愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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6話

やあみんなこんにちは。

清川シエル in シャーレ!

 

今日も今日とて先生に会いに来た。

今回はヒナの代理…ではなく。

 

またしても個人的な要望があってのことだ。

 

だが、これは先生にとっても…いや、キヴォトス全域にとってもきっと有益だ。とても有益なはずだ。

 

そんなわけで何としても先生の協力及び承認を得なければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝だよ先生!ホラ起きな!」ガンガンガンガン

 

「ゔゔ…あと5分だけ」

 

「そういうのは起きないやつの常套句だよ!ホラ起きな!」ガンガンガンガン

 

「うう…うるさい…分かった起きる、起きるって…

 

 

 

 

…ってシエルじゃん。何でシャーレに?」

 

「今朝モモトークで『シャーレにお邪魔する』と連絡しておいたはずだが?」

 

「今朝ぁ?……………って深夜2時じゃねーか!!

絶対たった今既読付いたよね!?」

 

「連絡したのは事実なんだが?」

 

「伝わらなきゃ意味ないんだよそういうのは!!」

 

「全く細かいことでグチグチと煩いな…」

 

「全然細かくない問題が現在進行系で起こってるんですけど!?」

 

「分かった分かった。分かったから朝食を食べて話を聞いてくれ」

 

「ハァ…いただきます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ねぇシエル。まさかこの赤を通り越して真っ黒にすら見えるカレーが今日の朝食?」

 

「そうだが?先生も食うか?」

 

「食うか!!」

 

「………念の為言っておくが、それ以外は作ってないぞ」

 

「若干しょんぼりしても駄目!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハア…で?今日は一体何の用事できたのシエル」

 

結局私の作ったカレー(10辛相当)には手も付けず、冷蔵のハンバーグとサラダチキンで済ませた先生に若干の怒りを覚えながらも本題に入る。

 

「うむ…先生。念のために最初に断っておきたいことがある」

 

「…何?」

 

「これは私の個人的な問題ではなく、先生にも…そしてキヴォトスにとってもとても重要な問題なんだ。

それを理解した上で、心して聞いてほしい」

 

いつになく真剣な雰囲気を醸し出し、目の前の先生を真っ直ぐに見据えてそう言う。

先生もまた真剣な表情で「…分かった」と返答を返してくれた。

 

「それで、その話って言うのは…」

 

「うむ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生、あなたはプロデューサーという職業に興味はあるか?」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ま、まさか先生から『どうしても頼みたいことがある』なんて連絡が来るなんて…!)

 

そう考えながら思わず軽い足取りでシャーレにやって来たこの少女は早瀬ユウカ。

ブルーアーカイブという作品をプレイしたことのある全ての先生にとっての初めての女(メモロビ的な意味で)であり、正妻枠にも数えられる一人だ。

 

(で、でも何の用事なのかしら…もしかしてまた『書類の計算が合わないから協力してくれ』とかその程度なんじゃ…で、でも今回の先生はなんだか真剣な声付きだったし、もしかしたら本当にすごく重要なことなのかも…!)

 

と、頭の中で勝手に一喜一憂しつつもシャーレの…先生の居る部屋に向かって歩いてゆく。

が、その軽やかな足取りは少し前で落ち着きを取り戻した。

 

 

 

 

 

「…あれ?ヒフミ?」

 

「あ!ユウカさんこんにちは!もしかして、ユウカさんも先生に呼ばれてきたんですか?」

 

「…ユウカさん『も』?じゃあ…」

 

「はい!先生から突然『どうしても頼みたいことがあるから来てほしい』って言われちゃって…何なんでしょうか?

…あれ?ユウカさん?」

 

「ウソ…あんな真剣な声で言ってたくせに私だけじゃなかったってこと?

そりゃ先生がみんなの事大好きなのは知ってるし私だって先生のことは好きだけどそれなのにあんな真剣に呼んだくせして他の子にも…

これは後で『お話』しなくちゃイケないわね…」ブツブツブツブツ

 

「あ、あの…ユウカ、さん…顔、恐いですよ?」

 

「…はっ!?ち、違うのよ!?

確かに先生は真剣な声だったけど今までのこと考えたらこういうことだってあるかもって思ってたし実際そういうこともあったけど今回はいつになく真剣なムードだったからちょっとだけ勘違いしただけだから!

それに先生って意外と大したことない用事でもすぐに呼び出してくるから本当に困るのよね!?

そのくせこっちが呼び出してもすぐ飛んでくるんだから本当に困ったものよ!だから今回もちょっと勘違いしただけだから!!」

 

「…あ、あはは」

 

「アリスはシャーレに到着した!

 

…あれ?ユウカ!ヒフミ!」

 

「え?…アリスちゃん?どうして?」

 

「もしかしてアリスちゃんも…」

 

「はい!先生から『とても大事なクエストがあるからすぐに来てほしい』と!」

 

「…そう。ヒフミだけじゃなくてアリスちゃんまで…」

 

「ふふーん♪先生ってば私に直々に依頼したいだなんて…あれ?ユウカ、ヒフミ…それにアリス?なんで?」

 

「あれ、アルさん?こんにちは!」

 

「こ、こんにちは…?

って、この四人って…」

 

「…とりあえず入りましょう。話はそれからよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあみんないらっしゃい。来てくれてありがとう」

 

「先生、この四人を呼んだのは…」

 

「うん、何となくみんなも分かってると思うけど…

 

 

 

 

皆、イタズラ☆ストレートもう一度やってみるつもり無いかな?」

 

「……………何となくそんな気はしてましたが。

前も言いましたよね先生。私にああいう衣装は似合わないし、そもそもあれだってノアが勝手に…」

 

「えー。私はあの時のユウカもすごく可愛かったしもう一度見たいけどなあ」

 

「…………………………しませんから!!」

 

(だいぶ揺らいだわね…)

 

(揺らぎましたね…)

 

「アリスは賛成です!モモイ達も楽しんでくれたみたいですし、またユウカ達とアイドルやってみたいです!」

 

「アリスちゃんまで!?でも、そんな…」

 

「ユウカ、ダメぇ?」

 

「ユウカ、ダメぇ?ですか?」

 

「……………………………〜っ!

ああもう!分かりましたよ!!今回一回だけですからね!!」

 

「「やったー!!」」

 

「「…………………………」」

 

「な、何!?ヒフミもアルさんも何か言いたいことでも!?」

 

「い、いえ…あはは…」

 

(ユウカ…色々と大丈夫なのかしら)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ…先生め。中々やるじゃないか

あと早瀬ユウカチョロインすぎワロタ」

 

本日二度目のこんにちは。

清川シエルは現在、シャーレに(無断で)造っておいた隠し部屋にこっそり忍びながら様子を窺っている。

 

そう、私が今回先生に提案したのはユウカ、ヒフミ、アリス、アルの四人で結成されていたエイプリルフール企画アイドルグループ、『イタズラ☆ストレート』を再結成させることだ。

 

前世でアレを見た私としては、アレをたった一度きりのエイプリルフール企画で終わらせるのは非常に勿体ないと思った。

今このキヴォトスに生を受け存在している今こそ、彼女達をもう一度集結させることができる。

やらない手はない。

 

…しかし。前とそっくり同じでは面白くない。

少しばかり私の個人的な要望を取り入れさせてもらったが…まあそれはそれだ。

 

『あ、それとね…』

 

ん。私の頼んでおいたアレ(・・)の話か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実は、この四人以外にも新しいメンバーに入ってもらおうかなって思ってて…」

 

「この四人以外?つまり…新メンバー、ですか?」

 

「うん。二人とも(・・・・)そのうち来ると思うんだけど…お、来た」

 

 

 

「ん。先生、用事って何…あれ、皆?」

 

「シロコさん!?先生、新メンバーって、シロコさんの事だったんですか!?」

 

「うん。シロコって運動神経もいいし、結構キレイな声だし、向いてると思ってさ」

(…まあシエルが『メンバーに彼女が入っていないのは考えられない』ってやけに推してきたのが一番の理由なんだけど…)

 

「アイドル…前に動画で見た。ユウカ達がしてたのを、私にもやってほしいってこと?」

 

「ええと、うん。そういうことね。別に嫌だったら…」

 

「ん。やる。」

 

「シロコさん!?決断が早すぎませんか!?もっとよく考えてからでも…」

 

「ん…先生がやってほしいって言うなら、断る理由なんてない。それに…アイドルとしてグッズとかCDとか売り出せば、そのお金を借金返済の足しにできるしね」

 

「「「「シロコ(さん)…………」」」」

 

「なら決まりですね!パンパカパーン!シロコがパーティーに加わった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…あれ?でも先生、さっき二人とも(・・・・)って…」

 

「うん。実はシロコ以外にもね…」

 

 

 

 

 

 

「先生、来たけど…

風紀委員の仕事もあるし、できるだけ手短、に…」

 

「ひぇっ!?」

 

「ひ、ヒナ、さん!?」

 

「先生、もう一人の新メンバーって…」

 

「うん。そういうこと。

来てくれてありがとうね、ヒナ」

 

「帰る」

 

「ちょっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

むう。やはりヒナはそう簡単に乗り気にはなってくれないか…

だが私の今回の一番の目的はヒナにもアイドルをやってもらうことなのだ。ここは譲れない。

 

何としても先生にはもう少しばかり粘ってもらわなくてはな…

 

『ちょっと待って!?話ぐらい聞いていってヒナ!』

 

『先生、誰に吹き込まれたのか…は、大体わかるけど、私にアイドルなんて何考えてるの』

 

『いやいや!ヒナだってすごく可愛いしキレイな声だしきっと似合うよ!一回やってみようよ!』

 

『…はあ。

シエル。どうせどこかで聞いてるんでしょ。出てきなさい』

 

…バレているのか。流石だな。

仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズズン

 

「やあ諸君、ごきげんよう」

 

「いやどこから出てきてるのさシエル」

 

「床下に隠し部屋を造っておいた。シャーレに居るときに何かと便利なのでな」

 

「…………………………シエル。あなたが先生に色々吹き込んだんでしょう」

 

「吹き込んだとは心外だな。

確かに提案したのは私だが、先生もノリノリで承諾してくれたんだぞ?」

 

「……………それはそれで後で話すとして。

私をメンバーを加えるように提案したのもあなた?そうだとしたらなぜ?」

 

「まあその通りだ。シロコはともかく、ヒナの運動神経や声の良さは私が保証したからな。

 

 

 

別に普段と違う衣装を着て戸惑っているヒナを見たかったり、それで先生に『可愛い』といわれて戸惑っているヒナを見たかったわけではないからな」

 

「……………」ガチャ

 

「シエル、ヒナに謝って」

 

「すいませんでした」

 

クソ。デストロイヤーを出されては流石の私にも勝ち目はない…どうしたものか…

 

「はあ。もう…とにかく、私は帰るから…?」

 

「ヒナ…」

 

「アリス?あの、離して…」

 

「ヒナは、アリス達と一緒にアイドルするの、嫌ですか?」

 

「え…

嫌、って訳じゃ…私が似合わないってだけで…」

 

「そんなことありません!先生の言う通り、ヒナだってきっと似合います!一緒にアイドルしませんか…?」

 

…これは、まさか?

 

「…アリスが良くても、他の人が良しって言わないでしょう。

例えば、そこの個人企業の社長とか」

 

「ひっ!?………そ、そんなこと、ないけど?

別に、アイドルなら何か問題があるってわけでもないもの!ね?」

 

「そ、そうですね!別になにかトラブルを起こすってわけでもないですもんね!」

 

「……………」

 

「ヒナ…」

 

「…っ」

 

「ヒナ…」

 

「先生」ギロ

 

「なんで私には怒るの!?」

 

「…はあ。今回だけだからね」

 

「…!パンパカパーン!ヒナがパーティーに加わりました!!」

 

…なるほど。確かにこの二人は最終章でも共通点はあったが、まさかこうなるとは…ふむ。

 

「アリス。ありがとう。

 

 

 

…君が、私にとってのエクスカリバー(約束された勝利の剣)だったのだな…」

 

「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、ネット中心のアイドルとして『イタズラ☆ストレートver:2』はデビューすることとなり、キヴォトスに大旋風を巻き起こすこととなる。

 

…デビューしてしばらく、アビドスやミレニアム、トリニティやゲヘナの風紀委員会にファンレターが大量に届いたり、

便利屋やゲーム開発部にアイドル系の仕事の依頼が舞い込んだりしたのは別のお話だ。




イタズラ☆ストレートver:2

メンバーは早瀬ユウカ、阿慈谷ヒフミ、陸八魔アル、天童アリス、砂狼シロコ、空崎ヒナ。
追加メンバーは作者個人的にシロコが居てほしかったことと、シエル的にはヒナを何としてもアイドルにしたかったという理由から選抜。
可愛い衣装を身にまとったヒナが見たかったのは本当だ(シエル談)。
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