Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP2:HIBANA/感覚ピエロ


戦闘曲:Fall/ARMORED CORE 4


#31 JAPAN VS FENRIR 08 日本 VS フェンリル 08

了賢が呼び出した黒い異形の機械巨人を前に、ヒロ達は一旦散り散りになって身を隠す。

 

「流石のお前たちでもコイツには勝てないだろう?」

 

黒い異形の右肩部に乗っかる了賢の挑発にヒロは乗らない。

先程は軽いパニック状態に陥りこの黒い異形が何なのか分からなかったが、一呼吸置いて冷静になれたヒロは黒い異形の正体を思い出す事が出来た。

 

 

00-ARETHA(アレサ)

 

最悪の遺物とまで言われた二足歩行兵器。性能は非常に高いがパイロットへの負荷を無視し過ぎたが故に全て廃棄されたという代物だ。

 

 

動きから見て無人であるようだが、ナインボール・セラフ(セラフ)の他にも存在していた事は完全に予想していなかった。

 

ヒロがARETHA(アレサ)の動きを観察していると、ARETHA(アレサ)の頭部に搭載されているカメラアイがチカゲを捉える。

すると右腕に装備された5連装ガトリングガンをチカゲに向け、轟音と共に大量の弾丸が発射されると同時にチカゲも動き出す。

大鎌状マニピュレーターアームで銃弾を弾きながら一気に距離を詰める。

チカゲはARETHA(アレサ)の懐に飛び込むと大鎌状マニピュレーターアームをARETHA(アレサ)の腹部目掛けて振り上げる。

しかしその攻撃をARETHA(アレサ)も左腕で受け止める。だが、チカゲの攻撃はこれだけでは終わらない。

大鎌状マニピュレーターアームをARETHA(アレサ)の腹部から引き抜くと今度は頭部目掛けて振り上げる。

しかし、ARETHA(アレサ)も右腕で受け止め、結果空いた左腕でチカゲの右のマニピュレーターアームを掴み、そのまま握り潰す。

そして、ARETHA(アレサ)は空いている右腕のガトリングガンをチカゲに向けるが、ヒロが素早く飛び出しARETHA(アレサ)の頭部目掛けて銃弾を放つ。

放たれた銃弾は寸分の狂いもなくARETHA(アレサ)の頭部に直撃するのだが、ガトリングガンを破壊するには至らず弾かれるだけだった。

それでも一瞬だが隙が生まれた事によってチカゲはその拘束から抜け出し距離を取る。

 

「チカゲ、大丈夫か!?」

 

「右のアームをやられたわ、ごめんなさい・・・」

 

チカゲはヒロに謝罪すると、すぐさまARETHA(アレサ)と距離を取って身を隠す。

状況は依然として悪いままだ。このままではヒロ達に勝ち目はない。

だが、ここで諦める訳にはいかないのだ。彼らにはまだやるべき事がある。

 

(目的は倒す事じゃない・・・)

 

ヒロ達がここに来た目的は了賢を止める事。だから無理に倒す必要はないのだ。

 

(それに・・・)

 

ヒロがチラリと視線を移すとそこには未だカタパルトで待機する別のADA-01(アドラー)があり、準備が出来た機から1機、また1機と発進していく。

時間を掛ければ掛ける程に状況は悪くなっていってしまう。

 

そこでヒロは思い切って聞く事にした。

 

「了賢!ここの無人機たちをどうする気だ!?」

 

了賢はヒロの質問に対して一瞬だが余裕そうな笑みを浮かべる。

その笑みを肯定と捉えたヒロは了賢に向かって叫ぶ。

そして、それを聞いた了賢は口を開く。

 

「森谷 闘真はこの地下区画とここで行われてるプロジェクトの事を知っていた。だからこそ俺がここへ来るような真似をしてお前たちも呼び寄せたんだ。万一の場合は俺やお前たちをスケープゴートにして逃げれるようにな」

 

了賢の言葉にヒロは唖然とする。

つまり、自分たちは最初から捨て駒として利用されていたという事だ。

だが、その事に対して怒りを覚えるよりも先に了賢の言った言葉が気になった。

“この地下区画とここで行われてるプロジェクトの事を知っていた”という言葉に引っかかりを覚えたのだ。

 

(何でアイツはそんな事を知っている?)

 

確かに闘真とカズマがここに居る事は想定外だったはずだし、無人機たちを使えば簡単に始末できると思っていたのだろう。しかし、それにしては闘真がこの地下区画の事やプロジェクトの事を知っていた事を不思議に思っていた。

だが、今はそんな事を考えている場合ではない。

ヒロの反応を見た了賢は再び笑みを浮かべると口を開く。

しかし、その笑みには先程のような余裕はなく獰猛な獣のそれだった。

 

「質問に答えてやろう。日本(この国)中の主要都市を爆撃して火の海にしてやるんだよ!」

 

了賢が放った言葉によってヒロは目を見開く。そして戦慄し一瞬だが思考が停止してしまう。

 

(今・・・なんて言った?)

 

爆撃すると言ったのか?

日本(この国)中の主要都市を爆撃して火の海にすると言わなかったか?

そんな事になれば罪の無い数万の人々が死に、この国は壊滅してしまう。

 

「正気か?そんな事をすれば日本は・・・」

 

ヒロが言葉を続けようとしたが、了賢はそれを遮り口を開く。

 

「この国の未来は消えるんだよ」

 

それはあまりにも衝撃的な言葉だった。

そして遂に計画の全てを話し終えると最後にこう締めくくる。

しかしそれはあまりにも残酷な一言だった。

 

「それが俺の果たすべき“義”だ」

 

「・・・狂ってるッ・・・!!」

 

了賢のあまりにも常軌を逸した計画にヒロは震える声で呟く。

そんなヒロに対して、了賢はまるで怒鳴りつけるかのように語り掛ける。

 

「ああ、そうさ!俺は狂ってるよ!!だから何だと言うんだ!?今更善人面するつもりか!?」

 

了賢は続ける。

 

「人間の倫理や価値観ってのは生き方、人種、地域、国でそれそれ違うがそんな事で区別して何になる!?肌の色、県境、国境、その違いや境目は俺たちに何を与えてくれた!?」

 

了賢はそう言うと、ARETHA(アレサ)の右肩から降りヒロに向かって一歩ずつ歩き出す。

その気迫に気圧されそうになるが、ここで引いてはいけないと自分に言い聞かせる。

しかしヒロの頭から先程の了賢の言葉が離れない。

 

まるで呪詛のように・・・呪いのように・・・。

 

それは、この世界に対する怨嗟だった。

その怨嗟にヒロは何も言い返す事が出来なかった。いや、違う・・・何も言うことが出来なかったのだ。

そんなヒロに対して了賢はさらに続ける。

 

「何も与えてなどくれなかった!!」

 

それは、あまりにも悲しい叫びだった。

 

「だから俺は世界を壊すッ!!!」

 

了賢はそう言うとヒロに向かって左腕のガトリングガンを向けるが、そこにアイヴィスが割り込み刀を振るって止める。そして、アイヴィスは了賢に向かって叫ぶ。

だが、その叫びに怒りが籠っていたのは言うまでもないだろう。

何故なら、了賢のそれはあまりにも身勝手な言い分だったからだ。

 

「ふざけるなッ!!お前の身勝手な欲望の為にどれだけの人が犠牲になると思ってるの!!?」

 

アイヴィスはそう言うと了賢に向かって再度刀を振るうが、その攻撃は簡単に避けられてしまう。そして今度はARETHA(アレサ)が左腕のレーザーキャノンによる攻撃を仕掛けてくるのだが、それをチカゲが防ぐ。

 

しかし、着弾の煙の中から姿を見せたチカゲは残った左の大鎌状マニピュレーターアームもヒビだらけでボロボロになり衣服も所々破け、頭部や腕からは人形用の人口血液が流れ出ていた。

 

「う、く・・・!!」

 

しかし悲鳴を上げる身体に鞭を打った為に遂に限界を迎えたようで、チカゲが膝を折り右手が床に着く。

 

「チカゲ!」

 

それを見たヒロがすぐさまチカゲの元に駆け寄り、アイヴィスもそれに続く。

 

「チカゲ!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

2人はチカゲの顔を覗き込むようにして様子を伺う。すると・・・

 

「・・・大丈夫よ」

 

そんな2人に対してチカゲは何事もなかったかのように答えるのだが、その様子は明らかに無理をしているようにしか見えない。

ヒロはチカゲの状態を見て、これ以上の戦闘は不可能と判断してアイヴィスにチカゲを託す。

 

「お兄様・・・?」

 

「・・・」

 

チカゲが目の前で自分を庇って重傷を負った事で、思考が一周し不思議と冷静になれた。

そして至った結論、それは・・・・・・()()()を使う事。

 

と言っても勝手に用意され押し付けられたような物なのだが、今の状況を打開するには最早この手段しかないだろう。

 

今度はヒロがチカゲとアイヴィスを庇うように了賢とARETHA(アレサ)の前に立ち塞がる。

それを見た了賢はヒロに向かって口を開く。

 

「まだやる気か?もう諦めたらどうだ?」

 

「・・・悪いけどそうはいかない!」

 

ヒロの言葉を聞くと了賢は左腕のガトリングガンをヒロに向ける。

 

「そうか、なら・・・さよならだ!!」

 

そう言って了賢のガトリングガンから弾丸が斉射される。

 

「ヒロッ!!」

 

「お兄様ッ!!」

 

2人の悲鳴が響くが、それでもヒロは動かない。いや、動く必要がないのだ。

ガトリングガンから放たれた弾丸の雨が迫り来る中、ヒロは両目を閉じ集中する。

 

・・・・・・そして叫ぶ。

 

変身ッ!!!

 

それが起動の合言葉だ。

 

突然としてヒロの身体を光が覆いつくし、迫っていたガトリングガンの弾丸を吹き飛ばす。

そして光が収まった時、そこにいるはずのヒロの姿は大きく変わっていた。

 

 

身体全体を覆う装甲、額に設置されたV字型アンテナに二つ目(ツインアイ)。身体背中にある4基の翼のようなバインダー。右肩部に搭載されるリニアガン、右腕には長銃身のビーム砲、左腕には2連装のビーム発振機。

 

 

森谷 闘真から半ば押し付けられる形で貰い受け使う事は無いだろうと思っていた物。

 

ガンダム[ケストレル]”だ。

 

その中でもこれは“フルアーマー・ケストレル”と呼ばれるタイプである。

 

 

その姿を見た了賢は驚愕し、アイヴィスとチカゲも目を見開いている。

それはそうだろう・・・何せヒロの姿はガンダムなのだから。

 

しかし了賢は確かに驚愕したものの、少し経つと右手を額に当て天井を仰ぎ見ながら笑い声を上げる。額から手を離した時の了賢の顔は先程の怒りと憎悪に染まった物ではなく、最初に見せた好戦的な笑みだった。

 

「やっぱりお前は面白いな!殺すのがホントに惜しいよッ!!」

 

ヒロはそんな了賢の言葉を無視し、ケストレルのスラスターを吹かして一気に距離を詰めると左腕の2連装ビームサーベルを振るう。

しかし、ARETHA(アレサ)は右肩部に搭載されるブースターを強く吹かしてビームサーベルを回避。

そしてお返しとばかりに右腕のガトリングガンをケストレルに向かって放つが、ヒロはそれを難なく避けながらバックステップで距離を取ると今度は右肩部のリニアガンを放つ。その攻撃をARETHA(アレサ)は避ける事無く直撃し大きく吹き飛ばされる。

だが、先程の攻撃によるダメージはほとんどないようですぐに起き上がる。

 

互いに牽制し合い動きが止まった所に了賢が再びARETHA(アレサ)の左肩部に飛び乗る。

 

「ここまで耐えたのは流石だ。だがもう時間切れ(タイムアップ)(アドラー)たちが地上を貪り尽くす時間だ!」

 

了賢はそう言うとADA-01(アドラー)の様子を映す壁面の大型モニターを指差す。

そこには残存する全てのADA-01(アドラー)から最終安全装置(セーフティ)解除のシグナルが出ている。

 

上空ではステルス性を持つADA-01(アドラー)達を相手に日本の正規空軍部隊が防衛戦を展開しているが数の多さに何機かは防衛の網をすり抜けてしまっている。

防衛網をすり抜けたADA-01(アドラー)は東京を始め日本各地の主要都市を視界に収め、両主翼付け根に搭載される大型コンテナが開く。

 

そこから弾頭部を覗かせたミサイルが1発で都市を吹き飛ばす程の威力を秘める新型ミサイル“Hypersthene(ハイパーシン)”だ。

 

 

これは弾頭部にポリ窒素を採用し、専用コンテナにより波長を同期させた3重の電磁防御壁によって極低温で密閉保管されており、発射時には防御壁を開き、衝撃を与えないよう電磁カタパルトを用いて目標に射出される。

その威力は1発で小型核弾頭に匹敵する。その上これはポリ窒素を扱う為に放射線被害も無い。

 

 

しかし今のヒロは了賢を止めるという確固たる意志に漲っている。

 

百歩譲ったとして日本に住む名も知らぬ住人が死ぬのは仕方ない、この世界では毎日常に誰かが死に絶えている。

だが今もヒロを信じてくれている仲間達はどうだ?

ヒロが守りたいと思っているアイヴィスやチカゲ、ヒロを信じ今も戦っているシズカ達戦術人形、他の私設武装組織(フェンリル)の仲間達はどうだろうか? それを考えた時、ヒロに迷いは無かった。

 

「止めてやる、絶対に!!!」

 

ヒロはそう言い、それを見た了賢はニヤリと笑う。

 

「なら、ここからは俺も本気で行かせてもらうぞ!!」

 

そう言って了賢が左足でARETHA(アレサ)の装甲を踏みつける。

それが何かの合図だったらしく、ARETHA(アレサ)の胸部ハッチが開き了賢はその中へ入る。

ハッチが閉じ、了賢の首筋と左腕部に繋がれたコードによりARETHA(アレサ)が了賢の目と手足となり、それを感じ取ったかのようにARETHA(アレサ)のカメラアイが強く赤く輝く。

 

それを見たヒロのフルアーマー・ケストレルも気を引き締めるように胸部の排熱口から水蒸気と共に熱を放出。

 

そしてARETHA(アレサ)とケストレルはスラスターとブースターを吹かせ互いに向かって猛然と突進する。




ED2:HORIZON/TEAM SHACHI

2024年、明けましておめでとうございます!
新年初上げはドルフロです!
元日に出来て良かったw

Overtureと迷ったけど、やっぱARETHA戦はFallに軍配かな( ̄▽ ̄)

コラボ先の作品はこちらになります!↓
[https://syosetu.org/novel/294168/]
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