愉悦部 in キヴォトス   作:山崎五郎

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16話

「清川シエルのIQ3でも分かるお料理教室、はーじまーるよー!!!」

 

「「「………」」」

 

「おい、お前達拍手はどうした拍手は」

 

「「「………」」」パチパチパチ

 

 

どうも皆様こんにちは。

毎度おなじみ清川シエルでございます。

 

本日私が立っているのはミレニアムサイエンススクールの調理室。

眼の前に居る3人の少女の一人…早瀬ユウカの権限を持って特別に貸し切りとなっている。

 

本日、私が行うのは早瀬ユウカ、砂狼シロコ、聖園ミカに対するお料理教室だ。

 

 

 

 

 

 

事の発端となったのはつい3日ほど前だったか。

風紀委員会の仕事もさっさと片付いてしまったので適当に問題児達をボコしながらシャーレまでやって来た私は、昼食時だったこともあってか稀に見る空腹となっていた。

 

そこで先生に厨房と材料を借りて自慢のカレーを振る舞ったのだが…それをたまたま当番で来ていた早瀬ユウカが見ていた。

…正確に言うと見ていたのは私ではなく私の料理をさぞかし美味しそうに食べていた先生だったのだが。

 

ユウカは体操着の絆エピソードの件もあって料理が不得手な事も知っているため、彼女からすれば嫉妬モノだったのだろう。

…そう、嫉妬で済むならばいっそ良かったのだが…

 

「ん…やっぱりシエルの作るカレーは凄く美味しいよね!店の作るのよりも美味しいんじゃないかな?

 

毎 日 だ っ て 食 べ た い ぐ ら い だ よ

 

「は?」

 

「スゥ〜ッ、フゥうぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(クソデカため息)」

 

この先生…もといクソボケ野郎の余計な一言のせいで先生はユウカに『軽はずみにそんなことを言うものじゃないんですよ先生!』とお怒りのユウカに説教を食らっていた。

 

そんな場所で気持ちよく昼食など食えるはずもないので、わざわざ場所を移して昼食を取るハメになった。

まったくあのクソボケ野郎が…

 

と、話が逸れた。

その後、昼食を終えた私は特に用事もないので併設されているゲームセンターで時間を潰していると…なぜかユウカがやって来た。

 

「なんだ早瀬ユウカ、お前もゲームで遊びに来たのか?」

 

「違うわよ。あなたに用事があって…」

 

「?」

 

「わ、わ…」

 

「わ?」

 

 

 

 

「私に料理を教えて下さい!!」

 

「……なん…………だと………!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで、私はミレニアムサイエンススクールに足を運び料理教室を開くこととなったのだ…が。

 

「…2名ほど余計な人間が混ざっているようだな。

ユウカくん、その二人をつまみ出してくれたまえ」

 

「出来るならさっさと追い出してるわよ…ハア。

どこから聞きつけたのか分からないけど、『料理の勉強なら私も混ぜろ』って突然押しかけてきて聞かないのよ」

 

「ん。先生の胃袋を掴むのは私」

 

「うーん…ゲヘナの子に教わる〜ってのはちょっと癪だけど、先生のためなら…ね?」

 

先生ラブ勢は怖いなぁ(他人事)

しかしミカは箱入り娘的なイメージもあったし料理が不得手でも不思議ではないが、シロコの方も教わる側とは。

 

「ん…私も、そんなに得意なわけじゃない。

ほとんど作ってもらったり、安く済むもので…」

 

…そうか。

そう言えばシロコも出生に訳ありな側だったな。

加えてアビドスがあんな状況では、まともに料理の勉強や機会などあるかどうか…

 

 

 

 

まあ、とにかくだ。

そんなこんなで料理教室が始まった、のだが…

 

 

 

グシャッ

 

「………あれれ?」

 

「また卵割ったな聖園ミカ。

それで何個目だ?適切な力加減もできないのかお姫様」

 

「ねえ…この『ひとつまみ』って具体的どのぐらいつまめばいいの?

指の先だけ?それとも思い切って第一関節まで大きめに使って…」

 

「それは個人の自由だって言ったよね?いい加減自分で判断するということを覚えてくれないか」

 

「ん、まともなのは私だけ」

 

「ペロッ…全体的に味が薄すぎる、やり直し」

 

「ん!?」

 

どいつもこいつも話にならない。

ミカは食材と食器の破壊者だし、ユウカは絆ストーリーの通りに融通が聞かないし、シロコはシロコで絶妙にアレだし…

 

…仕方ない。少し発破をかけてやるとしよう。

 

「ハァ…どいつもこいつもまるで話にならない。

本当にそんな調子の料理で先生が喜んでくれるとでも思うか?」

 

「「「!!!」」」

 

「これならまだ私のほうが勝ちの目があるというものだな。

今どき惚れた相手に手料理も振る舞えないようなヤツはオワコン(笑)」

 

「………ふーん。そんなこと言われたら黙ってられないよねェ…」

 

「ん、先生を手料理でオトすのは私」

 

「私はたった今からデータを捨てるわ…!」

 

 

…まあ、なんとかやる気にはなってくれたようだな。

とはいえ、本当に上手くいくのかどうかまだ不安ではあるのでしばらく様子見はさせてもらうとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぅ…もう昼食の時間か。

そう言えばシエルが『昼食時になったらできるだけ空腹でシャーレの食堂まで来てくれ』って言ってたけど…アロナ、この後予定は?」

 

『え?特にスケジュール的な問題は無いですけど…どうしたんですか先生?』

 

「いや、その…シエルの用事に巻き込まれたらきっと色々大変なことが待ってるだろうから、先んじて確認しときたくて…」

 

『ああ〜そういうことですか…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく来たな先生」

 

「…ここ、一応私の職場の一室なんだけど…ん?

これは…」

 

シエルが座っていたテーブルの上に置かれていたのは、小さく収まったオムライス、茶碗に入ったポトフ、真ん中には大きめの皿に鶏肉のトマトチーズ煮込みが乗っていた。

 

「まあ、とりあえず何も言わずに食べてみてくれ」

 

「え?…いただきます」

 

一瞬どういうことか聞こうとしたが、何となく聞いてはいけないことのような気がして止めることにした。

ひとまずはスプーンを手にとってポトフのスープを口にする。

 

「…うん。美味しい」

 

濃すぎないコンソメスープの味にホロホロに柔らかいニンジンやジャガイモ、しっかり味が込められているウインナー…どれも美味しい。

…少しだけスープの味が薄い気もするけど。

 

次に小さなオムライスに手を伸ばす。

卵をスプーンで割り、その下にあるチキンライスと一緒に掬って口に運んだ。

うん。これも美味しいな。チキンライスの名の通り小さめにカットされた鶏肉や玉ねぎ、偶に入っているグリンピースもいいアクセントになっている。

 

…少しケチャップでライスがベチャ付いているような気がするし、卵も少し固めだけど…

 

で、一旦スプーンを置いて箸を持ち、鶏肉のトマトチーズ煮込みを一つ取って食べる。

…煮込みとは言ったけど、一度鶏肉を焼いてあるのか。

皮がパリパリで、だけど身煮込まれていて柔らかいしトマトとチーズが絡まって美味しい。

 

…少し焦げてるところもあるような気がするけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ごちそうさま」

 

「いい食べっぷりだったな、先生。で、感想は?」

 

「うん、どれも美味しかったよ。流石だね」

 

「フッ…礼なら、彼女達(・・・)に言ってくれ」

 

「彼女達?…あ」

 

先生が視線を向けた先には、ユウカ、シロコ、ミカが立っていた。

さて、私はこれ以上特にすることもないし、帰せてもらうとしよう。

 

…最後に、少しだけ先生の方を向くと。

先生に褒められたであろう、嬉しそうな顔の3人が微笑んでいた。

 

 




エンディングには衛宮さんちの今日のごはんのED曲を流してください。
もう愉悦部っぽさあんまりないけど、是非も無いよネ。
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