「ウララトレ、お前…」
俺がそう言いながら近づく。Tシャツの左腕の布は無理やり引きちぎったせいかちぎれた部分はボロボロになっていだが一番ひどいのは生身の左腕だ。
「ウララトレ、骨は大丈夫なのか?」
左腕に複数ある手形、強い力で握らなければ跡など付かない。骨を折られていても納得できるレベルの跡がくっきり左腕についているのである。
「ああ、多分大丈夫だと思う。心配させてすまんな」
そう言いながら左腕を触りながらウララトレは苦笑いを浮かべていた。
「あのねあのね、さっきウララとトレーナーが一緒に食堂に向かっていたらね、前から来た人にトレーナーが肩をぶつけてねその人が尻餅ついちゃったんだ」
「俺がその子を起こそうと左腕を差し出したら、いきなり左腕を力強く握られたんだよ」
「ウララね、いきなりトレーナーが痛がるからびっくりしてねその人に『やめて!トレーナーを離して!』って言ったの。そしたらね…」
ウララくんはそう言うとゆっくり顔を下にしだし
「『このトレーナーは私のだ!』とか『何であんたみたいな弱い奴がG1で勝てるのよ!?ふざけるんじゃ無いわよ!!』とか色々言われてね…」
ウララくんは絞り出すようにそう言うと目に涙を浮かべながらトレーナーに抱きついた。
「ウララ……後は俺が説明するから無理するな」
「……うん」
ウララトレがそう言うとウララくんは抱きつきながら静かに泣き始めた。
「…ウララに対する叫び声を聞いたのか背後からもう1人現れてな、そいつにも左腕を掴まれたのさ。
正直ヤバすぎてもうだめだと思った、だけどな…」
ウララトレは抱きついているウララくんの頭を撫でながら話を続ける
「火災ベルがいきなりなり始めてな、2人が一瞬怯んだのさ。俺はその瞬間腕を思いっきり引っ張ってな、服の左腕を引きちぎって拘束を解除したのさ。後はウララと一緒に走ってな、ココに逃げ込んで身を潜めていたらお前が来たってワケ」
「…マジか…」
正直信じられない、俺はそう思った。昨日まで普通に生活していたであろうウマ娘達。それなのにいきなりこんな暴力的な行動をとるなんて理解出来なかった。
「アルトレ、次はお前だ。何があった?」
ウララトレは真面目な顔をしながら俺を見てくる
「ああ、俺は…」
俺は身に起きた全てを包み隠さず話す、ウララトレはそれを聞き終わると右ポケットからスマホを取り出して操作をし始めた。
「なるほど、大体理解した…理解したが…信じられない」
ウララトレはスマホを操作しながら呟く
「マジかよ…ここは日本だぞ…でも…」
「…トレーナー?」
頭を撫でられなくなったのに気がついたのかウララくんが抱きついながらウララトレの顔を見る
「確かに日本でも過去2回の前例はあった…だが…」
…!過去2回だと!?
「ウララトレ!まさかコレって!」
俺は信じたくはないが最悪の答えに気づいてしまった。
「ああ、アルトレもそれを考えたか…」
ウララトレは俺に操作していたスマホを俺に向ける。
「多分これがきっかけだぜ、アルトレ」
その画面に表示されていたのは…
「業務…連絡っ!」
俺は今まで起こったことがパズルのピースの如くハマり、先程の最悪の答えが確信に変わる。
「アルトレ、最悪の事態だ。協力…してくれるな?」
「ああ、当たり前だ!」
俺はアルトレの提案に二言で返事をする。
「…トレーナー、アルトレさんも何言ってるの?」
しかしウララくんだけはまだ状況を飲み込めていないらしくオドオドし始めた。
「ウララ…」
「トレーナー、教えて?何が起きたの?何がみんなを怖くしてるの?知ってるのなら教えて!トレーナー!!」
ウララくんのそのセリフに俺たちは顔を見合わせる。正直純粋な彼女にはキツイ現実かもしれない。
だがもう事は起きている、隠しようにも隠せない。
「ウララ、コレは…」
「ウララトレ」
俺はウララトレの言葉を遮る
「アルトレ、お前…」
「ウララトレ、俺が伝える。お前はこの部屋にある『アレ』の確認を頼む」
「…分かった。ウララ、すまんな」
そう言うとウララトレはポケットにスマホをしまいつつ抱きついていたウララくんを体から離して、部屋の奥にあるであろう『アレ』を確認しに行く。
「トレーナー…」
ウララくんはその背を見ながらポツリと呟いた。
「ウララくん、答えは俺が言う」
「アルトレさん…」
正直言いずらい、だが言わないといけない。そうじゃなきゃ多分彼女は壊れてしまうから。
「ウララくん、よく聞いてね」
「うん」
ウララくんは俺の顔をじっと見る。
「今学園中で起きているのはね、全国にある全てのウマ娘教育機関で最も危険と言われている人災なのさ。その人災の名は
『UMA HAZARD』
」
To Be Continued…