愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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今回は(今回以外もあったけど)少し昔の話…


12話

清川シエルは憤慨していた。

 

必ずやあの高くそびえる建物にて今も忙しなく働くかのクソボケ野郎…もとい、先生に思い知らせねばならぬと確信した。

 

というのも、私こと清川シエルもかつて(前世)先生だったものとして、彼がどれほどの者から好意を向けられているのかは重々承知していた。

 

空崎ヒナ(最強の幼馴染)早瀬ユウカ(初めての女)砂狼シロコ(ん、メインヒロイン)狐坂ワカモ(あなた様♥)聖園ミカ(お姫様)…上げていくときりが無いのでここで一旦打ち止めだ。

 

また、表に出していない、分かりづらいだけだったりで前世では気付けなかった…もしくは引いていなかったために理解していなかったこともあり、意外な人物も好意を彼に向けていたことも今では分かっている。

 

…というか、キヴォトスに置いてネームド生徒のほぼ全てが先生に好意の矢印を向けていると言っても過言ではないのだ。

 

そして、それに薄々感づいているにも関わらず、あのクソボケ…(咳払い)

先生は極めて潔白な関係を生徒たち全てと保ち続けている。

 

確かにそれは大人としては素晴らしいことなのだろう。

…だが、故にこそ私は言うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このクソボケ野郎がァァーーーーーッッッ!!!

(掌底)

 

 

なんでさーーーーーッッッ!!?!?

(ぶっ飛ぶ先生)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「突然済まない先生。反省している」

 

「…眼の前でバクバクカレー食べながら言うセリフじゃないのは確かかな…それで、突然何なの?

また変なトラブル起こして逃げ込んだとかじゃないよね」

 

「先生は私をなんだと思っているんだ?

…まあいい、さっさと本題を片付けてしまおうか…先生。」

 

「…いつになく真剣な眼差しだね。

どうしたの?」

 

「先生は、私達生徒のことをどう思っているんだ?」

 

「…勿論、みんな大切な生徒だよ。

そりゃあシエルみたく問題を起こしたり、持ち込んだり、怒ったり怒られたり、もっと色々大変だったりするけど…

それでも皆大切なのは絶対に本当だから」

 

「……………」

 

思わずこめかみを抑えてため息をつく。

おお先生よ、あなたはどこまで性根が『善』なのだ…

 

先生に属性を付けるとするならば『秩序・善・愛』に『潔癖・鈍感』とでも評してやるべきか?

 

そしてそんな私に腹も立てずに心配して様子をうかがうのも何とも…はぁ。

…やはり強硬手段に出るしかないのだな。

 

「…先生、もう一つ聞いておこう」

 

「………」

 

「もし仮に、あなたの大切な生徒とやらが無理矢理にでも『そういう事』に踏み切ろうとしたならば…あなたは果たしてどうするつもりだ?」

 

「……………それは…」

 

流石に言葉に詰まったか。

まあ無理もない。先生もあれだけ露骨にアピールされれば薄々察することはできるだろうからな。

…が。

 

「…流石に、そんなことは…ないと思いたいけどなぁ。

私以外にも、色んな人が居るんだし。そういうのは…なぁ」

 

「このクソボケ野郎が」(誤魔化すのはやめてもらおうか)

 

「…シエルさん、本音と建前が逆に…いやそうでもないのかな」

 

「…まあいい、今ここで答えを聞いても所詮口八丁に誤魔化されるのはよく分かっているからな…実践で(・・・)示してもらうとしよう」

 

「…?何を言って」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せん、せい…」

 

「え?…ヒナ?」

 

「ぁ…せん、せ…」

 

「ヒナ!?大丈夫、そんなフラフラして…どうして急にシャーレに、というか調子が悪いなら大人しく…」

 

「えい。」

 

「うわ!?ちょ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生の背を軽く蹴り飛ばし、わずかに姿勢を崩させ前傾させる。

そして、そうなった先生とヒナを密着し…

 

察しの良い皆様なら、二人がどうなったかなどは理解できることだろう。

 

 

「…っ、ご、ごめんヒナ!

ちょっとシエル何してるっ!?」

 

「せんせ…こっち、見てくれなきゃ、やだ。」

 

「ちょっ、ヒナ…むん!?

ん、んん…!シエル、助け…!」

 

ヨシ。

後は何食わぬ顔でシャーレから立ち去りつつ、ロビーで適当に時間を潰して『先生は現在仕事に集中しているから今は入らないでやってくれ』と追い返せばいいだけだ。

 

…とりあえず今回はそれでいいはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がついたときには、色んなものが終わってた。

 

今思い返せば、どれも違和感だらけだった。

 

突然シエルが気まぐれにコーヒーを煎れたこと。

試しに飲んでみてほしいと頼んできたこと。

少し独特な甘い味がしたこと。

 

そして、それを飲んでしばらく経って、無性に先生に会いに行きたくなったこと。

先生が好きなこと。

先生といろんなことをしたいこと。

 

それが全部溢れて止まらなくて。

 

…そして、気がつけば私は、一糸纏わぬ先生に、同じような姿で抱きしめられていた。

 

咄嗟に飛び起きた私は、夢中で謝った。

 

何度も何度も、『ごめんなさい』と繰り返した。

何に対して謝っているのか。何を謝っているのか。

 

何を後ろめたく思っているのか。

それを分からないまま、ただひたすら目の前の先生に謝り続けた。

気がついたら涙が流れていた。声もそれに合わせて震えてしまう。

 

なぜ私が泣いているんだろう。

泣きたいのは先生の方じゃないのか。

 

許されないことをしたのは私の方なのに、なんの権利があって私が泣いているんだろう。

 

…なのに、先生は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヒナが謝ることじゃないよ。

ヒナがいきなりこんなことするような子じゃないって分かってるから。

…どうしてこうなったのか、だいたい検討はついてるから。』

 

ああ、もう…どうしてこの人は…

 

「…すき…」

 

「あ、ヒナ…ダメだよ、汚いから離れて…」

 

「…やだ」

 

結局私は、あのコーヒー関係無しにありのまま思いの丈を話して、その後、関係無しにまた先生に抱いてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もしもし?」

 

『やあ先生。その分だと上手く行ったようだな。何よりだ』

 

「…あのねえシエル。色々と言いたいことだらけなんだけどさ、とりあえず何でこんなことになったのか説明してもらえるかな?」

 

『何でと言われてもな。

 

日々先生のことを異性として慕っているくせして、いざ目の前ではそういうことに踏み切れない幼馴染に業を煮やし、山海経の薬師からほんの少しばかり素直になれるお薬をヒナに振る舞ってやっただけだが?

 

まあ…仕事の片手間とはいえあそこまで素直に飲むとは私も驚いたんだがな』

 

「……………」

 

『まあ、これで先生も少しは分かってくれたか?

自分が如何に愛されているのか…ということを』

 

「…でもさ。

流石にこれは良くないんじゃないのかな…」

 

『まあ、確かに自慢できるようなことでは無いのは事実だな。

だが…優しさのあまり生き殺しにし続けるのも私としてはどうかと思うぞ?』

 

 

 

「………」

 

『まあ、この話はこれまでにしよう。どのみち平行線だ。

 

…それはそうと、今度お詫びに栄養ドリンクでも送らせてもらおう。それじゃあ』

 

「えっ?どういう意味」

 

 

 

 

 

フォーン

 

 

 

「先生、ちょっとお時間いただけますか?」

 

「…ひぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清川シエル、現在シャーレ1階ロビーにて待機中。

 

一瞬で早瀬ユウカ、砂狼シロコ、聖園ミカ、狐坂ワカモが通り過ぎていった。

…やはり先生ガチ勢は怖いなぁ(他人事)

 

まあ、これを気に生徒達が問答無用で押し寄せてくることになるのだろうが…

ま、愛し合う二人が■■■するのなんて当然のことだし、是非も無いよネ!

 




その頃の先生

「やめろォ離せェ(決死の抵抗)」

「大人しくしてください先生!」

「ん、ミカはそっち抑えて」

「4人に勝てるわけないよねェ☆」

「思った通りの素晴らしいお体です…♥」

「やはりヤバい(再認識)」

「…んぅ、先生…すき…(安眠)」

ネタバレ:最終的にはまとめて先生が勝ちます
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