Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP2:HIBANA/感覚ピエロ


#35 NEWBIE 新参

「じゃあ、また来るよ」

 

「・・・はい」

 

あれから暫くして落ち着いたウェンディは泣き疲れたのか眠ってしまった。そんなウェンディに別れを告げるとヒロは病室を出る。

 

「彼女とは打ち解けれたか?」

 

そこに雑務から戻ったと思われるヨハネスと鉢合せる。

 

「あぁ、まぁな」

 

ヒロは苦笑しながら答えるとヨハネスも笑みを浮かべる。そして2人はそのまま歩き出す。

 

「・・・先生」

 

「ん?どうした?」

 

歩きながらヒロはヨハネスに声を掛ける。そして・・・

 

「ウェンディの面倒、俺に任せてくれないか?」

 

「・・・あぁ、私もそのつもりだったよ」

 

2人はそう言うと再び歩き始める。どうやら考えている事は同じらしい。

 

「これから忙しくなるな」

 

「あぁ、だけど・・・」

 

2人は互いに顔を見合わせる。その顔には笑みが浮かんでいた。

一先ずウェンディの状態の監視はヨハネスに任せてヒロは病院を出る。と、ここでヒロの携帯が鳴る。相手は警備班のメンバーだ。連絡を寄越して来たという事は何かトラブルだろうか?

 

「もしもし?」

 

《ボス?今どこにいる?》

 

「病院を出たところだ、何かあったのか?」

 

《ああ、I.O.P.のヘリが着陸してぇって・・・》

 

「I.O.P.が?」

 

I.O.P.の名前が出た事にヒロは驚きを隠せない。どうやら何かあったようだ。

 

「・・・分かった、すぐに行く」

 

そう言うとヒロは携帯を切ると再び歩き始める。シズカ達試作人形達のデータ提出の期日はまだ先のはず、一体何故I.O.P.のヘリがやって来たのか?その疑問を抱きつつ病院を後にする。

 

 

 


 

 

 

アナトリア領:シュルナク県都シュルナク

旧検問所付近の基地にI.O.P.の輸送ヘリが着陸する。その周囲には警備班のスタッフ達が銃を構えて警戒に当たっている。

 

「ボス!」

 

基地に到着したヒロを見るや否や、スタッフの1人が駆け寄りヒロに敬礼をする。

 

「ご苦労さん、それで何があった?」

 

「ああ、I.O.P.のヘリが着陸したいって連絡を寄越したから、ついさっき降ろしたんだ・・・」

 

スタッフからの報告を聞いたヒロは首を傾げる。一体何の為にI.O.P.がアナトリアまでやって来たのか?そう考えていると・・・。

 

「・・・!」

 

輸送ヘリのハッチが開かれ中から1人の人物が飛び出してきた。

年端も行っていなさそうな少女で、端が赤みを帯びた肩までの長さの紫色の髪、グレーのベストの上に深紫のフード付ジャケットを着ており、その下に白いシャツを着用、その上からでも分かる程立派に実っている2つの()()()()、緩めのネクタイと先端が赤みを帯びる長いスカーフを首に巻いており、赤いチェックのミニスカート、靴の代わりにインラインスケート靴を履いている。

 

「お前がそうか?」

 

少女はヒロの真正面で止まり、ヒロを見るなりそう尋ねる。

 

「そうか?って言われても何の事か分かんないよ」

 

「とぼけるな、お前がここの組織の指導者だな?」

 

少女はヒロを睨みつける。どうやらヒロがここの組織の指導者だと確信しているようだ。

 

「指導者って訳じゃ無いけど、ここを指揮ってるのは俺だよ」

 

そう言うとヒロは少女に歩み寄る。そして・・・。

 

「・・・」

 

「え・・・?」

 

少女はいきなりヒロの胸倉を掴むと自分の顔へと近づける。突然の事に驚くもヒロは少女の顔を見る事となる。

少女は端正な顔立ちをしており、その瞳はまるでサファイアのような青い輝きを放っている。しかしその表情にはどことなく幼さが残っているような印象を受ける。

 

「二型さん、待ってください・・・!」

 

そんな少女を制止する声が聞こえてくる。声のした方を見ると1人の少女が駆け寄って来るのが見えた。

二型と呼ばれた少女がいきなり飛び出した事に慌てたのだろう、息が上がっており二型の直ぐ後ろに立つと両膝に両手を付け呼吸を整えている。

 

身なりの方はと言うと、美しい長い茶色の髪と蜂蜜のような黄色い目。髪の左側に自然な花柄のヘアピンを付け、右下に小さな鈴の付いたヘアゴムを付けている。オレンジ色のセーラー風のリボンが付いた巫女風のローブ、リボンが付いた取り外し可能な腕の袖、赤いミニスカートを着ている。二型と呼ばれた少女の物より立派に実った彼女の胸のサイズにより、彼女のローブのフィッティングはややタイトになっており、横乳と胴体下部のへそがわずかに露出。彼女の衣装の巫女の性質により伝統的な巫女とは異なり、靴の代わりに靴下を履かずにサンダルのみを着用。さらに彼女はすべて普通のシルクで作られたリボンと花柄のニーガードも着用している。

 

「二型さん、いきなり失礼ですよ!」

 

「・・・ふん」

 

少女はヒロから手を離すと少女を睨む。しかし一体何故彼女は自分を睨んでいたのだろうか?そう考えていると・・・。

 

「二型さんがすいません・・・、私はI.O.P.の試作戦術人形で九九式短小銃と言います」

 

「あぁ、俺は・・・」

 

「ヒロ・スメラギさんですよね?お話はペルシカさんからお聞きしてます」

 

どうやらこちらの事は調査済みのようだ。しかも彼女は自分からI.O.P.の試作戦術人形と言った。

 

「そうか、なら話は早いな」

 

I.O.P.が何の為にシュルナクまでやって来たのか?その疑問を解決すべくヒロは九九式に尋ねる。

 

「で、今日はどんな用件で?」

 

「・・・ペルシカさんからお話は伺ってると思うんですが・・・」

 

そう言うと九九式はチラリと二型の方を見る。その視線に気付いたのか二型も九九式を見る。

 

「・・・ふん」

 

「・・・はぁ」

 

二型は九九式から視線を逸らすとヒロに向き直る。対する九九式はため息を吐くと再びヒロを見る。

 

「すいません・・・彼女は二型機関短銃と言いまして、私と同じI.O.P.の試作戦術人形です」

 

「試作戦術人形・・・」

 

九九式の口から出てきた単語にヒロは反応を示す。一緒に来た当たり、やはりI.O.P.の試作戦術人形だった。

そして同時に思い出した。以前I.O.P.の首席研究員ことペルシカが言っていた事を。

 

 

試作人形(彼女たち)実地運用試験(フィールドテスト)をお願いしたくてね”

 

 

「・・・そうだった、ペルシカリア博士に運用試験の代行を押し付けられてたんだ・・・」

 

「はい、その件で今日は来たんです」

 

九九式がそう言いながら頷く。そして・・・。

 

「二型さん、いい加減にしてください」

 

「・・・ちっ」

 

九九式の注意に二型は舌打ちするとヒロから離れる。そして・・・。

 

「私はI.O.P.試作戦術人形の二型機関短銃だ」

 

改めて自己紹介をする二型。そんな彼女をヒロはジッと見つめる。

 

「・・・」

 

そんな視線を感じたのか、二型はヒロを睨みつける。

 

「はいはいストップ!」

 

そこに聞こえてきたのは二型でも九九式とも違う別の女性の声。

声のした方を見ると、そこにはまた別の少女がいた。

 

ほっそりとした体格と先の2人と比べれば大分控えめな胸を持ち、腰までの長さの金髪を左側頭部でワンサイドアップで結んでいる。ルビーのような赤い目。白い裏地と折り目が付いた青いトラックジャケットの上に、黒いジッパーラインと錨型ジッパーバックルが付いた襟の高いミッドレングスのケープレット、赤い裏地が付いたミニ丈の黒いプリーツスカート、青い星条旗柄のニーソックス、白いスニーカー、黒い指貫グローブを着けている。

 

「二型、いきなり失礼だぞ?」

 

2人の少女と合流するなり九九式と同じような事を言う金髪の少女。どうやら彼女もI.O.P.の試作戦術人形のようだ。

 

「よろしく、ヒロ・スメラギ!私はS&W M27だ!」

 

金髪の少女、M27はヒロに笑顔で自己紹介をする。

 

「ああ、よろしくな」

 

M27の笑顔につられヒロも笑顔で返す。

 

「・・・」

 

そんなヒロを二型は無言で睨みつける。どうやら彼女はヒロの事が気に入らないようだ。

 

「もう、いい加減にしてください!」

 

そんな二型を九九式が宥める。

 

「二型さん、ヒロさんはペルシカさんが認めた人です。そんな態度を取るのは失礼ですよ?」

 

九九式は諭すようにそう言うも、二型はそっぽを向く。聞く耳を持たないようだ。

そんな二型にため息を吐くと九九式はヒロを見て頭を下げる。

 

「すいません、ヒロさん・・・」

 

「いや、良いよ」

 

ヒロは苦笑しながらそう言うと二型を見る。彼女はそっぽを向いたままだ。

ともあれ、フェンリルに新しく戦術人形が3体加わってくれる。試作人形である故に既製品とは勝手が違うだろうがそれでも仲間が増えるのは嬉しいものだ。

 

「よろしくな、3人とも」

 

ヒロはそう言うと手を差し伸べる。

 

「ああ、よろしく!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「・・・ふん」

 

M27と九九式は笑顔でヒロの手を握り返す。そして・・・。

 

「・・・私は仲良しごっこをする気はない」

 

二型はヒロを睨みつけながらそう言うと、ヒロの手を振り払った。

そんな二型に九九式はため息を吐く。

 

「もう・・・本当にすいません・・・」

 

「いや、良いよ」

 

謝る九九式を宥めるとヒロは3人を見る。これから彼女達が仲間になるのだ、仲良くやっていきたいものだ・・・。

 

 

 


 

 

 

アナトリアに新たに二型機関短銃、九九式短小銃、M27がやってきた日の翌日。

ヒロはシズカ達と同じ様に3人にも名前を与えた。

 

二型機関短銃は「アヤメ」

 

九九式短小銃は「マナ」

 

M27は「レイシア」

 

九九式短小銃(マナ)M27(レイシア)はを与えられた事に大変喜んでいたが、二型機関短銃(アヤメ)だけは「馴れ合うつもりは無い」と名前にすら触れなかった。

そして今日もまた、試作人形達は訓練に励んでいた。

 

ここで彼女等の要項を確認しておこう。

 

二型機関短銃(アヤメ)は試製二型機関短銃。両脚に装着するインラインスケートで機動力も高い。

 

九九式短小銃(マナ)は九九式短小銃に6倍スコープを装着している。ヒロとしてもこれはありがたい。

 

M27(レイシア)はS&W M27を2丁持ち。それに加え彼女はHG(ハンドガン)戦術人形、HG人形は戦術人形部隊の簡単な指揮も出来る。

 

それとは別件でヒロはウェンディがいる病室にも顔を出していた。

するのは何の変哲もない普通の話だが、それでも彼女は嬉しそうに聞いてくれる。

 

それともう1つ、日本で保護したアイヴィス達と()()()()()()()()()()()()()()()をした少女、エステルの意識も回復したそうだ。当然彼女のメンタルケアも行っていく予定だが、エステルのケアはアイヴィスが引き受けてくれた。エステルはアイヴィスと()()()()()()()()()()()()()()()をした少女だ。当然気も合うだろう。

それにアイヴィスもヒロに拾われアナトリアへ来る前はエステルと同じような境遇に遭ってきた、きっとアイヴィスなら彼女を救ってくれる事だろう。

 

 

 


 

 

 

そうしてアヤメ、マナ、レイシアがアナトリアへやってきて5日程経った日。

 

ウェンディとエステルの見舞いを済ませ、いつもの飲み屋で休憩しようかと思っていた時だ。

 

≪コマンダー、応答を≫

 

「ん?」

 

突然、ヒロの耳に響くように通信が入る。このような通信をしてくるのは相方のセラフだけだ。

ヒロは右耳の下辺りに右手人差し指と中指を当てる。

 

「どうしたセラフ?」

 

≪諜報班より報告事項あり、中央司令室への来室を希望します≫

 

「諜報班が?分かった、すぐに行く」

 

そう言うとヒロは司令室へと向かう。




ED2:HORIZON/TEAM SHACHI


-筆者のちょっとウラ話-

今回のオリジナル戦術人形は、二型機関短銃と九九式短小銃は「ヴァルキリードライヴ ビクニ」の「九頭竜 桃」と「猪名川 マナ」。
M27は「アズールレーン」の「クリーブランド」をモデルにしてます。

先に登場させたオリジナル戦術人形にもモデル有り。

全部オリジナルで作る想像力は自分には無かったんや( ̄▽ ̄;)
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