Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP:BAD CANDY/yukaDD(;´∀`)


#13 BLACK BASE RAID 06 ブラック基地襲撃 06

DG小隊と協力しデヴィンターの身柄を確保。作戦は事実上成功を収める事が出来た。

基地の人形達は苦痛から解放された事を泣いて喜び、中には抱き合っている者までいる。

 

基地の職員(スタッフ)に扮した悪党の内何人かは基地から逃走したようだが、基地の戦術人形達に呆気なく捕縛されデヴィンターと共に本社に移送後取り調べを受けさせる事になった。

 

デヴィンターの執務室からはノートPCも押収され、恐らく本社に持ち帰った後に洗い出しが始まりこれまで結託してきた暴走族の所在も、犯した悪事も白日の下に晒されるだろう。

 

「協力に感謝するよ、ミスター・スメラギ」

 

「ヒロでいいよ。俺たちこそありがとう、バレット達がいなかったらもっと手こずってたかもしれないんだ」

 

作戦が済んだ両陣営の長であるヒロとバレットは互いの奮闘に感謝し握手。

 

ヒロ達が基地を制圧し、感謝の握手を済ませて数分経った後にG&K(グリフィン)のロゴを貼っているCH-47F(チヌーク)が2機到着。恐らくバレット達が寄越したのだろう。

 

グリフィンのCH-47Fが着陸しようとしている地面のすぐ隣には、側面に走る様の狼が描かれているUH-60M(ブラックホーク)が駐機している。

 

そのUH-60Mから降りて来たのはヒロよりも若干年上と思われる黒短髪の青年。

 

「ようボス、お疲れさん」

 

「ユウゴも、援護サンキュー」

 

先程デヴィンターが逃走の為に乗り込もうとしていたガヤルドを吹き飛ばしたと思われるRPG-7の発射機を担いだ状態のユウゴとヒロが拳を突き合わせる。

 

そう、デヴィンターが逃走しようとした直前にガヤルドが吹き飛んだのは、ユウゴが撃ったRPG-7の対戦車榴弾だったのだ。

結果デヴィンターは逃走手段を失いヒロ達に捕まったのである。

 

デヴィンターへの報復(仕返し)も済みグリフィンからの部隊が到着した今、ヒロ達がこの場にいる理由は無いだろう。

撤収しようとヘリに乗ろうとするがそこでヒロは何かを思い出したかのように動きを止め、グリフィンの人形達と話しているスミスを見る。

 

基地への侵入の際に、互いに地雷とクレイモアに気付きお互いを助けたが、戦術人形であるスミスに対しヒロは人間だ。吹き飛ばされれば修理で直るはずがない。そういう意味ではヒロはスミスからの()()はまだ返済出来ていない。

 

この先会う機会も簡単に訪れる物でもない為、何かお返しを考えたいヒロは、自分のズボンの右ポケットに異物感を感じた。

何かと思いポケットを漁ると、出てきたのはヒロがここに来る際に乗ってきた1967年型フォード・マスタング(エレノア)のキー。

 

トランクに押し込まれたり超満員状態(ギュウギュウ詰め)で後部席に乗ったりと彼にとっては良い思い出は全くと言って良い程無いが、ヒロが持っていた所で今までずっと倉庫の奥にしまい込んでいたのだ、また引っ張り出す機会があるとは言い切れない。

なら使ってもらう方がありがたいし、彼も車そのものは気に入っていた。

 

「スミス!」

 

そしてグリフィンの人形達がスミスから離れたタイミングでヒロが声を掛け、スミスがヒロの方を向いた時、ヒロが右手に握るキーを投げる。

 

突然何かを投げられたスミスは反射的にそれを受け取ったものの、見るとそれはヒロが乗っていた67年型マスタング(エレノア)のキーではないか。

どういう事かヒロの方を見ると、

 

「借りは返さないとな!」

 

ヒロはその言葉だけを返し自分達の方のヘリへと戻る。

 

ヒロ達のヘリは既にエンジンはアイドリングで待機し何時でも離陸できる。

ユウゴも乗り込み、続いてチカゲとヒロ、シズカも乗り込もうとするが、

 

「・・・シズカ、お前はバレット達と一緒にI.O.P.へ帰るんだ」

 

「え?」

 

突然の発言にシズカは硬直してしまうが、それはこの作戦が終わった後にヒロが考えた事である。

 

シズカ、もとい九九式軽機関銃はヒロが運良く保護しこれまで共にいたに過ぎないI.O.P.の試作戦術人形。

本来であれば既にI.O.P.にて諸々の試験を終えた後に正規の人形が製造され、各地のグリフィン基地にて活躍するはずなのだ。

それを何時までも自分の下に置いておく訳にはいかない。今までは機会がなかったがこれは彼女をあるべき所に返すチャンスでもある。

 

「どうしてですか司令官、一緒にいてくれると!」

 

「ダメだ、シズカは本来なら俺のような一個人が持っていい物じゃない。お前の力を必要とする人たちは他にいる」

 

「しかし司令官!」

 

「I.O.P.へ帰れ!これは命令だッ!!」

 

シズカが何か言いかけるもそれを怒号で無理矢理封じる。

 

本心ではヒロもシズカを手放すのは心苦しいが、彼女の事を考えればそれは叶わないのだ。

 

 

I.O.P.製だろうが鉄血製だろうが戦術人形は人間の姿を模した機械、言わば道具である。道具は使えば当然劣化したり各部が摩耗したりする。

その為にI.O.P.と提携するグリフィンでは定期的にI.O.P.へ戦術人形を送りメンテナンスしてもらう必要がある。しかし試作品である九九式軽機関銃(シズカ)はそうもいかない。

 

彼女に使われるパーツは未試験の為にまだ製造されていない。

そうなればメンテナンスのままならない状態、人間で言えば身体に癌が発症したような状態に陥り、最悪の場合機能停止()に陥ってしまう。

 

しかもI.O.P.のパーツは1つ1つが非常に精度が高く、そこら辺にあるガラクタを継ぎ接ぎして直せる物でもない。

 

 

言うなればI.O.P.への帰還は彼女を救う為でもあるのだ。

その為ならば嫌われる事も(いと)わないとし命令という言葉を使ったのである。

 

シズカが硬直する間にヒロがヘリに乗り、やがてシズカは立ち直るが、その時には既にヘリは上昇を始めていた。

本当なら今すぐ追いかけて彼の下に居たいが命令とあれば従う他ない。

シズカは目尻に浮かぶ涙を拭い、表情を引き締め姿勢を正すとヒロが乗ったヘリに対し敬礼をした。

 

 

「嫌われたかもしれないわよ?」

 

ヘリの機内ではシズカを突き放すように命令したヒロに対しチカゲが冷やかしを入れるものの、ヒロは気にしない素振りを見せる。

 

「いいんだ、これで・・・」

 

例え2度と会えない事になろうとも、これがシズカにとって正しい道だと信じている。

1度離れつつあるB03地区626基地を見やり、

 

「・・・じゃあな、シズカ」

 

ポツリと呟いたヒロの言葉はヘリのローター音に掻き消され、ヒロ達はアナトリアへの帰路につく。




ED:Prototype/石川智晶
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