Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP2:HIBANA/感覚ピエロ


#23 FENRIR SORTIE フェンリル出撃

────── 翌日、ヒロ達は早速行動を開始した。まずは潜入部隊の選定だ。

 

作戦の第1段階は少人数で行う為、なるべく隠密行動に長けた者を選ぶ必要がある。そうなると候補となるのはやはりチカゲとシズカだろう。

ヒロと共に何度も潜入任務を行ってきた彼女等には経験値がある。それに今回は敵地への潜入という事もあり、より慎重に事を進める必要があるだろう。

そこでヒロはチカゲとシズカに視線を向ける。

すると2人は同時に頷く。どうやら彼女達もやる気のようだ。

 

そしてシオン達や集まった仲間達に作戦の概要を伝えるべく司令本部へと移動する。そして司令室に入るとそこには既に皆が集まっていた。

そこでヒロは今回の作戦について説明する事にしたのだが、その前に皆へ謝罪の言葉を述べる。

今回の作戦は皆にかなりの負担を強いる事になってしまう。その為、まずは謝罪をしておきたかったのだ。

そんなヒロの言葉に対してシズカは笑顔で答える。

 

「ご安心ください司令官!私達はどんな時でも貴方と共にありますから」

 

その答えに他の皆も賛同するように力強く頷くを見たヒロは胸が熱くなるのを感じた。そして改めて思う・・・自分は本当に良い仲間に恵まれたと。ならばその期待に応える為にも全力で作戦を成功させなければならない。

ヒロは皆に向かって頭を下げると改めて感謝の言葉を伝えた。

 

それからヒロは今回の作戦の概要を説明し始める。まず最初に行うのは潜入部隊の潜入手順の確認。

輸送機でも使おう物なら長距離レーダー等ですぐに捕捉される為、技術班が巡行ミサイルを超速で改造した無人機(ドローン)ポッドを使う。

このポッドは外見こそSCALP-EG(ストーム・シャドウ)巡行ミサイルだが中には人間1人が入れるだけのスペースがある。ポッドを航空機から切り離した後にミサイルと同様にエンジンに点火、そのまま目標地点まで飛行する。

そして目的地に到着したら安定翼とエアブレーキを果たす4枚の動翼(フラップ)を展開して減速し一定速度以下になれば中の人間がポッドから分離、後はパラシュートで降下するという流れだ。

ちなみにポッドは使い捨ての為、仮に回収が不可能だったとしても問題は無い。証拠になり得る重要な部分は着地と同時に自壊するよう調整もされている。

 

潜入成功後、次に行うのは敵の情報収集だ。主力部隊への脅威になる物があった場合は稼働前に潜入部隊が破壊工作を行う事になっているが、その前に敵の情報を得られるのであればそれに越した事はないから。

そして最後に撤退の為の準備だ。これは万が一撤退に失敗してしまった場合、主力部隊と合流出来なくなった場合に行うものだ。その為にも撤退する為のルートや退路の確保は必須となるだろう。

そこまで説明したところでヒロは一度話を区切るとシオン達に視線を向ける。すると彼女達は静かに頷いてきた。どうやら彼女達も異論は無いようだ。

 

 

 

────── その後、シオン達は準備に取り掛かった。まずチカゲとシズカは潜入部隊として準備を行う。

今回の作戦では潜入部隊が少女を確保するまで主力部隊が敵部隊を引き付けなければならない。その為、主力部隊には敵部隊と正面から対峙しても勝てるだけの戦力或いは戦術が必要となる。

留守の間のアナトリア防衛の分を残し投入可能な戦力は出来るだけ投入する必要があり、その為の準備としてシオン達は主力部隊の編成に取り掛かった。

 

そして数時間後、ようやく編成が終わったシオン達は司令本部へと向かいヒロに報告を行う。

まず最初に報告したのは潜入部隊だ。編成はヒロ、チカゲ、シズカの3人でチカゲとシズカは2人1組で行動しヒロを確保するまでサポートする役割を担う事になる。

 

次はユウゴ率いる主力部隊。主力部隊にはミア、イリス、フィリーネ、シオンの4人が配属される事になった。

この主力部隊はヒロ達潜入部隊が少女を確保するまでの間の陽動が目的となる。

 

そして最後に撤退の為の準備だ。主力部隊と潜入部隊の合流タイミングを狙われる事を避ける為、主力部隊は地上から輸送機に搭乗し撤退してもらうという流れになる。潜入部隊は輸送機の離陸後フルトン回収システムで輸送機が回収し撤退という流れだ。

この撤退手順についてはユウゴ達主力部隊が撤退するタイミングも重要となってくる。主力部隊が輸送機に乗ってしまえば敵に察知される恐れがある為、ギリギリまで輸送機は離陸させないようにするつもりだ。

 

一通りの報告を終えたシオン達はヒロに視線を向ける。すると彼は静かに頷きながら口を開いた。

 

「OK。それじゃ皆、準備にかかってくれ」

 

ヒロのその言葉に全員が頷いた。

 

 

 

────── それから数時間後、シオン達主力部隊は輸送機に乗り込み離陸準備を行っていた。既に輸送機は格納庫から出て誘導路前で待機しており指示があればいつでも飛び立てる状態だ。

 

先んじてヒロ、チカゲ、シズカの3人が潜入部隊としてTu-95戦略爆撃機*1に乗り込む。レーダー予想探知圏外まではTu-95で移動し、近づいてきたら説明した巡航ミサイル型無人機ポッドでヒロ達を送り出す。

 

ヒロ達が体良くレーダー基地かレーダーへ電力を供給する発電施設(パワープラント)を破壊出来れば主力部隊を輸送機で送り込む事が出来る。

そこからは主力部隊が敵の注意を引き付ける間までの時間との勝負だ。

 

ユウゴ達主力部隊が長時間持ち堪えられればヒロ達がその分安全になるが、逆に早期に壊滅させられれば潜入するヒロ達にも危険が及ぶ。

 

1つ間違えれば全滅というリスクを孕んでいるものの、間違えさえしなければチャンスはある。

 

ヒロ達搭乗後に爆弾倉にポッドが搭載されると、やがてヒロ達を乗せたTu-95が滑走路の滑走開始に着き待機。管制塔(タワー)から離陸許可が下りるとプロペラの回転数が上がっていき滑走路を走り始め、ユウゴや他のフェンリル兵士達が敬礼で見送る中Tu-95はその巨体を空へと持ち上げる。

シオン達は大空へ旅立つ彼等を見守る事しか出来ない自分に歯痒さを覚える。

 

(気を付けてね、ヒロ・・・)

 

(頑張ってね、指揮官・・・)

 

(主よ、どうか指揮官様に御加護を・・・)

 

(指揮官、お気をつけて・・・)

 

後はヒロ達の無事と作戦の成功に懸けるだけだ。シオン達は願うような気持ちで飛び去るTu-95を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 


同時刻:某所

 

そこは太陽光も月明かりも届かず暗闇に包まれた空間。現在ある明かりと言えば男の人影の眼前に映るスクリーンの明り位だろうか。

そしてスクリーンに映るのは、黒縁にオレンジレンズの眼鏡をかけたスキンヘッドに僅かに顎鬚を生やしている男。ビジネススーツに身を包んだその男の胸元にはよく見れば議員記章(バッジ)がついている。

 

そう、スクリーン越しにいるこの男は現職の議員であり、現在はとある計画の為に動いている。

そして今、その計画の第1段階が終了し報告を行っていた。

 

スクリーンの向こう側にいる議員はスクリーン前に立つ男に向かって口を開く。

 

《まずはご苦労と言っておこう、君達のおかげで計画は順調に進んでいるよ》

 

すると男は議員に跪きながら答える。

 

「ハッ!ありがとうございます・・・しかしよろしいのですか?計画の進行具合をここまで詳細に伝えてしまっても」

 

すると議員は不敵な笑みを浮かべながら答える。

・・・この男の素性は分かっている。この男は日本の裏社会に生きる者だ。その為、今回の計画についてもある程度知っている筈である。その上でここまで詳細に伝えても大丈夫なのかと聞いているのである。

だがそんな男の不安を余所に議員は余裕の態度を崩さない。計画とやらに余程の自信があるのだろうか?

 

議員は男に向かって口を開く。

そして男はその議員の言葉を聞いた瞬間、驚愕に目を見開いた。何故ならそれはあまりにも予想外な事だったからだ。

・・・しかし同時に納得もした。この男は日本という国を裏から牛耳る存在だと聞いていたからだ。ならばこの程度の事は造作もないのだろうと思い至り、男は口元に笑みを浮かべながら答える。

するとスクリーン越しに映る議員の男に釣られるように男は不敵な笑みを浮かべながら口を開いた。

 

《では、今後も頼んだぞ?》

 

「お任せ下さい、足利議員・・・いえ、足利 正義()()()()

 

議員・・・いや、将軍の言葉に男は深々と頭を下げながら答えた。

そして男の足元には・・・例の2機の機動兵器が捕獲したはずの少女の検査データの資料があった。

*1
1950年代にソビエト連邦が開発しロシア連邦でも運用されている長距離戦略爆撃機。コードネームはBear(ベア)(熊の意)




ED2:HORIZON/TEAM SHACHI

次回からコラボ編!(になる予定です( ̄▽ ̄;))

コラボ先の作品はこちらになります!↓
[https://syosetu.org/novel/294168/]
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