Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP2:HIBANA/感覚ピエロ


#29 JAPAN VS FENRIR 06 日本 VS フェンリル 06

――――――遡る事、数分前

 

 

《どういう事だ白狼、何故待機せよという命令に従わなかった!?》

 

トレーラーの中で通信機越しに響く男の声。自分の上司であり雇い主である男、足利 正義の声である。

しかし今の山犬(ワイルド・ドッグ)、白狼 了賢には耳障りな雑音(ノイズ)にしか聞こえなかった。

 

「奪われる前に目標(ターゲット)を回収したまでですよ将軍」

 

《何だと?》

 

「ご安心下さい、決して契約破棄という事ではございませんので。必要な物も用意出来たのですぐに将軍のご希望を叶えてあげますよ」

 

《何?それはどういう・・・》

 

正義が言い切る前に了賢は通信を切り、今度は自分の右手に収まっているマイクロフィルムを眺める。

・・・と言うより、このちっぽけなマイクロフィルムの為だけに了賢は正義の下に就いたと言う方が正しいかもしれない。

何故なら了賢は()()()()に借りがあり、その人物がこれを欲しがっているとの事なのだから。これで少しは借りを返せるという物だろうか。

その際に1人の少女に“兄”とまで呼ばれて慕われ懐かれるのは予想外だったが。

 

「どうしたのお兄様?難しい顔しちゃって」

 

了賢が思案にふけっているとすぐ左隣から少女の声が響き了賢を現実に引き戻す。

灰色混じりの白い髪をサイドテールに纏め身体のほとんどが露出する黒い服を纏っている年端も行っていなさそうな少女。

少女は了賢の左腕にガッチリ抱き着いている。

 

「何でもないさ、“ナルシス”」

 

そんな少女に対し了賢はマイクロフィルムをコートのポケットに戻し結果空いた右手で少女の頭を撫でる。

ナルシスと呼ばれた少女は気持ちよさそうに目を細め甘える。これが猫だったら喉をゴロゴロ鳴らしていた事だろう。

 

そしてトレーラーは次の目標(ターゲット)である小松基地へ辿り着く・・・。

 

 

 

 

 

――――――時は戻り、現在:小松基地

 

 

至る所から黒煙が上り航空機や車両までその大半が破壊されてしまい壊滅に近い状態である。

そしてそんな悲惨な状況にある小松基地上空に飛来する2機のUH-60M(ブラックホーク)

 

私設武装組織(フェンリル)が保有する機体、コールサイン“モルフォ3-1”と“モルフォ3-3”である。

 

「うわぁ、メチャクチャだね・・・」

 

「ひどい・・・」

 

そう言葉を零すのはミアとフィリーネ。モルフォ3-1の機内に収まるのはヒロ、チカゲ、シズカ、イリス、ミア、フィリーネ、シオンの7人。

そしてそれに続くモルフォ3-3にはアイヴィス、エステル他()()姿()()()()少女達、計6人が乗っている。

 

「セラフ、推測でも構わない、了賢たちがこの基地を占拠する目的は?」

 

とりあえず山犬(ワイルド・ドッグ)こと白狼 了賢の目的を特定しなければ探しようも無い為、ヒロはすぐさまセラフに意見を求める。

 

≪日本政府の極秘ファイルへアクセス。当基地地下には政府高官主導により試験中の新型ミサイル及び無人攻撃機があります。ミサイルの開発コードは“Hypersthene(ハイパーシン)”、攻撃機の開発コードは“ADA-01”、コードネーム“ADLER(アドラー)”。開発主導者は現日本国会議員“足利 正義(マサヨシ・アシカガ)”≫

 

ヒロの言葉を受けるとセラフはすぐさま仕事をこなし必要な情報を仕入れてくる。

 

だが結果はなんということだろうか、小松基地が襲撃されたのは足利 正義とか言う国会議員が裏でコソコソしておりそれを嗅ぎつけられたと思われる。

それにいくら国会議員と言えど一個人が出せる金額にも限度がある。もし開発資金に税金が使われているのであれば最悪横領に問われるかもしれない。何処から資金を調達したのか・・・。

 

それに闘真とカズマはこの事を知っておりこうなる事も想定した上で自分達に面倒事を押し付ける為に手を組んだのか、事が済んだら改めて問い詰めてやると内心誓うヒロであった。

 

「指揮官、あれを」

 

物思いにふける中ヒロはシオンの声で現実に引き戻される。

シオンが指差した先には基地を占拠する了賢の部隊の兵士と応援として派遣されたと思われる日本の兵士が戦闘を行っている様子だが状況は芳しくなさそうである。

 

了賢本人の戦闘能力もそうだが、そもそも了賢の私兵部隊に雇われた者は能力は申し分ないが態度が問題で除名された正規兵崩れが多い。それに加えヒロがレーダーサイト基地で無力化したフルフェイスのヘルメットに上半身から腰に掛け白い装甲板で覆われている自律人形のような物も確認出来る。

応援で派遣された程度の兵力では歯が立たない事は明白だ。

 

「皆構えろ、行くぞ!!」

 

『了解ッ!!』

 

ヒロの掛け声に全員が答え、2機のブラックホークは高度を下げながら速度を上げていく。

降下する中でミアとイリスがヘリの銃座に着く。モルフォ隊のUH-60Mに搭載される兵装は重装備の敵を想定しドアガンにGAU-19B 12.7mmガトリング砲を2基搭載している。

 

ヒロ達に気付いた了賢私兵部隊がヒロ達が乗るブラックホークへ攻撃を開始するが、銃座に付いたミアからのGAU-19Bの12.7mm弾幕を正面から受ければひとたまりもない。

そしてそれは後続のモルフォ3-3も同じで、銃座に着いた赤い幅広リボンを着けた少女、青い幅広リボンを着けた少女が地上に向けGAU-19Bを斉射する。

 

斉射により地上の掃除が一先ず終わり、モルフォ3-1及び3-3は人員降下の為地表ギリギリをホバリングする。

 

「チカゲ、アイヴィス、行くぞ!!」

 

「えぇ!!」

 

「はいッ!!」

 

掛け声と共に地上へ降りたのはモルフォ3-1からはヒロとチカゲ、モルフォ3-3からは成長した個体の少女アイヴィス。

ヘリに残った者は必要と要請に応じ上空からの援護に徹する。

 

モルフォ3-1と3-3は散開し、飛来してきた敵ヘリOH-58D カイオワ・ウォリア3機と交戦状態に入る。

 

シズカ達がヘリで戦う中、ヒロ達も負けじと了賢の私兵を倒し進んでいく。

尚装備は、ヒロは愛用のSFP9に加え敵兵から奪ったA-91を持ってきている。チカゲはボルトSMGに加えSIG P226とデザートイーグル。アイヴィスの装備はベレッタ 90-Twoになんと日本刀、刀身に反りが無い事から忍者刀の類である事が分かる。

 

「はあぁッ!!」

 

アイヴィスは刀で敵兵の腹を突き刺し、反りの無い刀身は血油で切れ味が落ちる事無く敵兵の身体を斬り裂く。

 

「このガキッ!!」

 

仲間をやられ激昂した敵兵がアイヴィスに銃を向けるが、それより先にヒロがSFP9の引き金を引き頭に風穴を空ける。

 

「大丈夫か?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

刀を持っているとは言えやはり女の子だ、心配せずにはいられない。

そんな2人に了賢私兵部隊の兵士が次々と襲い掛かってくる。

しかしヒロもチカゲも遅れを取る様な素人ではない。

ヒロは刀を持っているアイヴィスを気遣いつつ敵兵の攻撃を捌き、隙が出来た所でヘッドショットを決めていく。

チカゲもP226とデザートイーグルで的確に頭を撃ち抜いていく。

2人の息の合ったコンビネーションに敵う者はおらず、ものの数分で全滅させる事に成功する。

 

「よし、このまま進むぞ」

 

『了解』

 

ヒロの指示にチカゲとアイヴィスは頷き、3人は先へ進む。

ヒロ達が了賢私兵部隊の掃討を行っている頃、上空ではモルフォ3-1がモルフォ3-3と共に引き続き地上の掃除を行っていた。

今頃はフェンリル地上部隊もセラフから連絡を受けこの基地に向かっているだろうがそれまでに可能な限り敵戦力を削いでおきたい。

 

「ミアさん、左からRPG!」

 

「了解ッ!!」

 

シズカからの警告にミアは即座に反応しRPG-7を発射する敵兵に対しGAU-19Bで弾丸の雨を降らせる。

 

「イリスさん、右にRPGです!!」

 

「任せてッ!!」

 

フィリーネの警告にイリスは即座に反応しGAU-19BでRPG-7を発射する敵兵に対し同じく弾丸の雨を降らせる。

息のあったコンビネーションにより敵部隊の攻撃は全て防がれてしまいモルフォ3-1と3-3は無傷のまま進み続ける。

 

2機のブラックホークはそのまま何事もなく上空を哨戒するが、突然空襲警報のようなサイレンが響き渡る。

何事かと全員が周囲を見渡すと、基地の滑走路先端にある3ヵ所シェルターのような隔壁が開き中の通路が姿を見せる。

 

そこから姿を見せたのは6機の異形の航空機。

 

全体的に鋭利かつ角ばった造形のその機体はキャノピーらしき物がなく、コックピット部分の周囲に虫の目のようにセンサーが配置されている。主翼は下反角が付けられた緩い後退翼を持ち主翼端は角度を揃えた鋸刃状になっている。機体下部に取り付けられた垂直カナード、大型の水平尾翼、上下に張り出した大型エンジンユニットに接近配置された内向き斜め双垂直尾翼。

そして左右主翼の付け根には大型のコンテナが取り付けられている。

 

≪ADA-01 ADLER(アドラー)の発進を該当カメラ映像より確認≫

 

カメラの映像から状況を見ていたセラフが冷静に報告。

 

どうやらあれが日本政府が極秘に開発していた無人攻撃機のようである。

となれば主翼付け根にあるコンテナは新型ミサイルの格納容器だろうか。

 

「また出遅れたか、クソッ・・・!!セラフ、追えないのか!?」

 

セラフからの報告にヒロは毒づきつつ、セラフに発進した無人機の追跡を頼もうとするが、

 

≪ADA-01 ADLER(アドラー)はステルス性を有しており、レーダーによる追跡は困難≫

 

セラフから帰ってきた答えは何とも無情な物。

 

そもそものADA-01 ADLER(アドラー)の開発趣旨としては敵に補足されずに懐に飛び込み、一撃で大損害を与えるという戦略攻撃機なのだ。

 

そんなレーダーでの追跡が不可能な機体が6機も飛び去るが基地で開発されたのはそれだけではない。

先の6機の発進直後に今度は別のADA-01の6機編隊が地下から発進、そしてその6機の発進直後にまた別のADA-01の6機編隊が発進。

合計18機のADA-01が基地から発進するという事態になってしまった。

 

レーダーで追跡が出来ないという事は飛び去ってしまったADA-01を探す術は運良く発見する以外に無いという事に等しい。全てのADA-01を止める為には発進した基地側から操作するしかない。

地上にいるヒロ達は基地管制塔から無人機を制御する区画へ向かうべく走る。地下区画から発進した事を考えると恐らく制御端末も地下区画にあるだろう。

そしてヒロが管制塔の中に入る・・・

 

「ガッ・・・!?」

 

『!?』

 

しかし管制塔の扉に入るとほぼ同時にヒロが吹っ飛ばされ、勢いそのまま高機動車の残骸に背中から叩きつけられる。

何が起こったのかとチカゲとアイヴィスがヒロが吹っ飛ばされた扉の方を見ると、突然扉が爆発し、炎と煙の中から人影が現れる。

その人影はゆらりと煙の中から姿を見せ、炎と煙が晴れるとその人影の正体が明らかになる。

 

「あの子は・・・」

 

チカゲがその姿に気付き言葉を零す。

 

下側でターコイズにフェードしている肩に少しかかる程度の短い黒髪、髪のターコイズ部分は光っている。

服装は白いドレスに胸部分が開き青緑(ティール)のアクセントが入った腕を覆う黒いオーバーコート、首には白いマフラー、両手には青緑のグローブ、腰には風車の形をした緑のリボン。両足には包帯が巻かれており、背中には髪の色と同じようなターコイズブルーの翼。

 

見間違えるはずがない。自分達がニュージーランドで死闘を繰り広げた少女である。

 

あの時との違いを強いて挙げるとすれば、少女のこめかみ部分左右に1つずつ受信装置のような白い装置*1が取り付けられている事くらいだろうか。

 

ヒロはなんとか立ち上がろうとするが、先程の衝撃で脳震盪を起こしてしまい身体が上手く動かない。

そんなヒロに少女はゆっくりと近付くと、右手を大きく振り上げる。

少女の右手には既に風が集まり刃の形を模っているだろう。そして少女はその腕を振り下ろす。

だが少女の剣が振り下ろされる事は無かった。

少女が振り下ろそうとした瞬間、チカゲがスカートから展開した大鎌状マニピュレーターで少女の右腕を受け止めていたからだ。

チカゲと少女は鍔迫り合いの状態の末、チカゲが踏み込み少女は後方に吹き飛ばされるが空中で体勢を整え着地する。

そしてチカゲはヒロを守るように少女の前に立ち塞がる。

 

「お兄様、大丈夫ですか!?」

 

その間にアイヴィスがヒロに駆け寄り身体を起こす。

アイヴィスの助けもあり、ヒロは何とか立ち上がる。一先ず大事には至っていない様子にアイヴィスは安堵の溜息を1つ。

しかし今のヒロは万全ではない為に安全の為に下がらせ、代わりにアイヴィスが日本刀を腰に差している鞘から抜いてチカゲの隣に立つ。

少女はそんな2人を見て、チカゲとアイヴィスの2人がヒロを庇う様に前に立つ。

*1
イメージとしては綾波レイが着けるインターフェイス・ヘッドセット




ED2:HORIZON/TEAM SHACHI

コラボ先の作品はこちらになります!↓
[https://syosetu.org/novel/294168/]
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