Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP3:Garnet Moon/島谷 ひとみ


#40 SILENT LINE 03 サイレントライン 03

作戦はサイレントラインの居住区に移る中、未だヒロの意識は戻らない。そして要塞攻略の為、セラフは意識を失ったヒロを乗せたまま前線で戦い続ける。

 

《セラフさん、早く後方へ退避を!》

 

シズカはセラフの機体にそう呼び掛けるが・・・。

 

≪プロトコル3を遂行中です。問題はありません≫

 

セラフはそう言い返すと前線で戦い続ける。そんなセラフの態度にレイシアも声を上げる。

 

《ちょっとあんたいい加減にしなよ!!指揮官が意識不明なのに下がらせないなんて何考えてるのさ!?》

 

≪問題ありません。指揮官は意識不明の状態ですが、バイタルサインは安定しています≫

 

セラフはそう答えると再び前線へと飛んでいく。

 

《ちょっと!?》

 

レイシアはそう叫ぶがセラフは止まらない。

 

《セラフさん!指揮官様は意識不明なんですよ!?》

 

HK433ことフィリーネも通信でそう呼び掛けるが、やはりセラフは止まらない。

 

《セラフさん、指揮官を早く後方に退避させましょう。このままでは危険です!》

 

マナもそう通信で呼び掛けるが・・・。

 

≪プロトコル3を遂行中≫

 

そんなやり取りをしている間もヒロは意識を失ったままだ。幸いと言うべきは、セラフの自律稼働下での戦闘で直撃弾を食らっていないという事だろうがヒロの意識が戻る様子は今の所ない。

 

《セラフさん!指揮官様を早く後方に退避させて下さい!!》

 

フィリーネがそう通信で呼び掛ける中、シオンも説得する。

 

《セラフさん、あなたは自分の任務に忠実である事は素晴らしい事です。ですが今はあなたの任務よりも指揮官の安全の方が優先されます》

 

だがそんな2人の言葉に耳を貸すことなくセラフは前線へと飛んでいく・・・。

 

《セラフさん!!》

 

そんなやり取りをしている間に要塞の第2防衛線が見えてくる。

セラフは第2防衛線に張り付く鉄血人形部隊を蹴散らし、そのまま突き進んでいく。

 

ヴァルキリー分隊はそんなセラフを追うように要塞へ前進する。

 

《セラフさん!止まって下さい!!》

 

フィリーネがそう通信で呼び掛けるが、やはり止まる様子は見られない。

だが第2防衛線を抜けた先にも鉄血人形部隊が待ち構えており、ヴァルキリー分隊とセラフは激しい戦闘を繰り広げる事になる。

 

そんな戦いの中・・・

 

「う・・・」

 

ヴァルキリー分隊とセラフが激しい戦闘を繰り広げる中、意識を失っていたヒロの意識が戻り始め、機体が揺れヒロの身体を揺らす。

どうやら機体は激しく動いているようだ・・・だが何故?そんな事を考えていると、再びあの耳鳴りと頭痛が襲い掛かり、あの声が聞こえてくる。

 

 

 

―――レイヴン・・・―――

 

 

 

だが今回聞こえてきたその声はノイズに邪魔されてよく聞き取れない。声の正体は一体誰なんだ?頭痛に苛まれながらそんな事を考えていると今度は別の声が聞こえる。

 

《・・・い司令官!しっかりして下さい!》

 

この声と呼び方は九九式軽機関銃ことシズカの声だ。他にも皆が自分を呼ぶ声が聞こえ、その声でヒロは意識を取り戻す。その声でヒロは意識を取り戻し頭を押さえながら身体を起こし、状況を確認すべく周囲を見渡すと・・・。

 

≪パイロットの脳波の正常値への移行を確認、大丈夫ですか?≫

 

意識を取り戻したヒロにセラフがそう問い掛ける。どうやら自分が意識を無くしている間にセラフが自己判断でサイレントライン攻略作戦を行っていたようだ・・・。

 

「あぁ、大丈夫だ・・・それより戦況は?」

 

頭痛と耳鳴りがまだ襲ってくる中、ヒロはそう問い掛けるとセラフはすぐに答える。

 

≪第2防衛線を突破し、現在ヴァルキリー分隊と共に要塞へ向け進行中≫

 

セラフからそう報告を受けると、ヒロは操縦桿を握り直し操縦権を受け取ると機体を前進させる。

だがその前に皆に意識が戻った事を伝えなければ、今も心配している事だろう。通信回線を開き、皆に呼び掛ける。

 

「皆、心配掛けてごめん・・・もう大丈夫だ」

 

《司令官!!/指揮官!!》

 

ヒロの声にヴァルキリー分隊の皆がヒロの無事を確かめる。

 

《もう大丈夫なのですか?》

 

シオンもそう問い掛ける。どうやら本気で心配させてしまったようだ。

 

「あぁ、正直まだ耳鳴りもするし頭痛もするけど、もう大丈夫だ。心配掛けたな」

 

《・・・良かった》

 

ヒロの無事を知ったレイシアがそう呟くと、他の皆からも安堵の声が漏れる。そしてセラフは要塞攻略の為前進を続けるヴァルキリー分隊を追従しながら機体を動かす。

やがて要塞が目前に迫って来ると、ヒロは機体を停止させ要塞に目を向ける。

 

「これが、サイレントライン・・・」

 

《改めて見てみるとおっきいね~》

 

《ホント~》

 

要塞の大きさに圧倒されるヒロとヴァルキリー分隊、その中で呑気に感嘆の声を上げたのはMG08/15ことイリス。そしてそれに頷きつつ同調するのはヒロ指揮下のスコーピオンことミア。

 

≪周囲に友軍の反応無し≫

 

周辺のスキャンを終えたセラフからの報告により、どうやらサイレントライン外壁に到達したのはヒロ達が1番乗りのようだ。

そしてヒロが先程から苛まれている頭痛と耳鳴りは、サイレントラインに近づくにつれ強くなってきている。

 

「ッ・・・」

 

《指揮官、大丈夫?》

 

その事に気付いたレイシアがそう問い掛ける。

 

《・・・やはりまだ体調が優れないのですか?》

 

フィリーネもヒロの顔色を伺いながら心配そうに声を掛ける。だがここで引き返すわけにもいかない。

ヒロは頭を押さえながら機体を動かし始める。

 

《指揮官、無理はしない方が・・・》

 

そんなマナの心配そうな言葉を余所に、ヒロは首を横に振りながら答える。

 

「・・・心配かけてごめん、でも大丈夫。行こう」

 

《・・・分かりました》

 

マナはヒロの言葉にそう返すと、ヴァルキリー分隊は要塞攻略の為前進する。

そして遂に要塞の外壁に辿り着いた時、またあの声が聞こえてくる・・・。

 

 

 

―――私は・・・―――

 

 

 

先程聞こえた時と違い酷いノイズは無く、はっきりと聞こえてくるが同時に頭痛も強くなってくる。

 

《指揮官・・・》

 

レイシアが心配そうに声を掛ける。頭痛でまた意識を持っていかれそうになるが気力で持ち堪える。

それにこれのお陰でヒロの中に確信めいた物が浮かんできた。

 

「サイレントラインに、誰かいる・・・?」

 

《えっ・・・?》

 

ヒロの言葉にヴァルキリー分隊の皆は驚く。だが、何故鉄血勢力下にあるサイレントラインに人がいるのかが分からない。

そんな時、セラフからの報告が入る。

 

≪警告、高速で接近中の機影を確認≫

 

セラフの警告に皆は警戒しヒロも臨戦態勢を取る。すると要塞から1機の人型の影が飛び出し、ヒロ達から少し離れた位置の廃ビルの上に降り立つ。

ヒロとセラフはサイレントラインに背を向ける形で降り立った人型を見据える。

 

廃ビルの上に降り立ち、ヒロ達を見下ろすように立つのは黒い装甲を纏った1機の人型・・・。

 

スマートな体型ながら肩部が広く横に張り出しておりマッシブな印象を受ける。

右手にグレネードランチャー付アサルトライフルを持ち左腕に盾を装着している様はまるで警察の機動隊のようである。

そして極め付きは、セラフの物とは形状が大きく異なるがインパクトを与えるには十分は背部の大型ユニット。

 

≪対象を確認≫

 

セラフがそう報告するとヒロも機体を動かしその人型と対峙する。

 

《司令官!/指揮官!》

 

皆が心配そうに声を上げる中、ヒロは通信越しにヴァルキリー分隊へ叫ぶ。

 

「皆下がれ!!」

 

そしてセラフを前へと出し、セラフの両腕のパルスキャノンを構える。ヴァルキリー分隊もヒロの指示に従い後退する。

すると人型の人形はグレネードランチャーをセラフへ向けて発射、それと同時にセラフはパルスキャノンを放つ。

放たれたグレネード弾とパルスキャノンがぶつかり合い、爆発が起きる。

そしてその煙越しに互いは背部の大型ユニットに搭載されるブースターを吹かせ接近、セラフの右腕レーザーブレードと人型の左腕の盾がぶつかり合う。

激しい火花を散らしながら鍔迫り合いをする2機は互いに距離を取ると再びブースターを吹かせ接近する。

そんな戦いの様子をヴァルキリー分隊の面々は呆然と見守っている。

 

『・・・』

 

目の前の光景に言葉を失う一同だが、そんな時レイシアが口を開く。

 

「皆、ここは指揮官とセラフに任せて私達はサイレントラインに入ろう」

 

「了解」

 

レイシアの言葉にシオンは頷きながらそう返し、他の皆も頷くと人型と戦闘を続けるヒロとセラフに背を向けサイレントライン内部へ向かうべく歩を進めようとする。

だが・・・

 

「待って下さい!」

 

九九式短小銃ことマナが皆を呼び止める。、レイシアとシオンが足を止め振り返る中、アヤメは止まる事なく両足に装着するインラインスケートで地面を滑走しサイレントライン内へ突入するがマナは続ける。

 

「指揮官を見捨てるのですか!?」

 

マナはそう叫ぶが、シズカとシオンは冷静に言葉を返す。

 

「司令官とセラフさんなら大丈夫でしょう」

 

「それに私たちにも任務があります」

 

だが2人のそんな言葉にマナも引き下がらない。

 

「何故です!?指揮官を見捨ててまで果たさなければならない任務なのですか!?」

 

尚も食って掛かるマナに対しレイシアは冷たい言葉を放つ。

 

「じゃあ聞くけど、私達の銃であの人型に対抗できる?」

 

レイシアの言葉にマナは押し黙ってしまう。戦術人形達の持つ歩兵携行火器ではあの人型に対し精々豆鉄砲くらいにしかならないだろう。

それではヒロにとって足手纏いにしかならない。それを理解しているからこそレイシアはマナの説得を続ける。

 

「それに作戦前にフィオナ指揮官も言ってたよね?サイレントラインの中に取り残されたグリフィン部隊がいたら助けなきゃ」

 

レイシアの言うグリフィン部隊とは、作戦前にフィオナが話していたサイレントラインに奇跡的に侵入出来た部隊の事だろう。

内部にいる可能性は低いがゼロではない。

だがレイシアの言葉に対しマナは尚も食い下がる。

 

「ですが・・・!」

 

そんな時だ、セラフが人型に蹴り飛ばされレイシア達に向け吹っ飛んでくるがセラフは体勢を立て直して背部ブースターを噴射、地面ギリギリを飛行し何とか着地する。

その様子を見たマナはセラフの援護に向かおうとするが、人型は背部の大型ユニットからミサイルを発射してマナを牽制する。

そして再びセラフと戦闘を開始するが、そんな光景を見てもマナはまだ納得しない。

 

「指揮官!」

 

「もうマナちゃん、いつまでもここにいちゃ指揮官の足引っ張っちゃうよ!」

 

セラフを追おうとするマナの左手をイリスが掴み、右腕をミアが掴む。

マナはそんな2人に対し声を荒げる。

 

「放してくださいイリスさん!ミアさん!」

 

『放せる訳ないでしょ!?』

 

当然2人が離す訳も無く、無理矢理サイレントラインまで引き摺る中、シズカは通信回線を開く。

 

「こちらヴァルキリー分隊、シズカ。フィオナ指揮官、これより私たちはサイレントライン内部へ突入します!」

 

「GO GO GO!!!」

 

レイシアの合図でアヤメを除くヴァルキリー分隊の戦術人形達が建物内へ突入を開始。

そんなシズカ達を発見した人型はアサルトライフルに付いているグレネードランチャーで狙い撃とうとするが、セラフのレーザーブレードによって阻まれる。

 

≪対象を排除します≫

 

セラフと組み合いながらそう告げる人型に対しヒロは怒鳴る。

 

「やれるもんならやってみろ!!」

 

そしてセラフのレーザーブレードと人型の左腕の盾がぶつかり合う。

激しい火花を散らしながら鍔迫り合いをする2機は再び互いに距離を取ると人型は背部ユニットからミサイルを発射し、セラフは両腕のパルスキャノンで迎撃する。

ミサイルとパルスキャノンがぶつかり爆発が起きる中、ヒロはチラリと背後を見る。

 

「・・・皆行ってくれたか」

 

ヴァルキリー分隊が無事にサイレントラインへ突入した事を確認したヒロは、目の前の人型に集中する。

 

「・・・セラフ、ジェネレーターとアクチュエーターの駆動上限を引き上げてくれ、少し本気を出さないとヤバそうだ・・・!!」

 

≪了解。ジェネレーター出力、各部アクチュエーターの駆動コスト及び上限値を再設定≫

 

セラフがそう答えるとヒロは操縦桿を握り締める。

 

「行くぞ!!」

 

そして両腕のレーザーブレードを出してブースターを全開にし人型へ接近して行く。対する人型、“AA18A:LIGHT CAVALRY HM”もブースターを吹かし接近する。

 

 

互いの距離が縮まり再び両者の武器がぶつかり合う。




ED3:DREAMCATCHER/ナノ


コラボ続行中!
コラボ先はこちらになります![https://syosetu.org/novel/331813/]
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