なんかまっ○ろくろすけに懐かれた。   作:レトルトところてん

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なんか日間1位になってました。
推しの子×星野アイブーストがド素人を天へと射出する……!

ありがたいことですね。
なんか書きたい場面は色々あるのに時間が足りない。

では続きです。


未知なる感情。もしくは白星の情動。

 

 

 

 

 さて、ほんとにどうしよう……(弱気)。

 

 

 俺は未だに星野の顔を見たことがないのだ。

 

 顔が良いことは星野に対する周囲の人間の態度からなんとなくわかるが、ただそれだけ。

 

 

「もしもーし、生きてる?」

 

 

 星野が俺の前に手を突き出し、手のひら?をヒラヒラさせている。

 

 なんか毒ガス攻撃喰らってる気分。

 

 

 ……待てよ? 発想を転換させろ。逆に考えるんだ。

 

 

 本当の星野を描く必要なんてあるのか。

 

 

 本当は上司が30代後半くらいのおばさん顔に見えても、おべっかを使い20代後半と嘯いて、ご機嫌を取ったりする大人たちの存在を。

 

 俺は見たことがある。

 

 その時の俺は人間って見苦しいなー。

 と高みの見物を決め込んでいたが……彼らの行動は正解だったのではないだろうか?

 

 

 彼らの嘘は優しい嘘だ。

 

 

 誰も傷つかず、誰も損をせず、お互いにWIN―WINな関係を築いていたように思える。

 

 

「うーん……そうだ! 佐藤くん動かないし先に描いちゃうからねー」

 

 ____えーと、大きさはこのくらいで……

 

 

 星野の顔をとんでもないブサイクのように描き上げたら、そりゃ好感度と信頼度は下がり、お互いに今後の学校が気まずくなってしまうだろう。

 

 

 だが、逆に見ているだけで心が沸き立つような素晴らしい程の美少女として描き上げてしまえば……星野は自分がどのように俺に捉えられているかを感じさせることが出来るのでは?

 

 

 やつも女の子、可愛いと思われて嬉しくはあれど、気分を悪くするようなことはないはずだ。

 

 

 完璧な理論だ。パーフェクトセオリーと言っても良い。

 

 

 ただ1つ問題があるとするなら……雰囲気や髪型、髪の色や長さが1ミリたりとも星野に一致しなかった場合、

 

 おめーだれを描いたの?? ホントに私の事描いたん??? えぇ? なんか言ってみろよ!

 

 こんな状況に陥ってしまう危険性があることくらいか……。

 

 

「髪は金色で……目にかかるくらい。よし、目の色は……青……じゃないか。藍色?かな……うん」

 

 

 虚空を見つめ固まっている俺を観察する星野。

 

 

 思ったよりこれ、結構諸刃の剣なのでは?

 

 

 ここで髪の毛の色や長さくらいだったら推測できないか考えてみる。

 

 

 俺の眼は嘘を視認する。だからこそ俺は星野の姿を見ることが出来ない。

 

 

 しかし、嘘をついている本人から離れた物体は、嘘の煙を纏うこと出来ないという性質は、今日の朝、俺が星野ジャンバーを確認していることからも容易にわかるだろう。

 

 

 そして、その性質は本人から抜けた髪の毛も、例外ではない。

 

 

 つまり。

 

 

 やつの抜け毛を探せば……少なくとも髪の色、長さはわかり、俺はこの窮地を脱することが出来る!

 

 

 勝ったな。この俺の類まれなる天才的頭脳がまたしてもピンチを乗り越えてしまった。

 

 

 

 ………………。

 

 

 

 ……抜け毛なんてあったかなぁ……?

 

 

 星野は適当に見えて実はそこそこ身嗜みはしっかりする方だ。

 間違いないだろう。学校に行く時は特にしっかりしてるよーと本人が言ってたし。

 

 

「そういえば、まじまじと見た事なかったけど……ほんとに顔良いんだ……」

 

 

 嘘だろ? ここまできて終わりなのか? こんなしょうもない図画工作の時間で俺は、人生最大の大博打に出なければいけないのか?

 

 詰んだと見せかけて実は詰んでないのはフェイクだったのか……!

 

 

 今までありがとう、星野。

 

 

 君から貰ったチョコは、可愛いウサギのデコレーションが綺麗で、甘くて、とても美味しかった。

 

 

「んー……ここまで描けば文句ないでしょ。うん! うまいうまい!」

 

 

 俗に言う義理チョコではあるんだろうが、それでもぼっちの俺には嬉しかったよ。

 

 ちなみになんか()()()みたいの混じってたけど、そこはまぁ俺は寛大な心で許してあげたのだ。

 

 

 ……そいや変な紐みたいなの混入してたな。

 めっちゃ細いやつ。おかげでちょっとだけ舌切ったし。

 

 なんか黒っぽい紫で結構長めの……!?

 

 

 その瞬間、俺の脳裏に閃光が走った。

 

 

 これ、髪の毛では?

 

 

 確か……指先から肘までの長さの3分の2くらいだったな。

 

 両手で引っぱって遊んでたせいかよく覚えている。(小学2年生)

 

 ちょうど髪型でいうとボブくらいの長さ……!

 

 

「待たせたなッ! 星野ォ!」

 

「急に元気になり始めた……」

 

 

 悪いが俺は、才能だけはあるんだよ。

 

 

 さぁ。ここからは俺の時間だ。

 

 アイドル級の激カワ小学生にしてやるぜぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ。上手いだろ?」

 

「これは…ふーん……なかなか……」

 

 

 流石の星野もこの似顔絵には圧倒されたようで、時折こちらをチラチラと見ながら我が傑作を凝視している。

 

 

 髪の長さはボブ。

 

 髪の色は黒っぽい紫。

 

 艶々とした光沢に、少しだけ跳ねた枝毛。

 

 まつ毛はしっかりと入れ、下まつ毛も不自然じゃないくらいに描き込む。

 

 目は顔のバランスを崩さない程度に大きめ。

 

 瞳の色は紫色に。

 

 どうせなら俺とお揃いにしてやろうと茶目っ気で目に星マークを入れ、

 歯を見せつけながらニヤリと笑ってる星野(理想)にしてやった。

 

 

 反応は見ての通り上々。

 

 

 史上最高に可愛い絵を描いてしまった。

 

 俺は星野にこんな女の子であって欲しいのかもしれない。

 

 でも星野は星野で、俺の友達。いつか顔を見ることになっても解釈不一致と厄介オタクのようにはならないことを今のうちに誓っておこう。

 

 

「どうだ? 似てるだろ」

 

「いやー、参ったなー……思ったより恥ずかしいもんだね」

 

 

 俺の予想だと星野は絶対ちょっとくらいは顔が赤くなってるはずだ。

 

 

 くそう、素顔が見られないのが悔やまれる。

 

 

「星野の描いた俺は果たして人間なのか楽しみだ」

 

「佐藤くんの見たあとだと自信なくすなー、やっぱなしでいい?」

 

「だめです」

 

「うーん……はい」

 

 

 星野から手渡された画用紙を回し、見やすい角度にする。

 少しだけ不安そうにそわそわする星野。

 

 

 どれどれ……____________!?

 

 

「え! お前星見えんの!?」

 

「星?……あー、ここの佐藤くんの眼の中に描いたやつのこと? なんかイメージ湧いてきちゃってさー」

 

 

 マジかよ。

 

 おばあちゃんも見えなかったのに……こいつには、俺の星が見えるのか。

 

 いや、見えてるわけじゃない。無意識に感じ取ったのか?

 

 

「で、どうかな? 佐藤センセ。私の作品の出来栄えは」

 

 

 ふぅーっ……。一旦落ち着こう。

 

 

 まずは星野の絵を評価してからだ。

 

 

 ふむ……ふむ………なるほど……。

 

 

「うん。率直に言おう。下手ッ!」

 

「えぇー? そんなことないよー! 佐藤くんのと比べたらあれってだけで……ほら! こことか! 腕なんだけどよく描けてると思わない?」

 

 

 嘘はない。……こいつマジか。

 

 

「思わねぇよ! 顔がデカすぎる! あと胴体に対して俺の腕貧弱過ぎるだろ! もはや爪楊枝じゃねぇか!」

 

「むぅ……」

 

 

 私的には上手いと思ったんだけどなーと小声で呟く星野。

 

 

「ぐ…………ま、まぁ、クラスのやつよりかは、100倍上手いことは認めてやる……けど」

 

「本当!? だよね! いやー私もそうだと思ったんだー♪」

 

 

 これは本当。小学二年生が描いた絵にしては特徴を捉え、線が綺麗なむしろ上手い絵だと言えるだろう。

 

 素人なりに、日頃ネットで流れてくるイラストと戦いを繰り広げている俺の基準がバグっているのだ。

 

 自覚せねば。

 

 

「画家として生きていくのもありかも」

 

「お前ほんとすぐ調子乗るよな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「近頃不審者がこの学校の近辺をうろついているそうです。黒いフードで危なそうな人に気を付けてみんな帰ってくださいね!」

 

「では号令!」

 

 

 ________さようなら!

 

 

「だってよ星野。危険だと思わね?」

 

「そりゃそう思うけど……なんで?」

 

「最強無敵のボディーガードこと俺がお前を守ってやろうと思ってな。あとたまには星野と喋りながら帰りたいし、放課後ついてっていい?」

 

「あははー……そう言われると断りづらいなー……うん。いいよ?」

 

「だよなー、結構お前って秘密主義だ……し……え!? 今いいよ? って言った!?」

 

 

 マジ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさか本当に承諾されてしまうとは……。このリハクの目を持ってしても予想出来なんだ。

 

 まだまだ秘密主義の星野アイだ。ぶっちゃけ断られる前提で話してたところはある。

 

 しかし……楽しそうだなぁ! こいつ!

 

 

 隣を見る。

 

 擬音が出そうなほど体を弾ませながら歩くまっ○ろくろすけ。

 

 後ろから俺たちを照らす夕日がいい感じに星野の影を伸ばし、ホラー感が倍増している。

 

 実にやめて欲しい。

 

 

「なんか、新鮮?な気分。私普段人と一緒に帰ったりしないから」

 

 

 星野と2人で雑談しながら歩いていると、星野が前方にアイスクリーム屋台を発見した。

 

 ________あっ、ちょっと待って!

 

 ________なに?

 

 ________見て? これ! すっごい美味しそう!

 

 ________はぁ……。

 

 

「俺と違って友達たくさん居るのに贅沢なやつだな……」

 

 

 ________すいません。これ一つください。

 

 ________わっ、ねぇ。いいの? 

 

 ________いいよ、別に。アイスくらい買えるし。

 

 

「でも一緒に学校から帰ったりする友達は佐藤君だけだよ?」

 

 

 もう。

 

 ……なんか、恥ずかしー……。

 

 

 話したいこととか色々あったけど、なんかもう全部吹っ飛んだわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、施設にお世話になってるんだけど、流石に友達連れてくるの不味いと思うから……この辺で。また明日ね!」

 

「おう。また明日」

 

 

 ……さて。帰るか。結構歩いたなー。絶対こんな時間かかる距離じゃないのに……。

 

 あいつめ。余計な道草ばかり食いおってからに。

 

 

 既に日は落ち、街灯が役割を果たす時間帯になっていた。

 

 街中の電光掲示板に大量の虫が寄っている。

 

 

 きもちわる! 虫苦手なんだよなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうそう、俺は自宅を目指しながら今朝のことについて考えてみた。

 

 

 俺は星野アイに何を求めているのか。

 

 

 星野が転校してきて初めの頃は

どうしてまっ○ろくろすけになってしまったのか。

 

 その理由を知るために仲良くしようとしていた。

 

 

 仲良くなることは星野の背景を深く知るために必要な手段だと初めの頃は思ってた。

 

 

 もちろん、星野のこともっと知りたいし、どんな過去があったのかも気になるし、知る機会があるならそれに越したことはない。

 

 

 でも。今はもう、別に星野の過去を無理に知ることに拘る必要はないと思っている。

 

 

 いつしか、俺の目的と手段は入れ替わっていたんだ。

 

 

 深く星野を知るために仲良くなるんじゃない。

 

 もっと仲良くなりたいから、星野を知ろうと思うようになっていた。

 

 

 打算じゃない。下心なんて微塵もない。

 

 

 正直に言おう。

 

 

 俺は星野アイに、まっ○ろくろすけに惹かれ始めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




僕はいつでも星野アイを幸せにする小説を待ってます。

あと最近うちの主人公にぼっちちゃん味を感じ始めてます。
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