Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP2:HIBANA/感覚ピエロ


#33 JAPAN VS FENRIR 10 日本 VS フェンリル 10

シズカ達は3人が生きていた事に安堵し、ミアとイリスの2人はヒロに抱きつき喜び合った。

フィリーネはヒロ達の生存を()とやらに感謝し、その隣でシオンが白い目でフィリーネを見ている。

 

3人共ボロボロの状態である事に変わりはなく、すぐにでも治療が必要であった。

 

シズカ達の肩を借りて地上へ出るヒロ達。

 

ウォォォォォォォォォ!!!

 

地上へ出たヒロ達を出迎えたのは、基地地上を制圧し集まった私設武装組織 フェンリルの兵士達の大歓声と拍手の音である。

所々に仲間に肩を貸してもらっている者もいるがどうやら誰一人として欠ける事はなかったようだ。ヒロはその光景を見て、終わったんだと実感し安堵する。

 

すると兵士達の中からユウゴが姿を見せ、ヒロと向かい合う。

 

「ミッション完了だ、ボス」

 

「ああ」

 

ヒロはそう言うとユウゴとハイタッチを交わす。

その後、2人は互いに拳を合わせると笑い合った。

 

そこへ突然、フェンリル兵士達とは別の方向から拍手の音が聞こえ、全員がその方向を見る。

 

「いやぁご苦労さん、想像以上の働きだったな」

 

そこにいたのは拍手しながら近づいてくる森谷 闘真。

 

「・・・何しに来た?」

 

ヒロが闘真を睨みながらそう言うと、闘真は両手を上げて降参のポーズを取る。

 

「おいおい、ご挨拶だな。俺は素直に君たちを称賛してるんだ」

 

「どの口が言ってるんだ?」

 

未だに笑う闘真にヒロは警戒する。

 

「まぁ、そう邪険にするなよ。俺は君たちの依頼主(クライアント)だぞ?」

 

「・・・信用出来るとでも?」

 

ヒロは闘真を睨みながらそう返すと、アイヴィスが前に出て代わりに答える。

 

「お兄様の言う通りです。貴方は私たちを騙し、テロリストの罪を着せようとしたではありませんか」

 

アイヴィスが闘真に向かってそう言うと、闘真は笑うのを止めて真剣な表情を浮かべる。

 

今ヒロとチカゲとアイヴィスの頭の中に浮かんでいるのは、戦闘中に了賢が告げた言葉だ。

 

“森谷 闘真はこの地下区画とここで行われてるプロジェクトの事を知っていた。だからこそ俺がここへ来るような真似をしてお前たちも呼び寄せたんだ。万一の場合は俺やお前たちをスケープゴートにして逃げれるようにな”

 

現に今の状況は闘真が事前に止めていればヒロ達がここ、小松基地へ来る事もなかった。

つまり、ヒロ達がここに来るように仕向けた張本人が目の前にいるのだ。

それに察知して事前に阻止し、それを通達していればヒロ達は地下区画、ひいては小松基地へ来る事もなかった。

 

「引き受けて欲しい依頼は事前に通達してもらいたいものです」

 

アイヴィスが闘真にそう告げると、闘真は笑いながら答える。

 

「悪いな、俺も今知ったんだ」

 

「そんな言い訳が通るとでも?」

 

ヒロの言葉に闘真は笑うのを止めて真剣な表情になる。

そしてヒロは一呼吸置き、再度言葉を続ける。

 

「当初の報酬に5割追加。今この場で支払ってもらう」

 

「ほぉ、追加報酬か。確かにそれは道理だな」

 

ヒロの言葉に闘真は感心したようにそう答えると、先ほどのような笑みを浮かべる。

 

「けど今の君たちにその権利があるのかな?俺の証言1つで君たちは国家転覆を狙ったテロリストとして裁かれる事になるぞ?」

 

「どの口が言うんだ?俺たちをテロリストに仕立て上げようとしておいて」

 

闘真の言葉にヒロがそう返すと、闘真は再び真剣な表情に戻る。

 

「まぁ、そうカッカするな。俺は別に君たちをテロリストに仕立て上げようとは思っていない」

 

闘真の言葉にヒロが怪訝な表情を浮かべると、闘真は楽しそうに答える。

 

「俺はただ()()しただけだ。そして君らはそれを受けたに過ぎない」

 

「・・・屁理屈だな」

 

「ああそうだ。だが、それが世の中だ」

 

そう言って笑う闘真。

話し合いから一転し一触即発の空気となる。ヒロが闘真に銃を向けると、周りの私設武装組織 フェンリルの兵士達も一斉に銃を向け始める。

互いに無言を貫き続ける中、今度は拍手とは別の手を叩く音が響き渡る。

 

「双方、そこまでです」

 

更に聞こえてくるのは別の女性の声。全員が声の方を向く。

 

そこにいたのは首筋に届く程の長さの艶のある黒髪の女性。見た所年齢は闘真より年下に見える。

隣には恐らく彼女を呼んだのであろうカズマが控えている。

 

ゆっくりと近づいてくる女性。やがて首相の女性がヒロの正面に立つと、ゆっくりと頭を下げた。

 

(すめらぎ) (ひろ)さん、そして彼に仕える兵士の皆さん。我が国を危機から救って頂いた事、感謝してもしきれません」

 

首相の女性が頭を下げると、周りの私設武装組織 フェンリルの兵士は動揺する。

そして闘真も驚いた表情をしている事からこの展開は想定外なのだろう。

ヒロがアイヴィスに視線を向けると、アイヴィスも困惑しているようだ。どうやらこの状況を理解出来ているのはカズマだけらしい。

 

≪分析結果から導き出される結論として彼女は日本国家現首相≫

 

相方の言葉にヒロは驚くがすぐに平静を保つように努める。

 

(まさかこんな大物が出てくるとはな・・・)

 

ヒロがそんなことを考えていると、闘真が口を開く。

 

「これはこれは、まさか姫様が直々にお出ましとは。それで、どういったご用件で?」

 

闘真の言葉に首相の女性は闘真に笑顔で答える。

 

「カズマさんからまた貴方が勝手をしていると報告を受けまして」

 

「いやいや、俺はただ日本国民の代表として感謝の意を・・・」

 

闘真がそう答えると、首相の女性は笑顔のまま言葉を続ける。

 

「噓ですね」

 

「・・・何故そう思う?」

 

闘真の笑顔が一瞬崩れるもすぐに表情を戻す。

しかし、首相の女性は構わず話を続ける。

 

「貴方が噓をつく時はほんの少しですが目が泳ぎます」

 

闘真は図星を突かれたのか僅かに動揺した表情を見せる。

そんな闘真を他所に首相の女性がヒロに向き直り話を続ける。

 

「すいません、少し席を外しますね」

 

「え?あ、はい・・・」

 

ヒロがそう答えると首相の女性は闘真を連行しカズマと共にその場から離れる。

残されたのはヒロとチカゲとアイヴィス、そして私設武装組織フェンリルの兵士のみ。

 

「ヒロ・・・」

 

「お兄様・・・」

 

「ああ、今は大人しくしていよう」

 

3人がそう小声で話していると闘真が連行された方角から話声が聞こえ始め、時折怒鳴り声が聞こえながらもその後すぐに声も止み辺りは再び静寂に包まれる。

それから数分程経つとカズマと共に戻ってきた首相の女性。

 

「お待たせしました」

 

そう言って微笑む女性に対してヒロは気になっていた事を尋ねる事にした。

 

「あの、アイツは?」

 

「ああ、彼なら大丈夫ですよ。少し()()をしただけです」

 

笑顔で答える首相の女性にヒロとチカゲとアイヴィスは若干引いてしまうが気を取り直して話を続ける事にした。

 

「それで?俺達に何の用で?」

 

ヒロの言葉に首相の女性は笑顔のまま口を開く。

 

「そうですね・・・まずは自己紹介からしましょう」

 

そう言って彼女は自分の胸に手を当てる。

 

「私は朝香宮(アサカノミヤ) 遥実(ハルミ)と申します。日本国家現首相を務めさせて頂いている者です」

 

「アサカノミヤ・・・?」

 

彼女の名前を聞いたヒロがそう呟くと、隣にいたアイヴィスが小声で教えてくれた。

 

「日本の旧皇族です」

 

「なるほどな・・・」

 

ヒロは納得するように頷き、遥実に向き直る。

 

「此度は我が日本国の危機に尽力頂きありがとうございます」

 

そう言って遥実は深々と頭を下げる。

 

「仕事だからね、日本を救ったのは成り行きだけど」

 

ヒロがそう言うと遥実はゆっくりと頭を上げる。そして話を続けた。

 

「勿論、貴方方に日本を救って頂いた事への謝礼はさせて頂きます」

 

「それは助かるね。けど、本当にいいのか?俺達はテロリストの疑いがあるんだろ?」

 

ヒロの言葉に遥実は笑顔で答える。

 

「構いませんよ。貴方方は私と日本の命の恩人です。それに・・・」

 

遥実がそこまで言うと視線をカズマにどやしつけられている闘真の方向へ向ける。

 

「・・・あの人は昔からああですから」

 

(・・・なるほどな)

 

そんな話をしていると遠くからエンジンの音が聞こえてくる。どうやらカズマが既に日本軍へ連絡しており、事後処理に動き始めたようだ。

少しすると、カズマが闘真を引きずりながらこちらへやってくる。

 

「全く、このクソ師匠は・・・」

 

「カズマさん、ご苦労様です。後はこちらで処理しますので休んでいてください」

 

遥実がそう言うとカズマは頭を下げその場を去っていく。

 

 

 

結果としては遥実とカズマに闘真の事を任せて正解だったと言えるだろう。

ヒロ達をテロリスト扱いしようとしていた闘真から大金をふんだくる事が出来たのだから。

 

支払いの明細としては、ヒロの要求通り当初の報酬額に5割を上乗せ。

更に闘真が意図的に情報を秘匿しヒロ達の仕事を増やした事による謝罪金としてもう5割上乗せ。

 

当初の報酬額が1億ドルだった為に5割の追加報酬で5000万ドル、謝罪金でもう5000万ドル。それら全てが闘真の財産から差し引かれる事となった。

 

 

 

任務が完了した以上、日本にこれ以上留まる理由も必要もない。受け取る物を受け取ったら後は日本を発つだけだ。

帰還の準備をしているフェンリル兵士達を見ていた遥実が口を開く。

 

「もうお帰りになられるのですか?」

 

「ああ、家族が待ってる」

 

ヒロの言葉に遥実は残念そうな表情をする。

 

「そうですか・・・もう少しお話をしたかったのですが」

 

「長居したら邪魔になるだろ?」

 

ヒロがそう言うと遥実は少し残念そうな表情になる。

 

「・・・では、また来て頂けますか?」

 

「機会があればな」

 

ヒロがそう答えると遥実は少し残念そうな表情をする。

 

「・・・そうですか」

 

そんな遥実にカズマは耳打ちする。

 

「姫様、そろそろ時間だ」

 

「もうそんな時間ですか?残念ですが仕方ありませんね」

 

そう言うと彼女は再びヒロに向き直る。

 

「申し訳ありませんでした。最後に握手をお願いしてもよろしいですか?」

 

そう言って手を差し出してくる彼女にヒロも手を差し伸べる。

 

「ああ、それくらいなら構わない」

 

ヒロがそう言うと遥実は嬉しそうに微笑む。そしてゆっくりと握手を交わした後、彼女は最後に一言だけ告げる。

 

「またお会いしましょう」

 

そう言って彼女はカズマと共に去っていくのだった。

2人が見えなくなるまで見送った後、ヒロは準備を終えたフェンリル兵士達に向き直る。

 

「ミッション完了!総員、これより帰還する!」

 

ヒロの言葉に兵士達は一斉に敬礼をして答える。

 

『了解!!』

 

そしてヒロ達は兵士達が乗ってきた戦車に相乗りし、自分達の輸送機が待っている中部国際空港(セントレア)へ向かう。

 

 

 

中部国際空港(セントレア)では連絡を受けたフェンリルのC-5M輸送機と護衛戦闘機群が給油を終えた状態で待っていた。

 

そこでも日本政府の人間が待っており、報酬の正式な受け渡しが行われた。

 

当初の報酬1億ドル分の金塊が納められたジュラルミンケース、フェンリル兵士全員分の20式自動小銃とパーツ一式、全地球圏範囲で通信可能な端末。

それらに加え追加報酬と謝罪金での現金5000万ドルずつが別の10個のアタッシュケースに収められている。

 

そしてそれとは別にストレッチャーで寝息を立てている少女、ヒロ達が確保を最終目標にしていた件の少女だ。

 

それら全てを受け取ってC-5M輸送機に積み込み、残った車両に航空機も積載。

最後に兵士全員が乗り込み、護衛戦闘機隊の離陸後に輸送機も離陸。

 

こうして、私設武装組織 フェンリルの日本での作戦は完了で幕を下ろした。




ED2:HORIZON/TEAM SHACHI

これにてコラボ回は終了となります。
今回コラボ頂いたアーヴァレスト様、ありがとうございました!

コラボ先の作品はこちらになります!↓
[https://syosetu.org/novel/294168/]


オマケ:現時点でのキャスト(イメージ)


ヒロ・スメラギ:榎木 淳弥

チカゲ【執行人(エンフォーサー)】:鈴木 愛奈
シズカ【九九式軽機関銃】:内田 彩
ミア【スコーピオン】:松井 恵理子
イリス【MG08/15】:悠木 碧
フィリーネ【HK433】:小松 未可子
シオン【LR-300】:若山 詩音
アイヴィス【???】:白石 晴香

ユウゴ:関 智一
ジーク:土岐 隼一
ニール:半田 裕典
エイミー:津田 美波

白狼 了賢【ワイルド・ドッグ】:武内 駿輔
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