Doll's FrontLine -Armored Outsiders- 作:天羽々矢
西暦2053年に創設され、2061年に発生した胡蝶事件以降は提携相手であるI.O.P.と共にシェアを拡大し現在では最大手を担う
その本社の一室、情報を保存するサーバーや表示用の大型ディスプレイが設置されている部屋にその姿はあった。
グリフィンの高官である事を示す赤い制服と右目に
ヘリアンことヘリアントス上級代行官は情報の整理を終え缶コーヒー片手に一息ついていた。
最近鉄血との交戦頻度が増えていたりI.O.P.の猫耳研究員からは試験予定の人形が失踪した等と愚痴を聞かされたりとヘリアンに取っても頭を悩ませる問題が発生していたものの手掛かりが無ければ調べようも無いため、現在はグリフィンの情報部門がヘリアンの指示で奔走している。後は時間だ。
こればかりは待つしかない為、こうして缶コーヒー片手にコーヒーブレイクと洒落込んでいる訳だが・・・中々に落ち着かない物である。
仕方なく休息を切り上げ情報の整理に戻ろうとした時、ピピッと短い電子音と共にヘリアンのタブレット端末に着信が入った。
自分から連絡を寄越すなんて、また猫耳研究員の御小言に付き合う事になるのかと内心げんなりしながらもタブレットを操作して着信に出る。
《突然の連絡すみませんヘリアントス上級代行官》
だがSOUND ONLYとなった画面の向こうから聞こえて来たのは別の意味で聴き慣れた年端も行かない男性の声。
ヘリアンはどうした事かと内心思いつつも返答する。
「君の方から連絡を寄越すとはなヒロ・スメラギ。生憎だが今はそちらに回すようは仕事は無いぞ?」
《いえ、今回は仕事の話ではなくそちらに調査を依頼したい案件が》
タブレット越しに響くヒロの声にヘリアンは頭に?マークを浮かべる。
《先程自分と部下達は武装勢力と交戦、これを撃退したまでは良かったんですが・・・敵武装勢力の中にI.O.P.製戦術人形が混ざっていました》
「何?」
ヒロが言うには自分達を襲ってきた連中にI.O.P.の戦術人形が混ざっていたというらしく思わず耳を疑った。
《更に調べた結果、他にもI.O.P.製の人形がありましたがそちらに関しては情報がありません。また敵が所持していた携帯を解析した結果、B03地区626基地が着信先でした。今データを転送します》
立て続けに入ってきた情報に一瞬頭痛がしたような錯覚を覚えたものの、一度通話が切れ代わりにタブレットにメールとして送信された数々の情報に目を通し始める。
まずはヒロが言っていたI.O.P.製戦術人形、添付されていた顔写真から1人は確かにI.O.P.のVz61 スコーピオンだ。
しかし他の3人はデータベースに一致する人形はいない・・・が、ここでヘリアンの脳裏に猫耳研究員の愚痴が過ぎり、ヘリアンは確認を取るべく電話を取ってI.O.P.の16Labへ掛ける。
ヘリアンに情報を流してからどれだけ時間が経っただろうか、ヒロは落ち着きも無くその場をぐるぐると歩き回り、他の面々も貧乏ゆすりや身体をゆすったりと落ち着かない様子を見せる。
あれから何時間も経ったかのような感覚に苛まれ、仲間が負傷させられた身としては好い加減焦れてくる。
すると研究所のコンソールが着信を示す電子音を鳴らし始め、セラフは直ぐに発信元を解析。
≪通信発信源、G&K本社ビル。ヘリアントス上級代行官と思われます≫
ヘリアンが連絡を寄越したという事は調査が終わったのだろうか、一先ずコンソールを操作してモニターディスプレイを起動させる。
ディスプレイが起動して映し出されたのは、僅かに苛立った様子のヘリアントス上級代行官の姿だった。
《・・・》
「えっと・・・どうかされたんで?」
苛立っている様子のヘリアン相手ではヒロも声を掛けづらいのか恐る恐る様子を伺う。
《あぁ・・・安心しろ、苛立っているのは君ではなく身内に対してだ》
「?」
《君から送られた情報だが・・・I.O.P.への確認とグリフィン情報部の調査の結果、事実である事が確認された》
ヘリアンからの言葉、それはグリフィン内部の汚職が判明した事であった。
白髪ツーサイドアップの人形はMG08/15
腰まで届く金髪ポニーテールの人形はHK433
真っ直ぐの黒い長髪の人形はLR-300
3体共本来であればI.O.P.の施設にて試験を行い、問題点を見つけ改善した上で正規品が製造されるはずだったのだが・・・
それを阻んでいたのが問題の
デヴィンターは指揮官の立場を利用して作戦で得た物資を横流ししてカネを儲け、また彼は暴走族と手を組み物品を
エスカレートしていったデヴィンターはI.O.P.の社員をカネで買収し
オマケに基地所属の戦術人形達は戦闘後でもロクに
聞いていて胸糞が悪くなる話に、ヒロが拳を握りしめ血が滲み出ている程だ。
そんなクソッタレに仲間が負傷させられたなど我慢ならない。
怒りに染まったヒロを画面越しに見てヘリアンは大きな溜息を一つ
《・・・今回、B03地区での君達の行動に関し私達は関知しない。それでいいな?》
「・・・心遣い、感謝します」
その言葉とタブレットを操作する動作を最後にヘリアンとの通信は終了。
ヒロはすぐに仲間達に指示を出し準備に入る。生憎とヒロの
そこで引っ張り出したのが1967年型フォード・マスタング ファストバック。
サイドマフラーにシェルビーGT500ルックに改造されたそれはこの世界にて半世紀以上前の映画で名を馳せた美女“エレノア”*1である。
後部席にシズカ、助手席にチカゲを乗せてヒロも運転席へ。キーを回してエンジンを回し475馬力を叩き出す
「腐っても相手はグリフィンの指揮官だ、用心して行けよ。俺達も支援部隊の準備が出来次第すぐ向かうからな」
全開の窓度越しにユウゴが引き締まる表情で告げるが、対してヒロは不敵な笑みを浮かべる。
「出来れば、ユウゴ達に出番が無い事を祈るよ」
それに釣られたかユウゴも軽く笑い、マスタングの
ヒロも
ここから先は大した大義の無い、作戦という名の
ED:Prototype/石川智晶