Doll's FrontLine -Armored Outsiders-   作:天羽々矢

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OP3:Garnet Moon/島谷 ひとみ


#43 SILENT LINE 06 サイレントライン 06

「・・・」

 

レイシアはアヤメの後を追い続けるが、彼女はずっと黙ったままだ。

 

(・・・何か言ってよ)

 

そんな彼女の心情など知る由も無く、アヤメはゆっくりとインラインスケートで滑走し続ける。

レイシアはアヤメの事が心配だった。だが、彼女はアヤメと出会ってまだ日が浅い。だから彼女が何を考えているかなんて分かる筈も無い。

 

(・・・私は)

 

レイシアはそう思い悩むが、その時・・・

 

「っ!」

 

突如前方から銃声が鳴り響き何かが飛んでくる。それは弾丸で、しかも1発や2発ではなく複数の弾丸だ。

 

「くッ!?」

 

アヤメとレイシアは咄嗟に回避行動を取り物陰に退避、そしてすぐに各々の銃を構える。

 

「・・・」

 

アヤメは前方から迫る複数の敵影を見据えながら、インラインスケートで床を滑走し移動。レイシアもそれに続く。そして物陰に隠れながら敵の様子を窺う。

 

「・・・」

 

アヤメは一切の躊躇いも無くインラインスケートで滑走しながら敵部隊へ切り込んでいく。

 

「アヤメ!あーもうッ!!」

 

レイシアは悪態をつきながらもアヤメに付いて行き、2丁のM27を構え発砲。放たれた弾丸が敵部隊へ命中し、数人の鉄血兵が倒れ機能停止する。だがそれでも敵の増援は止まらない。

 

「アヤメ、無茶しないで!」

 

レイシアはそう叫ぶが、アヤメはそれを無視するように更に加速。そして敵部隊へ接近し試製二型機関短銃を発砲する。放たれた弾丸は次々と鉄血兵に命中し機能停止させていく。

 

「・・・邪魔だ」

 

アヤメは小さくそう呟くと更に加速。そして敵部隊へ接近し試製二型機関短銃を発砲する。放たれた弾丸は次々に鉄血兵に命中し機能停止させていく。

 

「・・・」

 

アヤメはそれを気にも留めず、更に加速する。そして敵部隊へ接近し試製二型機関短銃を発砲する。放たれた弾丸が鉄血兵を襲い次々と機能停止させていき、やがて全ての敵を撃破する事に成功した。だが・・・

 

「・・・まだ来るか」

 

前方からはまた新たな増援の部隊が迫って来ていた。その数は10体程で先程よりも数が多いが、アヤメは臆する事無くインラインスケートで床を滑走する。

 

「っ!」

 

レイシアもそれに合わせ敵部隊へ接近しM27の引き金を引き発砲。放たれたマグナム弾が鉄血兵に命中し機能停止させていくが・・・

 

「弾切れか・・・!」

 

M27のシリンダーに装填されている弾薬を撃ち尽してしまったようで、レイシアはすぐに物陰に退避してシリンダーから空薬莢を排出し、新たな弾薬をシリンダーに装填する。

 

「よし!」

 

再装填が終わるとレイシアは物陰から飛び出す。

アヤメは敵部隊へ接近し試製二型機関短銃を発砲する。放たれた弾丸が鉄血兵に命中し機能停止させていくが、それでも敵の増援部隊は止まらない。

そして更に数体の鉄血兵が接近するが臆する事なくインラインスケートで床を滑走しながらを試製二型機関短銃を向け発砲。放たれた銃弾が次々と命中して機能を停止させるが・・・

 

「・・・弾切れか」

 

アヤメはそう呟くとインラインスケートで床を滑走しながら試製二型機関短銃のマガジンを交換。彼女の場合はインラインスケートによる機動力で物陰に隠れる必要が無いようだ。そして再び迫り来る鉄血部隊へ接近し、試製二型機関短銃を発砲。

レイシアもそれに合わせるようにM27を鉄血部隊へ撃ち続け、次々と鉄血兵を機能停止させていく。

 

「アヤメ!大丈夫!?」

 

レイシアはそう叫ぶが、彼女は何も答えない。ただ敵へ接近し試製二型機関短銃の引き金を引き発砲していくだけだ。

そして2人は迫り来る鉄血部隊を殲滅する事に成功した。

 

「やっと打ち止めかぁ~」

 

疲れを吐き出すように大きな溜息を1つ吐きながら2丁のM27のリロードをしつつ、レイシアはそう言う。

 

「・・・」

 

そんな彼女の隣でアヤメも下段回し蹴りのように回転しながら停止すると無言のまま周囲を警戒する。

2人は今サイレントライン内部を進みつつ鉄血部隊と交戦していた所だ。そして敵部隊を殲滅した事で一時的にだが安全になったようだ。

 

「・・・行くぞ」

 

すると突然アヤメがそう言って再び滑走し出すので・・・

 

「え?ちょっと!」

 

レイシアは慌ててその後を追いかけるのだった。

 

(もう!何なのさ!?)

 

レイシアはアヤメに付いて行きながらそう心の中で愚痴る。だが、彼女はそんな事など気にせず滑走を続ける。すると・・・

 

「・・・ん?何この音?」

 

レイシアはふと後方から音が聞こえてくる事に気付く。それは・・・

 

「・・・ジェットの音かな?」

 

2人がそう呟いた次の瞬間、2人が進んできた通路の奥から飛び出してきたのは重装甲の四脚型ロボット、フィオナ指揮官がMTと呼んでいた物だ。

 

「っ!」

 

レイシアは驚きつつも咄嗟にアヤメの腕を掴むとそのまま引っ張るように2人は床に倒れMTの突進を回避する。だがMTは突進を回避されると4つの脚を器用に使いすぐさま180度旋回し右腕の得物を2人に向ける。そのMTの右腕に握られているのはショットガンだ。しかも10m程あるロボットの兵装として持たれている物なら着弾時の衝撃も相当な物だ。

 

「アヤメ!逃げて!」

 

レイシアはそう叫ぶが、アヤメは全く動じた様子を見せない。それどころか彼女はすぐさま起き上がりMTのショットガンを見据えながらインラインスケートで床を蹴り滑走する。

 

「・・・邪魔だ」

 

試製二型機関短銃を発砲しながらMTに接近するが・・・

 

(無理だよ、私達の武器じゃ太刀打ち出来ない!)

 

MTの装甲に銃弾は易々と跳ね返され、アヤメは舌打ちしながらMTの真下を潜り背後に回ろうとする。

だがMTは上半身を180度回転させアヤメの方を向き、右腕に装着されているレーザーブレードが起動しレーザーの刃が伸びる。

 

「アヤメッ!!」

 

レイシアの悲鳴に似た叫びが響くが、アヤメはそんな事など気にも留めずそのまま滑走しながらMTの背後へ回り試製二型機関短銃を構え発砲する。

 

「・・・」

 

だが・・・弾丸が命中するも堅牢な装甲を前にダメージは無かったようで、MTは遂に右腕に装着されているレーザーブレードを起動させ振りかざすとアヤメに向けて振り下ろす。

 

(もうダメだ!!)

 

レイシアは思わず目を瞑りそうになるが・・・その時だった。

 

 

閉まっていたはずの鋼鉄の扉を蹴破り突入してきた灰色の鋼の巨人、G13の駆るRe:LOARER4だ。

Re:LOADER4の突入にアヤメとレイシアだけでなくアヤメに止めを刺そうとしていたMTも呆気に取られ動作が止まるが、その隙を逃さすRe:LOADER4の左腕に装着されるグレネードランチャーが発射され四脚MTに直撃する。

 

「ぐッ!?」

 

アヤメはインラインスケートを着用したままなのが災いし爆風に煽られ転倒するが、すぐに起き上がりRe:LOADER4の方を見上げる。

 

「アヤメ大丈夫!?」

 

レイシアが叫びながら駆け寄るとアヤメは無言で頷く。どうやら怪我は無いようだ。

 

「良かった・・・」

 

安堵の溜息を吐きながらレイシアはRe:LOARER4に視線を向けると無事と感謝を示すように右手を大きく振る。

 

「・・・」

 

だが助けられたアヤメ本人は面白くなさそうにフンと鼻を鳴らすと立ち上がり身体に着いた埃と煤を叩くと、そのまま戦闘中のRe:LOARER4に背を向け先に進もうとする。

 

「ちょ、ちょっとアヤメ!」

 

そんなアヤメをレイシアは呼び止めようとするが聞く耳を持たず、彼女はそのまま滑走して行ってしまう。

 

「あ~もう!」

 

レイシアは右足で床を思いきり踏み付けながら叫ぶと、Re:LOARER4に向き直り「ありがとう!」と手を振りながら言ってアヤメの後を追いかける。

 

 

 

 


 

 

 

 

その頃、サイレントライン居住区。

居住区画の鉄血をほとんど一掃し少なくとも地上部隊のルートは確保出来た。

 

「鉄血の増援も一先ず片付いたかな?」

 

≪一帯をスキャン、敵影無し≫

 

乗機であり相方でもあるセラフからの報告にヒロはようやく一安心といった様子で息を吐き操縦席に凭れ掛かる。あれからヒロを苛んでいた頭痛と耳鳴りも収まった。

 

「まだ任務中だから気を抜くわけにはいかないけど少し休みたいな・・・」

 

ヒロはそう呟くとセラフに周囲の警戒を任せ休ませて貰おうとしたのだが、その時・・・

 

《シタデルよりフェンリル・コマンダー。司令、応答を》

 

「ん?」

 

突如シタデルに乗るエイミーからの無線にヒロは操縦席に凭れ掛かるのを止める。

先程のような切羽詰まった声ではない為、緊急の要件ではなさそうだ。

 

「こちらフェンリル・コマンダー。シタデル、どうした?」

 

《サイレントライン内のシオンさんより報告。孤立したグリフィン戦術人形部隊を確保、現在サーバル2、サーバル3が回収に向かっています》

 

「そうか・・・ん?2と3って、2機も要るのか?」

 

エイミーからの報告で疑問が浮かび思わず問う。

シズカ達ヴァルキリー分隊はダミーが使えない為8人、それに作戦開始直後の防衛戦力を考えると内部で入れたのは精々5~8人程だろうとヒロは見込んでいた。

 

《それが・・・鉄血は想定より内部の防衛戦力を整えていたようで、それによって外部防衛線の手薄なポイントを突破出来たグリフィン部隊も多かったようです》

 

エイミーの答えで何となくだが察したヒロは頭痛を起こしていないにも関わらず溜息を吐き頭を抱えた。

 

つまりシズカ達が救出した部隊は鉄血の罠に掛かったのだ。

恐らく鉄血側はグリフィンが内部へ突入する事も想定し本来なら外部防衛線へ回す予定の戦力を内部に配備した、それにより防衛線に手薄な箇所が出来そこを突破した戦術人形達は指揮官に戦果を急かされたのだろう、それ自体が罠だった事にも気付かずそのままサイレントライン内部へ突入し鉄血の防衛部隊と戦闘になり、結果退路を断たれ孤立した・・・と、ヒロは予想した。

 

先程とは別の意味で頭が痛くなってくる。

だがそこまで考えた所でヒロはハッとした。鉄血のハイエンドモデルにこういった戦術を得意とする者がいる。

 

もしそいつがまだサイレントライン内部に残っているとすれば・・・

 

《・・・司令?どうかしましたか?》

 

ヒロが急に黙り込んだ事に不安を覚えたのかエイミーはそう尋ねてきた。

だがヒロはそれに答えず、代わりに無線に向かって叫ぶ。

 

「フェンリル・コマンダーよりヴァルキリー分隊!気をつけろ、サイレントラインの中に鉄血のハイエンドがいる!!」

 

 

 

 


 

 

 

 

「ぐぅッ!?」

 

だがヒロがそれに気付いた頃には遅かった。

1人サイレントライン内を進むアヤメとそれを追うレイシアが接敵し、左肩を撃たれたアヤメをレイシアが庇う様に前に出る。

 

そして2人の前に立ち塞がったのは・・・外側は短く切りそろえ内側は尾のように一纏めにした白髪、大きさから大口径である事が伺える拳銃を両手に持つ背の高い戦術人形・・・。

 

「私の網を食い破ってくるとは・・・少しはやるようだな」

 

 

 

SP721 Hunter・・・狩人(ハンター)がその姿を見せた。




ED3:DREAMCATCHER/ナノ

コラボ続行中!
コラボ先はこちらになります![https://syosetu.org/novel/331813/]
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