ、雑魚め。視覚を潰されようとこの俺にはIQ3000の天才的頭脳があるのだよォ!
その後? あぁ、もちろん星野を呼びに来たおばあちゃんに怒られましたよ。ええ。
俺も星野も埃まみれになり、ついでに部屋も埃まみれに……。
しょうがないので星野がお風呂から上がるまで大人しく掃除機をかけることにする。
布団敷く前にやってよかったマジで。布団敷いた後に埃取るとか地獄だからな。
かなり涼くんも拗らせているので、うちのアイちゃんは大変ですね。