Doll's FrontLine -Armored Outsiders- 作:天羽々矢
サイレントライン攻略作戦から一夜明けた日。
持ち帰った新型製造設備及び修復装置のおかげで遂にチカゲの修復の目途が立った為、いよいよチカゲの修復が行える。
修復装置は技術班が簡単に調査した後にヒロの拠点となっている研究所へと運び込まれる。
その為ヒロはチカゲを修復用カプセルに入れ修理装置のコンソールの前に立つ。
そしてコンソールのスイッチを押しチカゲを修復装置に入れる。するとカプセル内に透明な溶液が満たされ、その中にチカゲがゆっくりと沈んでいく。
そしてカプセルの中でチカゲの身体がレーザーによりスキャンされると同時にうなじと背中にケーブルが繋がれる。
やがてチカゲの修復が開始され、ヒロはコンソールを操作してデータを確認する。
[修復完了まで残り10時間]
そう表示されるとすぐに修復完了までのカウントダウンが始まる。
シズカ達ヴァルキリー分隊も現在はI.O.P.へ出向している。というのも先のサイレントライン攻略作戦で負傷したアヤメの修復及び稼働データの提出の為だ。
その為、この修復作業はヒロ1人で行っている。本来なら何人か立ち会う予定ではあったものの皆がヒロに気を使い、結果的にヒロ1人が立ち会う事になった。
その為に修復完了まで暇を持て余したヒロはコンソールから離れ、チカゲが眠るカプセルを眺める。
この修復作業が終わればチカゲも元通りになる。そうすればチカゲのいる日常が戻る。
だがそれは同時にチカゲを戦場に戻す事にも繋がる。ヒロが一言戦えと言えば、彼女はまた戦場に立つだろう。
しかしヒロが迷った結果故にチカゲはここまでの重傷を負った。だからチカゲは自分に愛想を尽かしてしまったのではないか?そんな不安が過ぎる。
そして同時に思う。
自分はチカゲに何を求めているのか・・・と。
修復完了まで残り10時間・・・。
その時間はヒロにとって長くも短く感じた。
そのままじっとしていられる訳もなく、コンソールの前からソファーに移動しチカゲが眠るカプセルを眺め続ける。
だがそのまま意識を張り詰めると当然肉体は疲労を訴えてくる。そしてヒロはいつの間にか眠りに落ち、その間にもカウントダウンは進む。
[修復完了まで残り1分]
カプセル内を満たしていた溶液が抜かれていき、同時にうなじと背中へ繋がれたケーブルも外される。そしてカプセルの蓋が開き、中にいたチカゲが目を覚ます。
[修復作業完了]
コンソールに表示されるその文字と共にチカゲはカプセル内からゆっくりと身を起こし、そしてカプセルの外へ出る。
「・・・」
机に置かれていた自分の服を手慣れた様子で着てチカゲは周囲を見回し、ヒロが居ない事に気付き不安げな表情を浮かべる。だがコンソールの前にあるソファーで腹を出して眠っている事に気付いたチカゲはその傍へ歩み寄ると膝をつきヒロの顔を覗き込んだ。
「・・・ヒロ」
そう呟くもヒロは起きる気配が無い為、チカゲは更に顔を近付ける。しかし熟睡しているようでそれでも起きる様子は無い。
それにチカゲは呆れながらも仕方ないと言いたげに軽く微笑み、そしてヒロの頬に右手をそっと触れる。
「ありがとう、ヒロ」
そう小さく呟くとチカゲは立ち上がり、カプセルの蓋を閉めるとそのまま静かに部屋を出て行った。
「ん・・・?」
チカゲが部屋を出た数分後、ヒロは目を覚ました。
「・・・寝ちまったか」
そう言ってソファーから立ち上がろうとした時、コンソールに表示されている修復完了までのカウントダウンが残り0になっている事に気付く。どうやら知らぬ間に眠っていたようだ。
そして同時に思い出す。先程夢現で聞いた“ありがとう”という言葉を・・・。それはきっと夢の中の出来事だったのだろうと考えながらもヒロは軽く微笑むと立ち上がり、そのまま部屋を出る。
それと同時に空腹感を感じた為にキッチンへ向かう。
・・・が、そこで気配を感じる。
「・・・?」
ヒロは動きを止め、そっとリビングの扉を開ける。
そこにはエプロンを身につけたチカゲが居た。
ヒロは眼を見開き、そしてチカゲそんなヒロの顔を見ると少し恥ずかしそうに微笑む。
「・・・ただいま、ヒロ」
「ああ・・・おかえり」
ヒロも笑顔でそう言うとチカゲに近付き、彼女を優しく抱き締めた。するとチカゲもまたそれに応える様に彼の背中に手を回す。今日この瞬間、彼の日常に相方が帰ってきた。
尚、腹を出したまま眠っていたのが祟ってヒロは腹を冷やし、その日は腹痛と風邪で1日寝込む事となった。
そしてそれをチカゲに看病される事になるのだが、それは別の話。
ED3:DREAMCATCHER/ナノ
最後の更新から5か月ってマ?
間空きすぎやな、お陰で設定とかもあやふや( ̄▽ ̄;)