2024/4/30
今後の展開のため内容を一部変更しました。許して
やあみんなこんにちは。
清川シエルだ。
本日はとある目的のためにミレニアムサイエンススクールにやって来た。
本日の目的地はここだ。
頼むから今日は入ってそうそう爆発とかやめてくれよ?
…ふむ。何も起きないな。どうやら平気のようだ。
さて、3人はどこに…居た。
どうやら今は休憩中のようだ。
「失礼。休憩中か?」
「ん?…やあシエル。
そうだね、今は山を一つ超えたところさ」
「ほう。つまり何か作り終えたところか?」
「はい!…正確に言うと、製作したものにボツを食らって帰ってきたところ、というのが正しいのですが…」
「銃創に溜まった熱を利用して加熱と焼く調理機能を着けた銃、いい出来だっただけに残念…」
「…そもそも戦場で食事を取っている暇は無いし、あったとしてもわざわざ調理を選択肢に入れるとは思えないのだが…」
「セミナーにも同じことを言われたよ。
しかし戦場の余裕の持てない状況だからこそ心に寛容さを取り戻せる料理やそれを作る過程をだね…」
と。また色々と話が発展していく。
ここと彼女達を訪ねるのは何度目になるか分からないが、だいたいこうなるな。
まあ、話をするのは面白いし、ユーモア溢れる発明品は私としても好みなのだが。
…さて、そろそろ明確に説明しておこうか。
今回私が訪ねたのは、ミレニアムはエンジニア部。
白石ウタハ、猫塚ヒビキ、豊見コトリの3人が判明している、ミレニアムの科学力を全力で無駄使い…もとい、フル活用した発明品を作り出すマイスターの集まりだ。
私としても彼女達には(主に盗聴器とか遊び道具的な意味で)世話になっている。
さて、今回私が彼女達を訪ねたのは…
「…そろそろ本題に入らせてもらえるか?
今回も依頼があってきたのだが…」
「ふむ。シエルにはいつも面白いアイデアを貰えるから助かるよ」
「はい!この間の『砂を沸騰したように流動させる装置』はとても…!」
「フフ、我ながらあれは良いものだった」
以前ヒナと共に海水浴に行った際に使ったのだったか?
やかましい問題児やヘルメット団(ついでにアコ)をあの機械で首だけ出した状態にしてやったのだが、あれは傑作だったな。
アッハハハ!
「それで、今回の依頼は何なんだい?」
「それは…」
「んぅ…むにゃ。
先生…そういうのは後でしてあげますからぁ…もう…えへ」
『……カ………ウカ……ユウカ…
ユウカ…私の声を聞くのですユウカ…』
「ん…だれ…?」
『私が誰かなどどうでもいいのですユウカ…私の話を聞きなさいユウカ…
今日、あなたにとても大きな災難が降りかかります…』
「災難…?」
『その通りです…
セミナーの会計である貴方すら真っ青になるような…この世のものとは思えないような災難が…』
「………?」
『とにかく目覚めるのです…そうすれば全てが分かります…』
「え?目覚めるって…」
「ん…夢…?
何だかおかしな夢…あれ?」
ミレニアムの寮の自室。
そこで早瀬ユウカは目を覚まし…言いようのない違和感を覚える。
強いて言うならば、
「…何かしら…何かおかしい…
…下の方…?
………えぇっ!?」
早瀬ユウカは困惑した。
本来寝巻きの下にあるはずのそれが、無いのだ。
『気づきましたかユウカ…そう、無いのです。
それがあなたに降りかかる災難です…』
「どんな災難よ!?
ああもう、どうしてこんな!?何がどうなって…
…もしかして、これ夢遊病ってやつなの?
でもだからって何でわざわざ下だけ…
ってそんなこと言ってる場合じゃない!早く着直して…
…って、何でわざわざ畳んでしまわれてるのよ!?しかも洗濯済み!?」
『ユウカ…とにかく履いてみるのです…話はそれからです…』
「話?これ以上何を話す…って、あれ…何、何だか、うまく履けない…」グググ
ユウカはその後も賢明にそれを履こうと格闘するも、見えない何かに拒まれるように履くことができない。
「ぜー…ぜー…何がどうなってるの…?」
『ユウカ、これで分かったでしょう。これが災難です。
今日 あなたはもう パンツ 履け ない』
「何なのよそれぇ!?
うう…あり得ないわこんなこと…現実的にあり得るわけないのに…」
『確かに現実的ではありません。ですが…残念ながら事実なのです。
あなたは パンツ 履けない』
「ウソよ…こんなの…
うう…不本意だけど…今日は休むしか…」
『ユウカ、よく思い出しなさい。
あなたは 今日 シャーレに…』
「……………ウソでしょ…」
『どうして…どうしてこんなことに…』
「頑張るのですユウカ。先生ならきっと分かってくれる…いや、褒めてくれるはずです」
『そんなので褒められても嬉しくない!!』
モニターとイヤホン越しにユウカの悲鳴が聴こえてくる。
しかし、まさか先生をネタに出しただけでここまでするとは…やはり正妻枠は伊達じゃない、というわけか。
ヒナ、ライバルは多いぞ…
私は現在、偽の名義で借りておいたミレニアムのビルの一室でユウカの様子を中継して観察している。
と、念のために私が今回依頼したものの紹介でもしておこう。
私が今回依頼したもの…それは。
『指定した人物の特定の服を装備出来なくする』…というものだ。
何を言っているのか訳が分からないと思うが、実際私も冗談半分で頼んでみたのだ。
本当に作れたときはビックリした。いやホント。
まあ開発には成功したので、早速早瀬ユウカで実験しているわけだ。
この手の世界にはお馴染み、『パンツ履けない』ネタでな。
ご丁寧にパンツの装着も出来なくなっているので、抜かりはない。
ユウカが『別にパンツの一枚ぐらい投影で装備してしまっても構わんのだろう』とでも言わないか、私が装置を解除するかしなければユウカはノー…いややめておいてあげよう。
そんなこんなで、早瀬ユウカは突然吹き出す強風(シエルの手配した送風機)や、ヴァルキューレの生徒と騒がしく走る園児(シエルが狙って誘導した)などの様々な困難を乗り越えながら、無事シャーレに到着した。
そして…
「ハァ…ハァ…着いた…
先生こんにちは」
「あ、ユウカいらっしゃ…どうしたのそんな息荒くして」
「いえ、その…道中で色々トラブルがあったと言いますか
シャーレまでの道がこんなに長く感じたのは初めてかもしれません…」
「そ、そう…そんなに疲れたならちょっと休憩する?」
「い、いえ大丈夫です!確かに疲れてはいますけどなんの問題もありません!
いつも通り完璧に仕事をこなしてみせますから!」
「そう…?まあ、ユウカが良いなら。
じゃあちょっとこっち座ってもらえる?」
「はい。それで今日はなに、を…え?」
「?ユウカ、どうしたの?」
早瀬ユウカは絶句した。
先生が座ってほしいと指定したのは、よりによって…
「なんで対面ソファなんですか!?」
「え、何かまずかった?」
「そ、そうじゃなくて…そ、そうです!いつもはもっとこう、事務仕事でパソコンとか、書類とか書いたり、そんな感じじゃないですか!なんで今日はこれなんですか!?」
「えーっと…事務系はあらかた片付けてあるんだよね。
それで、ユウカにはそれをある程度確認してほしいっていうか…それに、そんな疲れてるなら硬い事務椅子よりも落ち着けそうなソファの方が良いかなって」
「う…!
(その優しさが今は痛いです…!)」
「うーん…ユウカがどうしても嫌だって言うなら、別の椅子でも…」
「い、いえその!
待ってくださいこれには理由が…あっ!?」
バターン!!
「痛ったぁ…!
…………………………はっ!?」
「…ご、ごめん」
「あ…あははは…」
終わった。
早瀬ユウカはそう思った。
思わず尻餅をつき、開かれた脚の間を、確かに先生は見てしまっていたのだから…
「は、ハハハ…」
「あ、あの、ユウカさん。
とりあえず、脚を閉じるなり隠すなりしてくれませんか?」
「ははっ、良いんですよ先生。
もうそんなことしても私が色々終わったのは変わらないんですからね…ハハハ」
「いや、でも
「ハハハ、そうですよパンツ見られたのに………え?
パンツ…あれ!?
履いてる!私パンツ履いてます!?
夢じゃありませんよね!?先生見てください!」
「え!?」
「…フン。まあ今回はこんなものか。つまらん幕引きだな
そうは思わないか?コールサイン04…飛鳥馬トキ」
「面白いか面白くないかは私には理解しかねますが、あのままの状況が続いてはユウカやミレニアムの沽券に関わる…と、ヒマリ先輩が仰っていましたので」
「ほう。あの女にそんな知恵があったとは。
てっきり未知との遭遇と先生のことしか無いなんちゃって天才女かと思っていたが…
それで、そろそろ銃をおろしてもらえないか?
装置も解除したし、ユウカも…まあ、多少錯乱しているがもう問題はないだろう?」
「たしかに現状は…まあ、一応は落ち着きはしましたが。
これだけの問題を起こしたのも事実ですので」
むう。この女は中々どうして意地が硬いところがあるな。
このまま話しても泥沼か…仕方ない
「…」ピク
「逃しません」
…組み伏せられてしまった。
流石にリオ会長専属のエージェントだっただけはあるな。
が…
そのまま発砲しておけばよかったものを…
ズン…
「…?何でしょう、何か…」
「フゥ…寸勁」
「…っ!?ぐっ…!」
「痛て…済まないな。
念のために言っておくが、内腑にも衝撃が這入ったはずだ、無理に立ち上がると後が怖いぞ
さて、怖い先輩方がやって来ないうちにサッサと…」
ババババババッ!!!
「挨拶代わりの銃撃か。
流石の野蛮さだな、美甘ネル」
「先輩に対して敬語もナシか?そのくせユウカに妙なちょっかいまでかけるわ、普段から面倒事起こしてるわ、そっちこそ流石の悪趣味じゃねぇか」
こぢんまりとした体格に見合わぬ鋭い目つき、CV:小清水○美のチンピラボイス、メイド服にスカジャンという文面だけで言えば異質な服装、そして龍紋が刻まれた銃。
キヴォトスで指折りの実力者の一人、美甘ネル。
…正直に言うと、全力で『闘いたくない相手』の一人だ。
「それで、わざわざミレニアムの掃除屋がなんの御用で?
誰かに依頼されたならともかく…ユウカの件は本人にすら知られていないはずだが?」
「ハッ、まあそれはそうだな。
こっちもそこの新入りがたまたま嗅ぎつけて気づいたぐらいだ。
…まあ、ここでお前を縛り上げて引き渡しでもすれば、ユウカに恩の一つでも売れるかと思ってよ?」
「成る程。確かにお前たちの普段の行動を見ればセミナーから碌な印象を持たれていないのも事実か」
「お前にだけは言われたくねェな!!」
軽口を叩き終わると同時、ネルの二丁の銃から幾十もの弾丸が放たれる。
すぐさま黒鍵を顕現させそれらを弾き飛ばしていく…が、流石に銃弾が多すぎるな。
相手がネル一人ならともかく、
銃弾を弾きつつ横にステップ移動し、持っていた黒鍵の一つを投擲。
寸分で交わしたことを確認すると更にステップ移動でネルに向かって接近。
「うぉ!?」
「フン!」
至近距離を得意とするネルも流石に瞬時移動に驚いたのか、面食らった様子を隠せていない。
そのままの勢いで踵落としを振り下ろすが、躱された。
まあ、
ズドォンッ!!!
「なっ!?床が、抜けッ…!」
驚きながら落下するネルを横目に、瓦礫を飛び移りながら下の階に一足早く到達。
そのまま窓を蹴破り、ビルの壁を真っ直ぐ駆け下りていく。
どうにか地上に到達すると、ミレニアムから脱出するための手段…公営バスに向けて走り出す。
周りに一般人が居れば流石のC&Cといえど銃撃や爆撃は行わないだろう。
…行わないよね?
「…ッチ、銃撃…角楯カリンか」
こちらもかなりの速度で駆け抜けているつもりだが…にも関わらずこれほどの精密な銃撃。恐ろしいな。
静山マシロのときのように目標が直接狙える位置に居ないのもまた難点だ。
今ので場所はある程度把握できたが、黒鍵を投擲したところで風圧やその他諸々の影響で届くことはない。
とはいえ、このまま大人しく立っていてはアカネの爆撃の餌食か…さて。
『…クソ、まさかビルの壁走り下りるとはな…ゼロツー、目標は?』
『銃撃で足は止めてる。けど、これもいつまで持つか…』
『こちらゼロスリー…目標は爆撃を警戒しているようです。
トキちゃ…ゼロフォーは無事ですか?』
「うん!ただ、ちょっとフラフラしてるけど…トキちゃん、大丈夫?」
「いえ、その…申し訳ありません先輩方。私だけで捕らえられればよかったのですが…」
『バーカ。仮にもC&Cのメンバーなら協力を覚えろ。
独断専行が多すぎなんだよ、お前』
『…それ、リーダーが言うの?』
『ふふ、気にすることはありませんよ。
要するにリーダーは『仲間なんだからもっと頼れ』と言いたいんです』
『んなっ、お前ら…!!』
『…!ちょっと待って、目標が動いた…!!
…!?銃!?』
『えっ!?』
『…!あれは、花火…うっ!!』
『カリン!?』
『…あれは、穴?
まさか…地面を掘り進んで?』
『は?…マジかよ』
「フン!」バカアンッ
清川シエル、逃亡成功だ。
地面を掘り進んでゲヘナ地区まで到達するのは骨が折れた…
やれやれ、奥の手にしている銃を引っ張り出す羽目になるとは思わなかったが、どうにか逃亡できたな。
花火による目眩ましが存外上手く行ったのが功を奏した。
しかし、当分はミレニアムにもシャーレにも行けないな。
そのうちゲヘナにも連絡が行くだろうし、どうしたものか…
…閃いた。
プルルルルルル…
「…こちら万魔殿だ。
どこの誰だ?
この羽沼マコトに何の用で…」
「あ、ゲヘナの生徒会長さんですか?ちょうど良かったです♪
ミレニアムサイエンススクール、セミナーの生塩ノアと申します♪」
「…ミレニアムだと?トリニティならともかく、ミレニアムが何の用だ?」
「いえ、実はそちらのゲヘナの生徒さんがこちらで問題行動を起こしましてね?」
「ハッ、そんな些末な事は風紀委員の連中に」
「先程その生徒さんが『自分は万魔殿の連中に命令されてやった』と自白の電話をしてきまして♥」
「…………………………
何ィっ!?」
これで私の騒動の責任は全て万魔殿に行く。
私は多少なりと責任を負うことにはなるが、大本は万魔殿の連中にあるとして大した罪にならないだろう。
これで万事解決、ハッピーエンドだ。
…まあどうせ
今のうちに、逃走計画でも練っておくか。