Doll's FrontLine -Armored Outsiders- 作:天羽々矢
LIGHT CAVARLY HMの撃破を見届けた2人は同時に息を吐く。
《・・・終わったか》
ラスティがそう通信を送るとヒロは答える。
「ああ、けど作戦はまだ終わってない」
ヒロの言う通り、終わったのは敵機の撃破でサイレントライン攻略作戦その物はまだ終わっていない。
先ほどフィオナ指揮官から作戦参加の全部隊へ向けた報告、鉄血のハイエンドモデルの出現。それに伴い巻き返しを図り始めた鉄血の軍勢。早急に決着を付けなければジリ貧だろう。
「ここは俺が請け負う、V.Ⅳはサイレントライン内部へ!」
ヒロはラスティにそう通信を送る。
《だが・・・》
ラスティが何かを言う前に、ヒロが怒鳴る。
「俺はそんな頼りないか!!あんたもやるべき事があるんだろ!?」
ラスティはハッとした。確かにラスティにはやるべき事がある。それはヒロも同じでだ。
《・・・了解した、武運と幸運を祈る》
ラスティがそう答えるとヒロは通信を切り、セラフの背をサイレントラインへ向ける。
そしてラスティもスティールヘイズ・オルトゥスをサイレントラインへ向けてブースターを吹かし動き出す。
その頃、サイレントライン内部。
ヒロに先立ってサイレントライン内部へ突入したヴァルキリー分隊も鉄血と交戦していた。サイレントライン内部への突入に成功したものの孤立した味方部隊への救援の為だ。
「シオン、グレネード!」
「了解」
レイシアの指示にシオンはそう答えると、自分の半身であるLR-300の銃身下部に装着されているグレネードランチャーに榴弾を装填し、それを鉄血部隊へ向け発砲。
放たれた榴弾は弧を描き着弾と同時に爆発、その威力で周囲の敵を吹き飛ばす。
そしてそれを好機と言わんばかりにレイシア、イリス、フィリーネが突撃し敵部隊を蹴散らしていく。
それに合わせシズカ、シオン、マナも後方を警戒しながら前進する。そしてしばらく進むと、レイシアが足を止めた。
それに合わせシオン達も足を止める。
前方から聞こえてくる銃声を感知したからだ。レイシア達は最大限警戒しつつ全身し先の右角を警戒。
そしてそこにいたのは残骸と成り果てた鉄血兵を見下ろす試製二型機関短銃ことアヤメだった。アヤメは物音を聞き取りレイシア達に半身たる試製二型機関短銃を向けるが・・・
「・・・お前達か」
レイシア達を確認すると銃を下ろす。それに合わせシオン達も警戒を解く。
「到着が遅かったから破壊されたかと思ったぞ」
アヤメはそう言うとレイシア達に背を向ける。
するとレイシアが口を開く。
「アヤメ、何で勝手に先行したりしたのさ?」
その口調はいつもの落ち着いた感じではなく、少し怒っているようだ。
まるで友人を心配していたかのような・・・そんな感じだ。
「・・・」
アヤメは答えず、ただ黙っている。
「答えてよ、アヤメ」
レイシアは更に問い詰める。
「・・・作戦通りに行動したまでだ」
アヤメはそう答えるとそのまま歩き始める。その言い方にレイシアは少し腹が立ったのか・・・
「ちょっと!それ答えになってないよ!」
そう言ってアヤメの後を追うが、アヤメは止まる事なく歩き続ける。
「・・・」
レイシアが付いてくるのを無視しながら歩いていると、前方に多数の人影を見つける。それは・・・
「・・・これでも文句があるなら聞こう」
そこにいたのは負傷したグリフィンの戦術人形部隊だった。
「・・・」
アヤメは無言で戦術人形達の前に立つと、彼女達を見下ろす。それに合わせ戦術人形達も彼女を見上げるが・・・
「・・・文句は無いな」
そう言うとアヤメは彼女達に背を向ける。
「あ、あの・・・」
戦術人形の1人、MP40がアヤメに何かを言おうとするが・・・
「・・・お前達はここにいろ、足手纏いだ」
アヤメはそう言って歩き始める。そしてレイシア達はそんなアヤメの後を付いていく。すると戦術人形の1人が口を開く。
「待ってください!」
だが、その問いには答えずアヤメは再びインラインスケートで滑走し前進する。
それを見てレイシアは大きく溜息を吐くが・・・
「アヤメ・・・」
レイシアはそう呟くと、シズカがレイシアに発言する。
「私達がこの場を持ちます、レイシアさんはアヤメさんを」
「分かった」
レイシアはそう言うと、アヤメの後を追い始める。
シズカ達も自分達に与えられた役目を果たすべく行動を開始する。
「ヴァルキリー分隊シオンより本部、サイレントライン内部にて孤立したグリフィン部隊と合流。重傷者多数により戦闘継続は困難と判断、これより脱出に入ります」
シオンが通信を送ると、フィオナ指揮官から返信が来る。
《了解しました、サイレントライン内部は鉄血勢力の罠が多く存在する可能性がある為慎重に行動してください》
「了解」
シオンはそう言って通信を切り、他のメンバーもそれに合わせ動き出す。
「シオン、後ろ!」
ミアが叫ぶとシオン達の後方からアサルトライフルを構えた鉄血兵が迫る。それに合わせシオンはLR-300の銃身下部に装着しているグレネードランチャーに榴弾を再装填して構え発砲。放たれた榴弾によりアサルトライフルを構えた鉄血人形は吹き飛ばされ機能を停止し倒れる。
「・・・クリア」
シオンはそう言うと再び警戒態勢に入り、MP40を始めとする重傷を負ったグリフィン戦術人形達はシズカとフィリーネの先導の元サイレントライン内部を進んでいく。
「ねぇ、シオン」
ミアがシオンに話し掛ける。
「何ですか?」
「アヤメの事なんだけど・・・」
どうやら先程の事が気になるようだ。だが・・・
「・・・今は任務に集中しましょう」
シオンはそう答えると後方を警戒しながら前進を続ける。それに合わせ他のメンバーも警戒態勢に入る。すると・・・
「前方から敵増援を確認!」
シズカの声と共に多数の鉄血兵が正面から接近する。その数は30体程で、まだ距離はあるがこのままではいずれ接敵する。
「・・・戦闘準備」
シオンはそう指示を出すとMP40、ミア、フィリーネが前に出てアサルトライフルを鉄血兵へ向ける。そして・・・
「撃て!」
シズカの合図と共に各々の銃が火を噴き、鉄血兵に襲い掛かる。
放たれた弾丸は次々と鉄血兵に命中し倒れていく。だがそれでも数の暴力には勝てず、更に増援の鉄血兵が接近する。
「っ!」
シオンは再度グレネードランチャーを構えると榴弾を発砲し、その爆発で接近していた鉄血兵を吹き飛ばした。そして再び前に出てアサルトライフルを構えながら前進する。
「増援を排除」
「皆、次が来ない内に急ごう!」
シオンが報告し、ミアがグリフィン部隊にそう言うと、他のメンバーもそれに合わせ前進する。