Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP:BAD CANDY/yukaDD(;´∀`)


#14 LATER STORY 後日談

B03地区(ボスニア)626基地攻略作戦から1週間が経過した日。

 

シズカがいなくなった事を除けば変わった事はない・・・いや、強いて言えば僅かながらだが変化はあった。

 

まずは吉報、アンカラへの燃料輸送の際に暴走族からの攻撃で重傷を負った2人が快方へ向かい始めたとの事。生憎と完治にはそれなりに時間が掛かってしまうがそればかりはどうしようもない為待つ事にしよう。

 

もう1つは少し困った事。あの日に確かにヒロの援護に駆け付けたユウゴだったが、実は来ていたのはユウゴのグループだけではなかった。

デヴィンターの身辺を探っていた私設武装組織(フェンリル)情報部が突き止めた暴走族の拠点(アジト)強襲(カチコミ)を仕掛けたグループもあり、戦利品として武器や改造車・バイクを持ち帰ってきてしまったのだ。

 

武器に関しては自分達で使うので良いのだが、改造車・バイクに関しては少し対応に困る所だ。

ただでさえヒロとセラフの住宅も兼ねている研究所のガレージは普段使っていない車で満車(パンパン)である上、輸送事業のトレーラーの護衛用車両も事足りているが、だからと言って放置するのも忍びない。

 

そこでユウゴや他のメンバーと協議した結果、使わない車や接収した改造車は暴走族流のケバい改造や塗装、錆を直した上で転売しアナトリアの運営資金に回すという事になった。

 

中には車両を気に入り所有(キープ)を主張する者もいるがこれも時間待ちだ。

 

 

 

そうして、些細な変化がある中でもヒロは今日もアナトリア領内の見回りだ。

基本的に傭兵としての仕事がなければこうして領内を見回り挨拶して回ったり仕事中の仲間に労いを入れたりするのは最早日課となっている。

 

そんな中だ。

 

≪コマンダー、警備班より連絡。I.O.P.の輸送ヘリが着陸許可を求めているとの事≫

 

セラフから通信が入りヒロはどういう事かと首を(かし)げる。

確かに1週間前、正確にはヒロがチカゲとシズカを連れB03地区626基地へ侵攻した直後にI.O.P.社から連絡は入り自分達が保護した戦術人形スコーピオンと試作人形3体を回収しに御足労頂いたものの、他にI.O.P.が自分達に接触(コンタクト)を取る理由は無いはず。現にフェンリルの仲間達もそう思い保護した人形達の事は忘れようとしていた時にこれである為、警備班は若干だが困惑しているらしい。

 

「今更何の用だろうな・・・。分かった、ヘリの着陸を許可。すぐ行くから警備班には持ち場を離れるなと伝えてくれ」

 

≪了解≫

 

とにかく実際に現場に行って見てみなければ分からない。

ヒロは自転車を漕いで警備班の待つ場所へ急行する。

 

 

 

アナトリア領内、シュルナク県都シュルナク。

 

かつて検問所として機能していた防護柵近くの基地に彼らは居た。

そしてそこへひたすら自転車を漕ぎ続けヒロが辿り着く。・・・別の車も用意すべきだろうか。

 

「ボス!」

 

「状況は?」

 

フェンリル兵の1人に確認を取るべく声を掛ける。

目の前には確かにI.O.P.社のロゴを貼ったCH-47F(チヌーク)が駐機している。何が目的だろうか?

 

「司令官!」

 

「ッ!?」

 

背後から突然聞こえた声と呼び方に思考が強制的に中断される。

ヒロをそんな風に呼ぶのは、思い当たる限り1人しかいない。

 

ゆっくりと後ろを向いてみると、そこには2度と会う事無いだろうと思っていた人物が。

 

胸まで伸びる横髪と青いリボンで纏めた腰まで届く黒いポニーテール、旧日本軍第1種下士官軍装を模した藍色の服装と同色の膝上丈のボックスプリーツスカート。同じ藍色の靴下にスニーカーを身に着けている、鳶色の瞳を持った少女・・・。

 

「シズカ・・・?」

 

「はい!九九式軽機関銃、ただいま帰還いたしました!」

 

ヒロに対し姿勢を正して敬礼するその少女・・・戦術人形の九九式軽機関銃もといシズカがそこにいた。

 

しかし、改めてヒロの会えた事に感動しているシズカに対しヒロは困惑している。

 

シズカはB03地区626基地攻略後(あの時)に無理矢理突き放してI.O.P.へ返したはずなのだ、もうアナトリア(ここ)へ帰ってくるはずがないのに何故ここにいるのか?

 

「いや、何でここに・・・」

 

「ほっほ~う?君がそうなのかな?」

 

そこへシズカとは別の声がまた背後から聞こえた。

何だと思い振り返るとそこには何故か見覚えのある姿があった。

 

ツーサイドアップに纏めた銀のような綺麗な白髪の少女と金髪ツインテールの少女が。

あの時と違うのは服装だろうか。

 

ツーサイドアップの白髪の少女は襟と袖口に黒いワンポイント、白地に金のボタンをあしらった軍服調の上着とそこから主張する胸部、上着と同色の白いミニ丈プリーツスカート。

 

金髪ツインテールの少女は左眼に付けられた黒い眼帯、黒いジャケットにヘソ出しの黄色いインナーと軽快さを意識させる身軽な服装、左右で長さの違うソックスと赤いバスケットシューズ。

 

I.O.P.が引き取ったはずの戦術人形、MG08/15とVz61 スコーピオンだ。

 

そんな2人はヒロの前に立ってジーッと見つめたり周囲を回って横から観察したりと、まるで品定めするかのようにヒロを眺める。

 

「えっと・・・何か?」

 

いたたまれなくなったヒロは2人に確認を取る。

 

「いや~ごめんね?思ってたよりいい人そうだったからついね」

 

MG08/15が笑いながら返し、それにスコーピオンもうんうんと頷いている。

それに対しヒロははぁ・・・と気の抜けるような返事しか返せず頬をかく。

 

いや待て。彼女らの後ろをよく見てみれば他に2人おりどちらも見知った姿ではないか。

 

腰まで届く金髪ポニーテールと藍の瞳の少女に、真っ直ぐに下した長い黒髪の少女。

違うのはやはり服装だろう。

 

金髪ポニーテールの少女が身に纏うのは、ダブルボタンをあしらったグリーンのブレザーで袖口と襟はブラウングレーに赤いラインが入っている。それに合わせるはブラウングレーのミニ丈スカート、ブレザーと同じグリーンのソックスとブラウングレーのローファー。

 

長い黒髪の少女は学校制服調の紺とグレーのコートワンピースに翠色のリボン、制服と同じ紺のソックスと茶色のローファーを身に着けている。

 

その2人もヒロを発見し寄ってくるがそこで突然金髪ポニーテールの少女、戦術人形HK433が両膝をついて跪き、両手を組んで天を仰ぎ始めた。

 

「あぁ、主よ・・・穢れきってしまった醜き私に救いの御使いを遣わしてくださった、その慈悲深き御心に感謝いたします・・・」

 

「は??」

 

HK433がいきなり訳の分からない発言をし、ヒロは思わず首を傾げてしまった。

それはすぐ後ろにいる黒い長髪の少女、戦術人形LR-300も同じで何言ってんだこいつと言いたげに視線をHK433に向けている。

 

そんな若干カオスと化し始めている現場に、また別の人影が近づいてくる。

 

「あの、ここの組織の指揮官ですか?」

 

「え?あ、あぁ、まぁね・・・」

 

いきなり声を掛けられ咄嗟に返してしまった。

人影の正体、こちらはヒロも広告(カタログ)で見覚えがある。I.O.P.製のRF(ライフル)の戦術人形のM14。

付き添いなのだろうかと思案を巡らせていると、突然M14がこれをと言ってタブレット端末を差し出してきた。

 

何だと思いつつも端末を受け取り、画面を点けてみる。

 

《・・・ん・・・?おぉ、やぁ、初めまして傭兵さん》

 

画面に映し出されたのは、白衣を羽織り頭に猫耳が生えているボサボサの髪に隈が浮かんだ目元と不健康そうな女性が紙の資料を眺めている様子。女性は画面が点いた事に気付き資料を置くと画面に向き直る。

この女性もヒロは知っている・・・というより、知っていなければいけない相手だ。

 

「・・・I.O.P.、16Labのペルシカリア博士?」

 

《勉強はしてるようね、感心感心。多分貴方が今思ってるであろう疑問には私が答えてあげる。試作人形(彼女たち)実地運用試験(フィールドテスト)をお願いしたくてね》

 

「・・・はい??」

 

一瞬だが突然の発言にポカンとしてしまう。実地運用試験(フィールドテスト)とはどういう事だ?

混乱するヒロを余所に猫耳の女性、ペルシカリアは言葉を続ける。

 

《貴方は知ってると思うけど、デヴィンター元指揮官のおかげで性能評価試験(トライアル)が滞っててね。改めてスケジュールを組み直そうにも余裕が無いのよ。そこへ現れたのが貴方って訳》

 

ペルシカリアがグリフィンの女性上級代行官(ヘリアントス)から聞いた話によれば、傭兵率いる私設武装組織(フェンリル)は事業の都合で頻繁にならず者共と交戦(ドンパチ)をやっているそうで、それは突然帰還した九九式軽機関銃のメモリを解析した時に判明した、戦闘時や移動時に何処に負荷が集中していたのか等という自己診断プログラムの履歴という副産物(おまけ)付きで。

 

成行きとはいえ、本来ならI.O.P.でやる運用試験を代行してもらった形になったのだ。

 

スケジュールを組み直す余裕も時間も無いペルシカリアを始めI.O.P.にはまさに好都合。ならば引き続き性能評価試験(トライアル)を代行してもらおうではないか、そう至ったのである。

 

《勿論無償(タダ)とは言わない。試作人形(彼女たち)のメンテナンス費用はこっちで持つし、もし良いデータが手に入れば報酬(ギャラ)も弾んであげる。一応今回の九九式の件での報酬って事で1人行ってるはずよ》

 

ペルシカリアの発言にヒロはハッとなり、MG08/15と談話中のスコーピオンの方を向く。

ヒロの視線に気付いたスコーピオン、ついでにMG08/15はヒロに笑顔を向けてくれるがそれで気分が晴れる訳でもない。

 

《それじゃ、お願いね》

 

最後にそう言い残すとSIGNAL LOSTという表示が現れると共に通信は切れた。

やられた、とヒロは大きく溜息をつきながらタブレット端末を待機していたM14に返却する。

 

タブレットを受け取ったM14は談笑中のスコーピオン達に号令を掛ける。号令を受けた彼女等はすぐに整列する。

 

「Vz61 スコーピオンだよ、よろしくね~!」

 

「MG08/15だ。同志よ、共に立ち上がろうではないか!」

 

「HK433と申します。主の御心に従い、貴方にお仕えいたします」

 

「LR-300、本日付で着任しました。よろしくお願いします」

 

改めて人形達の自己紹介を聞くものの、ヒロの心は沈んだまま。

そんな彼女達のトリを務めるのはシズカ。整列したスコーピオン達も前で出てきて姿勢を正し敬礼する。

 

「九九式軽機関銃、正式に着任いたしました!よろしくお願いします、司令官!」




ED:Prototype/石川智晶


いや~ここまで来るのに掛かったなぁ~( ̄▽ ̄;)

それと前回言いそびれてしまいましたが、NTK様より「人形達を守るモノ」、コラボご協力ありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます!
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