Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP2:HIBANA/感覚ピエロ


#27 JAPAN VS FENRIR 04 日本 VS フェンリル 04

――――――中部国際空港(セントレア)

 

 

今は日本政府からの要請により民間人と民間機は退避済みで上空も滑走路も空いている。

 

そのがら空きの空港に迫る巨体の群れ。

私設武装組織 フェンリルが保有するC-5M スーパーギャラクシー輸送機*1が17機、そしてそれらに随伴する護衛戦闘機の大編隊だ。

 

その全部がフェンリルが他の武装勢力から接収、あるいは買い上げた中古品だ。

 

日本政府のF-15J戦闘機に見守られる中、フェンリルのC-5M群は空いている滑走路に次から次へと着陸。そして後続へと滑走路を開けるべくすぐに駐機場へ移動。

C-5M輸送機群の全機着陸後は護衛戦闘機群が着陸する。

 

着陸したC-5Mは前後貨物扉解放後、機内に収容されていたM1A1 エイブラムス戦車*2、T-90A ウラジーミル戦車*3が8両ずつの計16両、M998 ハンヴィー アヴェンジャーが10両、AH-64D アパッチ・ロングボウ攻撃ヘリ5機、UH-60M ブラックホーク多目的ヘリ5機、他地上車両や戦闘員、地上作業員が次々と機外へ出てくる。

 

そして最後に出てきたのは、フェンリルの幹部達だ。

 

「全員、整列!」

 

部隊指揮官であるユウゴが号令をかけると、整列するフェンリルのメンバー達。

 

「今作戦での俺達の役目は敵部隊との総力戦だ。損耗は避けられないだろうがこの作戦に参加した連中は皆俺の仲間であり家族だと思っている!だから俺達は誰一人欠ける事無く生きて帰るぞ!!」

 

『了解!!』

 

ユウゴの言葉にフェンリルの兵士達は力強く答える。

 

「よし、作戦開始だ!!」

 

ユウゴはフェンリル兵士達にそう告げるとすぐさま兵士達は行動を開始。戦車兵達は戦車へ、搭乗員達は攻撃ヘリか戦闘機に乗り込む。

そしてユウゴは先頭のM1A1 エイブラムスに乗り込み、フェンリルの部隊を率いて基地へ向かう。

 

 

 

 

 

――――――小松市郊外・某所

 

一方その頃ヒロ達はというと、小松市郊外の山中にある廃工場に潜伏していた。

 

ここはかつて旧日本軍の兵器生産工場で現在は廃墟となっている場所である。工場の設備は一部が生きているらしく、ヒロ達はその設備を利用し潜伏しているのだ。工場の設備は一部が生きていると言っても、兵器生産に必要な機械類は全て停止している。しかし発電機や浄水装置などの最低限の施設は稼働しており、ヒロ達はその施設を利用し電力を拝借していた。

 

そして現在ヒロ、チカゲ、シズカは自分達の装備の整備を行っている最中だ。

ヒロの装備はSFP9と敵兵から奪ったA-91。

チカゲもボルトSMGとSIG P226に加え別のサブ武器にデザートイーグルと予備弾倉や手榴弾などの小道具類を整備する。

シズカは半身の九九式軽機関銃とサブ武器のUSPだ。

 

自分の装備を一通り点検し終えたヒロは端末を取り出し時刻を確認。

時間的に作戦第2段階(フェイズ2)に入っておりユウゴ達が部隊を展開しこちらへ向かっているはず。

 

作戦第3段階(フェイズ3)開始と同時にヒロ達は現在地から移動し目標を確保する手筈だ。

端末の画面を切るとヒロはチカゲとシズカに声を掛ける。

 

「そろそろ行くぞ」

 

「了解」

 

「分かったわ」

 

2人は短く答えると、立ち上がり作戦開始地点へ移動する為工場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――小松市郊外

 

C-5M輸送機群から降りたユウゴ達フェンリルの部隊は基地を目指し移動していた。途中何度か敵部隊と遭遇したが、全てユウゴ達だけで撃退し基地へ向け進撃する。

そしてユウゴ達フェンリルの部隊は攻撃開始地点へ到着する。

 

「よし、作戦第3段階(フェイズ3)開始だ!!」

 

ユウゴが号令をかけると、フェンリルのメンバー達はそれぞれの配置につく為行動を開始する。

戦車隊が前進する中、整備を終え離陸したAH-64D アパッチ・ロングボウ攻撃ヘリ5機部隊が追い付いた。

 

「プレデター1からアパッチ隊、部隊司令官(ユウゴ)からのゴーサインが出た。動くもんがあったら吹っ飛ばしちまえ」

 

先頭を行くAH-64Dの操縦桿を握るは何と身長160程度の少年。しかし確固たる成果を上げ隊長にまで上り詰めた男、ニールだ。

 

《了解!》

 

ニールの通信にアパッチ隊のパイロット達は威勢よく答える。

 

《フォートレスからプレデター1。間も無く地上部隊が交戦可能距離に入ります。地上部隊は2つ、コールサインは“ハウンド”と“ブラスター”です。周波数を切り替えて通信を》

 

「はいよ」

 

無線機からセラフの物とは別の女性の声。

無線機越しの女性はエイミー、フェンリル軍の管制及び状況索敵を担当する。

 

《フォートレスからプレデター1。フェンリル地上部隊が敵私設軍に接近中》

 

エイミーの声と共にニール達ヘリ部隊の視界にフェンリルの地上部隊の姿が映った。

フェンリルの地上部隊は攻撃ヘリや戦車が先行する中、その後方には歩兵部隊が追従している。

先行する攻撃ヘリのパイロットは、先行する歩兵部隊を捕捉。

 

「プレデター1からフォートレス。敵部隊を交差点にて確認した」

 

《了解、交戦を許可します》

 

ニールからの通信にエイミーはフェンリルの地上部隊に対し発砲を許可する。

先行する攻撃ヘリと後続の戦車が速度を上げ前進し、その後ろから歩兵部隊が追従していく。

そして先頭を行く攻撃ヘリが前方に布陣する敵兵と敵戦車の姿を確認すると同時に攻撃を開始した。

機首に搭載された30mm機関砲が火を噴き、後続の戦車も砲撃を開始する。

先行するヘリからの先制攻撃を受け敵兵は為す術も無くバタバタと倒れていく。

しかし敵も黙ってやられる訳では無く反撃を開始。

対戦車火器やロケットランチャーなどで応戦するが、ヘリに歩兵部隊という組み合わせではその効果は薄い。ヘリは高速で飛行しながら攻撃し、歩兵部隊は素早く移動できる為回避行動を取りやすい。

攻撃ヘリが先行し、その後ろを歩兵部隊が追従する陣形で敵部隊に攻撃を仕掛けるフェンリルの地上部隊。

上空からの攻撃は敵兵にとっては脅威であり、反撃もままならない。

 

フェンリルの地上部隊の装備はRPG-7対戦車擲弾発射機(ロケットランチャー)等の対戦車火器やM240汎用機関銃、AK-102アサルトライフル等を主力にしており、敵兵は次々と倒れていく。

 

「プレデター1からフォートレス。敵部隊を制圧、ハウンドが前進する」

 

ニールからの通信にエイミーはすぐさま返答する。

 

《了解。引き続き上空より警戒をお願いします》

 

「了解」

 

エイミーとの通信を終えたニールだが今度は別部隊から通信が飛び込む。

 

《こちらブラスター1!進んじゃいるがデカいショッピングモール近くで足止めを喰らってる!》

 

ハウンドとは別の地上部隊ブラスター。隊長を務めるのはプレデター1ことニールの兄ジーク。

 

《ブラスター1、了解。プレデターは急行しブラスターを援護してください》

 

エイミーの指示にニールはぼやきながらも返答する。

 

「兄貴の奴・・・了解!プレデター2、行くぞ!」

 

《ああ!》

 

2機の攻撃ヘリが速度を上げブラスター隊が戦闘を行っている地点へ急行。そして先行する攻撃ヘリのパイロットが前方で戦うブラスター隊を視認。

2機のAH-64Dアパッチ・ロングボウ攻撃ヘリが速度を上げ前進し、地上部隊を足止めしていた敵部隊に対し30mm機関砲を発射。

地上部隊に気を取られていた敵部隊はAH-64Dの接近に気付くが、時既に遅し。30mm機関砲から放たれる砲弾は容赦なく敵兵を吹き飛ばす。

先行する攻撃ヘリと後続の戦車によって瞬く間に敵部隊を殲滅したフェンリルの地上部隊。

 

《こちらブラスター1、助かったぜニール!》

 

ジークからの通信にニールは返す。

 

「気をつけろよ兄貴、勝手にくたばったらユウゴにもう1回殺されるぞ?」

 

《あぁ、そうだな》

 

冗談交じりのニールの言葉にジークは笑いながら答える。

 

《サイヴァリアからフォートレス、現状報告》

 

ここで制空権確保を担う戦闘機部隊の1部隊、サイヴァリア隊がエイミーに通信。

 

《こちらフォートレス、良好ですサイヴァリア。Su-27飛行隊のビュルガー隊がそちらの南方上空援護を務めます》

 

《了解》

 

エイミーからの通信にサイヴァリア隊の隊長、ロザリアは短く答える。

 

《サイヴァリアからプレデター1、ニール、そちらは大丈夫ですか?》

 

「ああ、問題無い。こっちはこっちで何とかする」

 

《了解。必要なら連絡を》

 

「サンキュー」

 

エイミー及びロザリアとの通信を終え、ニールはアパッチ・ロングボウ攻撃ヘリ部隊に指示を出す。

 

「プレデター1よりプレデター2へ。俺達はこのまま上空から援護するぞ」

 

《了解!》

 

先行するAH-64Dアパッチ・ロングボウ攻撃ヘリが速度を上げ前進し、後続の戦車もそれに続き前進していく。

 

 

 

 

 

――――――同時刻

 

フェンリルの地上部隊が交戦する中、ヒロ達は工場から少し離れた場所に潜伏していた。

 

≪フェンリル地上部隊が交戦を開始≫

 

端末からセラフの声が聞こえ、ヒロもいよいよだと身構える。

ユウゴ達主力部隊が敵の注意を引き付ける中、ヒロ達は目標の少女を連れ出す。

 

端末でチカゲとシズカに合図を送る。

すると2人は頷き工場の陰から飛び出す。

ヒロもそれに続き工場を飛び出し目標の少女の元へ急ぐ。

 

少女がいる建物の所在はセラフが調査済み、そしてそこに至るまでの道のりはユウゴ達が注目を集めて敵を引きずり出す事に成功しており警備は手薄。

ヒロ達は難なく目標の少女がいる建物に辿り着く。

 

・・・が、ここで問題が生じた。

 

「一足遅かったか・・・ッ!!」

 

ヒロがそう呟く。

目標の建物は病院なのだが、内部は荒されており目標の少女は機材ごと外へ運び出された後の様だった。

ヒロは端末を取り出しセラフに通信を入れる。

 

「セラフ!例の女の子がいない!」

 

≪申し訳ありません。目標を包囲していた部隊は現在地上部隊が交戦中の部隊とは指揮系統が別なようです≫

 

セラフからの返答にヒロは舌打ちする。

ヒロがセラフと通信している間もチカゲは周囲を警戒し、シズカは少女を捜索。しかし少女の手がかりとなる物は何も見つからない。

そこでヒロは賭けに出る事に。

 

「サーバー室に行くぞ。連れ出した奴が映ってるかもしれない」

 

「分かったわ」

 

「了解!」

 

ヒロは2人を連れサーバー室へ。

しかし相手はそれをも読んでいたようでサーバー室の機材も破壊されており、手がかりを期待できる様な物は何も無かった。

いよいよ打つ手無しか・・・、そう思われたその時。

 

「待ってヒロ。このサーバー・・・まだ生きてるわ」

 

チカゲがサーバーの端末を見つけヒロにそう告げる。

確かによく見るとまだ電源は生きている。しかし肝心のデータが無い為、何も手を打つことは出来ないのだが・・・。

するとチカゲが口を開く。

 

「セラフ、このサーバーにアクセスできる?」

 

セラフは即座に答える。

 

≪可能です≫

 

チカゲは続けて言う。

 

「ならアクセスしてデータをダウンロードするわ」

 

・・・はい?とヒロは思わず間抜けな声を出すが、チカゲは続ける。

 

「データが無ければ何も出来ないわ。幸いこのサーバーは生きているみたいだし、データの回収をお願い」

 

「・・・いやいやいや」

 

今度はヒロが口を挟む。

 

「ちょっと待てよ!アクセスするったってどうやってやるんだよ!?サーバーはもう死んでるんだぞ!?仮に生きてても再生出来るような機材も全部壊されて・・・」

 

するとチカゲはあっけらかんとした口調で言う。

 

「サーバーは死んでるけど電源が生きてるならデータの回収くらい出来るでしょ?」

 

「いや、だからって・・・!」

 

「いいから早くやって頂戴。敵が戻ってくるかもしれないわよ?」

 

ヒロは納得いかない様子ではあったがチカゲの言う通りだと判断し、端末を生きているサーバーに有線接続しセラフに指示を出す。

そして数分程経過し・・・。

 

≪データのダウンロードが完了しました≫

 

ヒロ達3人は顔を見合わせる。まさか本当にデータを回収できるとは思っていなかったからだ。しかし今はそんなことを考えている暇は無い。

 

「よしセラフ、今すぐデータを寄越してくれ!」

 

≪了解≫

 

セラフがデータを転送する間ヒロは接続状態を維持しなければならず、チカゲとシズカはその間の護衛。

やがてデータのダウンロードが完了すると3人は端末を取り出し確認する。

 

画面に映し出されたのはまさにヒロが欲しかった情報だ。

映像に映っているだけで10人が目標の少女の病室に入って来る。その人物のほとんどは迷彩服とヘルメットで姿を隠ししている為に正体が分からないがその全員がOTs-14で武装している。

続いて入ってきた5人程の白い人物はヒロの記憶に新しい物だ。

 

敵レーダー施設の発電区画にいた自律人形と同型である為に見間違えるはずがない。

 

そして次に入って来たのは年端も行っていなさそうな少女。

灰色の混じった白髪を左頭部でサイドテールに纏めており、身体の殆どが露出する黒い服を身に着けている。

 

更にその少女が待ち焦がれていたかのような表情を浮かべる先には、別の人物。

 

スキンヘッドの議員を“将軍閣下”と呼び、部下らしき人物からは“隊長”と呼ばれていた男だ。

黒いトレンチコートを羽織った、銀色のような白い逆立つ髪の若年の男・・・否、青年。

 

「コイツは・・・」

 

「嘘・・・」

 

思わずヒロとチカゲは目を疑った。因縁のある人物と特徴が合致しているからである。

だが髪だけかもしれないと引き続き映像を見るが、そこで遂に白髪の男の顔がカメラに映る。

 

整った顔立ちに黄色い目・・・間違いない。

 

「了賢ッ!!」

 

ヒロが声を上げた。

 

 

了賢・・・本名は白狼 了賢(しろかみ りょうけん)。英名リョウケン・シロカミ。

 

フェンリル結成より以前にヒロとの因縁がある人物だ。

了賢は日本出身でありながらヒロと同じ傭兵であり自身の傭兵部隊を率いる腕利きだが、過去にヒロと対峙し敗れている。

その後にもう1度対峙した時にはチカゲもおり退けた後に建物の爆発・崩落に巻き込まれ消息不明になっていた。

昨今では噂も聞かず既に死んだと思っていた人物とこんな形で再会する事になろうとは・・・。

 

しかも了賢はその腕を見込まれ界隈では独自の暗号名(コードネーム)を保有しており、それはヒロも知る暗号である。

 

その了賢が持つ暗号名は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・山犬(ワイルド・ドッグ)

*1
ロッキード社(現在のロッキード・マーティン社)が製造し、アメリカ空軍が運用している軍用超大型長距離輸送機。愛称は「ギャラクシー」(英語: Galaxy/銀河の意)。M型は1999年よりC-5の延命と近代化改修を目的として開発が進められていた最新型で、2006年5月16日に初号機がロールアウトした。この改修によって、離陸性能が30%、上昇性能が38%改善され、整備性と可動率も大幅に向上した。

*2
アメリカ合衆国の軍用車両メーカー、クライスラー・ディフェンス社(現ジェネラル・ダイナミクス社)で開発された主力戦車。エイブラムスの名は、開発を推進した人物でありバルジの戦いの英雄でもあるクレイトン・エイブラムス大将に由来する。その優れた装甲、機動力から「戦車の王様」と呼ばれることもある。

*3
ソビエト連邦、およびロシア連邦が開発した第三世代主力戦車。T-72をベースに大幅に改良してより高価なT-80U/UDのレベルに近づけた戦車で、1992年にロシア連邦軍が制式採用した。ロシアでの愛称は「ヴラジーミル/ウラジーミル(Влади́мир)」。




ED2:HORIZON/TEAM SHACHI

コラボ先の作品はこちらになります!↓
[https://syosetu.org/novel/294168/]
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