愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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11話

とある夏の日。

キヴォトスの中でも多くの学園の生徒が数多ひしめくショッピングモール。

 

そんな中に我々ゲヘナ学園風紀委員会はいた。

 

「うわ…ゲヘナ生徒だけじゃなくてトリニティにミレニアム…あれは百鬼夜行?それに山海経まで…」

 

「夏のバーゲンセール、予想以上の反響ですね…」

 

「はあ…私も業務など万魔殿の連中に押し付けてヒナ委員長の水着選びを…」

 

「アコちゃん…」

 

「…アコ。私達が来てるのはパトロールのためだって忘れないで」

 

「は、はい…」

 

「…ふむ。成る程」

 

「…シエル?ショッピングモールの店内マップなんか見て何してるんだ?」

 

「いや、目の届くところはヒナ達に任せて私は目の届かぬ地下フロアの見回りでもしようかと思ってな。

地上ならヒナやイオリがすぐに飛んでいけるだろう?」

 

まあ、私としては他に目的があるのだがな。

この手のショッピングモールやデパートの地下といえばフフフ

 

「…そんなこと言って、本当は仕事をサボってデパ地下グルメにありつきたいだけなんでしょう?」

 

「…仕事をサボって、とは感心しないな。

私が職務を放棄する人間に見えるのか、ヒナ」

 

「デパ地下グルメは否定しないの?」

 

「……………良きに計らえ皆の衆」ダッ

 

「あっ、コラ!!

…もう居ないし…」

 

「…はぁ。

後でシエルの買ってきた料理を食べながらお説教ね」

 

(え、食べるの?)

 

((買ってくるのは確定事項なんですね…))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フフフ…来たぞ…

 

美味な惣菜に溢れ…

 

甘美なデザートひしめく…

 

食の祭典デパ地下ッッッ!!

 

 

前世ではせいぜい商品券を入手したり小さい頃に親に連れられて来るくらいだったが…

前世から蓄えた知識と現世で蓄えた資金を兼ね備えた私は、前世以上にこのデパ地下を愉しみ尽くせる…!

 

さあ、いざ征くぞ、デパ地下グルメ狩りに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

「「「「……………………」」」」

 

デパ地下を歩いてしばらく。

何故か武器を構え今にも暴れようとしている美食研究会の面々を発見した。

 

「…お前達、一応聞いておいてやる。

殴殺か射殺か斬刑かどれがいい」

 

((((逃))))

 

(追)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「店員さん。そこの牛肉のビーフシチュー煮込み…それとそこのチーズリゾットとハンバーグも頂けるか、5つずつ。

領収書はゲヘナ学園万魔殿で頼む」

 

「はい、ありがとうございます!…あの、そちらのお4方は大丈夫なのでしょうか…?色々と…」

 

「お気になさらず。ゲヘナでは日常茶飯事ですので」

 

「ムゴぉぉぉぉぉぉ!!(流石にここまで酷くないでしょお!?というか何なのよこれ!?)」

 

「ムンムム〜!!(息しづらいよ~!)」

 

ええい、やかましい連中め…

口枷で羞恥プレイで黙らせてやろうかと思ったが、猿轡か強制睡眠のほうが良かったか…

じきにヒナ達もやって来るだろう…

 

今のうちにサッサと惣菜を買い込んでおかなくては。

肉類はいまので良いだろうから、次は飯類だな。

確かあちらに松茸おこわがあった筈。

 

その次には中華系にデパ地下でしか買えない特別なパンもある。

それらを美食研究会(こいつら)の前で存分に味わい尽くしてやろう、いやあ、笑いが止まらないなあアハハハ」

 

「もがアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

おや、いつの間にか声に出てしまっていたか。

どこから聞いていたのかは知らないし知る必要もないだろうが、ジュンコが縛られた身体をイモムシの倍は動いてジタバタしている。

 

さて、さっさと惣菜を買い込んで…ん?

 

「うわ!?な、なんだ!?」

 

「け、警備ロボットの暴走だ〜!」

 

「痛ててててて…!?早くエレベーター…嫌無理だ!?か、階段で…!!」

 

警備ロボットが暴走…?

…ん?風紀委員会がショッピングモールにパトロール?

加えてデパ地下で美食研究会?

 

…これはドゴォオオオオオオン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はあ、面倒事が増えた…」

 

「まったくだねぇ。はあ、可愛い後輩たちと楽しいショッピングのためにわざわざ出てきたのに、どうしてこうなっちゃうのかねぇ〜?

…お、あれは…」

 

「…多分指揮官機。さっさと撃破して…?エレベーターから人が…」

 

「…あれ?あれって確かそっちの後輩の…シエルちゃん、だっけ?

何だか俯いてるけど…うへ?良く見たら銃持ってるじゃん。珍しねぇ…あれ?」

 

「…やばい」

 

「うへ?ど、どうしたのさそんな深刻な顔し「全員今すぐ建物から退避!!!」ちょ、うぇ!?」

 

顔に珍しく焦りを表面化させたヒナは半ば無理矢理ホシノを抱え上げ、ショッピングモールの出口目掛け駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愉しみにしてたデパ地下グルメ…なぜ警備ロボットが暴走した……?

 

 

管理者は何処だァァァァァarrrrrrrrrrr!!!!!!」

 

「ちょ、何あれ!?キャラ変わってない!?」

 

「チッ…このままだと出口も…ッ!!」

 

「うぇ!?ちょ…」

 

 

 

 

 

 

バリン。と、ヒナ達がショッピングモールの3階から窓を蹴破って飛び出してきた。

自前の立派な翼で減速しつつ着地する。

 

「うへぇ…急にどうしたのさ?

というか、おたくの後輩ちゃんどうしたの?」

 

「…ああなったシエルは私でも完全に抑えるのはほぼ無理。

最低一ヶ月は病院通いにされるかも…

 

あと、今回は多分前から楽しみにしてたデパ地下グルメだっただろうから余計に…」

 

「うわぁ…でも、まだロボット達残ってたよ?」

 

「…あの様子じゃ、2分もいらないと思う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「UrrrrrrArrrrrrrrrrrrr!!!!!」

 

怒り狂いながらもシエルは自身を取り囲む警備ロボット達に左手の白い銃…外の世界ではキャレコM950と呼ばれる、彼女専用に改造されたSMG『SW』によって次々と破壊されていく。

 

片手に収まる大きさでありながらヒナのデストロイヤーと同等クラスの破壊力を見せるそれは、どれほどの改造を施されているのか。

そして狂乱状態であるとはいえそれを片手で操り、しかも的確に動力部のみを撃ち抜いて(・・・・・・・・・・・)破壊していく様は、こいつは本当に狂っているのかと恐怖せざるを得ない。

 

ガチャガチャ

 

「uaaa…」

 

弾切れ。

いくら改造を施しているとはいえ、銃である以上一度に放ち切る弾丸は制限されている。

これ幸いと警備ロボット達は一斉に襲いかかるが…

 

「MuuuuuuuuAaarrrrrrrrrrrrr!!!!!」

 

近寄ってきた警備ロボット達をなんと蹴り飛ばす。

普段の彼女とかけ離れた武術もクソもないただ吹き飛ばすためだけの蹴りではあるが、雑兵にすぎないロボットを吹き飛ばすには十分過ぎた。

 

ボディがめり込むほどの蹴りを食らったロボットは真っ直ぐに飛んでいき、既に人が失せた店の一つに突っ込んで爆発した。

更にその間に、シエルは他のロボットを殴り蹴りで一箇所にまとめる。

そこに右手の黒い銃…トンプソン・コンテンダーと呼ばれる改造銃HG『ORT』を向け、引き金を引く。

 

片手銃でありながらスナイパーライフルやアサルトライフルに引けを取らない威力と貫通力から放たれた弾丸が、射線上のロボット2、3機を撃ち抜き爆発。

 

その間に両銃のリロードを行い、まだ現れる警備ロボットの群れに突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…全員動かないでください!ヴァルキューレ警察学校で………

 

…何、です?これ」

 

『ショッピングモールで狂乱した生徒が暴れている』という通報を聞きつけたヴァルキューレ警察学校生徒、生活安全局の中務キリノ。

駆けつけた先にあったのは、おそらくショッピングモールだったであろう瓦礫の山だった。

 

「あ、ヴァルキューレの生徒?

えっと…ゲヘナ風紀委員会の銀鏡イオリです」

 

「あ、どうも…?

えっと、それで、暴れている生徒というのは…」

 

「あー…ごめん。多分そのうちほじくり出されて来ると思う…」

 

「ほ、ほじくり…というか、あれクレーン車ですか?何のために…」

 

「イオリ先輩!出てきました!」

 

「…分かった、とりあえず今行く…あと、すいません。

暴れたの、アイツです…あの、色々と言いたいことあると思うけど、とりあえずここまで…」

 

「……………???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

目を覚ますと、世界は逆さまだった。

 

…いや違うか。私が逆さまなのだ。

片足はクレーン車のアームに掴まれ宙づりの状態で、車が風を切るのに合わせ風圧に揺れる。

 

最後の記憶は…警備ロボットに買った、もしくはこれから買おうとしていたデパ地下グルメをぶっ飛ばされた時か。

また我を忘れてしまっていたようだな…

 

「…あ。

委員長、シエルが目を覚ましたようです。

一生寝てても良かったんですがね」

 

「…ん。

シエル、貴方は夏の間は学校で謹慎。

外出も禁止だから」

 

…まあ、狂戦士化して大暴れした罰にしては軽いほうだろう。甘んじて受け入れることにする。

それはそれとして…

 

「本当にそれだけか?私があれだけ暴れたのだろう、もっと色々問題があると思うのだが…」

 

「ああ、それについては問題ない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後 万魔殿本部…

 

「キキキッ…風紀委員会の連中が夏季訓練と称してヒナを休ませようとアラバ海岸に向かい、しばらく帰ってこないことは確認済み…この隙に連中に一泡吹かせてやろう…キキキッ!」

 

「…マコト先輩、失礼します…はぁ」

 

「? どうしたんだイロハ、いきなりため息などついて…」

 

「…こちらの書類、目を通しておいてくださいね、私は疲れたので先生のところに向かいます…」

 

「……………?

なんだと言うんだ…」

 

 

 

 

 

 

『ゲヘナ学園 万魔殿様

 

キヴォトスモール建物倒壊による賠償及び再建費用請求

その他当モールに出店していた店に対する賠償及び再建その他物品材料その他多くの費用の請求について送ります。

ご確認及び支払いをお願い致します。』

 

「………………

 

 

 

何ィっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、諸々の賠償請求及び責任は万魔殿に擦り付け…もとい、押し付け…んん゛っ、お願いすることとなり、私は謹慎で済んだのであった。

 

にしても、夏の間は学園から出られないとは…

確かトリニティやゲヘナの海水浴イベントがあった筈だが…無念だ。

エンジニア部と開発したアレは遠隔操作でなんとか出来るか…?

 

 

 

 

「それはそうとフウカ先輩の夏野菜カレー超うめえ!!!」

 

「あなた全っ然反省してないでしょ………」

 




武器(銃)

SMG(サブマシンガン)『SW』

正式名称は『Supreme Whole(至高の全)』。
キャレコM950を白く塗装し、魔改造レベルの改造を施している。
名前はこの後の銃の名前の元ネタに合わせただけなので気にしないでくれ(シエル談)


HG(ハンドガン)『ORT』

正式名称は『One Radiance Thing(究極の一)』。
トンプソン・コンテンダーを真っ黒に塗装し同じく魔改造を施したハンドガン。
弾丸はたった一発だがその威力は脅威の一言。
元ネタは型月世界において名実ともに最強と謳われる『ORT』から。





シエル(クラス:バーサーカー)

お気に入りの料理をぶっ飛ばされたりしてプッツンすると表面化する別側面…というより暴走状態。
ヒナでも『一対一で鎮圧するには相当の苦労を要する』とのこと。
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