Doll's FrontLine -Armored Outsiders- 作:天羽々矢
アナトリアを発ちグリフィンS09地区009基地の部隊と合流したヒロ達フェンリルのメンバーは直ぐに与えられた任務を果たすべく行動を開始。
≪メインシステム、戦闘モードを起動≫
セラフのシステムが起動しカメラアイに光が灯り、ヒロの操縦でセラフは脚部スラスターを噴射し地上を滑るように移動する。セラフの接近に気付いた鉄血の人形達が銃を構えて一斉に撃ってくるが、セラフは機体周辺に展開されたバリアのような物でそれを全て防ぐ。そして・・・。
「っ・・・!」
両腕のレーザーブレードを振り上げるとブレードを展開し背中のブースターを噴射そのまま薙ぎ払うように一閃する。
セラフのレーザーブレードは鉄血人形達の装甲を容易く切り裂き、そのまま胴体を真っ二つにする。
「凄い・・・」
その様子を見てアイヴィスは思わず呟く。しかし今は感心している場合ではない事は分かっているのかすぐに気を引き締める。
「アイヴィスさん、行きましょう!」
「はい!」
シズカからの通信に答え、地上に降りたヘリから2人がそれぞれ率いる部隊は各々の武器を構えて地上を進む。
《ボス、こちら“タイタン”。これより目標空域へ侵入する》
そしてフェンリル部隊の先陣を切り鉄血の軍勢を蹴散らすヒロの耳に入る通信。
上空から鉄槌を下す役目のフェンリル所属AC-130U スプーキーⅡの2機編隊とそれに寄り添って飛ぶE-2D アドバンスドホークアイ。
「了解、タイタンはそのまま目標空域へ侵入し攻撃を開始!“レーザー4”はその補佐だ、頼んだぞ!」
《了解。タイタン、セーフティ解除》
ヒロの言葉にスAC-130U2機編隊、コールサイン“タイタン”とE-2D3機、コールサイン“レーザー4”は速度を上げる。
そして作戦区域上空に到達するとAC-130Uの機体左舷に搭載される重火器が地上の鉄血を照準し、E-2DはそんなAC-130Uを対空攻撃から守るべく
「セラフ、俺達も行くぞ!」
≪了解≫
そしてヒロとセラフもまた地上を滑るように移動しながら両腕のパルスキャノンを構えて鉄血人形達を撃ち抜いていく。
敵の数は膨大だが皆の士気は高く、次々と敵を撃破していく。
「セラフ、次は・・・!」
≪10時方向、マンティコア5機≫
「分かった!」
セラフに促されヒロはスラスターを吹かし飛び上がる。そして・・・。
「喰らえ!!」
マンティコアをロックオンすると背部ブースターのカバーが開き垂直ミサイルが発射される。ミサイルはマンティコアの胴体に直撃し爆散、そのまま他のマンティコアにも襲い掛かり撃破する。
「よし、次だ!」
ヒロは次の目標を目指し移動する。そして・・・。
《こちら“シタデル”、司令、12時方向より敵増援確認。マンティコア10機とニーマムが10体です!≫
E-3、コールサイン“シタデル”のレーダーが接近する鉄血の部隊を捉え、管制官を務めるエイミーがすぐさま報告してきた。重装甲部隊のようだが心配はしていない。
《こちら“バイパー2-1”、目標を確認》
セラフの後方から接近するはA-10C サンダーボルトⅡの4機編隊。コールサイン“バイパー2”。
《“バイパー2”、セーフティ解除、攻撃を開始してください》
《了解!》
E-3に乗るエイミーの通信にサンダーボルトII4機は速度を上げる。
《バイパー2、機銃斉射開始!》
サンダーボルトIIのパイロットはそう叫ぶと機種下部に搭載されているGAU-8 アヴェンジャー 30mmガトリング砲が火を噴く。
サンダーボルトIIの搭載する機関砲は30mmの大口径弾を毎分3,900発の速度でばら撒き、地表付近を飛ぶ4機の一斉斉射で瞬く間に鉄血人形達はズタズタに引き裂かれる。
《目標撃破》
バイパー2-1は淡々とした口調でそう報告する。
《バイパー2、そのまま敵地上部隊の掃討を続けて下さい》
《バイパー2、了解》
エイミーからの連絡を受けサンダーボルトII4機は編隊を解き、地上部隊への攻撃に移る。
正面の装甲部隊が片付いた事でヒロとセラフは前進を再開。
≪パイロット、11時方向200mの地点にグリフィン戦術人形の反応有り。数3≫
だが前進を再開した所でセラフが知らせるとヒロは機体をそちらに向ける。するとそこにはグリフィンの戦術人形であるVector、95式、97式の姿が確認出来た。しかも3体共重傷を負っている。
そして彼女達の周囲には鉄血の人形達が群がっている。どうやら囲まれてしまったようだ。
「こちらフェンリル・コマンダー、負傷したグリフィン戦術人形3体を確認」
すぐさま009基地であるフィオナ指揮官へ連絡を入れ、応答を待たずにセラフの背部大型ブースターからミサイルを発射し3体を囲んでいた鉄血人形達を吹き飛ばす。残ったマンティコア1体はブースターを吹かし
マンティコアは吹っ飛ばされ廃墟となっている建物に突っ込み機能停止した事を確認するとヒロはセラフの操縦席から降り、Vector達の元へ駆け寄る。
彼女達は全員意識ははっきりしているが95式は左脚を、97式は右脚を失っており戦闘続行は不可能だろう。
「ちょっと待っててくれ」
ヒロは1体ずつ脇の下を抱えて引き摺るようにして建物の裏手へ避難させる。
「ここなら少しはマシだ、救援用のビーコンを使うからここを動くなよ」
ヒロはそう言うと最後にVectorに肩を貸して建物の中へ入り、そして救援用ビーコンを起動する。あとは信号を拾って味方部隊が来る事を祈るだけだ。
「・・・また助けてもらったね」
するとVectorがいきなりそんな事を言い出した。彼女の言葉にヒロは肩を貸したVectorの顔を見る。
また助けてもらった・・・?どういう事だ? そんな事を考えているとVectorが口を開く。
「ほら・・・B03地区626基地で」
「・・・あぁ~」
それを聞いてヒロは思い出した。
B03地区626基地、ヒロ達フェンリルがその基地司令官であるバーナード・デヴィンター元指揮官に仲間を負傷させられ仕返しに行った場所。
成り行きとはいえそこで非道に扱われてきた戦術人形達を解放した事があった。
あの時からまださほど経っていない筈だが酷く長い時間が過ぎたような感じだ・・・。
という事は一緒にいる95式と97式も元B03地区626基地所属だろうが、しかしあんな悪徳指揮官の指揮下から解放されたと思いきやすぐさまこんな無謀な作戦に投入させられるとは・・・思わず不憫に思ってしまう。
そんな事を考えているとセラフから通信が入る。
≪コマンダー、マンティコアの増援が接近中。機数10≫
右手のパルスキャノンを腰にマウントし、残った左手のパルスキャノンで攻撃するセラフからの通信にヒロは我に返る。今は感傷に浸っている場合ではない、目の前の事に集中しなければ・・・。
「分かった、じゃあまた。セラフ行くぞ!」
Vector、95式、97式に別れを告げヒロがジャンプすると、セラフは空いている右手でヒロを掴みそのまま操縦席へ押し込んだ。そしてセラフはブースターを吹かして接近するマンティコア達と正面からぶつかる。
《タイタン目標破壊》
そこで上空を飛ぶタイタンから報告。009基地第1部隊の要請を受け、進路を塞いでいた鉄血の要塞砲ジュピターを破壊したそうだ。
いくら装甲で覆われていようが、
タイタンの2番機はジュピターが破壊された事で鉄血の防衛網に僅かだが混乱が生じた隙を突き第1部隊周辺の鉄血人形に25mmガトリング砲の斉射をお見舞いする。
《シタデルよりフェンリル・コマンダー。司令、009基地第1部隊が前進します》
そしてエイミーからの通信。009基地第1部隊が鉄血の要塞へ向け前進を開始したようだ。
「了解。バイパー2-1、オーダーだ。前進する第1部隊に近接航空支援を頼む」
《了解》
バイパー2-1はそう答えると第1部隊の上空へ到達し、第1部隊の進路を阻む鉄血人形達に30mm機関砲を浴びせる。
その間に第1部隊は要塞への距離を縮める。
《シタデルより第2部隊、右側面よりドラグーンの部隊が接近。ストライカー3が対応します》
そしてエイミーからの通信。009基地第2部隊に接近する鉄血は上空より接近するフェンリルのF-16C、“ストライカー”の3番機が対応する。
味方が巻き込まれない事を確認し、ストライカー3が接近する鉄血の部隊の上からMk84無誘導爆弾を投下する。投下された無誘導爆弾は勢いそのまま落下するとそのまま鉄血人形の群れに直撃。ストライカー3はそのまま離脱する。
《シタデルよりフェンリル・コマンダー。第2部隊、周辺の鉄血を排除。前進します》
そして009基地第2部隊の戦果報告が入ってくる。
「上手く行ってそうだ、シズカ、そっちは?」
《はい、問題ありません》
ヒロが通信でヴァルキリー分隊を率いるシズカにそう尋ねると彼女は答えた。
現在ヴァルキリー分隊は009基地の第1部隊、第2部隊と同様に周辺の鉄血を排除しつつ前進し要塞へ接近している。
「OK。アイヴィス、そっちは?」
《こちらも問題ありません、お兄様》
そしてアイヴィスのノワール分隊もヴァルキリー分隊、第1部隊、第2部隊の後方を進みながら周辺の鉄血を排除しつつ要塞へ接近していた。
《こちらサーバル4、救難要請のあったポイントに到着。これより負傷した戦術人形達を回収する》
そしてここでフェンリルのV-22 オスプレイ、コールサイン“サーバル”の4番機から連絡。どうやらVector達を回収する為にポイントに到達したようだ。
《了解、ストライカー2、ストライカー4はサーバル4の護衛をお願いします》
F-16、“ストライカー”の2番機と4番機がVector達の元へ向かったようだ。これで一安心だ・・・。
やがてサーバル4は負傷したVector達を収容するとすぐに離陸し戦域を離脱していく。
《いきなり撃たないでよビックリするじゃん!》
《狙撃地点を取られてそれに気づかない方が悪い。ミアと同じでスコーピオンって皆バカなの?》
一旦通信に耳をやると、ノワール分隊の1人、
状況としては第1部隊の先陣を切って突っ走るスコーピオンを狙っていた鉄血のイェーガーをノエルがPGM ヘカートⅡによる狙撃で始末した形だ。
《にゃにを~!?》
そんなスコーピオンは怒りの声を上げるが・・・。
「おいノエル、同じスコーピオンだからってからかうなよな?」
ヒロが通信に割り込みノエルを咎める。
《ごめんなさいお兄様、でも今のはスコーピオンが悪い》
ノエルがそう言うとまたしてもスコーピオンの怒号が聞こえてくる。
《ちょっと!?あんたどっちの味方なのさ!》
そんなやり取りにヒロは思わず苦笑いを浮かべる。
「これじゃ、まるで引率の先生だな・・・」
≪全くです≫
そんなヒロにセラフも呆れ気味に相槌を打ちながらも、ヒロとセラフは周辺の鉄血を排除し前進を続ける。